――――俺、七条さんの事が好きなんですっ――――











告白してきた相手は一学年の象徴である緑のネクタイで一つ年下の男。
体格は誰かを思い出させるように大きくはない。だが決定的に違うのは切れ長の瞳と、流れるようなストレートの髪型・・・・風が吹けばサラサラと音が今にも聞こえそう。色白の肌が手に取るように赤くなっている。



でも、そんな情景を目の前にしても動じることのない心・・・・それどころか冷めてさえいる。



僕は笑顔を絶やさずに顎に握った拳を添えると頭をフル回転させる。

さて・・・・どうしたものか・・・・・・

告白されたのが初めてというわけではない。
それはBL学園に来てからも変わらない・・・・・男女構わず・・・・何回か、その告白シーンとやらを体験した。
でもその度になんとも言えない嫌悪感情が湧いて出てきて僕の心を満たしてしまい・・・・
告白してきた相手を泣かせて去らせるなんてことは、あたりまえだった。

でも、今は大切な恋人がいる。
ヘタに断ったら僕の愛する人に危害が及ぶかもしれない。








「七条さんっ」
「はい?」

笑顔で黙って思案している僕に痺れを切らしたのか
胸元に相手が抱き着いてきた・・・・・・もちろん心を満たすのはいつもの吐き出したくなるような嫌悪感情。

ふいに顎に触れるサラサラの髪の感触・・・・・

これは違う


そう思ったと同時に思わず力いっぱいに押してしまおうかとも思ったが、その瞬間・・・・・頭によぎる僕の恋人・・・・・。




カサッ




今、校舎角から誰かの足音が聞こえたような気がした・・・・気のせいか・・・?

僕は、名も知らぬ男の腕を、なるべく力をいれ過ぎない様に掴んだ・・・
が、相手の歪む表情を見るあたり、その努力も及ばず・・・・・しかし僕は全く気にせずに口の端を上にあげただけの顔の作りで慎重に言葉を選ぶ・・・・



「僕には愛している恋人がいるんです・・・・申し訳ありません。」
















去り行く男の背中を見送ってから一呼吸おく・・・・・
多分これで僕の愛する人を守ることが出来るでしょう。
でももし僕の精一杯の配慮を裏切るような行為に出た場合は、色々保障はしませんけどね。
とりあえず退学は必須ということで・・・・・

ここまで考えて、胸に広がる甘酸っぱい気持ち・・・・
君に逢うまでは知らなかった感情。


無性に君に逢いたくなってきた。
今すぐに逢いたい・・・・・
僕の愛する君に逢いたい。


ほとんど無意識だったでしょうね。
足は確実に君のいるはずの部屋に向っている。
僕とあろうものが、小走りになってしまう。
周りの過ぎ行く風景に捕らわれることなく・・・・・

ただ

ただ・・・・・・

君に逢いたい。













ついた場所は君の部屋の前・・・・・
扉をノックしたら君の笑顔が見れる。そう思って期待を込めてノックを三回。

「・・・・・・伊藤君。お部屋にいますか?」
「・・・・・・・・」




返事がない





まさか出かけているのでしょうか。
そう思って僕は耳をドア内に傾ける・・・・・すると聞こえる君の声。
押し殺すように泣いている君の声・・・・

どうしたの?
僕の恋人になにかあったの?

まさかっ・・・・あの男・・・・・・・?
悲しい気持ちが小さな怒りに・・・・・・もし、そうなら今度は躊躇なく力いっぱいに、あの男を突き放す。


僕はこんなに気が短かったでしょうか?
力の制限も出来ないほどに?













どれくらい時間がたっただろうか・・・暫くすると開かずの扉が開き始める・・・・。
その先には・・・・・・
















「・・・・・・・・・・しち・・じょうさ・・・・ん?」
「はい。伊藤君。」

寂しい気持ちを隠すように僕は微笑む・・・・君の目にどんな風に映っているんでしょうか?夢だとおもっているのか君は大きな愛くるしい瞳をゴシゴシと力強く擦るものだから僕は気持ちが募って愛おしい君をふんわりと抱きしめた。

安心する・・・・君の体温・・・・・

力いっぱい抱き着いてくる恋人をしっかり受け止めたまま・・・・僕は君の耳元で囁く。もしかしたら・・・その声は震えていたかもしれない。

「やっと・・・出てきてくれましたね?」
「七条さん・・・・気づいていたんですか!?」

君はやっぱり驚いて身体を揺らしたけど、今は君を放したくなくて・・・・・そのまま抱きしめ続ける。きっと僕は情けない顔をしている・・・表情を作る余裕さえない。

「君が・・・・部屋で声を押し殺して泣いている声が聞こえて・・・・僕はとても苦しかった・・・・」
「七条さ・・・・」

僕の肩が君の涙で濡れていくのを感じる。

「ごめんなさっ・・・・俺・・・さっき・・・見ちゃって・・・・」
「伊藤君・・・?」
「七じょ・・さんがっ・・・・告白・・・されててっ・・・頭が・・・混乱して」

苦しそうに話す君の声を聞き漏らさないように僕は耳を傾ける。

「俺・・・・・あきらめようかと・・・思った・・けどっ・・・・あきらめられなくてっ・・・だから・・・・・」

懸命に話す声に胸が締め付けられる。

「だから・・・・・しち・・・じょうさ・・・が・・・・好きなんですっ」
「伊藤君・・・・」
「七条さんがぁ・・・・・・好き・・・・大好きっ」




君は・・・・なんて強力な言葉を僕に与えるの
一瞬にして安心と喜びをくれる。
君の愛の言葉・・・・・・・・



僕は抱きしめる腕に力をいれる。必死でしがみ付くように抱きつく君がとても・・・・とても愛おしい。
ふいに顎に触れる君のふんわりした髪・・・・・気持ちいい・・・





「俺には・・・・っ・・・なんの取り柄もないけど・・・・」





おや?僕をここまで引き出してそんな事を言いますか・・・
そんな言葉、いりません。僕が摘み取ってあげましょう。
この唇をもって・・・・







キスをして聞こえる君の鼻から抜けるような甘い声・・・・・。

どうやら僕自身が反応してしまったみたい。

さて、どうやって君にこの気持ちを・・・そして愛を伝えましょうか?

夜は長いですし・・・・・ね、伊藤君?

















































「啓太は見た」の七条視点でございますv
告白しちゃった人は本当に可哀相ですね〜もぅ好かれるどころか
憎まれまくり!?(笑
だって七条さんには可愛い恋人がすでにいるんですから
それを知った上で告白なんて・・・・・ねぇ?