静かな部屋に、カリカリと、乾いた音が二重。
こたつテーブルで向き合って、少年と少女がノートに鉛筆を走らせている。
少年の方は、参考書と教科書をせわしなく見比べながら、熱心にノートに書き込んでいる。
少女の方は、やや気だるげにシャーペンを動かしながら、時折思い出したかのように中空に視線を向け、ぼんやりしている。
ぼーっとしたまま、少女が傍らに置いてあるマグカップを取り、口元に寄せた所で手を止めた。中身が空になっていたらしい。
「あ、おかわり入れようか? 小音子(こねこ)さん」
その様子を見て、少年が少女に声をかけた。
「……んー……」
小音子と呼ばれた少女が、考え込むようにマグカップに視線を落とす。
少しだけウェーブがかった、漆黒色の長い前髪が、彼女のミルクのように白い肌に影を落とす。
長い前髪の向こうに見え隠れした半眼を少年に向ける。
「……時狼(じろう)くん。ちょっと、休憩、したい」
ぽつぽつと、呟くように小音子が少年──時狼に答える。
こんな口調なのは、疲れているわけでも眠いわけでもない。彼女はいつもこんな調子だった。
墨のように真っ黒い髪の毛は背中よりも長く、少しウェーブがかってその身をふんわりと包んでいる。
肌は透き通るようなミルク色で、髪の色と対照がキツすぎて眩しさすら感じるくらいだ。
瞳は常に眠そうな半眼で、背丈は高校生と思えないほどに小さく、とても同い年とは思えない。後ろ姿だけなら、小学生の集団に違和感なく紛れこめる気がする。
それが、時狼の恋人である小音子の特徴だった。
「ん〜、休憩か……」
時狼は首をひねって壁にかかっている時計に目を向けた。時計の針は午後3時半を示している。
「あれ、もうこんな時間なんだ」
彼女と一緒にお昼を食べて、勉強を始めたのが午後1時ごろ。休憩にはまだ早いと思っていたが、いつの間にか2時間半ぶっ続けで勉強していたようだ。
時間の進みが早く感じるのは、いつもよりもずっと集中出来ていたからだろう。
「そうだね。ちょっと休憩しようか」
「……ん」
時狼の言葉に、小音子が小さく頷いた。
* * * * *
「……時狼くん……」
「ん?」
飲み物を入れ、お菓子をつまみながら休憩タイム。
小音子がだらしなくこたつテーブルに顎を乗せて、頭をフラフラさせながら聞いてきた。
「……勉強、進んでる?」
「うん。この参考書、本当にいいね。小音子さんに教えてもらって良かったよ」
今日時狼が使っている参考書は、昨日小音子に教えてもらったものだった。苦手な数学なのにすらすらと内容が理解でき、時狼は2時間半も時間が経っていることに気付かないほど勉強がはかどっていた。
「……うん。それ、出来が良い。……掘り出しもの」
頭をフラフラさせながら小音子が言う。
相変わらずぽつぽつと呟くような口調だが、彼女と付き合いの長い時狼には、得意げな様子が含まれているのを感じとった。
「ホントそうだね。小音子さんはどう? はかどってる?」
「……全然、駄目。ダメダメ」
「え!?」
思わず驚いた。成績がダントツに良い彼女なので、当然はかどっているものと思っていただけに、意図せず大きな声を上げてしまった。
彼女は「ダメダメ、ダメダメの、ダメっ子」と頭の振りに合わせて呟いている。
「なんで駄目だったの?」
「……もじもじ、むずむず」
理由を聞くと、良く分からない擬音で答えた。彼女は時々こういった表現をする。
こたつテーブルに顎を乗せたまま、小音子が続ける。
「……気が散って、駄目。ダメっ子」
「え!? もしかして、俺うるさかったりした?」
気が散る、というキーワードに、慌てて時狼が聞いたが、小音子はふるふると首を振った。
ほっぺたをテーブルにくっつけ、呟く。
「……こたつ」
「こたつ? もしかして熱かった?」
またふるふると首を振る。
「……こたつ、なんか、えっちな気分に、なる」
「………………は?」
一瞬、なんと言ったのか分からなかった。
「……こたつ、入ってると、えっちな気分に、なってくる。むずむず、してくる」
「…………」
「……えろえろ。エロティックこたつ。……ならない?」
「えーと、俺は別に、ならないけど……」
急に聞かれ、思わず素で答えたが、突然何を言い出すのか……。
時狼は、少し嫌な予感がしてきた。
「……私は、なる。なった。進行形」
「進行形ですか……」
「……うん。現在も、進行中。現在進行形で、むらむら。……ムラング?」
彼女は相変わらずテーブルにほっぺをくっつけたままだが、こちらを見上げている瞳がさっきまでと違っており、時狼は嫌な予感が加速していった。
「ふ、ふーん」
その瞳に内包された彼女の気持ちに気付かないふりで、そっけなく呟く。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
物欲しげな瞳でこちらをじっと見つめる小音子と、その視線から逃れるように顔をそむけ、必死で沈黙を守る時狼。
「……ん、間違った。ムライング、かな……?」
「いや、そんな言葉は無いと思う」
思い出したかのように呟く彼女に、思わず突っ込んだ。
「……でも、ムライング、ナウ」
ムライングがナウらしい。
奇妙な言い回しだが、その意味に気付かない時狼ではない。
時狼の嫌な予感は完全に的中していたようだ。
このままではヤバい。話題を変えなければ……。
「えっと、そろそろ……」
「……えっち、しよ」
勉強に戻ろうか、と言おうしたところで、遮られた。
「……ね、しよ。えっち」
口調は相変わらず淡々としているが、テーブルにくっつけていたほっぺたを離し、眠たげな半眼の奥に隠しきれない情欲が覗いている。
時狼は静かな迫力に気圧されながらも、抵抗を試みる。
「い、いや、でも、勉強しないと……」
「……うん。えっちしてから、する」
「いや、でも」
「……えっち、したい。したいんぐ。シタイング、ナウ」
ムライングからシタイングに変わった。
したいんぐ、したいんぐ、と呟きながら、小音子がもぞもぞとこたつにもぐる。
「ちょっ……わっ!」
テーブルから彼女の頭が消えたかと思えば、次の瞬間には己の股間に彼女の顔が出現していた。
こたつにもぐり、向かい側からこちら側に移動してきたようだ。
「ちょ……! 小音子さん!」
「……時狼君の、欲しいんぐ」
淡々とした口調とは裏腹に、カチャカチャと素早い手つきでベルトをはずし、あっという間に股間を露出させると、
「……なぅ、んむ」
くぐもった声でナウと言いながら、躊躇なく肉棒を咥えた。
「ぅあっ!」
唐突に刺激に襲われ、思わず声が出る。
「……んっ、んくっ、んぅ……」
柔らかな肉棒をすっぽりと咥え、口内でもごもごと刺激してくる。
「小音子さん、だ、駄目だよ、そんな……、うくっ」
言ってることとは裏腹に、時狼は彼女の口の中で己のものがどんどん大きくなっていくのを感じた。
「……んっ、ぷぁ、ちゅ、んぅ……」
ある程度大きくなってきたところで彼女は一旦口を離し、先端に優しくキスをしながら涎を垂らしていく。
温かい涎が幹を伝う感覚に、時狼は背筋がぞくぞくと震えるのを感じた。
小音子は肉棒を小さな手で握り、涎を塗りこんでいくようにシャフトをしごき始める。そうしながらも柔らかな唇と舌先で、亀頭の先端から鈴口を丹念に愛撫。
「うあっ! あ……ぅ! くうぅ……!」
時狼は抵抗の声を上げるどころか、最早股間の刺激に悶えることしか出来なくなっていた。
「……ん。……おっきくなった」
小音子と付き合って数カ月。それなりにエッチもしてきたが、最近はこんなふうに、ことごとく彼女に攻められまくりの時狼だった。彼女は何故かフェラチオをするのが好きで、その技術の進歩は恐ろしいほどだった。
あっと言う間にふにゃふにゃだったペニスが完全に勃起し、ガチガチの最硬度まで仕立て上げられていた。
小音子は満足げに微笑むと、チロリと舌舐めずり。その様子は実に楽しそうだ。
「小音子さん、駄目だよ……。するなら、ちゃんと、シャワー浴びてベッドで……」
未だ幹をゆるゆると刺激している彼女の手の感触に悶えながら、時狼がなんとか声を絞りだす。
「……シャワー、駄目。時狼君の匂い、大好きだから。流すなんて、もったいない」
「じゃ、じゃあ、せめてベッドで……」
このままではこたつが汚れてしまう。それに窓はカーテンが全開だ。せめてカーテンを閉めてベッドで、と懇願するが、
「……その前に、精液、飲みたい。飲ませて」
一方的に言って「かふぇつけいっぱい」と咥えながらしゃべる。
駆け付け一杯はそういう意味じゃないと思う。という突っ込みは、肉棒の刺激で声に出すことが出来なかった。
「……ちゅ、んっ、あむ……、んちゅっ」
小音子はガチガチになった肉棒の先端を咥え、口の中で舌を動かし先端を舐めまわす。
小さな右手は幹を絶妙な力加減でしごき、左手は陰嚢をやわやわと優しくマッサージ。
「うあ……っ、ああっ! あっ、くっ!」
感じるツボを的確に刺激してくる小音子に、時狼が息も絶え絶えに喘ぐ。
「……んふっ」
その様子に、小音子が咥えたままで上目づかいで微笑む。
「……しょっぱい。カウパー、出てきたよ」
嬉しそうに言いながら、長い前髪の向こうで瞳を妖しく輝かせる小音子に、時狼の背筋がぞくぞくと震え、興奮で喉の奥がかぁっと焼けつく。
普段は眠たげでマイペースなくせに、こういう時だけいつもこんなエッチな顔になって……。
思わず股間がビクビクと跳ねてしまう。
「……ん。ビクビク、してる。きもちい?」
嬉しそうに尋ねる彼女に、時狼はコクコクと頷く。はあはあと荒い息で、上手く言葉が出せない。
「……きもちいーよね? カウパー、こんなに、とろとろ」
ちゅうっ、と、先端ににじみ出た先走り汁を吸い取る。
「……もっと、きもちよく、してあげる。……んっ」
そう宣言すると、肉棒を横に咥え、滑らせるように先端から幹へ唇と舌で愛撫。一方で、今まで幹をしごいていた右手は亀頭に移動し、白魚のように小さく細い指が、敏感なカリに絡みつく。
「うあ! ああっ! あああーっ!」
にゅるにゅると、亀頭とカリを細い指で重点的に刺激され、時狼は声を上げながら腰をビクビクと跳ねさせてしまう。
「……いい声。きもちい? もっと、聞かせて?」
その口調は、いつものように淡々とした調子なのに、ぞっとするほど淫靡で、時狼は興奮のあまり視界がぼやけてくるのを感じた。
先端を刺激していた右手はまた幹に戻り、根元を小刻みにしごく動きに変化。
顔は股間に寄せられ、涎と先走りで汚れた肉棒に躊躇なく頬をくっつける。顔全体で愛撫するように、顎先からもみあげにかけて、肉棒を優しく頬ずり。
柔らかい頬の刺激を受けたかと思えば、艶やかな髪の毛の束に肉棒の先端が突っ込み、さわさわとしたむず痒さに襲われる。
根元をしごく右手は、少し強めに上下運動させながらも裏筋、尿道の膨らみを親指で圧迫するように刺激してくる。
「うっ! うあ! く、あっ! ううぅ!」
次から次へと変化する、彼女のフェラチオテクニックに、あられもない声で喘ぐことしか出来ない。
じわじわと、肉棒に痺れるような快感が集まり始め、射精感がこみ上げてくる。
「うっ! あ、あ! で、出そう、だからっ、もう……!」
「……ん。出して。飲む」
当たり前のように言って、あむ、と咥える。
「……んっ、んっ、んむっ、んっ」
頭を振り、先端から根元まで口で愛撫。
かぽっ、かぽっ、と音を立てて、頭の振りが徐々に速くなって行く。
「……んっ、んっ、んっ、んっ、んっ」
小音子はまるでイラマチオのような激しさで頭を上下させる。
それでいながら、ただ上下させているだけではなく、咥えこむときはペニスの先端が喉奥を突きあげるまで深く咥えこみ、引き抜く時は大きく息を吸い込み、じゅるるっと涎やカウパーを啜りながら引き上げるという丁寧さを兼ね揃えていた。
「うああ! 出る! 出るよ!」
激しい口淫に、溜まらず声を上げる。急速に高まった射精感が、尿道をせりあがってくるのが分かった。
「あっ! 出る! あッぐ! うううぅううぅぅぅッ!」
堪える間もなく、精液がほとばしった。
「……んっ!」
小音子は一瞬身体を硬直させつつも、ビクビク跳ねる肉棒を深く咥えこむ。
「……んく、んく、んっ、ん、く」
ビュー、ビューと、口内に吐き出される精を飲み干しながら、もごもごを内頬を動かして幹を刺激したり舌で先端を舐めまわしたりと、愛撫も忘れない。
「あッ! ぐ! うう……! くあ! ああああッ!」
射精している最中の敏感な肉棒を執拗に刺激され、時狼は喉の奥から吐き出される声を止めることが出来なかった。
強すぎる快感に、肉棒がビクビクと跳ねまわり、こたつの中に投げ出した脚がガクガクと震える。
「小音子さん! も、もう、イッたから! だから!」
すでに射精が止まっているのにもかかわらず口内での愛撫を止めない小音子に、溜まらず懇願するが、
「……んっ、まだ、残ってる。ちゅうぅ……」
「うああああ!!」
先端に口を付け、ストローで吸い取るように、尿道に残っていた精液を吸われ、声を上げてのけ反る。
ガクガクと震える脚が、こたつの足にぶつかり、テーブルに乗っているマグカップからコーヒーがこぼれそうになった。
「……んっ、ちゅぱ」
ようやく口を離し、小音子が満足げに微笑む。
「……3日ぶりの、精液。美味。濃くて、美味しい。デリシャス」
そんな彼女とは対照的に、片や時狼は未だ脚の震えが止まらず、はあはあと肩で息を付いている。
「……特濃。ナイススペルマ。グッドスペルマ」
「……その褒め言葉は、どうだろう……」
荒い息を付きながら、力なく突っ込む。
「……じゃあ、……スペルマン? スペルマン時狼」
「ちょ、やめて! なんかそれ嫌すぎる!」
奇妙なあだ名を付けられそうになって、思わず抗議。
「……んふふ……」
上機嫌で微笑みながら、小音子がこたつからはい出してくる。
時狼の脚の間に小音子が膝立ちで立って、寄り添うように向き合う。
「……この味は、3日分の、濃さ。……私には、分かる」
分かる、分かる、と彼女が繰り返す。
「……今まで、たくさん、時狼くんの、飲んできたから。だから、バッチリ」
心の底から嬉しそうに、小音子が続ける。
「……3日前に、えっちしてから、時狼君、出してない。当たってる?」
確かに、時狼は3日前に小音子とセックスしてから射精していなかった。自慰もしていないし、当然、他の女の子との浮気もしていない。
「う、うん……」
認めつつも、気恥しくて、思わず顔をそらした。
「……んふふ。当たった。さすが私。これはもう、ソムリエ。時狼くんの、精液ソムリエ」
満足そうに頷く小音子に、時狼はなんだかもう、恥ずかしくて溜まらず、顔をそむけるしか出来なかった。
「……それじゃ、ベッド、いこ」
「え!?」
唐突なセリフに、時狼は思わず声を上げてしまった。
「……ベッドで、ちゃんとえっち。……さっき、言った」
確かに言った。言ったが……。
「……私も、気持ちよく、なりたい」
「う……」
自分だけしてもらって終わりというのは、確かに悪い。
加えて、至近距離で寄り添う彼女の瞳が、みるみる劣情に染まっていってるのが分かり、時狼はまた股間に血液が集中していくのを感じた。
「……しよ。今度は、ここに精液、欲しい」
力を取り戻しつつある肉棒に、小音子が自らの下腹部をこすりつける。
「うん……」
完全に発情している彼女に誘われるように、時狼は頷いた。
* * * * *
「……あっ、あ、やっ、んっ」
カーテンを閉めた部屋に、ベッドの軋みと彼女の嬌声が響く。
「……あっ、きもちい、あああ……」
お互い全裸になって、正常位で繋がる。
小学生のように小柄な彼女は、体つきも子供のように華奢で、仰向けになっていると胸のふくらみがほとんど感じられない。
時狼は誘われるように小さな胸に手を伸ばし、撫でるように揉む。
「……ん、あっ、ふあ……」
とろんとした顔で、小音子が悶える。
可愛らしい彼女の反応に、より一層股間が隆起する感覚を覚えた。
時狼は本格的に攻めるべく、やわやわと胸をもみながら、探るように腰を打ち付け始めた。
「……あ、あ、あっ。そこ、そこいい、きもちい……」
「ここ?」
「……そう、そこ、あッ、きもちぃ。あっ、ふあっ、あああ……!」
いつものように、下から突き上げるように抽挿すると、彼女が気持ち良さそうに声を上げた。
「うん、ここだね」
「……あ、ああぁぁ……っ!」
確認するように強く突きあげると、途端に小音子がのけ反った。
これまでの経験で、彼女は上の方を突かれるのが好きだというのが分かっていた。
体位が正常位なのも、彼女の好みに合わせてのことだ。
彼女はのけ反るように腰を浮かべた状態で、時狼に下から突き上げられるのが大好きだった。
手早く彼女が一番感じるポイントを探り出した時狼は、そこを重点的に攻め始める。
「……あっ、あああ……! いい、よっ。すごい、きもちぃ……っ」
ガチガチに勃起した肉棒で、気持ちよい所を突かれ、小音子が更にのけ反って腰を浮かせる。
「……あっ、ああーっ! そこっ、そこっ、そこっ! ああああ……ッ!」
小学生並みに小さな身体をビクビクと反応させ、彼女が悶える。
「……きもちい、あ、やッ、あああぁぁ……ッ!」
とろとろに蕩けた顔で、彼女が喘ぐ。
「……ああぁぁぁきもちぃ……! ふあぁッ! あああきもちぃーよお……!」
気持ちよくて気持ちよくて溜まらないといった様子で、彼女が身体を跳ねさせる。
長い髪の毛を振りみだし、瞳は完全に情欲に染まり、唇を半開きにして嬌声を上げる。
「……ふあぁぁ……! ああああ……ッ! すきっ、すきっ、すきぃ……!」
語尾にハートマークが付いているような甘い声を上げ、小さく華奢な身体を可愛らしくくねらせ、潤んだ瞳でこちらをまっすぐ見つめながら「すき、すき」と繰り返す。
自分とのセックスでこんなに感じてる彼女が可愛くて、愛おしくて、時狼はもう頭がどうにかなりそうだった。
彼女の細い腰を両手で鷲掴みにし、がむしゃらに腰を打ち付ける。
「……あッ! ああああぁぁぁ……ッ!」
途端に彼女が反応した。
「……ふあっ、あああぁ……ッ! あっ、あああああぁぁ……ッ!」
より一層身体を跳ねらせ、彼女が悶える。
「……あああ……! きもちい……ッ! だめ、きもちいぃぃ……ッ!!」
気持ちよくてどうしようもないというような感じで、小さな彼女が可愛らしく身体をくねらせ、唇の端から涎を垂らしている。
「……これ、だめっ、きもちよすぎてッ、もお……ッ!」
鉄棒のようにガチガチになった肉棒で、散々感じるポイントを突かれ、小音子はもう限界のようだった。
「……や、やあ……! だめ、イク……! も、イキそ……! ああぁぁ……だめぇ……!」
ハートマークが3つぐらいついているような甘い嬌声で、彼女が絶頂を訴える。
時狼ももう限界だった。
「いいよ! 俺も、もう、出そうだから……ッ!」
一度フェラで達していたため、もう少し持つかと思ったが、可愛すぎる彼女の反応に興奮が高まり、肉棒に射精感がこみ上げてきた。
「……うん、うん! 出して……! せいえき、ほしい……ッ!」
時狼は奥歯を噛みしめて射精感を堪え、ラストスパート。彼女を貫かんばかりに肉棒をピストンさせる。
「……やあ、ああああぁ……ッ! イク、イク……! ああイッちゃう……ッ! あああイクぅ……ッ!」
「う、ぐッ!」
限界が来て、目いっぱい奥に突きあげる。同時に、
「……や、だめイク……! イクイク……ッ! あああああああぁぁ……ッ!!!」
「くぅうッ!」
ビューー! ビューー! と、2回目とは思えない勢いで、小音子の子宮口を精液が叩く。
待ち望んだ精液に、小音子は小さな身体をガクガクと痙攣させ、絶頂。
「……あ、ああああ……ッ! せーえき……っ! 時狼くんのせーえき、でてる……! ああああああ……ッ!」
蕩けた顔で、涎をだらだら垂らしながら、本当に嬉しそうに彼女が絶頂に悶える。
ぴったりと結合部をくっつけ、小音子は大好きな彼の大好きな精液を注がれている下腹部を嬉しそうに見つめる。
「……せーえき、きもちい……ッ! あああ……! 時狼くん、すき、だいすき、だいすきぃ……」
涙すら流し、心の底から幸せそうに彼女が「だいすき、だいすき」と繰り返す。
「俺も、好きだよ……」
時狼は繋がったまま答え、涙と涎に塗れた愛しい彼女の頬を優しく撫でた。
* * * * *
「……ふん、ふん、ふふふん」
カリカリと、小音子がノートにシャーペンを走らせる。
調子が外れた鼻息のように聞こえるが、どうやら鼻歌らしい。傍目から見ても分かるほど上機嫌な様子だ。
「……ふふん、ふふん、ふん」
ふんふんと鼻を鳴らしながら、小音子は猛烈な勢いでノートを埋めていく。
問題集を解いているらしいが、ほとんどノンストップで解答をノートに記述していってる。
ちらりと設問を一瞥しただけで、次の瞬間にはノートに答えを書いている。彼女の普段の成績を知らなければ、答えを暗記しているのではないかと疑いたくなるだろう。
時狼の記憶が正しければ、彼女が今取り組んでいる問題集は、確か日本を代表する超難関大学の入試過去問だったはずだ。
「…………」
時狼は、凡人と天才の頭の違いを目の当たりにし、ため息をつきたくなる気分で、自分の勉強に集中した。
「……ん。パーフェクト」
数分後、問題を解き終わった彼女は答え合わせをしていた。
「全問正解?」
「……ん。いえい」
いつものように淡々とした口調で言いながら、小さな手でブイサイン。
「さすが、すごいね」
「……んっふっふ」
誇らしげに微笑みむその顔はとても無邪気で、釣られて笑みがこぼれる。
「ホント、すごいなあ。いつもながら……」
素直に感心したところ、彼女がふるふると首を振った。
「……すごいのは、私じゃなくて、時狼くん」
「え? なんで?」
「……時狼くんの、精液、飲んだから、勉強も、ばっちり」
「…………は?」
一瞬、意味が分からなかった。
「……時狼くんの、精液、すごい。サプリメント。DHA。頭の良くなる精液」
冗談かと思ったが、彼女の表情からそれは感じ取れなかった。
時狼はなんだかどっと疲れた心持ちで、力無く突っ込む。
「そんなわけないでしょ……」
「……そんなわけなくない。じゃあ、試す。レッツトライ」
しかし、彼女は自論をどうしても証明したいらしい。
一方的に言いきると、もぞもぞとこたつにもぐり始めた。
「え、試すって……?」
突然の展開に動けないでいると、彼女がまたこたつの中を移動して、時狼の股間に顔を出してきた。
「ちょ……!」
「……時狼くんも、飲んでみる。精液、口移し」
「え!? いやいやいやいや!」
「……マウストゥマウス。何事も、経験」
「そんな経験いらないよ! ちょ、駄目だって!」
止める暇もあればこそ。恐ろしいほどの手際の良さで、あっという間に時狼の股間が露出され……。
「……あむ」
「アッー!」
再び、絞り取られることになった。
終わり
…
……
………
「……時狼くん。ほら、これ」
「うわ、マジだ……」
小音子が検索したサイトを覗きこんで、時狼は驚愕した。
「ホントに入ってる……」
「……ね、言った通り。精液は頭に良い」
精液には、本当にDHAが含まれているらしい。
「ほんとにあった、DHA……」
「……ん。だから、時狼君も、ドリンキング。セルフドリンキング」
「それはホントに勘弁してください……」
今度こそ終わり
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