ブレイブXIX 恋の嵐が巻き起こす勇気



始まりは、朝倉が放った一言から始まった。

「このまま夜が終わるのもなんだし、いっちょゲームでもして遊ばない?」

この一言に、3−Aのメンツは賛成派と反対派に分かれていた。そんな中、朝倉のある一言により、大方賛成派へと行ってしまう・・・。


「くちびる争奪。修学旅行でネギ先生&式森先輩とラブラブキッス大作戦!!」


これを聞いた事により、皆はいそいそと自身が出るや出ないなどのミニ争いが始まった(笑)

一斑―――
「あぶぶ・・・お姉ちゃん、正座嫌です〜〜〜」
「大丈夫だって、ボクたちには楓姉から習った忍術があるだろ?」
「その楓姉と出会ったらどうするんですか!!第一、KKKのトップ5に入ってるんですよ〜〜〜!!」
「フフフ・・・そんなものだったのかな?史伽の想いは?」
「え・・・?」

珍しく一瞬真面目顔になる風香。その態度にぱちくりする史伽。

「カズキに惚れたんだよね〜♪だったら、負けられないよね〜♪」
「あうう・・・」
「どーする〜〜〜?♪」
「うう・・・・・殺るです!!」
「史伽、漢字違うよ(汗)」


二班―――
「私も少し出てみたいな〜」
「ハカセもアルか?ワタシもちょっぴり興味あるネ」
「私は観戦しようかな?」
「皆さん・・・楽しそうですね♪」

興味のありそうなハカセにチャオ。美空と五月は、観戦モードに入りそうであった。

“ドスン”

すると、二班の部屋を揺るがす振動が響く。その震源は、闘志を燃やすクーと楓だった。

「フッフッフ・・・・・私がキスするアルよ・・・・」
「いやいや・・・・・拙者もでござる」
「そうアルな・・・・カエデ、本気でいくアルよ」
「あいあい・・・幸い、多少なら攻撃も可でござるしな♪」
「そうアル・・・・私の拳はこの時のため・・・いや、この一瞬のためだけに鍛えられてきたアル!!」

どこぞの天の道を往き、全てを司っちゃいそうな男の台詞を言うクー。


三班―――
「私は行きますわ!!誰か、誰か援護をお願いします!!」

あやかが必死の形相で皆に訴える。すると、突如一人の手が上がった。

「え・・・あ、ザジさん!?」

あやかが見た先に居たのは、褐色のピエロ少女“ザジ・レニーデイである。

「・・・・・・・・・・」
「興味があるのですの?」
「(こくこく)」
「分かりましたわ!!ザジさん、いきましょう!!」

こうして、三班のメンバーが決まった。


四班―――
「私ネギ君とキスしたいな〜〜〜♪」

まき絵がそう言っていると、突如真名が立ち上がった。その瞳には闘争力というより、キスへと執念があった。

「あ・・・・た、龍宮さん」
「私が行こう・・・問題ないな?」
「う・・・・うん」

そのまままき絵と真名に決まると思った次の瞬間、一名の手が上がった。その先には・・・。

「あ、アキラ!?」

そう、水泳部のエースである大河内アキラだったのである。

「・・・ごめんまき絵、私・・・・・先輩とキス・・・・したいんだ」
「アキラ・・・・・うん、いいよ。頑張ってきて!!」

そう言い、まき絵はアキラに譲った。

「・・・龍宮さん、共に戦おう」
「いいだろう・・・・だが!!・・・・ファーストキスだけは譲ってくれ」

頬を真っ赤にして頼む真名に、アキラは微笑みながら頷く。ここに、四班のメンバーが決まった。


五班―――
「ウチ、先輩とキスするえ!!」

このかは、護身用トンカチを取り出し燃えていた。その後ろで、のどかがアワアワとしながら困っていた。

「このかさん、のどかとネギ先生のキスへのフォローもお願いします」
「任しとき!!」

夕映の願いを受け、更に燃えるこのか。友達思いであり、尚且つ自己の想いにも燃えているのだった・・・。


六班―――
「マスター」
「ん、なんだ茶々丸?」

テレビの画面をエヴァが適当に見ていると、茶々丸が真剣な表情で尋ねてきた。

「私も出撃して・・・・よろしいでしょうか?」
「狙いは・・・式森のぼうやか?」
「はい」
「だが、一人では厳しいだろう。誰がフォローに入る?」

エヴァがそう言うと、茶々丸は生涯何度あるか分からないような、深いお辞儀をした。

「お願いしますマスター・・・・・・お力を・・・」
「フン・・・・・従者の願いを聞いてやるのも、主の務めか・・・」

ここに、合計六班のメンバーが決定したのだった・・・。


「フフフ・・・・・奴等め、こんな美味しいイベントがあるとはな・・・」

暗闇に潜む影。そこには、本日謹慎を喰らっていた仲丸を含む、3−Bの男子組が勢ぞろいしていた。その数、合計15人。

「だがしかし、こんなイベントなんぞ式森にも不要。よって、我々はこのイベントを破壊するぞ!!そう・・・我々SHOKER(嫉妬は俺たちにとって破壊の帝王である!!)の手でな!!」

なにやら怪しげなガスマスクに黒服を纏った3−B男子陣が、凶悪な野望を胸に降り立とうとしていた・・・。


「うう・・・・なんだろうこの寒さは・・・」

部屋で悪寒に襲われ、身代わりに名前を書いてパトロールに出た頃、和樹もビクっと何か嫌な予感に襲われていた。

「なんだろ・・・・この感じは?」

そう言い和樹は部屋のドアを開き、左右を見る。

「何か嫌な予感がする・・・よし」

和樹はそう言うと、鞄から一枚のバッチを取り出し、胸に付けた。そのバッチには“3−B鎮圧中”と書かれていた。そして、和樹はゆっくりとスパイのように壁に隠れながら前に進んでいった。すると、ある角から何か気配を感じ、こっそり除いてみた。すると、そこから見えたのは・・・。


「式森先輩確認、茶々丸システム・・・・戦闘?開始します」


どこぞのGに3が付く戦士のような機械音と共に、こちらを見る茶々丸の姿があった。

「・・・・・・茶々丸ちゃん、何してるの?」

和樹は疑いもせず、のこのこと茶々丸に近づこうとした。すると、突如どこかからヒュンヒュンと風を切る音が鳴った。そして、和樹の足元に手裏剣が突き刺さる。

「これって・・・・楓ちゃん?」

和樹が上を見ると、逆さに立った忍び装束の楓が居た。

「茶々丸殿・・・この戦、負けられないでござるよ!!」

そう言うと、楓は虚空瞬動で一気に和樹にキスを仕掛けようとする。しかし、あと30センチという間合いで、茶々丸のアームが楓の足を掴み、一気に引っ張って戻した。

「くっ!!頼むぞ、クー!!」
「任せるアルーーーーー!!」

そう言うと、どこに隠れていたのかクーが一気に和樹にキスもとい崩拳を放った。

「うわっ!?どうしたのクーちゃん!!?」
「あ、スマンアル。キスと間違って中段突きを放ってしまったアル」
「何それ!?」

和樹は必死に連続で放たれる突きを必死に避けると、地面を蹴ってその場から立ち去りに入る。

「逃がさんアルよ!!」

クーが逃がさないように追おうとすると、突如背後から凄いオーラが放たれた。クーが振り向くと、そこにはエヴァの姿があった。

「エヴァにゃんアルか・・・・お主も和樹狙いアルか?」
「エヴァにゃん言うな、生憎私は茶々丸の応援さ」

そう言うと同時に、クーVSエヴァの戦いが始まった。


「ふ〜〜〜〜、一体何がどうなってるんだ?」

和樹が一息しながら辺りを見回した。辺りには気配も無く、和樹がほっとした次の瞬間、背後に気配を感じ、和樹はその場を飛び退いた。和樹が振り返ると、そこには魔眼を全開に回した真名の姿があった。

「ま・・・真名ちゃん?」
「先輩・・・」

真名は少しずつ、和樹へと近づく。和樹は逃げようにも、普段とは違うオーラの真名のため、後ずさりしか出来なかった。すると、突如何者かに後ろからぎゅっと捕まった。

「な、誰だ!?」
「先輩・・・」

後ろから抱きしめていたのは、頬を真っ赤に染めたアキラの姿だった。

「あ、アキラちゃん!?」
「どうも先輩・・・申し訳ありませんが、そのままじっとしていてください」
「え・・・・何がどうなって・・・ええ?!」

和樹が混乱する中、真名が和樹の頬を撫でた。ゾクっと真名の魔性の微笑みに、思考が停止しかける和樹。

「先輩・・・」

真名が唇を近づけようとし、唇が合わされようとしたその時!!


「そ、そのキス待ったです〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


忍び装束に着替えた史伽が、真名に決死の体当たりを仕掛けた。体重差もあったはずだが、史伽の必死さもあり、真名のキスをそらすことには成功した。

「く・・・・やるな鳴滝姉妹・・・・」

真名はそう言い天井を見ると、そこには天井に張り付いた風香の姿があった。

「ふっふっふ、さすがは真名吉!!だが、これはどうだ〜〜〜!!」

風香はそう言うと、まくらを両手に構えると同時に真名に向けて投げつけた。しかし、それが当たる事は無かった。

「ふ・・・・私も得物は持ってきたんでな」

そう言うと、両手からグロック17を取り出した。

「とりあえず・・・逃げよう」

和樹はこそこそと、その戦場から逃げるのだった。


「う〜〜〜〜〜。や、やっぱり止めましょうこのかさん」
「な〜に言うてんの?せっかくここまで来たんや♪さ、のどかにネギ君とキスさせたるで〜〜〜〜!!」

何時の間にはネギの部屋の前に立つのどかとこのか。そして、そのまま部屋のドアを開けようとしたその時、突如地面に数枚のトランプが刺さった。二人がその方向を見ると、トランプを持ったザジとあやかが立っていた。

「の、のどかさん!?貴方が戦いに参戦していたとは・・・・いいでしょう、私も負けませんわ!!頼みますわ、ザジさん!!」

コクっと頷き、ザジがトランプを構えなおした。そして投げつけようとしたその時・・・。


「あれ、何してるの?」


突如能天気な声が上がった。四人がその方向を見ると、そこには頭をぽりぽりとかいた和樹の姿があった。

「あ、先輩〜〜〜〜♪」

和樹を見たこのかは真っ先に駆け出した。しかし、そんな和樹への道を遮る影が一つ。そう、ザジである。手には、得物であるトランプが数枚。

「ウチかて・・・・そうやすやすとは負けないないんよ。のどか、ウチに構わんと部屋はいるんや、ええな?」
「う、うん」

このかの強気な説得により、のどかは部屋へと入っていった。

「さぁ・・・・どいてもらうで」

そう言い、このかは両手にトンカチ“阿”“吽”を構える。どこかの響く鬼のようだ(笑)そして、二人の戦いが始まった。

「とりあえず・・・ここも逃げておこう」

そう言い、和樹はその場から立ち去った。逃げる途中、のどかの悲鳴が聞こえたような気がしたのだった・・・。


「ふぅふぅ・・・ここまでくれば・・・安心かな」

和樹は肩で息をしながら辺りを見回した(何度目だ)。今度こそ周りには誰もいない・・・・訳がなかった。全方向に、ボロボロになりながらまるで戦闘後の英雄のような皆の姿があった。

「・・・・・・・・(汗)」

皆がヤバイ目(嫉妬じゃなく執念)で見てくる中、和樹がどうしようか悩んだその時!!


「死ねーーーーーーー!!式森ーーーーーーーーーーーーー!!」


突如、影からガスマスク姿の3−B男子たちが現れ、和樹に向けてミサイルを放った。さすがの和樹も反応が遅れ・・・・・・爆発に巻き込まれた。

「「「「「「「「「「「「せ、先輩!!」」」」」」」」」」」」

皆の悲痛な声が上がる中、煙が消える。そこには和樹の姿はなく、ただ制服の切れ端が落ちているだけだった。

「はっはっは!!遂にこの場からにっくき式森和樹は消滅したぞーーーーーーーーーー!!」

仲丸が歓喜の声を上げると、続いている3−B男子が騒ぎ立てる。それと正反対に、皆の表情は怒りへと変化し出す。そこまでやるか、そこまで悪魔になるかと。

「許さないぞ・・・・貴様ら!!」
「本気で消し飛ばすでござる・・・」
「ぶっ飛ばすアル!!」
「戦闘システム・・・・MAXに移行」
「・・・許さない」
「・・・・・・」
「許さないです〜〜〜!!」

皆の怒りが頂点に達する中、仲丸が声を上げる。

「フン、我々に勝てると思うのか・・・それ!!」

仲丸が戦闘員服と脱ぎ払うと、そこからは蜘蛛の身体をモチーフにした仮面を被った怪人が現れた。

「はっはっはー!!どうだ、我々3−Bの科学力の粋を決して作成した戦闘服は!!これさえあれば、貴様等の戦闘力ですら無力、さぁ、大人しく敗北を認めるがい『ベキ』ぐは!!」


―――突如、蜘蛛怪人化した仲丸を含めた戦闘員たちを


―――1台のオンロードバイクが蹴散らす


―――その姿は、嵐(サイクロン)の如く豪快


―――そのバイクの通る道には、悪の無き道しかあらず


―――そしてそのバイクを駆使する者・・・


―――群青色の、昆虫のような仮面


―――真紅の両眼、牙のようなクラッシャー


―――紅きマフラーを首からはためかせ、


―――真紅の拳に、ライダースーツを纏い


―――拳に宿る想いは、愛する者を護る力


―――戦士の拳は紅いのは、悪を討つ炎を宿しているため


―――今、最強が舞い降りた・・・。


「き、貴様!!俺をバイクで轢くとは、何者だ!?」

仲丸を含む3−Bたちが、一斉に戦士に敵意を向ける。一方、皆は突如現れた戦士に呆然としていた。そんな中、戦士はゆっくりと口を開いた。


「・・・僕は・・・」


戦士の口から語られるは、ただ純粋な言葉。


「美しいものを・・・・・守りたいだけだ!!」


今、一人の戦士が降臨する。その戦士は、ある世界では“ホッパー”と呼ばれ、そして・・・この世界ではこう呼ばれる。


“仮面ライダー”と・・・。


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