ブレイブI 始まりの勇気



「くそ〜!!なんで俺様の貴重な休憩時間を修理につぎ込まなきゃならんのだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

昼休みの2−B。そこでは仲丸の叫びが響き渡っていた。

「自業自得でしょ?」
「なんだと!!式森、お前があの時俺を組み伏せなければ、俺は一瞬にして大金持ちになれとったんだぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

仲丸の必死な叫びは周りは呆れ顔になっていた。

「無理だと思うよ。あの時保健室には、ライフルや真剣、クナイを持っている娘達がいたよ。それに他の娘達もそれぞれ何か持ってたから、それを集中的に受けたら、さすがの仲丸もただでは済まないでしょ?」

仲丸は和樹の言葉を受け青ざめた。

「あ、そういえば最近中等部の2−Aに子供先生が実習生として来てるってのは知ってる?」
「おう。なんでも10歳で教師になろうという話じゃねえか・・・・・なんかあるのか松田?」

ニヤリと黒い笑みを浮かべながら仲丸は松田に尋ねた。

「ええ。実はね・・・・・」

2―Bのメンツは一箇所に集まると、何やら企みごとを話し始めた。

「どうなっても知らないよ・・・」

和樹はため息をつきながら呟くのだった・・・。


場所は変わり中等部屋上。そこでは2−Aとウルスラの面々が対峙していた。

「あら、また会ったわね?」
「あ、アンタたち!!なんでこんな所にいるのよ!!」

2−Bが何かを話し合っている時、2−Aとウルスラはバレーボールの場所を巡ってケンカしていたのである。

「なんでって・・・・私たちのクラスもバレーなのよ。で、場所がここだって訳」
「おかしいじゃない!!なんでアンタ達が中等部の屋上で体育なのよ!!」
「ふふ・・・言い訳なんて・・・・相変わらずオコチャマね〜〜〜〜」
「なんですってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

ウルスラの言葉にぶち切れそうになる2−A。そんな時、ウルスラの後ろから一人のスーツ姿の少年が出てきた。

「あぶぶ!ケンカは止めてください〜〜〜」

ご存知、本主人公であるネギ・スプリングフィールドの登場である。

「ね、ネギ!?なんでアンタがそこにいるのよ〜!!」
「た、体育の先生がこれなくなったので現場責任者って形で・・・あぶぶ」

ウルスラの生徒たちにもみくちゃにされながらなんとか抜け出すと、両生徒にある案を出した。

「ケンカするぐらいなら、スポーツで正々堂々と勝負しましょう」
「そうですね・・・・・でもただじゃ意味がないわ・・・・私達が負けたら二度とあの場所には近づかないわ・・・・その代わり」

そう言うと、ネギを抱きしめながら・・・

「私達が勝ったら、ネギ先生を私たちの教育実習生としてこっちに来てもらうから」

その発言に2−Aが騒ぎ出す・・・・その時!!

「ちょっと待ったーーーーーーーーーー!!その勝負、俺たちが買収する!!」

突如扉が開き、2−Bのメンツが出てきたのだ。

「な、なんなのよ今度は!?」
「何よ・・・2−Bのアンタたちには関係ないわ。さっさと出て・・・・・」

生徒が言い終わる前に、突如ウルスラの生徒達の足元に催涙弾らしきものが発射された。そして次の瞬間には、ウルスラ生徒全員が眠ってしまっていた。

「ふっふっふ・・・・・お前達2−Aの相手は、この仲丸率いる2−Bだ!!」

誰がお前率いるだと文句が上がる2−B。

「なんでアンタ達の相手をしなきゃならないのよ!!それを言うなら、アタシたちは帰るは・・・行くわよネギ」

そう言って、明日菜がネギを連れて行こうとするが、仲丸がそれを遮る。

「そうはいかんのだ・・・・これを見ろ!!」

そう言うと仲丸は、携帯の写メを見せた。そこには、今朝健康診断での2−Aの下着姿が写っていた。

「な!?」
「ふふふ・・・これをバラされたくなければ、ネギ先生を賭けた勝負を我々としてもらう!!」

仲丸の発言を受け何人かはぶち切れそうだったが、迂闊に手を出せないため要求を飲む事にした。

「で、何で勝負するのよ?」
「そうだな・・・・シンプルにドッチボールでどうだ?こっちは10名・・・・お前達は20人でいいぞ」
「いいじゃない。その勝負受けて「それは卑怯だろ、仲丸?」・・・え?」

突如上がった声に皆がその方向を見た。そこには、眠たそうな顔の和樹の姿があった。

「え、どういう事なんえ?」

よく理解できないのは、このかが和樹に質問した。

「大勢って事は、その分だけ逃げるスペースを確保できない。つまり、連続で当って戦力が分散するって事だよ」
「お、おい式森!!何故そんな事を!!」
「卑怯までして更に卑怯は僕でもさすがに気に食わないよ。そうだ、なら僕の案を聞いてくれる?」

和樹が明日菜に尋ねると、悩みながらも承諾した。

「えっとね、コートには互いに5人。ベンチでスタンバイ出来るのは更に10人。更に相手が投げたボールをキャッチしたら味方が一人復帰可能ってのはどう?」
「スーパードッチボール形式ですね?」
「うん」

夕映の言葉に頷く和樹。

「夕映、なんなのスーパードッチボールって?」

ハルナが尋ねると、簡単な説明をし始めた。

「全米で流行しているっていうスポーツです。ドッチボールというシンプルなゲームに戦略的な部分を取り入れた新感覚のスポーツなのです」
「へ〜、おもしろそうじゃない」

明日菜がこの案に賛成する。

「どうやらオッケーみたいだね。仲丸、この案に文句はないよね?」
「式森!!お前いつから2−Aの手下になった!?」
「そっちが卑怯な事するからでしょ?僕だって納得できない事だってある」

和樹の言葉に仲丸がしぶしぶ納得すると、チーム編成が始まった。

2−B第一セットのメンバーは、仲丸・松田・森崎・浮気・御厨の五人と決まった。
それに対し2−Aは、明日菜・楓・クーフェイ・まき絵・夕映の五人。定番のバカレンジャーである。


「では、試合開始!!」

ネギがピーと笛を吹くと、一気にボールを取り合った。そして結果的に、2−Aと2−Bのそれぞれがボールを一つずつ取った。

「ふっふっふ・・・見せてやるぞ。食らえーーーーーーーー!!」

仲丸が勢いをつけてボールを投げた。しかしそれはいとも簡単に楓にとられてしまった。

「な、何!?」
「いきなり取られたじゃない仲丸!!」

2人がケンカをし始めたのを見て、楓とクーはボールを持った。

「いくでござるよ、クー!!」
「任せるアル楓!!」

2人は仲丸に的を絞ると、二人同時にボールを投げた。それは見事に仲丸にヒットした。

「ぐはぁ!!」

勢いのあるボールだったため、仲丸は痛がって転がりながらコートから出た。

「まったく使えないわ・・・・行くわよ沙弓!!」
「・・・・了解」

やる気のない沙弓とやる気満々の松田が同時にボールを投げた。標的はまき絵である。

「当らないよ〜だ」

そう言うと、新体操の技術を生かし見事に避けた。そしてそのままリボンでボールを取ると、浮気に向けて投げる。台詞もなく浮気はコートから除外された(ひでえw)

「夕映ちゃん!!」
「分かってるです」

明日菜の言葉を受け、夕映は御厨の足元にボールを投げた。それは見事にヒットし、また台詞もなく御厨も退場となった(更にひでえw)

「さ〜て・・・・残りは後2人よ。覚悟しなさい!!」

明日菜の言葉に2−Aのテンションはアップする。

「・・・まずいね」
「沙弓、ここは一度当てられて負けるわよ」
「どういう事?」
「私たちが正攻法で戦おうってのが間違いなのよ・・・・こうなったら次に第二セットで、あいつ等の戦意を無くしてやるわ」
「・・・・・」

沙弓は不満ながらも仕方ないと受け入れ、2人は簡単に当てられた。第一セットは2−Aの勝利である。


「では、第二セットの開始です」

第二セットのメンバーは、2−Bはメンバーチェンジなし。それに対し2−Aは、裕奈・亜子・明日菜・ハルナ・ネギである。

「貴方は参加しないのですか?」

壁によりかかっていた和樹を見た千鶴が尋ねてきた。

「仲丸がね、「お前は戦力外だー!!」って言われてね。補欠にすら入ってないよ」

苦笑しながらどこから取り出したのかお茶を飲む和樹。すると、同じくよりかかっていた金髪の少女がこっちを見ているのに気づいた。

「・・・・いる?」
「くれるのなら貰うぞ」

ぷいっと視線を変えながらエヴァは答えた。すると和樹はまたどこから取り出したのか緑茶(ホット)を取り出しエヴァに渡す。それによりエヴァのご機嫌度はアップしていた。

「・・・隣、いいか?」
「ん?」

尋ねられた和樹は上を見ると、そこにはジャージ姿の真名の姿があった。

「いいけど、どうしたの?」
「今朝、私に念を送ったね?君は何者だい?」

真名は小声で和樹に尋ねた。すると和樹は小さく一言こう答えた。

「・・・僕はね、落ちこぼれの魔法使いだよ」
「やはり君は魔法使いか。それにしては魔力が全く感じれないな」
「まぁ・・・・ちょっとね・・・・」

言いたくないのを察したのか、真名はそれ以上は追求しなかった。

「次の勝負・・・・少々厄介かもしれないよ」
「何?どういう事だ?」

真名が何故かと尋ねるが、和樹も厳密にそれが何かとは答えれなかった。

「さぁ、一気に決めるわよ!!」

明日菜が気合を入れると、周りも元気よく頷く。

「ふふふ、お前らもこれで終わりだ!!喰らえ!!必殺・・・・インビジブルシュート!!」

仲丸がそう言うと、服についていたボタンを押した。すると、その姿は消え、ボールまでもが消えてしまった。
「え、ええ!?」

突然の事に慌てふためく五人。そんな時、突如ハルナに何が当たり、地面に倒れこんだ。

「いったーい・・・・なんなのよ〜」

ハルナが涙目で敵コートを見ると、そこには姿を現した仲丸の姿があった。

「あれは・・・・・大学部でもまだ完璧ではないステルス迷彩。なんで貴方が?」
「ふふふ、裏のルートを使って手に入れたのだ・・・・高い出費だったがな」

ハカセがその言葉に驚きの表情を浮かべる。

「そ、そんなの反則ですよ〜」
「そ、そんなの反則にゃ〜!!」
「そうやそうや〜!!」

ネギと裕奈と亜子の三人が抗議の声を上げるが、仲丸は不敵な笑みを浮かべる。

「ステルス迷彩はダメで、リボンはいいのか?」

その言葉を受け、まき絵はあっちゃ〜と自分がしてしまった事を後悔していた。

「さぁ一気に決めてやる!!いくぞ松田!!」
「オッケー仲丸!!」

二人はステルスによる集中攻撃により、明日菜が奮闘するも負けてしまった。


「・・・・ステルス迷彩とは・・・・・さすが用意周到だな」

真名が皮肉を込めて呟く。すると、横にいた和樹が立ち上がった。

「ん?どうしたのだ?」

急に立ち上がったのを不審に思ったのか、エヴァが声をかける。すると和樹が小さな声で答えた。

「・・・・ちょっと・・・・僕の怒りの撃鉄が落ちちゃった・・・かな」


そして第三セットのメンバー選択に入った時、明日菜に和樹が話しかけた。

「あの、ちょっといいかな?」
「ん?なんなのよ?」
「ちょっと・・・・ね」

和樹が明日菜たちに何かを話している内に、2−Bのメンバー選択が終わった。相変わらずメンバーは変わらないが、仲丸たちはまた新たな武装を装備した様子である。

「ふふふ、次で勝負を決め、ネギ実習生をこっち側に連れて行くのだ〜〜〜!!」
「「「お〜〜〜〜〜!!」」」

沙弓以外の四人が意気投合する中、遂に2−Aのメンバー選択が終わる。真名・刹那・アキラ・エヴァ・そして・・・。

「な、なんで式森が“そっち”にいるんだーーーーーーーーーー!!」

そう、最後のメンバーは・・・和樹だった。


「いい加減怒ったからね・・・・・・さすらいのヒーロー・・・・・ズバっと参上かな?」


怪傑なヒーローのセリフを述べながら、少年は降臨した。そして、運命の第三セットが開始する。


前へ 戻る 次へ