「乱れそめにし」
耳元で囁かれた睦言に
騙された、と思いそうになる。
冷気が足元をくすぐり、
それすらが快楽を引きずり出す。
目頭に落とされた唇が
憎らしいほどに優しく、
失しそうになる意識を辛うじて繋ぎとめた。
【乱れゆくは心だけではなく、――】
06.03.12