「、慶次…っ!」

敷布に仰向けに転がされた政宗は、自分を見下げる男に声を荒げた。
巨体を持つ男だ、そうそう暴れたところでどうにもならない。

「どけよ、そんな気分じゃねぇんだ…」
「悪いけど、俺はそんな気分なんだ」

にこりと笑んだ男――慶次は、政宗の寝間着の帯を解き、前を肌蹴させた。
薄暗闇でもはっきりと浮かび上がる白い肌に、慶次は知らず喉を鳴らした。

「わりぃ、今日は、止められない…」

性急なほどの所作で、慶次は政宗の下帯を取り払うと、躊躇いもなくそこに舌を這わした。
ぬめりが政宗自身を包んで、政宗はひっ、と喉を引きつらせた。
痛いほどに吸われ、甘噛みされ、否応なく追い詰められている。
政宗は無意識にその刺激を遠ざけようと、慶次の頭を両の掌で包んだ。
けれど、もう腕には力が入らずに、こめかみに指先が立てられただけだった。

「っ、けい、じ…ぃ…」

艶を帯びた政宗の声が耳に届いて、慶次は満足そうに笑んだ。
少しだけ硬さを得たそこから口を離して、今度は脚を開かせた。

「ッ!」

当然、政宗は抵抗した。
腿を引き締め、脚を閉じようとするが、中途半端に与えられた熱で身体が言うことを聞かない。
大きく左右に割られた間に、慎ましくあるものに、慶次は唇を近づけた。
脚は両肩に担ぎ上げ、膝が胸につくほどに折り曲げた。
苦しそうに政宗の息が乱れたが、慶次は髪を一撫でしてやるだけだった。
それだけで、政宗が落ち着きを得ると、慶次は知っている。

ぴちゃ、

政宗の後孔に慶次の舌が貼りつき、卑猥な音が閨に響いた。
微かなその音が政宗の耳を深く抉って、不意に力を篭めさせた。
きゅ、と寄って慶次の舌を拒んだ尻の肉を、慶次は容赦なく押し開いた。

「ぅ、あ…っ…」

赤く色付く中までも覗くように、慶次は指を添えて執拗にそこを舐めあげた。
少し上を見れば、さっきよりも熱く大きくなった政宗自身が見えて、慶次は笑みを隠せなかった。
先走りに濡れたそれにも、つつくように指を這わせてやる。

「そんな気分じゃなかったんじゃねぇの?」

自分の愛撫で蕩ける政宗を見るのは、慶次の至福でもあった。
けれど、そこに弄される自分を見る気持ちもあった。

「弄されてるのは、いつもアンタ、だよ?」

嘯いて、慶次は指をひとつ突き入れた。













06.09.09