Houstonia
目覚めるとまだ夜は明けていなかった。鉄の桟で固定したよろい戸の隙間から見える空は月もおぼろで暗く、夜明けを伝える小波のような白霞みもその藍の空には混じっていなかった。
ふと冷やりとした心地を感じ、自分の手を見ると戦傷が残る俺の厚い手のひらは骨ばった白く細い手に覆われていた。いつものように熱く交わり、すべてを奪われた。肉悦で声も出せなくなるほど女のように大きな尻を犯され、ずにゅずにゅと耳を塞ぎたくなるような恥音を立てながら肉穴を攻められ、たっぷりと種をつけられた。
『兄上のここはもう"女の穴"だ…雄の勃起した一物で突けばつくほど濡れてむちむちとした肉ひだがひくついてくる…』
卑らしい雌犬め。そうなじられながら俺は何度も何度も犯された。父上の生殺与奪がロキの手にある以上、逆らう術など俺には残されていなかった。挿入された肉尻の上で激しく腰を上下に動かされ、桃色のむちりとした肉ひだを勃起した竿の形に肉穴の中でぬぐりと広げられ、年輪のように重なった敏感なひだの全てを太い肉筋の浮いた肉棒でずるずるとこすられ、穴をずっぽりと犯される心地に幾度も自分の唇からは熱く淫らな雌声が漏れ続けた。
『これが欲しいのか…?』
そういいながら弟は絹のトリコットで出来た脚衣の紐を解き、勃起し腹につくほど反り返った自分の巨大な肉竿を見せ付けた。
弟の優美な外見に反し、陰茎は異様なほど太く、逞しく、ひだをしごき掻きだす為の肉かさはびんびんに広がり、馬の一物のように大きな亀頭の中央にぷくりと口を開けた鈴口はいまにもぶびゅりと子種を噴き出しそうで、自分を犯す為だけにある雄の卑猥な肉具を見せられると、無意識に瞳は潤み、太い首を嚥下させながら唾を飲み込み、大きな肉尻のはざまにある貫通済みの肉穴はひくひくと卑らしく壁をひくつかせてしまっていた。
『ああッッ…!』
そうしてずるりと大蛇のようなそれが柔らかくほぐされ油でぬるぬるに濡れた肉穴に挿入されると俺はすぐに自分の肉棒から雫を垂らし、女として犯される喜びを男に如実に伝えてしまっていた。
もう達したのか。そうからかい外耳を舐められながら背後から腰を掴まれ、四足をついた雌犬の姿勢でずぽずぽと犯される。陵辱される前に当然のようにロキの選んだ優雅で美しく、芳しい香りのする花を耳元にかけられるのも、素裸に肌がすけるほど薄い腰布のみを身に着けた惨めな虜囚の姿をじろじろと眺められ、まるで手篭めにされる女のように乱暴にその唯一身に着けることを許された腰布を激しく引きちぎられ押し倒されるのも、否が応にも雌として犯される自分を高ぶらせられ、望まぬ情交であるにもかかわらずまるで娼婦のように淫らに弟とまぐわってしまっていた。
「っ……」
自分の手を覆う、ロキの雪の様に白く、華奢な指を見ていると淫らな熱がじわりとぶり返しそうになる。
隣に眠る男のこの指に俺は何度も達することを強いられた。雄の種付けと同時に雌として達することを弟は強く望み、俺の肉棒をこする動きもかならず種付けと同時だった。その雌蓄としての肉欲にまみれた悦びが嫌でいつも俺は抗った。だが嫌がるほど弟は興奮し、種付けで達することを完全に身体は躾けられてしまっていた。
『もう駄目だっ!いやだッ!!やっ!ひっ!ひんっ!種が…っ俺の中に…ッ!いやだあああああっ!!』
淫らな絶叫が閨の中で響き、巨大な肉竿でぶちゅん!と女のように大きくむちむちの肉尻を種付けされながらびゅぐりと勢いよく弟の手にしごかれた俺の肉竿から精が噴き上がる。
『兄上…一滴のこらず私の子種を吸い付くすんだ…アンタの肉ひだは馴染みがいい…私の子種を飲むようになってよりつやつやと卑らしい色になって照りが出てきたじゃないか…ひだひだの締め付けも女よりすごいぞ…こうやってうねるように絡み付いて精をずにゅずにゅとしぼりだしていく…アンタはもうアスガルドの王子なんかじゃない…勃起した肉棒が好きでたまらない雌犬なんだ…』
ずぽっ!ずぽっ!と上から伸し掛かる弟に激しい恥音を立てられながら、自分の肉穴がロキの太く長く反り返った卑猥なヨトゥンの肉棒の形にずっぽりと広げられ、犯された腸道が勃起した雄の肉根の形に変えられていく。ぶびゅうううっ…!とひときわ強く刺さるほどの勢いで、肉尻の奥の敏感な桃色のひだにまるで受精のように大量の熱い子種をぶびゅぶびゅとかけられる。
『ひぐんっ…!』
ぐにっ!と強引にむちむちとした両の尻たぶを左右に広げられ、びゅぐっ、びゅぐっ、と濃い子種をひだ奥に種付けされている最中の桃色の雌穴をねっとりと弟に視姦されてしまう。
『見るなあッ…!あひっ!あんっ!あんっ!いやだ…ッッ!やあああああっ…!!』
嗚咽を漏らしながら、しごかれてもいない俺の肉竿は視姦されながら種付けされる悦びでまたびゅくりと精を吐き出し、ひくつく肉穴は更なる辱めを望むかのように、男の前でぬっぽりと子種にまみれた肉厚な壁を、大きな白尻の狭間でぱくぱくとあさましく伸縮させてしまっていた。
「……――」
数刻前の情交が残した爪痕が自身の身体を甘く苛んでいく。だがあんなに激しい陵辱が嘘のように、今自分を握る手は穏やかで、包まれる和えかな温もりは労わりに満ちている。
肉悦のあまり気を失ってしまうといつも弟は自分を打ち捨てるでもなく、ただじっと俺の身体を抱き締め続けた。そうして自らの手に持つ杯に注いだ水を口に含み、目覚めた俺に口移しで飲ませていった。喉を伝う雫を拭われ、乱れた髪を梳かれ、精と汗で汚れた身体を清潔な白い亜麻布でぬぐわれる。陰鬱な色をした美しい灰緑の瞳が密やかに自分を見つめ、その全てを隠した優美な面立ちに心を囚われながら静かに時が過ぎていく。
「お前は俺を憎んでいるのか。それとも――」
無意識に漏れた言葉は自身への疑念も呼び起こしそうで、続く言葉を喉奥に閉じ込める。
側で眠る男の血のように紅い唇から吐息がこぼれ、白い瞼がゆっくりと持ち上がる。
夜が明けていないのであれば、まだ夜は続いている。熱く、激しく、すべてを奪われる夜が。
握られた手に力が込められ、弟の腕の中に引き寄せられる。再開を告げる口付けは自身の混沌をも飲み込んでいくようだった。