いつもより。ありえないぐらいに開いている足。
恥ずかしすぎて、目を開けている事が出来ない。
どうせ目を開けたところで、見えるのは自分の臍近辺の腹と結合部分だけだろう。そんなもの見たくない。
見てしまったら、きっと狂う。自分の中の理性とか道徳が。

「目を開けてみろ、シン」
だから言われたって無理で。なんでアンタはそんな事言うかな!?
怒鳴り散らしてやりたいところだが、それも出来ない。口をぎゅっとつむんでいなければ、あんあん喘いでしまうだろう事もシンには判っていた。
気持ちよくてたまらない。いつもより深い場所、いつもは触れない場所、そこに先端がずこずこと当たって擦られている。
アスランとこうしてセックスするようになって早1年。結構な頻度でベッドに入っている事を考えたら、慣れてマンネリ化するものだが、今日ばかりは違った。
珍しく、アスランが泥酔しているのだ。
そんな状態でよく勃つなとも思ったが、アスランは思いもかけず元気だった。いつもよりも増しているかもしれない。勢いやらなにやら色々と。
キスをされれば酒の匂いがシンに移り、唾液はまるで酒そのものだった。喉に落ちると酒を飲んでいるかのように喉の奥が熱くなる。
「そういえばいつもはこんなに高く足を上げないな、シン」
判ってるならやるなと言ってやりたいが、やはり口はぎゅっと摘むんだままだ。
鼻だけで呼吸している所為で、肺が苦しい。噛み締めた歯の隙間からも息が洩れるが、声も洩れる。
繋がっている部分からは、ぬちゅぬちゅぐぼぐぼと耳につく卑猥な音しかしない。
正常位で交わっていたはずだったセックスは、酔っ払いのアスランによって仰向けのまま腰を高く上げさせられる羽目になった。
今まで、腰が浮くぐらいには持ち上げられたことがあるけれど、今シンは背中もベッドシーツから浮いている。
頭と肩だけがシーツについていて、あとは全て持ち上げられ、足にいたってはアスランの頭より高い位置で、ぶらぶらと揺れていた。
指先だけが、与えられる快感の波によって、きゅっと丸まったり、うぞうぞと動いているが、抵抗らしいものも出来ない。
足と腰を持ち上げるように支えられ、浮いた尻の孔にアスランのものが抜き差しを繰り返す。全てが抜け落ちるかと思う程、じわじわと引いたかと思えば、呼吸のタイミングを見計らって、一気に挿入させる。そのたびに、こらえていたはずのシンの口からは悲鳴のような喘ぎ声が洩れ、苦しいんだといわんばかりに身を捩った。
首を動かしてシーツに横頬を押し付ける。こらえきれず、唾液が垂れてシーツに沁みこんだ。
あぁ、もう駄目だ。
「っ、あ…あ、…あ、はあっはあ、…」
口をつぐんでいるもの限界だった。一気に開放された呼吸が、酸素を求める。
がむしゃらに呼吸を繰り返し、激しく胸が上下した。
「シン、すごいな。ナカがひくひくしている」
「……う、…るさ……はっ、あ、…あ」
呼吸を我慢した所為か、それとも口をきつく閉じている事でせき止めていた快感への抵抗か。
一気に開放されたシンの身体は、如実に反応を返した。
「…気持ちいいな…」
「…っ、も、……」
「あぁ、もう、少し」

言って、上半身を倒してシンの顔に近づく。
「うっ、…!」
ぐぐぐ、と動く腰と連動して、ナカのものがあらぬ性感帯にたどり着く。今までだって一度も触れたことのない、シンの奥の奥だ。
「あ、うそ、うわ、いやっ、あ、あ!!!」
強い電流のような快感が一気に駆け上がり、うそだ、と意味もなく叫びながら、シンは吐精した。
一瞬の事だった。
びゅくびゅくと断続的に精液が漏れ出す。
それは下半身を折り曲げるようにしていた所為で、勢いよく飛び出した精液が、腹どころか胸や首、顎にまで飛び散った。
「…イったのか?早いな」
「……ぁ、…あ、…」
余韻を味わいながら全てを吐き出す。
ひっそりと目をあけたシンが見たのは、精液が垂れる己の肉棒と、アスランの腹から胸にかけての身体に飛び散った、精液の白い点々だった。

「…っさ、いあく…」