その日のアスランさんとのセックスは凄かった。 何がすごいって、俺もう限界なのに、この人まだ出来るのかよ!?…っていうか、どこにこれだけの精力隠してたんだ!?ってぐらい。 これがこの人のセックスの本気なんだとしたら、今までどれだけ手加減してたんだろうと思うと同時に、俺、もうこのままどこかに堕ちちゃいそうだ、って思った。 それがつい言葉になって口に出てしまっていたらしい。めちゃくちゃ気持ちよくて、喘ぎながら、「堕ちるッ…!」って言ってしまったみたいで。そうしたら、アスランさんは、にっ、と彼らしくも無く、たくらんだような顔で笑って、激しく動かしていた腰の動きを止めた。 俺は、ぜぇぜぇ息を吐き続けながら、うお、ホントにキツイ、ってぐるぐる回る思考回路で考えてた。なのにアスランさんは平気そうな顔。ちょっとまてよ、これって男としてはすげぇ情けなくないか?…でもこの人とサシで渡り合ったら色々な面で叶わないのはもう嫌って程判ってて…。 この人、こんなにセックス凄かったんだ…。っていうか、このキツさは戦闘以上じゃないか?呼吸も出来ないぐらいに揺さぶられて、内臓まで届きそうなぐらいに奥に突き入れられて、何度も抽送されて擦れた入り口は熱を持っていて、気持ちいいとかじゃなくて、もう痛い。 溺れた人間みたいに、ぜぇぜぇ喘いでいる俺の唇をアスランさんの指がなぞる。その仕草だけが優しくて、俺は霞んでぼやける視界で、なんとか焦点をあわせた。あぁ、俺の好きなアスランさんがいる。 「…な……に、……?」 「苦しいか?」 「……っ……て、…みりゃ……わか、…だ、ろ…」 優しい顔してそんな事を言うから、俺もつい減らず口。判ってんならもうちょっと手加減しろよ。くそー。 「お前、さっき”堕ちそう”って言ったな…?」 ふえ?あぁ、言ったかもしれませんねぇ。あぁ、もう考えるのも辛い。めちゃくちゃ身体辛いんですけど。でもさっきまで揺さぶられていた所為で、また勃ち上がってしまった俺のモノは、もう一度イってしまわない事には収まりようがない。…てゆーか、アスランさんだって俺の中で凄い事になってるじゃないですか。今ストップしてていいんですか。も、さっさと続きしなくちゃアンタも辛いでしょ。あーもう俺だってジンジン来ていて辛い。早く動いて、ねぇ、でも激しいのじゃなくて、イくためのもっと、…ねぇ、アスランさんッ! 「戦闘の時と、今と。どっちが辛い?」 言われて。あれ?そんな事、俺もさっき考えていなかったっけ、ってふと思って、…けれどそれ以上深く考える事が出来なくて、「どっちも」と答えた。 「そうか、ならいいな」 アスランさんはそう言って、また口先だけで笑った。…え?…なん、っか、嫌な予感がするんです、けど、ッ…。 本能的に危険を感じて逃げを打とうとした俺の身体は、アスランさんに刺しぬかれて疲れきっている所為で、動く事も出来なかった。アスランさんが俺の手に手を絡めて握り締めてくる。自然と身体が密着したから、もっと深く侵入を果たしたそれが、ピンポイントでイイトコに当たって、俺の背中を撓らせた。…はうっ……も、キツイって…。 「前から言ってるお前の最大の課題点。覚えてるか?」 「…は、…?ぁ…?」 「戦闘損害率だ。自機の被弾率その他もろもろの。お前はエネルギーが残り20%を切ったあたりと、戦闘時間が2時間を越えたあたりで急激に悪くなるんだ」 「ふ…ぅぁ…?」 「それが何を意味しているのかわかるか?」 言われたって、俺もう脳髄しびれちゃってて、何がなんだか……。 「精神的、肉体的に追い詰められた状態が一番戦績が悪いんだ、お前は」 って…今まさに、そういう状態なんですけどッ。 「だから、その状態に慣れておこう。今辛いんだろう?戦闘の時と同じように。なら今この状態で、どれだけ理性で自制を保てられるか」 「……な、…ぁッ!?」 言われた言葉を理解は出来た。…出来た、けど、え?どういう事だ!? 待って、待てって、嫌な予感しかしないんだけど!!? 「シン、」 名前呼ばれて、握り締められていた手に力を込められて。…い、いやだ、そんなの今して欲しくない!だって、もう壊れそうなんだ。苦しくて体力持たなくて、これ以上深いところを突かれたら、じらされたら…!! そう思っているのに、逃げる事を封じられて、さらにアスランさんはこの状態に慣れろという。 む、無理ッ…!!! 「シン、覚悟しろよ…?」 その言葉と一緒に、いっそ意識を失ってしまいたかったのに、アスランさんはそれも許さなかった。あぁ、…俺、こんなの…無理だ、…ってッ…! 直後、開始された律動は、今までどんなに切羽詰まった状態よりも、辛く長いものだった。 「俺達も気持ち良い思いが出来て、お前も耐久力がつく。一石二鳥だな、シン」 そんな事を飄々と言うこの人と、いっそ別れてやろうかと思ったけれど、どうせ出来ない事だって判ってる。 俺の恋人は、上司で年上だけど。…それ以上にものすごいスパルタなんだと知った。
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