アスランさんの好きな抱き方を知ってる。

セックスに入る前は、酷くせわせわしてしまうのはこの人の踏ん切りの無さとか、迷いとかで。だから俺がちょっと誘うような事を言うのもいつもの事。
言ったあとに恥ずかしさがキてる俺を抱きしめて、上を向かせてキスをする。キスは最初は甘いんだけど、すぐに舌を入れて絡ませようとするのもアスランさんの癖みたいなもので、俺はそれも受け止めるように努力するんだけど、舌のぬめっとした感触と、絡ませあったときの唾液の音が実は苦手で、どうしても腰が引けてしまう。それをアスランさんは判っているらしく、俺の背中だったり腰だったりを抱きしめて、その腕から逃れられないようにする。
…こういうトコだけ本当に巧くて困る。…って言っても、俺もアスランさんから逃れようとか、そういうのは考えていないからいいんだけど。反対に簡単に手放されたら困るんだ。俺だってシたいと思ってアスランさんを誘ってるんだから。

ぬめぬめした舌はなんとか受け入れる事が出来て、嫌だって言ってても、ある程度は慣れてきて、唾液も飲めるようになって、呼吸のタイミングも巧くなった。
アスランさんの方が俺より頭1つ分ぐらい身長差があるから(くやしい)、自然と俺が上を向く。当然唾液は重力に従って、下へ落ちるから俺が飲み込む。でもアスランさんのならいい。…ホントはそんなの嫌だけど、この人のならいい。
俺が眉を顰めながら、受け止めている最中あたりに、腰を抱いていた手が動き出す。まるで生き物みたいにくねくねと俺の腰を撫でたあと、器用にベルトのバックルをはずされて、軍服の下の方からボタンを外される頃には、俺もアスランさんの背中を抱いている。
舌も唇も唾液も受け止めながら、あぁ、脱がされてるって自覚して。
首へ腕を回して青い髪に指を絡めて、まだ軍服をきっちり着込んでる襟元に指を入れる。そうすると首が絞まって苦しいのか、俺の服を脱がす手が一瞬とまり、それから(いたずらをするなよ)と言うように、ちょっと乱暴にボタンを全部外されて、下肢のジッパーも下げられてしまう。その時あたりに俺は呼吸困難になりはじめ、唇を無理矢理離して呼吸をするけれど、アスランさんはちっとも呼吸が乱れてなくて、(この人の肺活量どうなってんだよ)とか思う。
俺が呼吸している間にもアスランさんの手は止まなくて、下ろされたジッパーの先、軍から支給されているパンツの中にまで手が入り込んで、まだ勃起するほどまでは興奮してないそれをむずっと捕まえられて、俺は腰を引く。けれどやっぱりそれも見越されていて、逆に引き寄せられるように腕が動くから、俺はアスランさんの背中から手を離して胸を押し返すようにするけれど、それも叶わない。同じ軍人なのに、この差ってなんだ。

ずくずくと扱かれている間、俺は声が出っぱなしで、でもアスランさんはそういう時に限って、俺の口を塞がない。なんて事なんだろう。むっつりすけべにも程がある。
俺の声なんてどうでもいいだろ。扱くのだってさ、いつもそうしてくれるけど、アンタは気持ちよくならないだろ?俺をよがらせていたって、アスランさんへの快感は何も無い。なのに、いつも先に扱かれる。たまに俺だって男だから、気持ちよくさせてやろうと、アスランさんを押し倒したりしてみるけれど、そういう時はいつもやめろシン、とかしなくていい、とかそういう風に言われてしまって、あんまり嬉しくないみたいだ。だから、この人の好きな抱き方じゃない。

扱かれて、いつの間にかパンツも下ろされていて。立ったままするのが好きみたい。
パンツも軍服の下も、俺のくるぶしあたりに落ちていて、ぐちゅぐちゅ音が鳴る頃には、立っている足が震えてくる。声がどんどん我慢できなくなってきたのを見計らって、扱いていただけの指が、確かな意思を持って、先端に割り入ってきたりする。尿道を犯されているみたい。爪の先が、入れないと判っている小さな穴を広げるようにして刺激を与える。
…俺の感度がイイ時は、それだけでイってしまうけど、普段だったらそのぐらいは何とか耐える。
脳髄を犯されそうな刺激だけど、幾らなんでも何度もやってれば簡単にはイかなくなる。これは慣れというやつだ。だから、俺がイかないのを見越すと、今度は俺の背を支えていた腕をするすると動かして、尻に到達し、肉を割って指で入り口をなぞってくる。ひっ、って悲鳴が漏れるのは、だって、そんな場所に触れられるのが嫌だからだ。こればっかりは、100回セックスしたも10000回したとしたって、きっと慣れない。身体の一番汚い部分に、一番好きな人の指が入り込んでくるなんて。…まるでアスランさんを穢しているみたいで嫌だ。

前の肉棒を掴まれ、後ろには指が入り口をなぞっている。…こんな状況で、どうしろって。
やめて、なんて言えない。だって俺だって気持ちよくなりたい。イきたい。だから。
濡れても居ない俺の穴と、潤ってもいないアスランさんの指。指が肉を掻き分けて、第一関節まで突き入れられて、俺は逃げるように腰を前に突き出した。でもその先にあったのは先端の穴に的をしぼったアスランさんの爪先で、大抵その時に俺はイく。アスランさんも俺のイかせたくてきっとそうしてる。濡れてもいない指を挿入させるなんて無茶な事を。

一度イってからは、早い。
まるで獣になったみたいにアスランさんは性急になる。ベッドにうつぶせで押し倒されて、服を全て脱がされて。(軍服を汚したくないんだとアスランさんが言っていた)
アスランさんの部屋のベッドサイドの小さな引き出しの奥に、ローションが入っているなんてみんな知らないだろ?…俺だけが知ってるんだ。それでもって俺だけが使ってる。ささいな事だけれど、いつもそのローションを取り出す時としまう時、残量をチェックする癖がついた。浮気調査、みたいなものだろうか。だってさ。しばらくセックスしてなくて、そのローションがすげぇ減ってたら。…誰かと使ったって事だろ?そんなの嫌だから、つい目で追ってしまうんだ。そして今日も残量はそのままで、だから俺は安心して力を抜く。今はまだアスランさんは俺のもの。
ローションは冷たいけれど、アスランさんの手の温度と俺の体内温度で、すぐに温かく…いや熱くなっていく。
ローションをつければ、指1本なんて簡単だ。すぐに指は増えて、大抵3本ぐらいは飲み込む。中で指を広げられたり回されたり壁をひっかかれたり。酷い事言っちゃうけど、殆ど気持ちよくない。入り口付近をぐちゅぐちゅやられるとちょっと気持ちいいのかな、って思うけど、指が抜けてく時なんて最低な気分になる。だって俺の中、綺麗とも限らないから。…これは慣らすだけの行為。アスランさんのものは指3本纏めて入れるぐらいよりも太くなっている事があるから、これはソコを緩めるための最低限の行為なんだ。
背後から尻だけ上げて、見苦しい。アスランさんに背中から全部見られてる。けど時折聞こえる名を呼ぶ声と、ため息を吐き出すような声を聞くと、アスランさんも冷静ではないんだって思える。ちょっと焦った声とか音とか。指を掻き入れる速度とかで、俺はこの人が早く俺の中に入りたいんだって判る。
そう思うと身体の奥がずくりと疼いてくるから、もういいですよ、って俺が言って、指を含んでいたそこがじんじんする感覚を味わう。いじられすぎて感覚が麻痺してくるんだ。中も熱くてしょうがない。

バックから突くのも好きみたいだけど、顔をみて正面からするのも好きみたいだ。
でも意外と横抱きにしてセックスするのも好きだよな。その日の気分なんだろう。日に寄って抱き方は違う。だからどれが好きな抱き方なのか判らない。ただ、掻き回し方は一緒で、数度ずくずくと奥深くを突き入れた後、中を掻き回すように腰を円を描くようにグラインドさせる。
俺の声が伸び上がると、また腰をまっすぐに突き入れてきて、そのたびにシーツにしがみつく俺を見てる。ベッドで抱くときはいつもそう。時々シャワーや壁でやるけれど、抱き方は変わってないから、これがアスランさんのセックスの癖。イきそうになると凄い力になる。
ある程度は理性でセーブしてるみたいだけど、アスランさんだってセックス好きなの知ってるから、イく直前はなんか、獣みたい。めちゃめちゃな腰の振り方。俺が苦しいって言ってもその場では聞いてもらえない。だから耐える。けどそういう理性を失ったアスランさんは、本音丸出しで俺はちょっと好きだったりする。なんか隠しようのない本当のアンタを見てるみたいでさ。…スキ。


ぐちゅぐちゅずくずく。
肉があたる音と、俺の悲鳴みたいな声と、お互いの名前を呼ぶ声と、アスランさんの吐息。あぁもう耐えられない、これ以上は!って思った時に、アスランさんもイく。
一瞬止まった身体。俺の身体の奥深くで何かが吐き出されている感触。熱くて硬かったに肉棒が、少しずつ萎えていくのもリアルに判る。俺がくわえ込んでいるんだから。
吐き出された後に、ゆっくりゆっくりと腰を動かしながら、溜まっていたものを1滴残らず出し尽くすと、大きな息を1つ吐いて、アスランさんは俺のキスをねだる。
…キスされてるのは俺なんだけどさ。顔を近づけるだけ近づけて、でも唇は触れ合わないんだ。だから俺からキスをする。それを悦んで受け止めるアスランさんを見るのが俺も好きだから。

吐き出されたものを奥深くで受け止めながら、まだ中に入っているアスランさんを感じながら、唇も塞がれて、呼吸も巧く出来ずに脳が真っ白になりそう。
そうして1度目のセックスは終わるけれど、2回目と3回目があるかどうかはアスランさん次第だし、俺の眠気次第でもある。
いくらアスランさんが欲しくたって、その日戦闘があったなら、2度も3度も出来ない。神経は高ぶっているけれど、肉体は物凄く疲れているから。セックスを1度すれば、精神の高ぶりは少しだけマシになり、その代わりに疲労は溜まって、眠りに入りたいと身体が訴える。俺が眠くなってもおしまい。アスランさんが眠くなってもおしまい。特にそこに問題は無い。
たまに、あ、今日は1回で終わりなんだー…って思うけど、まぁ…俺も中に出されたら、しなくちゃならない事あるし。

それがアスランさんの好きな抱き方。俺の好きな抱かれ方。