俺と刹那は随分と前から、セックスをする関係だったが、考えてもみれば、朝まで2人でベッドの中でいちゃいちゃーっていう関係ではなかった。
それどころか、下手をすれば挿入も無いようなフェラチオをするだけの時もある。しかも俺が一方的に刹那をイかせてやって終わり、という状態だ。
まぁ、セックスしていても、恋愛しているわけじゃないから当然と言えば当然だろう。
ソレスタルビーイングでガンダムマイスターになってからこっち、ロクに人間らしい事はやっていなかった。
それは俺も刹那も同じだが、刹那はこの間ようやく16になったばかりだ。だからまぁ、俺がめんどうを見る、と。そういう事になってしまっている。
8つも歳が離れていると、殆ど弟状態だ。



「だからおい、まてよ!」
通路を、ふらふらと歩いている刹那の腕を掴まえた。こいつは声をかけるぐらいじゃ立ち止まらないんだ。強制的にでも引き寄せないと、何処かへ歩いていっちまう。…まぁそれでも、作戦始動時間にはきっちり戻ってくるから心配はないわけだが。
刹那と顔を合わせて表情をみれば、不安は的中した。
「………何」
「何じゃない」
刹那に、ちょっとした違和感を感じていた。触れてみればやっぱり案の定。こういうのって判ってしまうのは、身体をあわせている所為だろうか。

「ちょっとこっちこい」
周りを見渡せば、ちょうど倉庫のドアがあった。そこに引っ張り込む。刹那は一瞬だけ抵抗したものの、腕をつかまれた所為で、なすがままになっている。
倉庫は暗がり。至近距離なら顔はなんとか見れる。好都合か。

「俺が前に、お前にシてやってから、どんだけしてないんだ?」
「……何が」
「何がって、言わせるな、それを」
「………?」

いつもの無表情で首をかしげる。
…まぁ…理由が思い当たるってんなら、こんな顔はしないだろう。
俺がどれだけしてないのかと聞いた理由。
つまりだ。こいつ、もう、2ヶ月以上。
「抜いてねぇな」
「……」
言ってやれば、ようやく意味が判ったのか、今度は無言で肯定。
あー…くそ、こいつに自主性を求めた俺が馬鹿だったのか。

「もういい、判った」
腕時計で時間を確認すれば、まぁなんとか30分程度の時間は取れる。1発抜くぐらいなら余裕で出来るだろう。
ぼけっと突っ立ている刹那の前で、ため息をつき、それから膝を床について刹那の前にかがみこんだ。
ためらう事なく、ズボンのボタンを外す。
「………」
刹那は何も言わない。判っているんだ、何をされるのか。
けれど、自分の何が問題なのかは判っていない。俺が説明してやったにも関わらず、だ。

下着まで一気にずるりと落とし、まだ大人にもなっていない半分皮被った刹那のモンに触れた。反応なし。このやろう…。
しゅこしゅこと、先ず幹を擦る。皮がふにゃんとなって、ずるりと向けた。まぁ刹那みたいな黄色人種や、このぐらいの年なら良くある話だ。別に驚きもしねぇし、2ヶ月前だってそうだったんだから、今もそのままだろう。

『イけるなら、自分で擦って抜けよ』と、刹那に言ったのは数ヶ月前。
けれど、それを忘れているのか興味が無いのか、自分でしようとはしなかった。
生きる事に、これは余分な行為だと思ってるのか?いや、これはな、刹那。しておかないと俺達の体内のホルモンバランスが、だな…。
説明しても、刹那には、”暖簾に腕押し”だったらしい。

少しばかり力を入れて、まだ血管も浮かび上がっていないようなソレを、少しずつ勃起させていく。
さすがに2ヶ月抜いてないだけあって、勃ち上がりは早い。
ちらりと目線だけで刹那の表情を見た。
まったく変わっていなかった。…このやろう。

普段でも、話らしい話をほとんどしない刹那は、こうして性欲を直撃するような事をしても、やはり顔色1つ変えなかった。
どうなんだこれは。16歳だろう。おまえ。幾ら普通の人間らしい事をしてないからって、身体の構造上はそこらのハイスクールの生徒と同じはずだ。お前だって性欲ぐらいあるだろうに。現に、こすってやれば、小さいながらも立派に勃ち上がるし、精液だって出る。
ずくずくとリズミカルに勃起させ、ようやく小刻みに震えだした頃、もう一度刹那の顔を見た。僅かに目を細める刹那。よし、イっていいぞ。
指先で、尿道に爪を差し込む。痛みになりそうなギリギリの快感で、刹那はイった。
どぶっと音がしそうな程、白くて濃い、濃度のある精液が、とぷとぷと溢れ出す。
「イく時ぐらい声だせよ」
扱いて、幹の中に残っていた精液の残滓を扱き出しながら言えば、
「声?…どんな」
言われて、撃沈。…どんなって…なぁ、お前。

腕時計を見る。さっきから5分しか経ってない。あと20分か。なら俺だってイけるな。
「おい、あっち向け。こっちに背中向けて、そこに手をつけとけよ」
「……」
言えばおとなしく従う。
俺の手には、さっき刹那が出したばっかりの、どろりとした真っ白な精液がある。それだけじゃ潤滑油として量が足りないから、俺の唾液も混ぜて、指先でぐちゅぐちゅと練った。泡が立ってくる。うわ、においがやたらと気持ち悪い。
刹那の下着はもう下ろしてあったから、尻をこっち側に向けさせて、上半身を倒して突き出すようになった尻に、とりあえず、ずぶりと指を2本纏めて入れた。ぐちゅと音がして、指が中に吸い込まれていく。刹那の中の壁が、指を締め付けてきた。
「…力抜いてるな?刹那」
「……抜いてる」
「お前、ホントに気持ちいいのか?」
「……良く判らない…排泄するみたいだ」
「はは、そりゃ違いねぇ、正確な感想だ」

指2本を中でぐちゅぐちゅと動かす。前立腺がみつかりゃいいんだけどな。刹那はもう、1回イってるからいいだろう。時間も無い。
3本目をねじ込んで、大丈夫だと判れば4本目。指ぐらいなら、難なく飲み込む。
刹那は物覚えがいい。身体でもMSでも。
この16歳は、表情を変えず淡々としているが、それはただ単に、感情の表し方が酷く下手なだけで、こうして俺を受け入れる刹那の身体は素直だ。…声を出さないって以外は。

「挿れるぞ」
小さく言って、刹那の身体を押さえつける。さすがに挿入するときばかりは、本能的になのか、刹那の身体がひいてしまうから、押さえつけておかなくちゃいけない。それでも本人は声も出さない。
先端をずぐりと埋め込む。そうすれば後は簡単だから、ずぶずぶと挿れるだけだ。簡単なもんだった。
中はめちゃくちゃ熱い。熱を全部持っていかれそうになる。
刹那の身体は、表面と表情は冷たいが、身体の中は酷く熱い。そのギャップに気づいた時、…つまり俺と刹那の初めてのセックスの時は、衝撃だった。
”こいつ、ちゃんと熱いじゃないか!”
それが正直な感想だった。

懐かしさに浸りながら、中の熱さをほんの少しばかり堪能して、腰を動かした。あぁ、絡み付いてくるみたいだ。
「………、」
痛くも無いのか、声も悲鳴も呼吸音も無い。ただ肉と肉うのぶつかり合う音だけが響く。…こんな倉庫、誰がくるかも判らないっていうのにな。さっさとイってしまおう。お互い性欲の吐き出しあいなんだ。

俺の限界は直ぐに来た。早漏ってわけじゃないと思いたい。刹那の中があまりに具合が良いだけだ。
「ほら、俺がイくから、お前はそのままにしてろよ…!」
時間が迫っているから、ナカに出すわけにはいかない。
ギリギリまで射精を我慢させて一気に引き抜いて床に精液をばら撒くしかない。
…あぁ、ナカで出せると楽なんだがな。刹那、お前は辛いだろうけど。
「…っ、!」
溜め込んで、もうここしかないっていう時に、引き抜く。
途端にはじけた。床にぴちゃぴちゃと精液がこぼれ落ちる。…刹那ほど、濃いわけじゃないが、それでも毎日抜いてるわけじゃないから、ある程度溜まっていた精液だ。
俺のも、どろりとしていた。

目を閉じて最後の余韻に浸り、ふぅ、と息を吐いた。
その瞬間、内股に精液垂らしたままの刹那が、
「俺はもういいのか」
と言った。
色気も何もあったもんじゃない。…けどまぁ、あぁ、お前はそういうやつだよ。

「あぁいいよ、尻だけ拭いていけ」
そこらへんに転がっていた布切れを渡し、お互い中途半端な後処理をし、刹那には「頼むから1週間に1度ぐらいは抜いとけよ」と、普通、頼むからなんて言わないよなと言った後で思った。
でもこいつはそういう事に無頓着だから困る。夢精したらどうするんだ。

「………」
また無言で出て行った刹那に、こりゃ前途多難だな、と笑った。