Alkanet 





「ソー。この子は今日からお前の弟だ」
 そういって父に見せられたのは白い布に包まれた赤子だった。曇りのない灰緑の瞳が自分を見つめ、あどけなく開かれた唇が言葉にならない声を発する。自分の指を萌芽のような小さな手に近づけると存外に強い力で指を掴まれる。
「お前の弟であり、伴侶になる者だ」
 告げられた言葉の半分は意味の分からないものだった。だが俺はすぐに新しい家族に夢中なっていた。父に名を尋ね、ロキ、ロキ、と何度も赤子に呼びかける。名を呼びかけるたびに声を発する弟が愛しくて仕方がなかった。抱くことを乞うと柔らかく温かい塊を自分の腕に託される。落とさぬようしっかりと抱きしめ、滑らかで丸みのある頬にほおずりをする。この子ならばきっと大丈夫。そう養母が父に語り掛ける声が聞こえてくる。凍てつく冬の国、ヨトゥインヘイムの悪しき王を滅ぼすために向かった父が何故赤子を携えて戻ってきたのかは分からなかった。希望の光が二人にあらんことを。言葉とともに硬く厚い掌が自分の頭を撫で、ついで小さな弟の頭を撫でる。守るべきものが出来た喜びに俺は目を輝かせ、もう一度柔らかな赤子の頬に顔を摺り寄せた。





「おい、ロキ!もう戻るんだ!」
 新しい余興を告げるファンファーレが鳴り響く中、祭りで浮かれる民衆に圧し潰されそうになりながら必死に声をかけ続ける。
「衛兵の見張りがついた祭りなんて楽しくないよ。いい場所を知っているんだ!そこに行こう」
 初めて対峙したころから八年が過ぎ、俺たちはプエリティア(七〜十四歳)に区分される年齢にさしかかっていた。弟のアスガルド人にはない青白い肌と、幼いながらも怜悧な美貌はその異質さを際立たせるものだった。和合の証として王は我が国の王子を差し出した。自分が氷の巨人の王、ラウフェイの息子であるロキの許婚だと知った時、そう憎しみの混じる声が幼い弟には向けられていた。父上の決断が最良の選択だったと信じる俺は必死に小さな兄弟を守り続けた。互いを慕い、仲睦まじく過ごす様子に次第に憎しみの声は消えていった。だが完全に遺恨が無くなった訳ではなかった。自分たちが警護をまいたことを知り、衛兵隊長の嘆く姿が目に浮かぶ。まだ少年でしかない自分一人ではこの賑やかな祝祭の場で弟を守り切れるとはいいがたかった。パレードの煌びやかな隊列に紛れてロキの姿が隠れそうになる。急いで駆け寄りその手を掴むと、ねだるように腕を引かれる。観念した俺はそのまま共に弟の望む場所へと向かっていった。




「どうだい?見晴らしがいいだろう?」
 街はずれの古びた尖塔の中でそう自慢げにロキが話しかける。遠くには玩具の人形が持つ小籏のように様々な色使いの槍旗がパレードの行進とともに上下し、広場で行われる模擬剣劇で闘士が剣を振るう様も視界に入る。喜びに満ちた人々の歓声、楽人の奏でるファンファーレ。遠くから眺める祝祭もまた楽しいものだった。
「ああ、いい眺めだ」
 鉄の桟で固定された木製の鎧戸の隙間から遠方を見つめながら喜色満面で頷くと、自分の黄金の髪が緩やかに撫でられる。
柔らかな何かがつむじにあてられ、それが弟の唇だと分かると気まずさに口元を引き結ぶ。最近のロキはどこか妙な部分があった。自分と同じように幼さの残る少年であるにも関わらず、二人きりになると酷く残酷な言葉を口にする。添い寝をせがむ弟は誰が見ても兄を慕う愛らしい王子でしかなかったが、寝所では寝衣の中に手を滑り込まされ、様々な部分を撫でられるのもままあることだった。注意すると仲良くしているだけだとにべもなく突き放される。そうして暫くするとまた同じように裾から白く華奢な手を潜り込まされ、胸や腿を撫でられる。時折閨の中でロキが硬くなったなにかを背後から自分の臀部に擦り付けるのも恐怖を覚える事だった。だが弟にされていることを父母には打ち明けたくはなかった。そのことで二人が悲しむことを、そして何らかの罰がロキに与えられることを回避したかった。

「兄上…」
「っ……!」
 ひんやりとした白い小さな手が胸元に滑り込み、胸の先端をきゅっ、とつまむ。
「ロキ!!だめだッ…」
 振り返り窘めようとした自分の唇が濡れた柔らかな唇に覆われる。初めての口づけだった。それがこのような場所で、同意もなく行われたことが信じられず、呆然とする自分に嬉しそうに弟が微笑む。
「さっきプラム・シャトル(干し果実とスパイスのケーキ)を食べたせいかな。兄上の唇って甘酸っぱくて美味しい…」
 大粒の涙がぼろりと自分の左目から落ちていく。それを見たロキの灰緑の瞳が驚きで見開かれる。涙をこぼしたことを恥じ、乱暴に目元を拭うと弟の細い手首を強く掴む。
「…帰るぞ」
「でもまだ…」
「いいから、帰るんだ!」
「……」
 その後王宮に戻るまで俺たちは無言だった。自分が弟を連れ出したのだと父に告げ、罰として暫くの外出を禁じられた。自室で数日を過ごし、その間、ロキは何度も控えめに部屋の扉を叩いた。だが一度も俺は招き入れることはしなかった。どういう顔をして弟に会えばいいか分からなかったからだった。ロキを初めて見せられた時、弟であり、伴侶でもあると告げた父・オーディンの言葉を漸く理解し始めていた。



 夜、就寝前に侍女に連れられ暖炉の前に座り、髪を梳かれる。もう遅い時分だというのに扉を叩く音が不意に聞こえる。対応しようとする侍女を制し、扉に向かうとか細く自分を呼ぶ声が聞こえてくる。扉を開けると小さな塊が必死に自身にしがみつく。着せられたばかりの絹の寝衣が腹部を中心にじんわりと温かく濡れ、弟が泣きながら謝る声が聞こえてくる。
「おいで、ロキ」
 弟を連れ、共に寝台に横になる。
「俺は怒ってなんかいないぞ、本当だ」
 ただ、少し驚いたんだ。赤くなった目元をさすってやりながらそう声をかける。
 側仕えの侍女によって毛皮の上掛けがお互いの上に掛けられ、寝台上部につけられた亜麻の吊り布が静かにおろされる。二人きりになった空間の中でまだ幼い泣き声で喉を震わせる弟をしっかりと抱きしめる。何よりも愛しいただ一人の兄弟をどう慰めればいいのか。そう思案した俺は穏やかな声で弟の名を呼び、そっと自分の瞼を閉じる。暫しの沈黙の後、細い腕が強く自分の首に絡みつく。押し当てられた柔らかな唇が二度目の口づけをもたらし、涙が滲んだままの笑顔で自分を見つめるロキに、俺は同じように笑顔を返した。











「んっ…んんッ…」
「兄上、受け取った花の色が変わったのに気付いただろう…?」
「あっ…あっ…!」
「白から紫へ…少しずつ贈る花の色を変えているんだ…私たちが結ばれる日には鮮やかな紫の花を届けるよ…」
「ああッッ…!」

『この金の指輪をもって私は貴方を我がものにします。忠実な心と愛をもって慈しみ続けます』

 10年が過ぎ、俺とロキは十分に成長した若者になった。四十日間の婚姻公示の始まりでもある婚約式も厳かに執り行われ、式では自分の指にはめた金の指輪をロキは外し、誓いの言葉とともに俺の指にその指輪がはめられていった。閨で行われる弟の無邪気な"遊び"は年を経るごとに大胆さを増していた。婚約式の日も俺は亀頭と両の乳首に強くロキに噛まれた跡を残し、雄の所有印が刻まれた淫らな身体で伴侶となる男と指輪を交換した。列席した父母や配下のものたちは誰も気づいていなかった。まだ俺の穴は生娘ではあるものの、その身体はすでにロキにたっぷりと悪戯され、けがされていた。柔らかな舌で穴の中の肉ひだをべろべろと執拗に舐められ、肉厚なひだをれろれろとしごかれ、肛門を犯される悦びも俺はすでに知ってしまっていた。

「嬉しいよ…兄上の身体がこんなに美味しそうに育つだなんて…胸も尻も恥ずかしいくらい大きくて…竿も肉穴も酷く卑らしい雌の味がして…」
「あっ……!」
 キルトの上掛けの中で自分の男根が強く吸われ、びゅるっ!とはしたなく精を漏らしてしまう。弟は何度拒んでも毎夜夜這いすることをやめはしなかった。魔術を用い、気配を気取られずにロキは部屋に来ることができる。そう知っていてもなお、勇士としての矜持から、寝台の中で何をされているのかを近習の者たちに知られるのを恐れ、夜は侍女を隣の部屋で休ませるようになっていた。俺のむき出しの二の腕にまで弟は執拗に口づけの跡を残していく。脇の柔らかなくぼみも舌で突かれ、ぬぽぬぽと責められ、肉膣のような雌としての性感帯に完全に変えられ、情事の跡を隠すために長い間軽鎧は着用しなくなったままだった。

「ふふっ…兄上ももう私に悪戯されないと眠れない身体になってしまったんだろう…?乳首をこねると酷くはしたない声音で短いあえぎ声を何度も漏らして…半勃ちの男根をぷるぷると震わせて…尻の穴も指でほじればほじるほど甘い声を出し続けて…」
 初めはただ戸惑いと自分の身体をけがされていく恐れがあった。だが弟の手管は少年でありながら熟達者のように巧みで、俺はすぐに自分の肉体のすべてで官能を感じるようになっていた。仲の良い兄弟だと褒めそやされる陰で俺はロキに肉尻の穴をじっとりと開発され、ひだをにゅぶにゅぶとしごかれる悦びににちゅっ…と腸液をひだのびらびらににじませ、女のように大きな尻を震わせながら男を誘うまでになっていた。孔中は常にひくつき、太く長いものでかきまわされるのを待ち続けていた。自分の二本の指を使ってひだを執拗ににゅくにゅくとしごき、中のくぱっ…とひろがりきった桃色のひだひだを見せつけながら孔辱で射精する自慰も何度も何度も弟に強いられ、時にはお前のものがここに欲しいと叫ばされながら自分の肉ひだをぬぷぬぷにしごくことで快楽をたかめ、肛門にずっぽりとロキの男根代わりの二本指を入れた状態で孔中をこすりあげ、甘い雌声を頻繁に漏らしながら淫らに肉棒から雌蜜をたらし続けた。

「ああ…結婚式が待ちきれないよ…婚礼衣装を着たままのアンタを激しく犯そうか…金銀細工の冠を身に着けた兄上を背後からたっぷりと犯して、竿突きの激しさでその冠を外させてやろうか…氷と暗闇の国の王・ラウフェイの息子の妻になった証として何度も何度も中に種をつけて、翌日には中出しされたままの姿で父上と母上にあわせてやる…」
「んっ…くッ…!ロキ……お前はもう幾度も国のために戦いぬいた…立派なアスガルド人の戦士で父上と母上が誇る息子だ…あの愚かな国のことは考えるな…」
 出自からくる負い目か、過去の迫害が傷を残したままなのか、自嘲するかのように幾度もヨトゥンヘイムのことを弟は口にするようになっていた。
「愛しているぞ、ロキ……俺を全部食らったっていい…だからもう自分の生れを口にするな…」
「……」
 キルトの中に腕をくぐらせ、自分の陰部にうずくまる弟の髪を穏やかに撫でさする。無言で陰嚢の下に唇が這い、雌として熟れ切った肉穴に濡れた舌が押し当てられる。
「――私がもし追放されることがあったとしてもアンタは手放さない…永遠に私のものだ…」
「あッ!あんっ!あんっ…!!」
 淫らにぬぷぬぷと弟の舌が穴ひだをしごき始める。
「兄上…」
「あっ!あっ!ロキッ!ロキいっっ…!!」
 その夜、俺はねっとりと自分の女のように大きな肉尻をあじわわれ続けた。一刻も早くひくつくつぼみに弟の太く硬く逞しい男根を押し当てられ、一気に貫いて弟のものにされたかった。火照る身体でその願望を口にするとロキは酷く嬉しそうな笑みを見せ、細く形のいい指と天鵞絨の舌で明け方まで俺の肛門を犯し続けた。







「兄上の髪は穀物の粒だらけだ」
「ははっ、お前も人のことはいえないぞ」
 やがて迎えた結婚式の朝、自室にはアルカネットが届けられた。小さな青紫の花弁を持つ花。華美よりも素朴な愛らしさが勝る花を選んだことに意外性を感じたが、最後は俺を連想させる花を選んだと告げられ、嬉しさで心がじんわりと熱を持つ。もうとっくにお前のものになる覚悟はできている。式の前にそう告げると、人気のない外廊へ強引に導かれ、濃厚な口づけを与えられた。召使いが探しに来るまで俺たちはそこで唇をむさぼりあった。調教された身体が淫らにほてって仕方がなかった。愛する者とつがいになる喜びで式の間中、絶えず俺の頬には笑顔が浮かび、日ごろ感情の乏しい弟の顔にも満ち足りた笑みが広がっていた。二人の結婚式は国全体から祝福された盛大なものとなり、大勢の民と仲間や父母に囲まれ、絶えず俺たちの口からは感謝と朗らかな笑い声が漏れていた。

 式の後、自分たちにあてがわれた部屋に戻り、笑いながらお互いの身体についた祝福のために投げられた殻粒を取り合う。ふと名を呼ばれた気がして弟の顔を見つめると強く唇が奪われる。
「んっ…!んんッ…」
 身にまとった赤を基調とした豪奢な婚礼衣装が下衣の部分のみを引き裂かれるようにして取り払われる。腰布もはぎとられ、立ったままの姿勢で水漆喰が塗られた羽目板の壁に身体を押し付けられ、女のようにむっちりと肉がついた両の太ももを探るようにしてじっとりと撫でられる。
「ロキ……クラレットを用意させてあるんだ。一緒に飲まないか…?」
 首筋を執拗に吸う弟の胸板に手をあて、狼藉を止めさせる。心臓が早鐘のように鼓動を打つ。ずっと望んでいたことだった。だがいざ抱かれるのだと分かると奇妙な焦燥感に襲われてしまう。式の際、衣装部屋で自分に掲げられたのは黄金の髪を覆う薄いヴェールと香油をかけられ金に塗られた百合の花冠だった。そうしてロキの漆黒の髪には父上の兜を模した銀細工の冠が厳かに載せられ、そこで漸く俺は今まで頑なに隠していた二人の関係が既に周知の事実だということに気づいてしまった。弟の"女"として悪戯される姿や声を誰かに見られたのか。そう思うと羞恥で涙が滲みそうになる。ロキをもうずっと長い間、自分の伴侶と定め、愛してはいたが、戦士である自身が雌として犯されていることは誰にも知られたくはないことだった。養母であるフリッガが柔らかく自分の手を握られなければどうなっていたのか。.愛し合うことは悪い事ではない、とそう母になだめられ、悲しげな瞳で自分を見る弟の姿に浅はかな矜持を持つ自身を恥じる。式の中で俺は幾度も妻としてロキから口づけを受けた。互いに唇を交わすたびに民からは歓声があがり、楽士たちが楽し気な音色でコルネットやシャリムを吹き鳴らした。



「私のものになる覚悟ができていると言ったのは嘘だったのかい、兄上」
 からかいながら弟が俺の頬を撫でる。その穏やかで優し気な様子に猶予を与えられたのだと勘違いした俺は安堵の笑みを漏らしてしまう。
「ッッ!? 」
 不意に自分の身体に強い力が加わり、抗う間もなく強引に左の足を掲げられ、唇をふさがれながら酷く熱い鉄の杭をずんっ…!と肉壺に含まされる。
「んぐううッ…!」
 自身の初物が奪われたのだとそう気づくのに時間はかからなかった。長年の悪戯で熟れた俺の肉穴は酷く巨大なロキの一物での凌辱にも痛みは覚えたものの裂けることはなく、そればかりか嬉しそうににゅぐっ…と桃色のひだでびっちりと全面に太い血管が浮いた赤黒い弟の肉棒をくわえこんでしまう。
「あっ!あっ!いやだあ!!やああッッ…!」
 氷の巨人としての力なのか、自分よりも華奢な体躯であるにもかかわらず、弟の拘束は非常に強く、俺は片足を上部にかかげられた姿のまま処女を奪われ、ゆさゆさと大きな肉尻をゆらされ、自身の肉厚な肉すぼまりを猛り切った剛直でぶぽぶぽと犯された。
「くっ…」
 小さく呻く声が耳朶に注がれ、酷く激しく小刻みにぬめる肉壺が雄の勃起しまくった一物でかきまわされる。
「やっ!やっ!やっ!やあっ!」
 ぶるぶる!ぶるぶる!と自分の女のように大きな肉尻が肉棒の突きで揺らされ、熱湯のように熱い子種がぶちゅっ…と卑らしく中の穴ひだにかけられる。
「やあああああうッッ!」
 拘束されたままはめられた身体が淫らにびくびくと痙攣をおこす。
「ふっ…あっ…!」
 だらしなく開いた唇からよだれが垂れ、ぐちゅううっ…と濃い巨人の子種が初物を奪われたばかりの肉穴の中にしみていく。
「あっ…あっ…」
 その強引に穴の中のびらびらとした部分までびちゅびちゅに種付けされ、雌にされる衝撃にびゅるっ…!と放尿のように自分の肉竿から歓喜の雌蜜がみっともなく垂れていく。
「やあっ…やあっ…!!」
 中出しされ、すべりが良くなったぬるぬるの肉ひだを勃起したままの巨大な男根が再度こすり始める。まるでけだもののようにロキは浅ましく腰を振り、ずぽずぽと俺の肉穴をうがつ。快楽を感じないわけではなかった。子供のころからの悪戯で熟れきった肉の輪をぐちゅっ…と乱暴にけだものの太い肉棒が押しひろげ、欲望のままにめちゃくちゃに中のびらびらをかきまわすたび、胸の先端がせつないほどうずきながら勃起し、桃色の肥大勃起した乳頭を無言のままの弟に音を立てて吸われながら、俺は女としてびゅくびゅくと竿から蜜をふきだし続けた。
「やっ!やんっ!やんっ!いやあああああッ!」
 ふっ、ふっ、と不規則な吐息が何度も耳朶に注がれる。段々と男の呼吸に間がなくなり、ずにゅっ…!と強く尻穴の中にあるひだ奥が硬い亀頭ですりあげられ、俺は無意識にむちむちの肉の輪でけだもののいちもつを締め付けながら二度目の種付けを許してしまう。
「やあああ!やあああッ…!」
 今度は量も多く、熱くねっとりとした子種が敏感なびらびらの中にぐちゅっ…としみこみ、ぬるううう…と湯気を立てながら白濁としたそれが体内からあふれてくる。

「やあっ……」
「今日の式でこう思ったよ…兄上は戦神としての自分を重んじるあまり、私の妻としては自覚がないのだと…」
 ぬりゅ、ぬりゅ、と音を立てて中の年輪状の肉ひだが赤黒い亀頭にこねられ、しごかれる。これ以上一物で犯されると腸道が弟の勃起竿の形に淫らに変じてしまうかもしれなかった。ロキのいない時でもくぱっ…と淫らに穴中が竿の形に開き、まるで淫蕩な未亡人のように豊満な肉尻を切なげに震わせ、雄の肉根を求めてぱくぱくと中のびらびらが卑らしくひくついてしまうかもしれなかった。

「二つの国の和合の証として私と兄上は一つになったんだ…これからは抱かれた跡を隠してはいけないよ…アンタを男の肉棒がなければ生きられない身体にしてやるから…夜に与えられる褒美のために兄上は私に妻として従順に仕え続けるんだ…」
「ロキ!やあ!あんっ!あっ!やっ、やめてくれ…ッ!犯され過ぎてッ…おっ…おかしくなる…!」
 左足を高くかかげられ、恥部を丸出しにした姿で女のように大きくむちむちの肉尻をぱこぱこと犯され続ける。抽挿が小刻みになると中出しする合図で、髪を振り乱し、泣き叫びながらぶびゅぶびゅと中の穴ひだに種を植え付けられる。その上で胸を激しくもまれながらひだ奥を執拗にずるんっ…!と突かれ、雌として自身の竿からびゅくびゅくと射精しながらくぱっ…と徐々に生娘だった腸道が凌辱者の竿の形に変じ始める。

「あんっ!あんっ!あっ!ああうっ…!!」
「ほら、分かるだろう…?兄上の穴がぐちゅっ…て開いてきた…私が犯していない時はここは空洞になるからね…いつも挿れて欲しくて中のびらびらをぬるぬるにしながら夜を待つようになるんだ…どんなに精悍な顔つきで戦場や王宮にいたって無駄だよ…犯してほしいって熟れた雌の身体でアンタは私に訴えるようになるんだ…夜が待てなければ色々な場所でしよう、兄上……ラウフェイの息子の立派な雌犬にアンタはなるんだ…」
「あんっ!あうっ!あうっ!あんっ…!」
 巨人の力で執拗に拘束される俺に逃げ場はなかった。ぶぶぶぶっ…!とあさましい速さで硬く赤黒い亀頭がひだ奥を突き、俺の陥落をじっと待つ。
「んひっ!ひうっ!ひんッ…!」
 くぷっ…くぷっ…と激しい挿入で突起状のひだひだをこすりあげながら穴中が変化し、ロキの望む勃起男根の形にぬるぬるの桃色の肉壁がくぱっ…と淫らに開いてしまう。

「あっ!ああっ……」
「昔、祭りを抜けだしたことがあっただろう?兄上が結局私をかばって叱られて…」
 情交の汗で濡れた額と額がすりあわされる。酷く間近で灰緑の瞳に見つめられ、その眼差しの熱さが自分にも伝播していく。
「本当はとっておきの場所なんてなかったんだ。二人きりになれるならどこでも良かった…ただこの唇に口づけたかったんだ……」
 酷い凌辱なのにまるで幼い恋人たちのように、触れるだけの柔らかい口づけがもたらされる。
「愛しているよ…兄上……私を受け入れて…」
「やあっ!やああっ!やああああッッ…!」
 何度目ともしれぬ大量の中出しが自分の体内で始まっていく。大切な弟の思わぬ告白に完全に身体がとろけ、雌として陥落してしまう。
「ひっ!ああんっ!あうっ!あう!あんうッ…!」
 まるで交尾される雌犬のようなはしたない淫声が無意識に自分の口から漏れてしまう。ぐちゅうっ…と白く泡立つ種汁を中出しされながら生娘だった桃色のぷるぷるとした肉壁がロキの長太い一物の形にぶるっ…!と完全に変じ、支配する雄の勃起した竿の形の肉穴を持つ卑らしい雌畜になってしまう。
「あんっ!あっ!あっ!ああんッッ…!」
 そのまま片足を抱えられた姿で雄の欲望のままに猛り切った肉棒で女のように大きな肉尻をずんずんずぽずぽと突きあげられ、幾度も幾度も飽きるまでぶびゅぶびゅと中出しされ、むっとする雄の精の匂いで満たされた中で甘い雌声が絶え間なく部屋中に響き続ける。

「あっ…はあっ…」
 ようやく身体が解放された時、俺は乱れたヴェールと百合の花冠を被り、かろうじて婚礼衣装の上衣部分にあたるトガだけが両腕に残された姿で、床の上でむちむちと肉のついた両の太ももをはしたないほど大きく左右に広げ、弟の肉棒の形にぬっぽりと開いた肛門から大量の種付け済みの白い子種を湯気とともにぶちゅぶちゅと噴き出しながら、受精された衝撃でびくびくと身体を震わせていた。

「ふふっ…"女"として初物を私に奪われたその顔もたまらないよ兄上…屈辱と欲情が混じったいい顔だ…予想以上に素晴らしい初夜だった…私の肉欲を常に治める妻としてこれからじっくりとアンタの身体を躾けていけるだなんて夢のようだよ…」
 装飾が施された象牙の細口瓶から腰高の杯にゆっくりとクラレットが注がれ、優雅な仕草でそれが飲み干されていく。
「兄上、口を開けて…」
 寝衣に着替えたロキが伸し掛かり、まだ雄の子種で全身がけがれたままの俺に口づけ、口移しで酒を飲ませる。
「んっ…んう…」
 途中性感を高めるように舌をねっとりと絡められ、もう無理だと無言で首を横に振る。
「少しからかっただけさ…さあ、もう眠ろう…」
 自分の大柄な身体を弟が苦も無く抱え上げる。寝台まで運ばれ、凌辱されたままの姿でともに休むことを強いられる。
「朝になったらまだ婚礼衣装を身に着けたままの兄上の中から私の精をかきだしたいんだ…犯された初夜の花嫁をもう少しだけ堪能させてくれないか…?」
 そう蠱惑的な声音で問われ、無意識のうちに首肯してしまう。きっと弟は朝勃ちした自らの巨大な男根で自分が中出しした子種を俺の豊満な肉尻からぶぽぶぽとかきだしていくだろう。すべてが丸見えになった眩い朝の光の中で汚された花嫁姿のまま、俺とロキはみだらな交尾を続け、ぶちゅぶちゅとまた大量に肉ひだの中に巨人の子種を種付けされ、歓喜の声をあげ続けるに違いなかった。だがそれでも良かった。
「お前が望むなら――」
 想いを口にすると穏やかな幸福が雪のように二人の上に降り積もる。深い口づけを交わした俺たちは互いに笑みながら抱きしめあい、子供の頃のように共に眠りに就くのだった。