ブレイブXV 嫉妬団とカエルをぶっとばす勇気



午前7時。窓から太陽の光が窓から差し込む中、ベッドから一人の少年が目を覚ました。鳴る寸前の目覚ましを止めると、ふぁ〜と欠伸をしながらゴシゴシと目を擦る。そして完全に意識が覚醒すると、少年は制服に着替え始めた。そして、リュックを手に持ち、靴紐をしっかりと縛ると、ドアを開けた。

「さて・・・・・修学旅行か。どんな波乱になるのやら」

かの少年“式森和樹”はそう言うと、ドアを閉め、寮の階段を下りた。そしてドアを開けると、いつも和樹を見届けている女性が立っていた。

「あ、おはようございます。式森さん」
「管理人さん、おはようございます」
「今日からの修学旅行、楽しんできてくださいね」
「はい」
「あ、それともう“来ていますよ”」
「へ?」

和樹が疑問の声を上げると、管理人の後ろから金髪の美少女もとい幼馴染のネカネがひょっこりと姿を現した。

「和樹ちゃん、おはよ♪」
「おはよ、ネカネちゃん♪」
「いこっか?」
「うん」

そう言うと、ネカネは嬉しそうに和樹の手を握り、そのまま歩き出した。和樹は少し照れくさそうにしていたが、ネカネの笑顔に観念したのか、されるがままにそのまま歩き出した。

「おかえりを待っていますよ」

管理人はそう言うと、再び掃除を始めるのだった。


「ワクワクするアルな〜♪」
「あいあい♪」
「楽しみやな〜せっちゃん♪」
「は・・・はい」
「刹那、強硬派が出てくれば、私たちが叩き潰せばいいだけの話だろ?」
「ああ・・・そうだな」
「う〜んせっちゃ〜ん♪」
「こ、このちゃんくっ付きすぎです〜あああああ」
「楽しいな・・・・本当に」

駅に集合していた和樹ラヴァーズの面々は、それぞれ修学旅行を楽しみにしていた。そして何より、一人の少年が来るのを楽しみにしていた。

「な、なんか凄い事になってるわね(汗)」
「はい・・・どうやら僕たちの知らない間に色々あったんでしょうね(汗)」

ネギと明日菜はその光景を見ながら汗をかいていた。すると、エヴァと茶々丸が合流した。

「あ、エヴァンジェリンさん」
「ぼーやか。今回は私も参加させてもらうぞ」
「あ、そういえば呪い解けたんですよね」
「ああ。だから今回はたっぷりと京都を巡ってみるさ」

ネギとエヴァが話していると、明日菜が茶々丸に話しかけた。

「あ、茶々丸さん。おはよ!」
「神楽坂さん・・・」
「明日菜でいいわよ。明日菜で」
「では・・・明日菜さん。おはようございます」
「おはよ!どう調子は?」
「はい。全身のメンテナンス率120%オーバーです。ハカセにより最高のメンテを受けたので、万全です」
「そっか。よかったね」


皆がそう言って楽しく話していると、突如駅内が騒がしくなり始めた。教師陣も何かと思ってそれを見ていると、愕然とした。


「モテる奴には死をーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「砂糖を吐かせる奴にも死をーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「イチャイチャする奴にも死をーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


なにやら額に“嫉妬”と書かれた覆面を被った男たちが、少女を抱きかかえた(お姫様だっこ)少年を追いかけていた。そして、その追われている少年は・・・。

「せ、先輩やん!?」
「何故あの人が!?」
「意味が分からんでござる」
「なんかヘンタイに追われているアルね」
「とりあえず・・・ここでは派手に技は使えないな・・・・」

和樹ラヴァーズはその光景を見ながらどうすればいいか迷っていた。すると、突如ドンを何かの音が鳴ると、茶々丸がブースターを展開して跳躍した。そして、そのまま和樹の数メートル前に降り立つ。

「あ・・・・ネカネちゃん。跳べる!?」
「う、うん」
「じゃぁ・・・・・ちょっと跳んでね!!」

そう言うと、和樹はネカネを上空へと投げた。そして次の瞬間、和樹はその場で回転捻りから回し蹴りを、茶々丸はとび蹴りを放った。それにより、嫉妬覆面共は吹っ飛ばされてしまった。しかし、数が多いため、わらわらと増えてきた(その数45人位)。そして、和樹は降りていたネカネをキャッチすると、地面に下ろした。

「だ、大丈夫かね?」

広域指導員の新田が駆け寄ると、和樹は苦笑しながら頷いた。

「さ、君も離れたほうが・・・」

新田が茶々丸に下がるように言うと、茶々丸はたった一言で解決する言葉を発した。

「KKK(かっこよく)(怪傑する)(和樹先輩)のナンバー7です」
「そうか。なら安心だな」
「ちょ、ちょっと待ってください!!なんですかそれは!?」

一発でサムズアップし納得する新田に和樹が尋ねた。すると、新田は拍子抜けしたように答えた。

「ん、知らないのかね当の本人が?麻帆良では、君のファンクラブがほぼ公認化されていて有名だぞ。まぁ人数がまだ七人だがね」
「そんな無茶苦茶な・・・」
「しかも、そのファンクラブの面々は広域指導(3−Bに限定)をしてくれているのでな」
「ええ!?」

和樹はまさかと思いネカネや真名たちを見ると、全員が満面の笑みでサムズアップしていた。どこぞの2000の技を持つ男もビックリだ。

「で、どうかね?このままじゃ出発に支障が出るが・・・」
「3−Bほどタフじゃなさそうなんで・・・・五分で決着をつけます」
「殺れるかね?」
「殺れます」
「そうかね。では・・・・殺ろうか・・・・」

そう言うと、新田は着ていたスーツを脱ぎベンチに置き、和樹もブレザーを置いた。そして互いにボキボキ拳を鳴らすと、闘気を全開にする。

「高畑先生・・・・後始末を頼みますぞ」
「分かりました。新田先生、あまり無茶はしないでくださいよ」
「はっはっは!私も無理なら広域指導員は引退していますよ」

そう言っていると、茶々丸も前に出た。

「先輩・・・・・お手伝いします」
「ごめんね・・・・迷惑かけて」
「いえ・・・・先輩のためなら」
「ありがと・・・」

そう言って、和樹は茶々丸の頭を撫でた。それにより、茶々丸の乙女かいごほごほ・・・AIの感情値がMAXだった。

「先輩。ウチも手伝うえ」
「私もお供します」
「和樹殿にたて突くなら・・・・」
「手加減は無用アルな」

いつの間にかこのかたちも来てしまった。そして極めつけが・・・。


「先輩・・・・・後でなでなでを頼む」
「和樹ちゃん。こいつ等に愛の力見せてあげよ♪」


両手にイングラムを握り締める真名(ポニーテールVer)と、笑顔で手甲をつけるネカネ。それを確認した和樹は、新田に予定変更を告げた。

「新田先生。予定変更です・・・・・多分30秒で終わります」

そう言った瞬間、和樹の超電ドリルキック・新田の2号ライダーパンチモドキ(おい)・茶々丸のダブルロケットデコピン・真名のイングラム乱射・刹那の斬空掌・クーの崩拳・楓のクナイ投擲・このかのバカでかいハンマーによる撲殺・ネカネの1t並みの破壊力のビンタが炸裂した。それにより30秒のみ、駅は戦場と化した。そして嫉妬軍団を鎮圧すると、その後は何事も無かったように点呼が行われ、皆は電車に乗りこみ出発した。ちなみにその光景を見ていたネギたちは・・・。


「さすがね・・・先輩や皆、普通に強い」
「ぼ・・・・・僕も強くなりたいです!!」
「フン・・・・当然だ」


その状況に慣れきってしまっていた(苦笑)。そして別の場所から見ていた3−Bは・・・。


「や・・・・・・やばいぞ」
「今回は・・・・ヘタに動くのやめない?」
「同感・・・・だ」


ほぼ戦意を喪失していたのだった(笑)。


場所は変わり新幹線。そこでは、3−Aの面々が楽しそうにカードゲームを楽しんでいた。


「あれ、これって何のゲームですか〜?」
「カードゲームだよネギ君」
「書かれている攻撃力や特殊能力で戦うゲームです」

ネギの質問に裕奈と夕映が答えた。すると、一番窓側にいたまき絵が攻撃を仕掛けた。

「え〜い。ドラゴンマスターの攻撃だよ〜」
「えへへ〜、トラップカード“絆の防壁”やで〜♪」

まき絵の向かい側に座っていたこのかがそう言いながら、伏せてあったカードを表にした。それを見た瞬間、皆の表情が驚きに変わる。

「すごーい!これどこで手に入れたの〜?」
「えへへ♪先輩がくれたんやえ」

そう言って微笑むこのか。そのトラップカードにより、まき絵の攻撃は跳ね返され、まき絵のポイントは0になってしまった。

「あ〜ん、負けちゃったよ〜」
「ま、ウチの勝ちやえ〜♪」

観念したのか、まき絵がかばんからチョコの箱を取り出した。そして箱を開けた次の瞬間・・・。


「ゲコッ」


中から蛙が飛び出してきた。

「きゃーーーー!!」
「なによこれ〜〜〜〜!!」
「か、蛙はダメでござるよ〜〜〜!!」
「落ち着け楓!!」
「暴走しちゃマズイアルよ!!」

皆がパニックになる中、どんどん出てきた蛙をネギと明日菜がなんとか袋に詰めていく。

「全く、一体何が起きたのよ〜」
「わ、分かりません」

明日菜とネギが混乱していると、突如袋が膨れ上がり、中から人のような影が飛び出した。そしてそれは車両の中心に降り立った。それは・・・。

「ゲコ・・・・ゲコゲコゲコ」

蛙を擬人化した怪人が立っていた。


「か、蛙ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


楓はもう泡を吹く寸前に陥っていた。怪人を止めようと、真名たちが飛び出すが、蛙は口から突如何か煙を吐き始めていた。それにより、普通の皆は眠りに落ちてしまった。

「こ・・・この蛙ってもしかして!?」
「間違いねえ・・・・関西呪術協会の仕業だ」

ネギの問いにカモが答えていると、蛙怪人は迷う事なくこのかのほうへと歩き出した。そしてそのまま手を伸ばし、このかを掴もうとした。

「このかに触るんじゃないわよ!!」

明日菜はハマノツルギを構え斬りかかった。しかし、以外に頑丈な皮膚に守られ、明日菜の攻撃は弾かれてしまった。

「ゲコ・・・・ゲコゲコ!!」

憤怒した蛙怪人は、長い舌をムチのように振るって明日菜に向けて放った。完全に避けきれないと知り、目を瞑った・・・・次の瞬間。


「魔戒騎士!!」


突如怪人の放った舌は弾かれてしまった。明日菜が目を開けると、そこには魔戒騎士と化したネギの姿があった。

「ネギ・・・・」
「このかさんを誘拐しようとして・・・・関係のない皆を巻き込んで・・・その上明日菜さんを傷つけようとした・・・・許さないぞ!!」

そう言い、ネギが杖もとい鞘から牙狼剣を引き抜いた。そして、そのまま一気に駆け出した。

「ゲコーーーーーーーーーーーーーーー!!」

怪人がネギに向けて舌を放つ。しかし、ネギは跳躍と共に、怪人の“舌”を道にして走り出した。

「ゲコ!?」
「うわあああああああああああああああああああああああああああ!!」

ネギはそのまま一気に跳躍し、怪人へと刃を振り下ろした。しかし、怪人は腕でそれを受け止めると、そのまま強引にネギを押し飛ばした。ネギは空中で回転しながらも地面に着地し、怪人と対峙する。

「ネギ・・・ここは一発かましてやれ!!」
「はい!!」

ザルバの指示を受け、ネギは牙狼剣を天に掲げ、円を描いて振り下ろした。そして、そのまま円から放たれる黄金の光に包まれたネギは・・・・・・黄金騎士【牙狼】へと姿を変える。

「ゲコ・・・ゲコゲコゲコゲコ!?」
「行くぞ・・・・・」

そう言うと、牙狼はゆっくりと怪人へと近づき始めた。

「ゲコーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

怪人は口から消化液を飛ばすが、聖なる黄金の鎧には全く効果がなかった。そしてそのままある程度の間合いで止まると、一つのライターを取り出した。

「呪いに縛られた陰我・・・・・・・・僕が解き放つ!!」

そう言うと、ライターから発せられる緑色の炎を牙狼剣に当てる。すると、刀身が緑色に燃え始めたのである。そしてその刃を構える。

「牙狼の炎で・・・・・・解呪する!!」

そしてそのまま、牙狼は地面を蹴った。そして次の瞬間、牙狼は刃を横に一閃した。

「ゲコーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

怪人は叫び声と同時にボンと音を立てて煙となって雲散した。

「ふぅ・・・・・」

ネギは一息と共に鎧を解除した。そしてすぐに、明日菜へと駆け寄った。

「大丈夫ですか?明日菜さん」
「え・・・う、うん。大丈夫。ネギが助けてくれたから」
「よかった・・・・」

ネギはそう言うと、フッと微笑みを見せた。それを見た明日菜は、ドキっとしつつも、その笑顔に見とれていた。

「じゃぁ、すぐに皆さんを起こしましょうか」
「そうね」

そう言うと、ネギと明日菜はさっさと皆を起こしていった。それを見ていた真名たちは先ほどまでのすざまじい光景に固まっていたが、なんとか立ち直り、そのままネギと明日菜同様、皆を起こして回るのだった。


その頃和樹たちはというと・・・。


「はい、和樹ちゃん。あ〜ん♪」
「あ〜ん♪」

高等部車両の特権として、ネカネとの甘甘タイムに入っていた(笑)。なんとか妨害したい仲丸たちも、駅内でのあの戦いを見てしまったため、手出しする気になれずにいたのだった。


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