a secret friend 


 




「おお、来たのか」
夜半、どこからともなく現れたものに目を細めて出迎える。

「久しぶりだな。どうしていた?」
初めて"それ"を目にしたのは八歳の頃だった。蛇が大好きな俺は何度も野原や森から蛇を連れ帰り、そのたびに侍女達に悲鳴を上げさせていた。あまりに彼女たちが騒ぐので、父上から連れ帰ることを禁止されたほどだった。
そんなある日、下の中庭にある厨房近くの果樹園で一匹の蛇に俺は出会った。林檎が成る枝葉の先にまどろむように絡みつき、灰緑の丸い瞳がじっとこちらを見つめていた。淡く光っていると思えるほどの真白い蛇。思わず手を伸ばすとするするとそれは俺の腕に絡みついてきた。その時の歓喜をどう表現したらいいものか。とにかく俺はその白蛇を胸元に隠し、こっそりと部屋に持ち帰った。そうして思う存分、厚みのある脂質がつく、そのぬめる表面を撫で続けた。
翌朝、白蛇は跡形もなく消えていた。あんなにも美しい、見事な蛇はもう二度と出会えぬのではないか。そう思い、俺は肩を落とした。だが数日後、またその蛇は俺の前に現れた。しかも果樹園ではなく、王宮の自室に。奇妙な邂逅はその後も続き、自分と同じ小さな蛇は徐々に体積を増し、俺自身も華奢な子供から成人間近の筋骨たくましい若者へと変貌を遂げていた。

「お前に会えず、淋しかったぞ」
嬉しくて頬を蛇に摺り寄せようとすると、嫌がるようにするりと自分の腕から逃げていく。だが完全には離れず、あの丸い灰緑の瞳でちらちらち舌を出しながらじっとこちらを見つめてくる。触れようとすれば離れ、離れようとすれば近付く。まるで誰かのようだった。見目麗しいものの、年を経るごとに扱いが難しくなっていくただ一人の兄弟。気まぐれで、時に残忍で、だが時折は昔のように"兄上"と俺を呼び、慕ってくる。あまりにも似すぎているからこそ、会うたびにこの白蛇が愛おしくなってしまうのかもしれなかった。

「ん…?」
逃げた筈の蛇がまた近付き、女の腕ほどの太さがある胴体が二の腕に絡みつく。そうして強請るようにちらりと二股の長い舌を覗かせる。
「なんだ、挨拶がしたいのか?」
奇妙な古い友との、昔からの慣習。蛇の方に顔を近づけ、舌をそっと出してやる。
「んっ…」
味わうように小さな二股の舌が俺の舌先を撫で上げる。満足したのか、蛇行しながら胴体が俺の下腹部に移動し、床に落ちぬように曲げた片腕で長い全身を支えてやる。
「また今夜もここで夜を過ごせばいい…」
穏やかに話しかけ、滑らかな鱗を撫でながら共に寝台に向かう。この美しい白蛇は本当に奇妙な生き物だった。まるでこちらの言葉が分かるかのように、話しかける俺を見つめることもあったし、酷く悪戯が好きだった。八歳で初めて出会った頃、共に眠りに就いた寝台の上で、胸元に潜り込んだ蛇に胸のさきっぽを強く噛まれ、あまりの痛みに泣いてしまったことを思い出す。慰めるように赤く腫れた乳頭を体温の低い二股の舌が舐め、俺は奇妙な心地を感じてしまったことを覚えている。共に眠れば、必ずこの白蛇は俺に様々な悪戯をしかけてくる。そのたびに窘めるものの、一向に悪戯は止まないままだった。そのぬめる胴体を捕まえ、バルコニーから外に放り出してしまえばいい。あまりに我を通す奇妙な生き物にそう考えたこともあった。だが俺の腕の中で大人しくとぐろを巻いて眠る白蛇はどうにも愛らしく、厳しくたしなめることも一向に出来ないままだった、

「あっ、こらっ…」
寝台に横たわった俺の髪の中に蛇が胴体を入れようとする。今日は母上が丁寧に結ってくれた髪だった。天鵞絨の赤い布紐で幾重にも結われた黄金の髪。肩まで長さのあるそれの中にぬるっ…と胴体が潜り込み、綺麗に整えられた髪をほどけさせてしまう。
「まったく…どうしてそんなにお前は俺の髪で遊ぶのが好きなんだ…?」
髪の中から引きずりだし、長い胴体を掴んで軽くしかる。ちゅっ、と謝るように俺の唇の表面に二股の舌が押し付けられる。そのままするすると蛇の胴体が太い首に絡みつき、寝衣のすき間から胸元へと流れるように移動していく。
「あっ…!」
体温の低いぬめる蛇の硬いうろこを持つ腹がずりっ…、と両の乳頭の上を這いずっていく。この奇妙な友との子供のころからの遊び。
「んっ…」
悪戯に慣れさせられた身体はただひと撫でされただけでぶるんっ…!と胸の先っぽが大きく肥大し、勃起してしまう。
「あっ、あっ、あっ…」
そのまま小刻みに膨れた敏感な乳頭の上で胴体を小刻みに動かされ、びくびくと身悶えてしまう。
「んっ、んっ…」
いつから性的な悪戯だと気付いたのか。小さな蛇が自分の小さな陰茎に絡みつき、きつく締め付けられた時か。罪悪感のある快楽と共にびゅくびゅくと蛇の胴体にしごかれて射精してしまった時か。
「あっ!駄目だッ…!」
灰緑の丸い目がこちらを見つめながらくぱりと小さな口を開ける。それが何をくわえたがっているのかは一目瞭然だった。目の前には嬲られたばかりのぴくぴくとひくつく膨らんだ乳首。ほどこされる快楽を予感して、だらしなくひくつき始める桃色の乳穴。
「やあっ…!」
かぷっ、と音を立てて勃起した敏感な乳首が噛まれてしまう。
「痛いっ!いたいッ…!!」
痛みを訴えている筈なのに奇妙に瞳が熱く濡れてくる。
「ふあっ!ああッ!」
二股の舌先がずるっ…!と乳穴に潜り込む。
「だめだっ!だめだっ!あっ!あんっ!あんっ!」
肉付きのいい尻をぶるっ、ぶるっ、と揺らしながら、乳首を犯される感触に耐え続ける。
「ううっ!んんうっ…!!」
長い舌がずりゅうううっ…と乳穴の奥深くまで潜り込み、過敏なほど感じてしまうむちむちの乳頭をぐちょぐちょに犯される。
「あっ!あんっ!あんっ!あんっ!」
肉悦でぶるっ…と舌がはみ出てしまう。薄い寝衣の中がじっとりと汗ばみ、身体に絡みつく体温の低い蛇の胴体がぬるっ、ぬるっ、と動くたび、肉付きのいい身体が犯される刺激でぶるっ、ぶるっ、と揺れ動いてしまう。
「あっ!あっ!あっ…」

それからどの位なぶられたのか。数えることも出来ないほど執拗に乳首を両方とも犯され、びくっ、びくっ、と乳穴が蛇の舌の太さにくぱっ…と開いた恥ずかしい凌辱姿のまま、全身をぬめる蛇がずりずりと這いずり回る。
「はっ…はっ…」
悪戯された後は酷く惨めな気分になってしまう。どうしてこんなに卑らしい悪戯を繰り返すのか。嬲るように身体を這いずり回られるのか。年を経るごとに悪戯の強引さは増し、だがあまりにも愛おしい存在過ぎて強く叱ることも出来ず、それがこの奇妙な友を増長させてしまっていた。

「なあ、お前…もしかして番(つがい)が欲しいのか…?お前が気に入る様な美しい雌蛇を探してやろうか…?」
蛇の雌雄の見分けがつくわけではなかった。だがどうしてもこの支配欲が同性の自分と通じる気がして、思わずそう声をかけてしまう。密かに自慢に思うこの黄金の長い髪の所為で、小さく奇妙な友には俺が雌に見えるのかもしれなかった。
「んっ…」
灰緑の目がちらりとこちらを一瞥した後、まるで寝衣を脱がす様に着衣を長い胴体にひっかけ、じっとりと濡れた肌からはぎ取っていく。だが全部脱がすことは無く、寝衣がまだ残ったままの陰部に蛇行しながら近づいていく。
「そこは駄目だっ…!」
さすがに慌てて声を掛ける。そこを悪戯されたことは勿論あった。数えきれないほど何度も。だが悪戯されるたび、屈辱も澱のように溜まっていった。"あれ"が通過する動きを一人寝の時に思い出し、眠れない夜をまんじりと過ごすこともあった。どこかで待ち望んでいるのはないか。自分が自分でそう思うことがどうしても嫌だった。

「これ以上するならもう二度と俺の部屋には入らせないからな…ッ」
上体を起こし、少し乱暴に柔らかい蛇の胴体を掴み、寝台の上に放り出す。亜麻のシーツの上でゆったりと長い胴体がとぐろを巻き、ちらちらと二股の舌を出しながら、丸い灰緑の瞳がじっとこちらを見つめてくる。どこまであの困った弟に似ているのか。少ししおらしく見せながら、許しが来ることを当然のように待つ態度だった。自分が可愛がられてると分かっている余裕すらあった。八歳の時からの仲だった。悔しいがどんなに大きくなっても、どんなに度を越した悪戯をされても、愛おしいのは事実だった。

「……」
暫く睨みつけ、涼しい顔で舌を出し入れする姿を眺め、溜息を吐く。
「…どうしてもしたいのか…?」
首肯するようにするりと二股の舌が伸び、伸びた時と同じ速さで引っ込んでいく。
「まったく…」
毒づきながら寝台から降り、小卓の上にある雪花石膏の容器に手を伸ばす。中にはアヤメの花から作った香膏があった。
「少し待っていろ…」
寝台の上にいる白蛇の目の前で両脚を開き、準備するのは流石に抵抗があった。バルコニーのある窓辺に近づき、用を足す子供のように寝台に背を向けてしゃがみ込み、片手で壁に寄りかかり、もう片方の香膏のついた手を大きく開脚した股の間にそろそろと持っていく。
「んっ…」
期待しているのか、尻の狭間にある肉厚な肉の輪はもうすでに熱かった。びちびちと暴れながら女の腕ほどもある蛇の胴体が肉の輪の中に入るたび、俺は嫌がり腰を振った。だが蛇本体の脂質でぬめる胴体は更に奥へと入り込み、気付けばぬぽぬぽと恥ずかしい穴を小動物に犯されてしまっていた。
「んっ…んっ…」
人差し指と中指を入れ、ちゅぷちゅぷと慎重にほぐしていく。乱された寝衣は臀部以外はすべてはだけてしまっていた。その残された寝衣すら、薄い生地のためか背後にいる白蛇には恥ずかしいほど大きな肉尻がくっきりと丸見えになってしまっていた。肛門をほぐす姿もしっかりと見られているのだろう。そう思うと恥辱と奇妙な熱で身体がどんどんととろけていく。

「あッッ…!」
不意にぐぬりと敏感な肉の輪に小さく硬いものが押し付けられる感触があった。それが何かを知覚する前にズヌヌヌヌッ!と長く太いものが肛門を犯していく。
「ああっ!」
もたらされる肉悦にはしたないほど両脚を大きく開いた姿のまま、ぶるっ!ぶるっ!と大きく上下に揺れてしまう。まだ僅かに残っていた養母の結った赤い布紐が犯される刺激で揺れ落ち、挿入でぶるぶると揺れる股の間にぱさりと落ちていく。
「待てといっただろッッ…ひっ!ひんっ!ひんっ!」
太い蛇の胴体が目にもとまらぬ速さでズンズンと肉厚な肉の輪の中で出し入れを繰り返す。
「あっ!あんっ!あんっ!あんっ!」
その激しさに思わず眼前の壁にもたれかかり、みっともない甘くとろけた雌声を漏らしてしまう。
「あんっ!あんっ!あんっ!あんっ!」
奇妙な友の小さく硬い頭がずぬぬぬっ…と淫肉をかき分け、最奥に向かっていく。少しふれられただけでも感じてしまうのに、ぬめる冷たく太い胴体が無遠慮に淫肉のひだひだをしごき、むちっ…、むちっ…、と捕食される雌として肉の輪の中が卑らしくとろけきってしまう。
「あっ!あっ!激しッッ…!あっ!あっ…!」
尻尾のように肉厚な肉の輪に雄蛇の胴体を挿入されたまま、ぶるぶると女のように大きな肉尻が雌として淫らに上下する。
「あっ!あんっ!あんっ!あんっ!」
犯されていることが丸分かりの、小刻みに動く卑らしい振動を犯す者に見せつけながら淫らな責めに耐え続ける。
「あっ!ああッ…!」
酷く長い蛇の胴体がすべて挿入された訳では勿論なかった。その五分の一ほどが自分の肉の輪にぬっぽりと入り込み、俺が悶えるたび、入りきらなかった長い胴体がゆっくりとうねっていく。

「あっ!あっ!そんな奥まで入られたらッ…!!」
涙目のまま蛇の頭が最奥に到達するのを阻止する為に懇願してしまう。
「んんうっ…!!」
ずりゅんっ!と乱暴に硬く小さな頭が最奥のしこりを押しつぶし、感じきったとろけ顔のまま、肉悦で壁に爪を立ててしまう。
「んうっ…!」
無意識に小動物に犯され支配されきった豊満な肉尻が陥落をあらわすようにぶるんっ…!と上下に揺れてしまう。
「あっ…」
自分でも耳をふさぎたくなるほどの甘ったるい声が響き、肉厚な肉の輪からつうっ…と犯された淫肉のびらびらから分泌された腸液がひとしずく垂れていく。
「!? だめだっ…それはだめだッッ!!だめっっ!」
挿入した白蛇が必ずやりたがる行為の瞬間が迫ってくる。
「ふあっっ…!!」
じっとりと汗ばんだはしたないほど大きな俺の肉尻がぶるっ…!と揺れる。そのむちむちとした二つの尻たぶの狭間にある肉の輪の最奥、ぷるぷるとしたしこりに蛇の小さな二股の舌が押し当てられ、ぶぶぶぶぶっ…!とそのしこりと卑らしく揉みこみ始める。
「あっ!あんっ!あんっ!あんっ!」
過度の快楽に膝が頽れ、豊満な肉尻だけを掲げた姿で地面に全身を押し付ける。
「あっ!あひっ!あひんッ!だめだっ…!」
そのあまりにも卑猥な快楽から逃れようと尻をふるたび、にちっ…、と敏感な肉のしこりに小さな舌があたり、ぬぷぬぷと舐めしゃぶられる。
「あんっ!あんっ!あんんうっ!」
雌犬のようにあえぐ俺の声が自室に響き、ぶちゅっ…!とはしたなく最奥から発情で腸液が分泌する。
「あんっ!あんっ!あんっ!」
くぱっ…と蛇の太い胴体の形に開いた桃色の肉の輪の中でぬめる白い腹がすさまじい速さで前後する。
「だめだっ!だめだっ!だめええええッッ…!」
勢いをつけてズニュッ!ズニュッ!と長い胴体全体を使い、肉の輪を抜き差しされ、ぶびゅっ、ぶびゅっ、とはしたない肉悦で次々に腸液が分泌され、ぶっ!ぶっ!と太い蛇の腹が上下するたび、その結合部からはしたない淫蜜がふきこぼれる。

「あんっ!あっ!あっ!あっ!父上ッ…たすけてっ…ちちうえッ…」
思わず子供の頃のように父の名を口に出し、縋ってしまう。だが口にした途端、更に蛇の抜き差しがズニュズニュと激しくなり、最奥のしこりをぬぷぬぷとつつかれながら女のように大きな肉尻を卑らしい動きでねっとりと犯されてしまう。
「もうイクっ…イクっ…」
うわごとの様に呟きながら淫らに尻を振り、勃起した自分の肉棒をこすり始める。
「イクイクっ…イクイクッ…!」
綺麗に結ってくれた母の愛情を裏切るようで、完全にほどけてしまった髪が蛇の太い胴体に肉尻を犯されるたび、ゆさゆさと揺れるのが悲しくなってくる。だがその罪悪感すらもうすぐ射精できる淫らな悦びの前で掻き消えてしまう。
「あんっ!あんっ!あんっ!あんっ!」
ぶにゅっ、ぶにゅっ、と小さく硬い蛇の頭が最奥にある肉のしこりを押しつぶし、そのたびにはしたないほど大きくむちむちとした肉尻が上下にぶるぶると揺れ、ぶびゅっ、と犯される悦びで分泌した淫汁が肉穴の奥から溢れてしまう。
「イクイクイクっ!いくうううううっ…!!」
ひと際甘い声で啼くと同時にずにゅうううっ…!とすりつぶす様に蛇の頭が肉びらにあたり、淫らな笑み顔のまま、ぶびゅっ!と抜いていた自分の肉棒から射精してしまう。
「出るっ…でるううっ…」
びゅーびゅーと男根から精を噴き上げながら、ぬぽぬぽ、ぬぽぬぽと卑らしく開ききった桃色の肉の輪を白蛇が執拗に犯し続ける。穴の中がもう完全に雄用の交尾穴と化し、射精を終えるまで肉ひだのびらびらをズポッ、ズポッ、とぬめる胴体で犯し尽くされる。
「あっ!ああっ…!」





「まったくお前は…」
すべてが終わり、乱れた姿のまま床に寝そべり、自分の前腕に緩く巻き付く蛇の頭を軽くつつく。叱られたことが不服なのか、二股の舌先が一瞬現れ、またするりと戻っていく。
「どうしてお前はこんなにも似ているのだろうな…」
寝衣の裾で自分の体液で濡れた蛇の胴体をぬぐってやる。小さな頭がすぐ目の前に迫り、丸く灰緑の瞳がじっと自分を見つめてくる。
「愛しているぞ…お前のことも、ロキのことも…」
ちゅっ、と音を立てて白蛇に口づける。
「だが悪戯はもうほどほどにするんだぞ」
その忠告が意味をなさないものだということは良く分かっていた。だがまるで了承するように、自分の唇に蛇の口が口づけ返し、その様子に思わず俺は笑みを漏らすのだった。