「あの・・・・お手伝いさせてくださいとは言ったんですけど・・・・・」





「どうした?啓太。」





「本当にこんなことでいいんですか?」






「あぁ・・・・。」








ここは学園の校舎内でも、すぐに人目には付かないような場所にひっそりと教室を構える美術室。
暖かい日差しと共に、運動部の威勢の良い掛け声が窓から差し込んでくる。
照らされるのは、有名な彫刻のレプリカや数えきれないほどのスケッチブック。
そんな中、伊藤啓太は真ん中の椅子に座って少々緊張した面持ちで、向かい側で木炭を握る岩井卓人を見つめていた。
岩井はいつも通り優しげに微笑む。しかし・・・・・やっぱりどこか力なさを感じる。

「そんなに緊張しなくてもいい・・・・それとも・・・・迷惑だったか・・・・・?」
「えっ!?えっ・・・・いやいや!!そんなことないですっ!迷惑だなんてそんなっ!!」

岩井に一瞬でも愁い帯びた表情をされて、啓太は慌てて首と両手をブンブンと左右に振った。

「ただ・・俺なんかが絵のモデルなんて・・・・上手く出来るかどうか・・・・。」
「なにも気にする事はない・・・啓太がそのままでいてくれればいいんだ・・・・。」
「俺が・・・そのままで・・・ですか・・・・?」
「あぁ・・・・。」

物言いは少ない岩井の時々ドキッとする言葉に啓太は少々頬が赤らんでしまう。

「は・・・・・はぁ・・・・」

気恥ずかしさから曖昧に返事をすると啓太は腰を動かして座りなおして覚悟を決める。
岩井は啓太の様子にクスリと笑うと静かにイーゼルに掲げてある真っ白なキャンバスに木炭を走らせ始めた。
それは長いような短いようなよく分からない空間で・・・・啓太は瞼が落ちないように意識しながらも懸命に岩井を見つめた。






どれくらい経った頃だろうか・・・・
ふいに静かな空間を開放するかのように教室の扉が開いた。
そこに現れたのは銀髪に綺麗な紫の瞳を持つ七条臣。
その表情はいつ見てもかっこよくて啓太はすぐに視線を奪われてしまう。
七条は啓太の様子を確認するといつも通りにニッコリ微笑んで、美術室内に入ってきた。

「おやおや・・・・邪魔をしてしまいましたか?」
「七条さんっ。どうしたんですか?」
「伊藤君がモデルをすると聞いてついつい見に来てしまいました。」
「会計部の仕事は大丈夫なんですか?この時期は新年度に向けて・・・・・」

啓太が心配そうに近づいてきた七条を見上げると同時に、七条は指先を口元にあててニッコリ微笑む。

「大丈夫です。今日の分はしっかり終わらせましたし・・・・・それに・・・」
「何かあったんですか?」
「郁が早く美術室へ行けと・・・・・」
「え・・・・・?ど・・・・どうしてですか?」
「僕の心配に気づかれてしまったようです。」
「心配・・・ですか・・・・?」

啓太は不思議そうに首を捻る。
七条には今日の事は事前に伝えてあった。まぁ内容がモデルだなんていうことは当日になるまで分からなかったではあるものの心配されるような事はなにもないはず・・・・・・。
口を開いても疑問符しかでてこない啓太は言葉を発せずにただただ脳をフル回転している。七条は苦笑すると啓太のフワフワの頭を優しく撫で、先ほどから静かに二人の会話を見守っている岩井の方に視線を送った。

「すみません。製作途中でしたね?」
「いや・・・・・いいんだ・・・・それより・・・・・・・」

岩井は拳を顎にあてたまま真剣な表情で少々考え込む。
そして重い唇を動かして静かに・・・・・

「七条が来た途端・・・・・啓太の表情が柔らかくなったというか・・・・・・」



ふわりと岩井が微笑む。



「暖かな色になった・・・・と思う・・・・・。」



岩井の唐突な言葉に、瞳をクリクリさせていた啓太はふわんと頬が赤くなった。
七条はというと瞳を細めて微笑むばかり・・・・・・
岩井はゆっくり立ち上がると、木炭とキャンバスを片付けていく。それを見た啓太は焦ったように両手を握って胸元に添えた。

「岩井・・・・さん・・・・・あの・・・・」

啓太に向かって岩井は片手で扉を開きながら、空気のように振り返る。

「啓太・・・・この続きはまた明日にしよう・・・・。七条も迷惑でなければ来てほしい。」
「僕も・・・ですか?」
「迷惑じゃ・・・・・・・・ないなら・・・・・・・」
「いいえ。むしろ嬉しいくらいです・・・伊藤君と一緒にいられるなら・・・ね?」

七条は隣にいる啓太を見下ろしてウインクをしてみせる。啓太はあまりの綺麗な流れにまた見惚れてしまった。

「じゃあ・・・・」



音もなく閉まった扉。





すると待っていましたといわんばかりに七条の両手に啓太がすっぽりと納まった。
突然のことに動悸が高鳴る啓太は動揺を悟られないように上目遣いで七条をオズオズと振り返る。

「七条さん?」
「僕が・・・・」
「はい?」
「僕が今どんなに喜んでいるか分かりますか?」

身を屈めて抱きしめる力は心地よく強まる。
そして、ふいに七条の唇が耳を掠め、啓太の背中にゾクリと言いようのない甘美な波が打ち寄せた。囁く言葉も艶やかに静かに静かに鼓膜から啓太を犯していく。

「君を抱きたい・・・・・・」





















「気持ちいいですか・・・・・?」

「・・・・はぁい・・・・・・・・あっ・・・・はぁっ・・・・・・・」

ジュプジュプと七条の指が啓太の中を掻き回すたびに下半身を露出させた啓太は太股をビクビクンと震わせた。鍵を閉めはしたものの誰が来るのか分からない美術室で、シャツもネクタイも上着さえも身に着けているのに下半身だけ視姦されながら弄られる・・・・普段と違う感覚に益々啓太自身から雫が溢れ、伝ってしまう。それでも浅ましく腰は無意識に揺れて七条自身もどんどん煽られていった。それは啓太から見てもズボン越しに分かってしまうくらい膨張していた。

「おみさん・・・・もう・・・・お願いします・・・・・んぁ・・・・っ」

急に指を引き抜かれ啓太はモノ欲しそうに舌で唇を舐めてしまう。
そして眉をひそめると両足を広げる間に割り込んでいる大きな身体の主を切なげに見上げた。

「どうし・・・・・・・・あぁっ!」
「ほら・・・・これはどうですか?君の中の深い場所に絵でも描いてみましょうか?」
「いやぁ・・・これっ・・・・あぁっ・・・・」
「筆でも感じて・・・・・・ふふっ・・・・・・」

容赦なく奥をグラインドする筆の持ち手に啓太は身体を左右によじる。
七条はいつの間にか露出した己自身をひっそり啓太の片手に握らせ、啓太は大きく瞳を開いた・・・。逞しさだけでなく筋さえもしっかりと手の平から受け取り、啓太の顔は真っ赤に染まった。
誘うように焦らすように七条がそのまま腰を揺らして啓太の耳元で囁く。

「どっちが・・・・いいですか?」
「そんなの・・・・・・」

啓太は緩く七条自身を擦る。そして瞳を細めるとウットリと七条を視界に入れる。

「七条さんが・・・・いい・・・・・・・・・・あっ・・・あぁっ!!」
「啓太君・・・僕もですよ・・・・・・」

筆と引き換えに入ってきた七条自身に啓太の蕾が快感に悲鳴をあげる。
そして休むまもなく七条は腰を前後に振って啓太の中をどんどん支配していった。
股のぶつかりあう音が静かだった室内に響く。身近に聞こえるのはお互いの吐息。

「あぁ・・・いいっ・・・・もっと・・・もっと・・・っ」
「・・・・けいたくん・・・・・僕の・・・啓太君・・・・」
「おみさ・・・・・あぁ・・・・っ・・・・・あああぁっ」

身体をビクビクと痙攣すると同時に濡れる腹部。
放出した啓太はうつろな視線で何度も荒い呼吸を繰り返す。
七条はそっと啓太の前髪を撫でると小さな音を立ててその額にキスを降らせた。

「啓太君・・・・・・。」
「臣さん・・・・・ちょっと・・・・イジワルでした・・・・」

恨めしげな顔をしながらも責めるような様子は啓太にはない。
七条は今気づいたかのようにチラリと濡れて転がっている筆に視線を落としてから啓太を見ると申し訳なさそうに笑った。

「ふふっ・・・・すみません・・・。ちょっと浮かれてしまったようです。」
「浮かれて・・・・・どうしてですか?」

ふわりと力なく微笑みながら啓太は七条の頬に触れ・・・・何度も撫でる。
それはまるで壊れやすい大切なものを愛しむように。
七条はその手を取ると甲に唇を寄せる。

「うぬぼれても構いませんか?」
「臣さん・・・・?」
「君の笑顔に暖かみが増すのは僕のせいだと・・・・・」
「そんなの・・・っ」

啓太はダルい両腕を精一杯動かしてギュッと七条に抱きつく。
その瞳は少々濡れていて空色が美しく映った。


「臣さんがいてくれるから・・・・俺は・・・・・笑えるんです・・・。」


啓太がえへへっと恥ずかしそうに笑うと


七条はひどく幸せそうに微笑んだ。










己自身の存在が



恋人の笑顔の暖かみとなっている事実。











そう考えた途端にまた心地よく胸が締め付けられた。



七条は前触れもなく啓太の中に入ったままの己自身を揺らす。
すると敏感に反応する啓太の唇から甘い喘ぎが零れた。七条は大きく息を吐くと瞳を細めて囁く。

「啓太君・・・・・好きですよ?・・・・とっても・・とっても・・・・・」
「俺もです・・・好き・・・・あぁっ・・・・はぁあっ」

再び七条の腰が啓太の身体を持ち上げる勢いで蕾を突き上げる。イイところを何度も固いものが擦り上げ、啓太は身体を激しくよじって快感に耐えた。徐々に速さが増す七条の腰つきにどんどん啓太自身がグショグショになる。

「んっ・・・・あんっ・・・・あっ・・・・あっ・・・・・・・」
「あぁ・・・・・・ギュウギュウ締め付けますね・・・・・っ」

七条が啓太の両足首を持って大きく広げさせると羞恥が煽られて感度増してしまう。両足の間で腰を振る恋人の様子を直視できず床に顔をくっつけるように横を向いた。
グリグリとこれでもかというくらい七条自身がぶつかる。

「イ・・・・イくぅ・・・・・・・っ・・・・・・おみさっ・・・・・・」
「ぼくも・・・・一緒に・・・・・・・・っ」
「ああああっ・・・・・あぁっ!!」


蕾が激しく収縮すると同時に七条自身から欲望が飛び出し、啓太の中に勢いよく注がれる。



二人はお互いに抱きしめあいながら荒い呼吸を繰り返した。





















「あれ?啓太はどうしたんだ?」











次の日、美術室にて


岩井は約束の二人を待っていた・・・・・・のだが・・・・・






「すみません・・・・・。」









不思議そうに首を傾げる岩井を他所に


全く悪びれなくニッコリと微笑む銀髪の彼の姿しかないのであった。




























岩井さんと七条をどうしても絡ませたいのと
筆を使ってみたかったので
こんな感じになりました(笑
ちょっとキュンキュンものを目指してみたりvv