第九話『さくらと悪の魔法使い』



春休み桜は部活動に勧誘されたりハルナの漫画を手伝わされたりもしたが、月日は
4月8日になりまほら学園は今日から新学期に入った。
桜は朝から知世や途中で会ったネギ達と共に電車に乗って学園に向かっていた。

「いよいよ新学期私達も中三ね」
「なんだか時が経つのは早いですわね」
「知世ちゃん・・・私達中学校生活まだ一ヶ月ちょっとしか送ってないんだけど」

それもそのはず、桜と知世は中学生なったとたんにまほら学園がある世界に飛ばさ
れいきなり中学二年生しかも三学期の終わり頃に転入してしまったのだから。

「ところでネギ君パートナー探しはもうしなくてええの?」
「ヤダなー木乃香さん・・・僕にはまだパートナーはまだ早いですって」
「本当に昨日のネギ君のパートナー事件は大変だったね」

昨日の事件と言うのはネカネの手紙によりネギがパートナー(恋人)を探している
と言う噂が流れ、クラス中が大騒ぎになりネギ争奪戦になりかけた事件である。

「ええ・・・ですからしばらくは先生一筋でがんば・・・ハ・・・ハ・・・」
「ハクシュン!」
「きゃあ!」「ほぇぇ!」

ネギはくしゃみをし、その反動で風邪の魔法が暴発し桜やアスナその他ネギの周り
にいた人たちのスカートがめくれ上がった。

「(ネギ君少しは気をつけてよ)」
「(そうよあんた教師失格よ」」
「(ごめんなさいー)」
「(ネギ先生グッジョブですわ)」
「知世ちゃん(汗)」

スカートがめくれ上がった桜のパンツが見えた知世だけがネギを褒めていた。
そして時間は進み、桜達はまほら学園の2−A改め3―Aの教室に到着しいつも通
り?・・・のホームルームが始まった。

「3年!A組!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「ネギ先生―――!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

3−Aの約過半数が片手を上に上げ大声を張り上げて歓喜わまっている。
そして桜も過半数共と同じように大声を張り上げている。

「このクラスは元気がいっぱいでいいね」
「はい・・・ネギ先生がこのクラスの担任だからこそですわ」

その時、桜が廊下側のほうに目をやると鋭い視線を送るエヴァンジェリン(次からエヴァ)の姿があった。

「ほぇ・・・」
「どうなされましたか桜ちゃん?」
「ちょっと・・・」
「(エヴァちゃんなぜネギ君を見ていたんだろう?
ホームルームが終わったら話しかけてみよう・・・)」

桜はエヴァンジェリンとは桜達がまほら学園に飛ばされた日以来まだ全然話した事
はなく、桜が話しかけたとしてもすぐにどこかへ行ってしまっていたのである。

「コンコン!・・・ネギ先生今日は身体測定ですので3−Aの皆さんもすぐ準備してくださいね」

そしてホームルームも終わって身体測定が始まり、桜は考えていた通りにエヴァに話しかけてみた。

「ねぇ・・・エヴァちゃん」
「なんだまた木之本桜か」
「今日のホームルームネギ君に鋭い視線を送ってなかった?」
「ふん・・・お前には関係のないことだ」

そういうとエヴァはそっぽを向き桜から離れていった。
そしてエヴァと桜が話しているのを見た知世が桜に尋ねた。

「桜ちゃん・・・エヴァンジェリンさんとなにを話していましたのですか?」
「少しエヴァちゃんに質問していただけだよ」
「そういえばそろそろ体重計桜ちゃんの出番ですわ」
「うん」

桜は自分の体重や身長などを測定していると気がついたら3−A教室が吸血鬼話で
持ちきりになり柿崎が桜に吸血鬼の話を話し始めた。

「ねえねえ・・・桜ちゃんも吸血鬼話知ってる?」
「吸血鬼?」
「何でも満月の夜になると学生寮の桜並木に出るんだって・・・」
「ほ・・・ほぇぇ・・・」
「真っ黒なボロ布に包まれた血まみれの吸血鬼が・・・」

その瞬間・・・3−Aの教室に鳴滝姉妹の悲鳴も跳ね除け桜の大声が響き渡った。

「ほ・・・ほぇぇえーーーー!!!!!」
「桜ちゃん吃驚しすぎ・・・っというかもう半分ないちゃってるし」
「桜ちゃんはこの手の話が大の苦手なんです」
「そうなの」

未だにお化けとかそういう関係が苦手な桜、もうすでに桜は涙目になっている。

「桜ちゃん・・・これはあくまで噂だからね・・・噂」
「ほぇ・・・噂なの?」

泣きそうな桜を何とか慰めようとする柿崎・・・
すると廊下のほうから亜子の声が響き渡ってきた。

「先生大変やー!・・・まき絵がまき絵がー!」

すると一斉に3−Aの者共は教室のドアや窓を開けた。

「まき絵がどーしたの?!」

その瞬間驚くネギの姿があった。


そして保健室内、そこにはベットに横たわるまき絵の姿があった。
まき絵の周りにはネギや桜や知世他にしずな先生や木乃香や鳴滝姉妹の姿がある。

「まき絵さん・・・どうしたんですか?」
「桜道りで眠っている所を見つかったそうよ」
「なんだたいした事ないじゃん」
「甘酒飲んで寝てたんじゃないかなー?」

まき絵が無事だった事に安心する面々・・・
だが桜とネギだけはまき絵からほんのわずかだが魔法の力の気配を感じ取った。

「(ネギ君・・・これって)」
「(桜さんも感じましたか確かにこれは魔法の力です)」
「(ネギ君・・・どうするの?)
「(少し桜道りを巡回する必要がありますね・・・ここは僕に任せて置いてください)」
「(うんわかった)」

でも念のためにケロちゃんや知世ちゃんにも話しておこう・・・

こうして桜はネギにこの魔法の力の気配に関して任せる事にした。


そして放課後、桜はすぐに知世と共に学生寮に帰りケロちゃんに今日あった出来事や感じた魔法の力の事について話した。

「へぇ〜・・・そりゃ〜やっぱり吸血鬼なんとちゃうか」
「吸血鬼なんて本当にいるのケロちゃん・・・?」
「わいらがいた世界にはおらんかったと思うけど、この世界になると話はまったくちゃうからなあ」
「ま・・・桜が魔法の力を感じとったんやったら魔法が関係するっちゅうんは100%決まりやな」
「しかし桜も用心したほうがええな・・・魔法の力を持って一般人の嬢ちゃん襲う
やなんて絶対悪人のすることやし」

両腕を組みながら話すケロちゃん、そこに知世が一言言葉をもらした。

「そういえば・・・今回ネギ先生一人に任せておいて本当に大丈夫なのでしょうか?」

そしてその知世の一言に桜はネギ一人に今日あった事を任せておいて本当に大丈夫なのか心配になってきた。

「ケロちゃん・・・私やっぱりネギ君一人に任せてなんておけないよ」
「そうやなそれじゃあいっちょ桜道りにでも行ってみるか」

決心する桜とケロちゃん・・・そこに知世がいつもどおり自分お手製の桜ちゃんの衣装を取り出した。

「今回の衣装は吸血鬼と言う事なので吸血鬼をイメージした衣装にに仕立ててみました」

そして桜は普通に知世の仕立てた衣装を着(もうツッコミはいれない)、ケロちゃんとビデオテープを持った知世(もうこれはお決まり)と共に桜道りへと向かった。
桜達が桜道りに着くと、太陽はもうすでにもうすでにほとんど沈みかけており空の
色が赤から黒へと変わろうとしていた。

そして桜道りは朝とは違い人気が全くなく、風の音や木がざわめく音しか聞こえない。

「ネギ君どこにいるのかな?」
「まあなんか魔法の気配とかがあったらわかるやろ」

その時、ちょうど桜達は魔法の気配が遠くのほうでしているのを感じ取った。

「ケロちゃん・・・」
「早速やな、行くで〜桜!」
「うん」

そして桜達はすぐに魔法の気配に急いでむかった。


桜達が魔法の気配があった所に着くとネギ&気絶しているのどかと対峙しているエヴァの姿があった。

「エ・・・エヴァちゃん・・・どうしてエヴァちゃんが?」
「桜さん・・・彼女が今回の犯人です」
「本当なのエヴァちゃん?」
「そうだ」

桜はエヴァの発言に驚きを隠せない。

「だめじゃないエヴァちゃん・・・こんな事したら」
「この世には悪い魔法使いもいるんだよ」
「エヴァちゃん・・・」
「さて・・・魔法使いも二人いたらこちらに分が悪いな」

エヴァと対峙する桜とそこにエヴァは一人の人物を呼びだした。

「おい!」
「ハイ・・・マスター」
「あ・・・あなたは・・・」
「「茶々丸さん!」」

現れたのは3−Aネギクラスの生徒の一人絡繰茶々丸であった。

「これが私のパートナーであるミニスター・マギ絡繰茶々丸だ」
「茶々丸さんまで悪い人なの・・・」
「これで戦局はそこにいる大道寺知世とぬいぐるみを抜いたとして2対2こちらの不利がなくなったわけだ」

この時、エヴァは知るよしもなかった。
目の前にいるぬいぐるみみたいな者が黄金の瞳の最強の守護獣だと言う事を。

「誰がぬいぐるみやねん(怒)!・・・よっしゃわいの本当の姿を見て驚くなよ!」
「があああ!!!!」

ケルベロスは仮の姿から真の姿へと変身した。

「な・・・何!」
「どうやまいったか!」
「チッ!計算違いだ・・・ぬいぐるみがまさかこんな姿になろうとは」

エヴァの言葉にケルベロスはカチン!ときた。

「さっきからぬいぐるみぬいぐるみうるさいねん小娘が!」
「誰が小娘だ!・・・これでも私は数百年生きている」
「はん!・・・そんなもんわいだってそんくらい生きとるわい」
「それはそうとこれで3対2こちらが圧倒的に有利(○マじゃないよ)や観念せい!」
「どうしてこんな事しているのエヴァちゃん!?」
「どうしてだと・・・それはな」

その瞬間エヴァはわなわなと震えながら話し始めた。

「坊やの父つまりサウザンドマスターに敗れて呪いをかけられて以来魔力も極限ま
で封じられ、15年間もノー天気な女子中学生と勉強させられてるんだよ」
「えっ・・・呪い?」
「そうだ、その呪いを解くためには奴の血縁たる坊やの血が大量に必要なんだ」
「そんな事言われても僕知らない・・・(ぶんぶん)」

エヴァの話に首を振るネギ・・・

「ネギ・・・こんな話聞かんでもええで、んなもんどうせそれまで悪い事しとったこいつがわるいんやから」
「そう・・・だからひよっこの魔法使いである坊やと対抗するために血を集めていた」
「エヴァちゃん・・・」

エヴァの話を聞き哀れむような目でエヴァを見る桜・・・

「それ以外に呪いを解く事はできないの?」
「サウザンドマスターの巨大な魔力によって受けた呪いだ!
「無い・・・この呪いを解く事ができるのはサウザンドマスター又はそれと同等以
上の魔力を持った者でしかこの呪いを解くことはできないんだよ」
「そんな・・・」

絶望し黙り込む桜、そしてその桜を見たエヴァは桜の行動に疑念を持った。

なぜだ・・・なぜこいつは自分に起きた事でも無いのにこんな悲しそうな目ができるんだ・・・
私を油断させようとしているのか?・・・いいやこいつはそんな芸当の出来るような奴ではないはずだ
だが・・・いやしかし・・・

考えこむエヴァ・・・そしてエヴァの考えを読んだ知世がエヴァに対して一言言い放った。

「エヴァンジェリンさん・・・その答えは桜ちゃんが誰にでも優しいからですわ」
「やさしい・・・それはどういう事だ?」
「どういう事かは自分で考えてくださいな」

その時・・・口を閉ざしていた茶々丸が遠くから来る人物を感知しエヴァに伝えた。

「マスター・・・北西500mほどの所から人が猛スピードで近づいてきてます」
「なに!・・・仕方ない・・・今日の所は撤退させてもらうぞ」

すると本当に北西の方から一人の人物が走ってやって来るのが見えた。

「ネギー!」
「あっ!・・・アスナさんだ!」
「これ以上敵が増えるとますます厄介だ!・・・早く逃げるぞ・・・茶々丸!」
「ハイ・・・マスター」

エヴァは急いで茶々丸の腕に乗り、ジェット噴射により空へと飛び上がり逃げていった。
その時走って近づいてくるアスナは逃げさるエヴァと茶々丸の姿が薄っすらだが見えていた。
そしてネギ達のいる場所にアスナは到着した。

「ハアハア・・・あれ?・・・今さっきエヴァちゃんと茶々丸さんいなかった?」
「それがですねアスナさん・・・」

ネギはついさっきあった事をアスナに説明した。

「えー!・・・エヴァちゃんが吸血鬼で今回の犯人だったってー!」
「はい・・・そうなんですよ」
「他にも茶々丸っつう姉ちゃんまであの小娘に加担しとったしな」
「ええ!・・・茶々丸さんまで?!」

さすがに大声をだして驚くアスナ、魔法の事がだんだんなれて来たと言ってもこれは驚く。

「しかしこれからどうしましょうか?」
「そうやなあ・・・まあわいらもおる事やしあの小娘も手出しはできんやろ」
「それはそうですが、ネギ先生が一人の時に闇討ちでもしたらどうします?」

この事の一番の問題を突く知世。

「せやせや・・・闇討ちっちゅうのがあったな」
「それなら私達がネギから離れなきゃ良いだけでしょ」
「すみません・・・又迷惑をかけてしまいますね」
「まだネギ坊主も子供やねんから気にせんでええて」

ケルベロスは前足でネギの頭をくしゃくしゃと撫で回した。
一方黙り込んでいた桜はうつむきながら口を開いた。

「私・・・エヴァちゃんが悪い人だなんて思えない」
「桜ちゃん・・・」

エヴァの事に関して思いにふける桜・・・


そして桜達のすぐ傍には気絶したまま忘れ去られているのどかの姿があった。


<第九話終>


『ケロちゃんの次回予告コーナー』

「こにゃにゃちわ〜!」

「春になって始まりの季節がやってきたけど(この小説内で)今回も」

『ケロちゃんの次回予告コーナー』がやってきたで〜!」

「さて今回のゲストは・・・」

「今回気絶したまま忘れ去られとった本屋の嬢ちゃんやー!」

「あの・・・私の名前は宮崎のどかなんですけど・・・」

「あれっ・・・そうやったっけ?」

「はい・・・」

「まあええやん名前くらい」

「えっ・・・でも・・・「それじゃあ次回予告いくでー」あうう・・・」

「さて次回のタイトルは・・・」

「『さくらとネギとパートナー』です」

「ひとまずパートナーを探す事にしたネギにいきなりまほら学園に現れたオコジョ妖精のカモ」

「そしてネギのパートナーになろうと我先にネギに群がる3−Aの生徒達」

「ネギは無事にパートナーを見つける事ができるのかー!」

「・・・が次回の見所です」

「今回は嬢ちゃんあんまりいい事なかったけど次回いい事あるかも知れんな」

「いい事ってなんでしょうか?」

「さあそれはこの小説の作者に聞かんとわからんことやな」

「作者は嬢ちゃんとネギ坊主の恋愛推進派やしな・・・そろそろ」

「私とネギ先生が・・・ラブラブになるって事ですか?」

「まあ作者の気分しだいやけどな(ホンマに)」

「あっケルベロスさん・・・そろそろ終わりのお時間です」

「ほな名残惜しいけど毎回こうれいの最後のキメいくで〜」

「ほなな〜」「さ・・・さようなら」

<終>


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