「随分、長くお祈りしてたね?」
初日を浴びて、キラキラと輝く御影石の石畳は、そこを詣でる人々に控えめながらも改めて神々しさを感じさせる荘厳さをかもし出していた。
そんな参道を、出口に向かって人波の中を寄り添うようにして歩く、ひと組の男女。その男の方が連れの女性に問いかけた。
「そんなに長く、何をお祈りしたの?」
彼の腕を抱きながら歩く彼女が、幸せそうに彼を見上げながら答えた。
「まずは、去年きみと出会えたことに対するお礼をしたんだ。こんな素敵な男性と出会うことが出来て私は幸せです。ありがとうってな」
「そ、そう」
「それから──」
明け透けなセリフに仰け反る彼をそのままに、彼女はとうとうと言い募った。
「それから、今年の事についてお願いをしたんだ。まずは、今日これから家に帰った後、きみに御節料理を食べてもらって美味しいって言ってもらえますようにって。そして、二人でお屠蘇を飲んでほろ酔い気分になって私がきみにゴロゴロと甘えるようにすり寄って、良い感じになってイチャイチャしだして、今年最初のキスを飛びきり優しく、甘くしてもらって、2度3度チュッチュとイチャつくようなキスを繰り返して、頭がぼーっとしてきたら、今度は深く激しくキスをして、何度も何度も舌を絡めて口の周りを涎だらけにしちゃって。その頃、私は下着に少し染みを作ってしまうくらい興奮してて、こたつ布団の中できみの逞しいものをさすりながらいやらしくおねだりするんだ。『姫始め、しよう?』ってな。顔を真っ赤にしておねだりする私に、きみは優しく微笑んでキスで答えくれるんだ。
それから、お互いにディープキスをしながらこたつ布団の中で下腹部をまさぐりあって、私はもう座ぶとんを汚してしまうくらい濡れてしまって、きみも鉄棒みたいにガチガチになってて、ああ、こんなのを挿れられたら、私はどうにかなってしまうって少し怖くなるんだけど我慢出来なくて、『その逞しい肉銛で私を突いてくれ』ってはぁはぁ言いながらおねだりしてしまうんだ。きみは『仕方ないな』なんて言いながら私の身体をこたつテーブルにうつ伏せにさせて、後ろから荒っぽく突き挿してくるんだ。獣みたいに後ろから激しくされて、私は『いやっ! 顔が見えないのはいやっ!』って抵抗するんだけど、『そんなこと言いながら、お前のココは俺のを離さないじゃないか。自分で腰振っちゃってるし』っていじわるく言って、『そんなに嫌なら腰の動き止めてみろよ』って私を追い詰めるんだ。私が本当は荒っぽくされるのが好きなことを知ってるのに、きみはそうやって私を追い詰めて自分からおねだりするのを待っているんだ。まったく、このいじわるさんめ。
私は最初は抵抗するんだけどやっぱり我慢出来なくて、『お願い! 動いてぇ!』って腰をはしたなくくねくねさせながらおねだりしてしまうんだ。途端に、きみはこたつテーブルの上の料理がこぼれてしまうくらい、激しく激しく突き始めて、私はもう、テーブルの上に涎を垂らしてしまうくらい悦んで、口からは媚びたような嬌声しか出て来なくなってしまって、着きっぱなしのテレビから漏れる正月番組の音と、ストーブの上に乗せたやかんからシュウシュウと出る湯気の音に混じって、私ときみの腰がぶつかって立てるいやらしい淫音だけが部屋を支配するんだ。こたつ布団の上掛けに私のいやらしい汁がポタポタと落ちてるのが分かって、『ああ、こんなに汚しちゃってどうしよう。ごめんなさい。いやらしくてごめんなさい。でも気持ちいいのっ!』って口走ってて、きみが私のそのセリフに更に興奮して、こたつがガタガタ鳴って壊れてしまうくらい、激しく突いてくるんだ。きみの熱い肉棒で子宮口を激しく突かれて、私は髪を振り乱しながら『イクッ! イッちゃうよぅ!』って絶頂を訴えた所で、きみが火傷しそうなほど熱い精液を私のナカに解き放ってくれるんだ。私はそれを子宮に浴びて、身体が痙攣するほど激しいエクスタシーを感じて何度も何度も登りつめてしまうんだ。
その日から、きみの子どもを身ごもれるまで、私の子宮が常にきみの精液で満たされているという、幸せな日々が続きますように。ってお祈りしたんだ」
さして長くない参道を渡り終える前に、ほとんど一息で彼女が言い切った。
すれ違う初詣客全員に何事かと注視され、彼は新年早々、泣きたくなった。
そもそも、自分と彼女はまだキスを数回しただけの関係なのに、彼女の中で自分はいつの間にかSキャラになっている。
ああ、今年は彼女の言動が少しは穏やかになりますようにってお祈りしたばかりなのに……。
「さあ、早く帰って御節を食べよう。それから私も食べてくれ」
溜め息すらつけない彼の腕を彼女が引っ張る。
素直クールは、誰にも止められない。
終わり
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