昨日と同じように、ただいまとアパートに帰ってきたら、布団の上に刹那がうつぶせに伏せていて、その上にはハレルヤが乗っていた。腰が密着している。
「うぇああああ!?」
買ってきたばかりの買い物袋が落ち、中のたまごが割れる音がしたが、ロックオンの頭の中は、昨日以上にパニックだ。

「おま、おま、おまえらッ、なに、なにを!」
「何って…刹那の上に乗ってる」
「………乗られてる…」
「乗られてるってお前、おい刹那--------ッ!」

セックスしているわけではない。
刹那は服を着ている。黒いタンクトップだったが。
うつぶせになって布団の上に寝そべり、その上にハレルヤが上に乗っかっているのだ。もちろん服は着ている。
けれど、ハレルヤの手は、いやらしく刹那の腰あたりを触っているというこの状態。
「ちょっ、おい、ハレルヤお前、手!手!」
ロックオンが叫ぶ。
けれど、これはセックスでも愛撫でもない。
マッサージだ。
その証拠に、2人の間に色気らしきものはなく、ハレルヤの大きな手が、刹那の腰を揉み解している。
脇腹からウエストのくびれの位置までを手で辿り、ポイントポイントで指先に力を入れて揉んでいく。
刹那はそれを受け止め、ハレルヤもなにやら楽しそうな顔で刹那の身体を触っていた。
「けど、どうみたって、お前ら、いかがわしいっ!!!」
叫ぶロックオンだが、本当に刹那といかがわしいことをしているのは、ロックオン本人だ。

「うるさい…」
「刹那がうるさいってよ」
「だ、黙れハレルヤ!人のものに手を出すんじゃねぇ!」
「そんな事言ってもな。刹那の筋肉をほぐしてやってるだけだ俺は」
「それは俺がやってやるってー!!」
「お前がやってるのは、刹那の括約筋のトレーニングぐらいだろ」
「ハレルヤ----ッ!」

ハレルヤが淡々と言い、ロックオンは1人でテンションを上げていく。
そんなに言うのならば、ハレルヤをひっぺがえせばいいものを、と刹那は思うが黙っている。
このマッサージというものを初めてやってもらったが、なかなか気持ちがいい。これは癖になるかもしれない、と刹那は少しご満悦だった。

「どうだ、刹那?」
マッサージの手を、腰の中央に移動させ、頚椎沿いを優しく刺激しながら聞けば、刹那はうっとりと目を閉じた。
「…気持ちいい…」
ほう、…と息を吐きながら出された刹那の声は、ロックオンが今まで聞いたことのない恍惚とした響きだった。

その日からしばらく、ロックオンは元気がなかった。