今日という日を、僕は、。
出会って、初めての誕生日。
それがしはどう祝えばいいのだろう。
そなたが居れば、それがしは言い知れなく満たされる。
そなたにとってのそれがしもそうであれば、と願わぬことは無い。
せめて、心を満たす何かを、それがしが渡したい。
「政宗殿、何か欲しいものはございますか」
「何もねぇよ、ただの誕生日だろ」
そう言って、表情を曇らせたそなたを。
それがしはただ、見つめるしか出来なかった。
アンタを初めて見た時から、実はもう3年経ってるんだ。
だから、今日は、三度目の誕生日。
一度目は、一輪の花を風に乗せて渡した。
アンタは気づかなかった。
二度目は、二輪の花と想いを風に乗せて渡した。
やっぱり、アンタは気づかなかった。
はいはい、ごめんね。
面と向かって渡さないと、駄目なんだね。
今回は、歳の数だけの花、と――。
「竜の旦那、おめでとう」
「別にいらねぇよ、ただの誕生日だ」
それでも、アンタは、気づかなかった。
誕生日だ、なんて知らなかった。
奴の部下が、何だか騒がしい。
それだけで何かあるんだとは思っていたが、まさか。
けれど奴は、浮かない顔をしている。
出来れば、俺が笑顔にしてやりたい。
用意もない、名案も無い。
そうやって俺に出来ることは、ひとつしかない。
「政宗、誕生日おめでとう」
「別に祝うほどのことでもねぇだろ」
何故か奴は、泣きそうに顔を歪ませた。
ただ率直な言葉では、奴の笑顔は見れなかった。
早くこの日が来ることを願っていた。
もう、一月も前から数えていた。
数日前にはドキドキが止まらなくって。
この想いを伝えたくって伝えたくって、じっとしていられなかった。
贈り物なんか用意してない。
この想いは物なんかで代わりに出来ないから。
押し付けるだけでも、いい。
それが、彼の胸に響けば、いい。
「政宗!今日誕生日だろ!!」
「、あぁ、それがどうした。別にめでたくないぜ」
「うん、今日はめでたくないね」
「…何…?」
「めでたいのは、19年前の、今日!」
「………」
「政宗、生まれてきてくれて有難う。俺、政宗に出会えてよかった。有難う」
「……け、いじ…」
俺の言葉は彼の胸に響いたかな?
俯いてしまった彼の表情は分からないけれど、小さく声は聞こえた。
「…Thank you.」
どういう意味だろう。
貴方がこの世に触れた日のこと。
そして僕に出会ったこと。
今日は、そのこと全てに感謝しよう。
僕は、貴方に全てを捧げて感謝しよう。
か、書けた…!!!
政宗、誕生日おめでとう!!!
カプをどうするかで悩んだので、もう、全員、みたいな(笑)
お分かりになると思いますが、上から、幸村・佐助・元親・慶次です。
全員、といいながら、明らかに慶政ですけどね!!!(爽やかに)
とりあえずもう、書けてよかった。
06.08.03