第74話


麻帆良がヴァリムの強襲を受けていた、ちょうどその頃………

世界の某所にて………

秘境の奥に立てられていた基地のような建物が炎と黒煙を上げていた。

彼方此方で小爆発が起こっている。

その中では………

「とうとう追い詰めたぜ………観念しな」

研究室らしき部屋にて、黒い衣装を着た中年の男を追い詰めているネギに良く似た男。

そう! 彼こそがネギの父親であり、世界最強の魔法使い!!

サウザンドマスターこと、ナギ・スプリングフィールドだった!!

「ぬうう………おのれ、サウザンドマスター」

ナギを睨みつける中年の男。

「8年前に俺の村を襲った借りを………返させてもらうぜ!!」

そう!!

この男こそ、8年前にネギがいた村を悪魔に襲わせた張本人だった。

中年の男は、所謂、悪の首領だった。

世界制服を目標に掲げ、様々な悪事を魔法界にすら知られず、秘密裏に行なってきていた。

偶然、その暗躍に気づいたナギは、それを阻止すべく立ち上がった。

組織に気づかれないように公式記録で行方不明を装ってである。

「お前の組織も………野望も………ここで終わりだ!!」

ナギは構えを取った。

「フッ………フフフ………ハーハッハハハハッ!!」

と、首領は急に高笑いを発した。

「テメェ………何が可笑しい?」

「詰めが甘かったな、サウザンドマスター」

首領がそう言って、衣装の袖から液体の入ったフラスコのようなものを取り出し、床に叩きつけた。

すると、中の液体から煙が立ち始め、次の瞬間!!

ギイィィィラァァァァァーーーーーッ!!

奇声を発しながら、トカゲと人間を混ぜたような怪人が出現した。

「なっ!?」

「トカゲンダー!! その男を殺せ!!」

ギイィィィラァァァァァーーーーーッ!!

突然の怪人の出現に驚いたナギに向かって、怪人トカゲンダーは口から火を吹いた。

「うおっ!! 危ねっ!!」

咄嗟に横に転がるが、着ていたローブの裾が燃え上がった。

「おわっ!! アチャ! アチャチャチャチャッ!!」

熱がりながらも床を転がって火を揉み消す。

「ワッハハハハハ!! 良いザマだな、サウザンドマスター!!」

「テメェ〜〜ッ!! もう怒ったぞ!! 本気と書いて、マジで怒ったぞ!!」

ビー○トウォーズもコ○ボイのような台詞を言いながら、怒りの形相で首領と怪人を睨みつけるナギ。

「ほざけっ!! いけ、トカゲンダー!!」

ギイィィィラァァァァァーーーーーッ!!

奇声を発してナギに向かって突撃するトカゲンダー。

と、その時!!

銀色の閃光が走ったかと思うと、トカゲンダーがバラバラになった。

「なっ!!」

何が起こったか分からず、驚愕する首領。

そこへ、バラバラになって崩れたトカゲンダーの影から、両手に日本刀を持ち、奇妙な服を着込んだ、顔中に傷跡がある男が姿を見せた。

「油断しすぎですよ、ナギさん」

日本刀を持った男はナギに向かって言った。

「バーカ、アレぐらいどうってことないっての」

「やれやれ………」

ナギの強気な態度に肩を竦める日本刀を持った男。

「…………」

その隙にこそりこそりと逃げ出そうとする首領。

「おっと、何処行くんだ」

しかし、一瞬でナギが進行先に回りこんだ。

「ぬあっ!! クッ!!」

突然目の前に現れたナギに驚きながらも、なおも逃げようと反転する首領。

だが、それが不味かった。

「タワー・ブ○ッジ!!」

ナギは、素早く首領を捕まえると、タワー・ブ○ッジを掛けた。

「あべらはげ〜〜〜っ!!」

わけの分からない断末魔を挙げ、首領は倒された。

「フッ………意外と終わりってのは、呆気ないもんだな」

「そろそろこの建物も限界です。脱出しましょう」

「おっと、そうだな」

ナギと男はそう言って、燃え盛る秘密基地から脱出して行った。











その後、大爆発を起こす秘密基地を、ナギと男は離れた山の山頂から見下ろしていた。

「これで組織も壊滅か………ふぅ〜〜、長かったな〜〜、この10年間………」

しみじみと自分の思い出を振り返るナギ。

「良かったですね、ナギさん」

「ありがとよ………ところで、そいつ、どうしたんだ?」

ナギは、そう言って男の隣を指差した。

そこには、ユニコーンのような角とペガサスのような翼を生やした白馬がいた。

「どうやら、ユニコーンとペガサスの合成獣みたいです。実験施設にいたのを助けたら、懐かれちゃって………」

男の言葉を肯定するかのように、ユニコーンとペガサスの合成獣は鼻を男の胸に摺り寄せてきた。

「おわったた! よせって!」

「ハッハハハハ、良い眺めだな」

それを見て、笑い声を挙げるナギ。

「………ところでナギさん。これからどうするんですか?」

「そうだな………麻帆良にでも行くか」

「麻帆良!?………」

「おう、俺の知り合いがそこに………」

「その名前………聞き覚えがある」

「何っ!? 本当か!? 機龍!!」





ナギは驚いて、男を………機龍を見た。





「ああ………俺はその地に………深い関わりを持っていた気がする」

そう………機龍は生きていた。

あの時、ヴァリムの基地が自爆した瞬間………

運よく流れ込んできた海水にJフェニックスが流され、基地の外まで押し出されたのだった。

その後、爆発の衝撃波を受け脱出装置が働き、脱出ポットは海流に流され、遠く離れた無人島に漂着していた。

そして、偶然その島にいたナギに助けられたのだ。

ナギが見つけた時、機龍は既に半生半死に重症だったが、ナギの(かなりあやふやな)回復魔法と持ち前の精神力で復活を遂げた。

もの凄い悪運の持ち主である。

しかし、やはり何事もないというわけでなく、重症の後遺症か、記憶喪失に陥っていた。(また、ナギの回復魔法が、かなりあやふやなだったので顔中に傷跡が残ってしまっていた)

目覚めて時、覚えていたのは自分の名前だけだった。

ナギは、この状態の機龍を放っておけず、組織を潰す手伝いをさせながら、機龍の記憶を探した。(戦闘技能については身体が無意識のうちに覚えていた)

「麻帆良………うぅ………」

必死に失った記憶を手繰り寄せようとする機龍だが、激しい頭痛に襲われる。

「………駄目だ。思い出せない………」

「そうか………まあ、兎も角、麻帆良に行って見るか。それで何か分かるかも知れないぜ」

「………ならば、急いだ方が良いと思うがね」

「「!!」」

不意に聞こえてきた声に、ナギと機龍はすぐさま臨戦態勢に入り、声のしてきた方向を向いた。

そこには、黒い衣装を着込んだ老紳士がいた。

「テメェ………悪魔だな。しかも爵位級の」

「流石はサウザンドマスター。一目で私の正体を見破るとは………」

「悪魔が何の用だ!?」

二刀を油断なく構えながらヘルマンを見据える機龍。

「そういきり立たないでくれたまえ、神薙 機龍くん」

「!!」

機龍は、フルネームを呼ばれた事に目を見開いた。

「貴様!! 俺のことを知っているのか!?」

「ああ………知っているよ。それを教えるために私はやって来た」

「本当か、オイ」

「勿論だ………ああ、申し送れたね。私の名は、ヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマン伯爵だ」











その後、ナギと機龍は警戒しながらも、ヘルマンから話を聞いた。

「………と、ここまでが私の知っている事だ」

「惑星J………PF………機甲兵団ガイアセイバーズ………3−A組………」

「遽かに信じがたい話だが………その話なら俺も聞いたことがある………ただの噂だと思っていたが」

ヘルマンから聞いた話の中に出た単語を反復する機龍と、やや半信半疑のナギ。

「まあ、仮にアンタの話が全て真実だとしても、何故悪魔が、人間に味方するような事をする?」

ナギは、怪訝な目でヘルマンを見る。

「フッ………実はな、サウザンドマスター。私は君の息子くんと戦ったのだよ」

「何っ!?」

「結果は、私の負けだったがね………しかし、その敗北に私は心地よさを感じた」

「…………」

黙ってヘルマンの話を聞くナギ。

「そして私は教えられた。強さは常に自分だけのものと考えてきたが、そうじゃなかった。人は………大切なものを守ろうとする時、真に強さを発揮できると」

「へえ………悪魔のアンタがそんなことをいうなんてな」

「あの時、ネギくんに言われた言葉は、今でもはっきり覚えているよ………心に愛がなければ、スーパーヒーローじゃないのさ………とな」

「フ………フフフ………ハハハハハ、流石俺の息子だ!!」

満足そうな笑いを挙げるナギ。

「ネギ………うおっ!! あっ!! ぐぅ!!」

と、突然頭を抑えて蹲る機龍。

「!! 機龍!! どうした!?」

「記憶が蘇りつつあるようだな………」

ヘルマンの言うとおり、機龍の頭の中には、それまでの記憶が急速に蘇りつつあった。

初めて第二地球を訪れた時………大停電の日………京都修学旅行………ヴァリムとの戦い………共に戦った仲間達………

(俺は………俺は………)

そして最後に、真名の姿が浮かんだ。

(!! 真名!!)

「オイ、機龍!! 大丈夫なのか!?」

ナギが心配して声を掛けると、機龍はゆっくりと立ち上がった。

「思い出した………俺は………アルサレア帝国軍、特殊追撃部隊セイバー小隊の小隊長………そして!! 機甲兵団ガイアセイバーズ総隊長の神薙 機龍だ!!」

完全に記憶を取り戻した機龍。

「思い出したようだね………では、麻帆良へ急ごう。今、麻帆良はヴァリム軍の襲撃を受けている」

「「なっ!!」」

ヘルマンの言葉に驚愕する2人。

「そーいう事は早く言えっての!!」

「急ぎましょう、ナギさん!!」

機龍がそう言うと、

ヒヒーーーンッ!!

ユニコーンとペガサスの合成獣が高らかに鳴き声を挙げると、その背を機龍に向けた。

すると、ユニコーンとペガサスの合成獣に鎧のような物と馬具が装着された。

「これは!? 乗れって、言うのか?」

ブルルルルッ!!

そうだと言わんばかりに鼻を鳴らすユニコーンとペガサスの合成獣。

「ありがとう………そう言えば、お前さん名前がなかったな………よし、俺が付けてやるよ」

そう言いながら、機龍はユニコーンとペガサスの合成獣に跨った。

「そうだな………ユニコーンとペガサスの合成獣だから………ユニサスってのはどうだ?」

ヒヒーーーンッ!!

気に入ったと言うように高らかに鳴き声を挙げる。

「そうか、気に入ってくれたか………よし、行くぞ!! ユニサス!!」

機龍の声に応え、ユニコーンとペガサスの合成獣………ユニサスは翼を広げると、空へと飛翔した。

「おお!! 良いな、アレ………っと、俺も行かなきゃな。舞○術っ!!」

そう言って、ナギは身体に白いオーラのようなものを纏うと、空へと飛んだ。

「では、私も………デビィィィィィーーーーールッ!!」

デ○ルマンのような掛け声と共に悪魔化し、翼を羽ばたかせて宙に舞うヘルマン。

3人はそのまま、麻帆良を目指した。











日本領海上空………

あっと言う間に日本領海上空まで飛んできた3人。(ナギの認識阻害魔法の御蔭で、自衛隊とかに気づかれていない)

「もうすぐ日本だ!!」

「待ってろよ、皆!! 今行くぞ!!」

と、機龍が意気込んだ時………

ヒヒーーーンッ!!

突如、ユニサスが鳴き声を挙げ、海に向かって降下し始めた。

「うわっ!? お、おい、どうしたんだ、ユニサス!?」

驚く機龍に構わず、どんどんと降下するユニサス。

そして、海面上空、十数メートルのところで、空中に停止した。

「おい、ユニサス。ここが一体どうしたって言うんだ………待てよ、ここは………」

「どうしたんだ、一体?」

「何かトラブルかね?」

ナギとヘルマンが追いついて、降下してきた。

「そうか! ここは、ヴァリム軍の秘密基地があった場所だ!!」

と、機龍が言った時!!

突然、真下の海面が青白い光を発し始めた。

「うわっ!!」

「何だ、コレは!?」

「この光は………精霊の光!?」

そして、次の瞬間!!

その光が、柱となって真上へと伸びてきて、機龍を飲み込んだ!!

「!! 機龍っ!!」

「サムライくん!!」

慌てたナギとヘルマンが柱の中へ入ろうとしたが、弾かれる。

「ぬうっ!!」

「駄目だ! 入れねー!!」

「中では何が!?」











光の柱の中………

「ここは………一体?」

機龍は、不思議な空間の中にいた。

上下左右の感覚が無く、辺りは一面、青白く輝いていた。

まるで光の中に浮かんでいるようだった。

と、機龍の前に1つの光の球体が現われる。

「!?」

身構える機龍。

光の球体は形を変えていき、やがて人型となり、1人の青年へと姿を変えた。

「初めまして………神薙 機龍くん」

「!? 貴方は!!」

その青年の姿に驚く機龍。

そう………その右眉の上に傷のある青年は、真名の元パートナーだった。

「真名の………でも、貴方は死んだはずじゃ!? それにどうして俺のことを!?」

「確かに、僕の肉体はとっくに滅んでいる………しかし、魂は万物の精霊と化し、この世の危機に手を貸すために生き続けてきた………だから、この世に起こっている事で僕が知らない事はない」

「…………」

あまりにも壮大な話に閉口する機龍。

「………そして! 今、正に、この世に危機が訪れている!! 今こそ、我等精霊達が救世主を誕生させる時だ!!」

「救世主?………!! それってまさか!?」

「そう………君のことだよ、神薙 機龍くん」

「!!」

機龍は、思わずたじろいだ。

「救世主? 何故、俺が!?」

「世界がそう望んだのさ………正直言うと、僕の個人的意見も入っているんだけどね」

「個人的意見?………ひょっとして………真名の事か?」

青年は無言で頷いた。

しかし、機龍は目を伏せた。

「しかし………俺はアイツに………酷い事を言っちまったんだ」

「でも、君はマナの事が好きなんだろ?」

「あ、ああ………」

戸惑いながらも肯定する機龍。

「例え君がこの星の人間でなかったとしても………何時かはこの星を去らねばならないのだとしても………今、真名を幸せにしてやれるのは、君しかいないんだ」

「………貴方は………それで良いんですか? 貴方だって、真名の事を………」

と、機龍が言いかけた言葉を制し、青年はゆっくりと首を振った。

「言っただろ。今、真名を幸せにしてやれるのは、君しかいないんだ………お願いだ、神薙 機龍。この星を………マナを救ってくれ」

機龍に向かって深々と頭を下げる青年。

機龍は、少しの間沈黙していたが、やがて意を決したように言った。

「………分かりました。貴方のためにも、この星と………真名は………俺が救います!!」

「やっぱり………君なら、そう言ってくれると思ったよ」

青年は頭を上げて笑顔を見せると、後ろの方の空間に向かって手を翳した。

すると、そこに魔法陣が描かれ、ボロボロの状態のJフェニックスが現れた。

「!! フェニックス!!」

「君の剣だ………我々、精霊達が蘇らせよう」

青年がそう言うと、どこからともなく青白く光る光球が現れ、Jフェニックスの中へと吸い込まれていく。

すると、Jフェニックスは光り輝きながらその形を劇的に変えていく。

「これは!? Jフェニックスが………直って………いや、『進化』している!?」

驚愕する機龍。

「さて、僕も行くとするか………」

青年がそう言うと、青年も青白く光る光球となり、Jフェニックスの中へと吸い込まれていった。

「あ!! ちょっと………」

(さあ………受け取ってくれ。君の………新たな剣を)

「新たな………剣」











日本領海上空………

「オーイ!! 機龍ーーーっ!!」

「もう10分近くこのままだな………」

光の柱に向かって叫び続けているナギと、注意深く光の柱を観察しているヘルマン。

と、急に光の柱は消え、海面の一部が光っている状態に戻った。

「おっ!? 何だ!?」

「変化があった?」

そして、次の瞬間、ゴゴゴゴッという地鳴りのような音が響いてきた。

「こ、今度は何だ!?」

「!! アレは!?」

ヘルマンの声に、ナギは海面を見て、驚愕した。

「なっ!? 海が………」

「割れていく………」

そう! まるで映画のように、海が2つに割れ始めたのだ!!

そして、その中から、巨大な青白く光る光球が姿を見せた。

「アレは!?」

「何だ!?」

次の瞬間、青白く光る光球は弾け、中からまるで鎧のような装甲に身を包んだ姿をした、燃え盛る炎の如く真紅と清廉を表すかのような純白のカラーリングのPFが出現した。

PFは、緑色のカメラアイを光らせると、やや大型な翼を展開し、空へと浮かび上った。

「な、何だ、コイツは!?」

「コレは!?」

自分達の隣へ並んできたPFに、臨戦態勢になるナギとヘルマン。

「ナギさん、ヘルマンさん。俺ですよ」

「!! その声は………機龍っ!?」

「何と………」

しかし、響いてきた機龍の声に呆気を取られる。

「お前、それは一体?」

「これが俺の生まれ変わった相棒………新たなる剣………そう!! その名は!! 機甲武神!! ゴッドJフェニックス!!」

そう言って、ポーズを取るゴッドJフェニックス。

ふと、機龍は、まるで自分がJフェニックスとなって動いているかのような感覚を感じた。

試しに右手を開いたり閉じたりしてみると、それに合わせてゴッドJフェニックスの右手も開いたり閉じたりした。

(なるほど………コイツは俺と一心同体となって動いてるってことか………オマケに凄いパワーを感じる………まるで常にハイパーモードでいるみたいだ………)

「ゴッド………Jフェニックスか。カッコイイじゃねえか」

「神の不死鳥か………大きく出たな」

フッと笑うナギとヘルマン。

「急ぎましょう、麻帆良へ!!」

3人は再び麻帆良を目指そうとする。

と、そこへ………

ヒヒーーーンッ!!

今まで何処かへ行っていたユニサスが、ゴッドJフェニックスに寄って来た。

「ユニサス!!」

そして、次の瞬間!!

ヒヒーーーンッ!!

鳴き声と共に、ユニサスは巨大化した!!

「何とっ!?」

「オイオイ………もう何でも有りだな」

驚くヘルマンと、半ば呆れているナギ。

そんな2人を他所に、ゴッドJフェニックスは、ユニサスの背に跨った。

「刃馬一体!! 行くぞーーーーーっ!!」

3人は、再び麻帆良を目指して飛んだ!!











一方、麻帆良では………

「キャアァァァァーーーーーーッ!!」

「まき絵ちゃんっ!!」

Gノーベルが撃墜され、市街地に落ちる。

近くには他にも、Gフェアリー両機、Gカンフー、Gウルフ、Gマーメイド、Jヘル、Jスパイラルパワード、Jギルダー、そして大量のガーディアンエルフ隊のPFが損傷して擱座していた。

「クッ!! 最早戦力は半分以下か………」

市街地上空で、今も奮闘しているJブレイダー、Jランチャー・サクラスペシャル、Jエアロ、Jクーロン・アーノルドカスタム、Gウィザード、Gニンジャ、Gウイング、Gマジシャン。

しかし………それももう限界が来ていた。

どの機体も激しく損傷し、弾薬とエネルギーも無くなりかけていた。

そして、パイロット達の肉体的、精神的疲労も限界に達しようとしていた。

旗艦のうち、ビリーブは今だ健在だが、この物量差の前では、そう長くは持ちこたえられないだろう。

大量に押しかけてきている悪魔・妖怪軍団は、前線の反対側で魔法先生と生徒達が食い止めてくれているが、それも破られるは時間の問題だろう。

「どうやら………これで終わりのようですね」

と、フラットエイトが、再びガイアセイバーズとガーディアンエルフ全機に通信を入れてきた。

「「「「「………………」」」」」

最早、隊員達には言い返す気力さえなかった。

「正直、もう少し楽しめると思いましたが………やれやれ、この程度でしたか」

馬鹿にするように肩を竦めるフラットエイト。

「もう厭きましたので、終わりにさせてもらいますよ。それでは………さようなら」

そう言い残し、通信は切られた。

そして、敵は圧倒的物量を持って進軍してきた。

「チクショウ………」

「ここまで………ですか」

誰もが絶望を感じていた………





だが………

神は、その者達に………奇跡を与えた。





突如、進軍してきたヴァリム軍を、上空から降ってきた光の渦が飲み込んだ!!

「なっ、何っ!?」

「「「「「えっ!?」」」」」

その一撃で、ヴァリム軍の30%が全滅した。

両軍とも何が起こったのか分からないでいた。

その次の瞬間!!

上空から何かが降ってきて、大地に降り立った。

「「「「「「「!!」」」」」」」

誰もがそれに注目した。

それは、ユニコーンとペガサスが合わさったような鎧をつけた白馬に跨った、背に大きな翼の生やし、鎧を着たような装甲を纏った、真紅と純白色のPFだった。

「あ、あれは!?」

ガイアセイバーズとガーディアンエルフ隊は、そのPFに見覚えを感じた。

何故ならば、そのPFは、彼等、彼女等のよく知っている人物と同じ空気を発していた。

「聞こえるか………ガイアセイバーズ及びガーディアンエルフ両隊」

「「「「「「「!!」」」」」」」

そして、そこから聞きなれた声して、ネギ達はまたも驚愕に包まれた。

「こちらは、アルサレア帝国軍、特殊追撃部隊セイバー小隊小隊長………そして、機甲兵団ガイアセイバーズ総隊長………神薙 機龍だ!!」










仲間の危機に………不死鳥は………新生した!!










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