Break Free
「ロキ、手に持ってるそれはなんだ…」
「氷水だよ、兄上」
「いやだから何でそんなものが入ったバケツをお前が抱えているんだ…?ワインでも冷やすのか…?」
ジェーンが出張で不在中のロンドンのマンションにやってきたロキは奇妙なものを抱えていた。
ごろごろとした大きな氷の塊と水が入った、乳白色の4Lはありそうなキューブ型のプラスチック製バケツ。一見涼しげだがいつもの邪神衣装で暗い面持ちをしたロキが持つと一転して爽やさも霞んでしまう。
「今地球の富裕層の間で行われている慈善行動さ。氷水を被るか100ドル寄付するかを選ぶんだ」
「ほう…っと、うわッッ!!」
頭の中で、きんと脳髄が痺れるほどの冷たさが身体を襲う。ごつ、と鈍い音を立てながら硬く冷やりとした氷塊が頭や肩にぶつかり、ごろごろとベランダの床に転がっていく。グレーブルーのタンクトップを含めた全身が水浸しになり、怒気を孕んだ声で弟の名を叫ぶ。
「ロキッッ…!!!」
「落ち着けよ、兄上。夏場に氷水を被った人間がどんな反応をするのか見たかっただけさ。…ふむ、意外と余裕があるものだな。もし私に指名がくることがあれば被るのもいいかもしれないな」
「お前は…ッッ!」
「フランクで慈善的な神だと思わせれば支配による抵抗も少なくなるかもしれないだろう…?」
空のバケツを振りながらにやにやと笑う弟を見て、馬鹿馬鹿しさに怒気も削がれていく。いつもの悪趣味な悪戯だが人命がかかわらないだけ上等だと思い、ふき取るタオルを探すために室内を振り返る。
「おっと」
ぱしっ、と音を立てて濡れた上腕が弟の白い手に掴まれる。怪訝な顔で振り向くと、血の様に赤く形のいい唇がにやりと口角をあげていく。
「兄上…透けているぞ…」
そういって指がくに、と弾力のある胸の尖りを押してくる。
「…ッ!!」
「寒さで勃起したのか…?氷水をかぶる前より色づいて膨らんでいるじゃないか…」
ぞっとする怖気とともにこそばゆい痒みが胸の先端に広がり、荒々しい仕草で弟の手を振り払う。
「いい加減にしろ!ロキっ!!」
「兄上、こう考えたことはないか…?」
からんと音を立てて弟の抱えたバケツが落とされる。雪のように白く、残虐さを秘めた怜悧な美貌が肉薄し、肌をかぐ様にくん、と鼻が鳴らされる。
「私の相手をアンタがしているから、ミッドガルドの民の命が死の淵から逃れられているんだと…」
ロキが屠った何百という命。顔も知ることのなかったその者達の失われた命の重さが自身の両肩に重く伸し掛かる。
「……ッ」
唇を噛み、うつむく自分の頬を冷やりとした掌が撫でて行く。
「ふふ。ハンマーと同じくらい鈍いアンタにしては呑み込みが早いじゃないか…」
嬉しそうにロキが呟き、先程よりも強い力でぎり、と乳頭がつかまれる。
「くっ!…」
「グレーブルーの濡れた布地に濃いピンク色の勃起した乳頭がこんなに透けてびんびんに勃ってぷるりと膨らんで…なあ、これは私が食べていい果実なんだろう…?」
はあ…と熱い吐息が胸の尖りにかけられる。それだけでびくびくとみっともなく身体が震えてしまう。
ロキの悪戯によって今まで幾度か姦計に陥り、望まぬ身体の繋がりを持つことはあった。
どの情交も忌まわしい記憶として心の奥底に沈めたはずなのにこうして簡単な愛撫だけで身体が反応してしまう。
恋人との甘い睦みあいでは決して味わうことのない、食まれるような肉悦に満ちた性交。屈辱的な交尾の姿。激し過ぎる陵辱に気を失ってもなお、弟は伸し掛かり、失神で弛緩した俺の身体をむさぼり続けた。そうして出来た雌としての欲望。
種付けされることを喜ぶ淫らな身体―――。
「驚いたよ。ミッドガルドの夏は兄上をこんなにも開放的な姿にさせるだなんて…二の腕だけが真白い、むちむちとした丸太のような両椀を酷く小さな上衣の隙間から惜しげもなくさらして…深い襟ぐりは上からのぞけば胸のぷるぷるとした卑らしい尖りが丸見えで…交わっている最中のような上気したベビーピンクの肌もまるで男を待っているみたいじゃないか…」
「ぐっ!ううっ…!」
わざと痛みを与える強さで弟が胸の尖りをかじる。
「うっ…ううっ…」
痛みでじんわりと痺れる乳頭にすぐに温かくぬめった舌が薄いタンクトップ越しにからみ付き、にゅくにゅくと肉竿をさするように乳頭のまわりを舌でべろべろと舐めていく。
「くっ…!」
無意識に漏れた甘い吐息でぶるんっ、とはしたないほど自身の乳頭が大きく勃起したことに気付く。
タンクトップの布地が勃起でつっぱり、くぱくぱと口を開ける桃色のむっちりとした乳穴が、グレーブルーのタンクトップの下で穴の大きさや先端の形がくっきりと分かるほど、恥ずかしいくらい透けてしまう。
「ああ…甘い乳の匂いがするよ…甘露を私の口に含ませてくれないか…」
こちらの恥辱を煽るようによだれを垂らしながらぬぽりと乳頭から赤い唇が離され、勃起と弟による悪戯でぶるんと肥大した桃色の乳頭をくんくんと嗅いでいく。
「…ッ…」
濡れてより鋭敏になった肌に晩夏の夜風があたり、その肌寒さにぶるりと身が震える。それを見たロキがこんなに熱を帯びた身体でも寒さを感じるのかとからかいの言葉をかける。
胸の尖りに受けた陵辱で密かにカーゴショーツの中が緩く反応するのを見透かされた気がして頬が屈辱で赤くなる。
ロキが慇懃ぶった仕草で手を出し、それを掴むのをじっと待つ。相手の望みどおり触れると初めよりも熱を帯びた手が自身の手を覆うように強く掴み、ジェーンの趣味を反映した、どこかクラシカルな内装の室内へと導かれる。
部屋に入り窓のブラインドを下ろすと秘密の匂いがすると背後の弟が笑う。
しゅるしゅると衣擦れの音が響き、胸元をはだけたロキの白い指が自分の右肩に触れてくる。
濡れたタンクトップの紐がずりおろされ、直接発達した胸襟を揉みしだく指の動きに吐息が甘く溶けていく。
うなじに唇が触れ、痕をつけるなという自分の叫びもむなしく、濃い口付けの痕が首や胸元に花のように咲いていく。
枯れた落ち葉の色に似た、オーク材の床の上でむちむちと厚く盛り上がる胸襟ごと胸の尖りをつかまれ激しくもみしだかれる。搾乳のような動きでにゅぼにゅぼと桃色の乳頭をひっぱられ、びんびんになるまで雌の生殖器としてしごかれ、鋭い爪の先で桃色の恥ずかしい乳穴をぐりぐりとほじられ犯される。雌のように啼く自分の甘い淫声が、ブラインド越しに差し込む夜景の和えかな明かりのみが照らす薄暗い室内で、何度も何度もひびき渡る。やがて水を吸った事で濃茶に変化したカーゴショーツが先走りのにじんだ下着と共にずりおろされ、冷やりとした白く長い指が意味ありげに後孔を撫で、雌として種をつけられる瞬間を知らされる。舌で肉穴をとろけるほどほぐされるのを厭い、ふらふらと弟の下から立ち上がり、髪から雫をぽたぽたと垂らしながら、寝室のサイドボードに隠されたローションを手に取る。愉悦の笑みを浮かべた白磁の美貌の前で掌にどろりと潤滑の為の液をたらし、それを自らの指で後孔にぬぐぬぐと塗りこめる。
「……」
いつも合図はなくただ強引に支配されるだけだった。恥辱を隠し、床に腹ばいに伏せ、腰を高くあげてから自身の尻たぶをにゅぐりと掴む。自らの大きな手でも掴みきれないほど大きな尻たぶをくぱりと左右に広げ、憤りの表情で硬く瞼を閉じ、鈴口が吸い付くように自身の後孔にあてられるのをじっと待つ。
「んうっ!!」
膨らんだ赤黒い亀頭冠がぐぬう…と住処に帰る獣のようにむちむちとした肉尻の中にはいってくる。
「ぐうっ!!んうっ!」
ぐっ、ぐっ、ぐっ、と細身の男とは思えぬほどの強い力で肉竿がぬっぽりと桃色の肉の輪を通り、尻穴の中にあるむちむちとした敏感な肉ひだを亀頭冠の肉傘でぐぱぐぱと子種を掻き分ける仕草をしながらぐりゅぐりゅと卑らしくこすりあげる。
「あっ!あぐっ!あっ!ああっ!!」
涙で視界がぼやける。慣らしが十分ではない後孔が裂けそうなほど痛かった。だが肉のひだをみちっ、と音を立ててめくられ、卑猥な形状をした赤黒く長大な肉竿がしっぽのように自分の敏感な肉穴から生え、それがずるっ、ずるっ、と恥音を立てて奥に進むたび、交尾用の雌蓄として犯される淫猥さで身体が熱くほてり、数度の交わりで肉膣のように、犯されることで熟れた雌穴が肉竿をくわえる喜びを、にちゅにちゅとむっちりとした桃色の肉の輪で味わい始める。
「んっぐあっ!ぐうんっっ…!!」
びくんっ、びくんっ、と自分の女のように大きな尻がぶるぶると淫らな肉悦で痙攣し、腸道の最奥にある、ぬらぬらとしたむちむちの媚肉を持つ敏感な尻奥に硬く熱い亀頭がぐりゅっ!とあたり、ヨトゥンの肉竿が根元までみっちりと自分の肉穴を犯したことを知らされる。
「ふふ…兄上。また私の女になってしまったな…」
そうからかいながら赤く冷たい唇が陵辱で震える俺の唇を奪っていく。
「どうだ…?アスガルドに戻ればもっと可愛がってやるぞ…」
くつくつと艶やかな笑い声が漏れ、戯れのように舌が甘く吸われ、ぬりゅぬりゅとヨトゥンの唾液を飲まされる。
「んっ…んっ…」
喉の尖りが嚥下の為に動くのを感じながら弟が腰の動きを早く忙しないものに変えていく。
「あひっ!あっ!あっ!あっ!!!」
ぐにぐにと性感を高めるような卑猥な手つきでぶるんっ、と勃起した桃色の乳頭ごと厚みのある胸をもみしだかれる。
地面に腹ばいになり、腰だけを高くかかげた姿勢でぱちゅぱちゅぱんぱんと肉竿が大きな女尻にぶつかる音が間断なく聞こえ、背後から伸し掛かる弟が雌としての自身を褒める言葉が耳朶に囁かれる。
「んうっ!んう!んううっ!!」
しっとりと水気を含んだ黄金の髪がほてる肌の上で水分を蒸発させ、
ぱさぱさと自分の顔や太い首にまとわりつく。支配者としての傲慢さで中に出すことを告げられ、抗う為に必死で床の上を這いずろうと、身体を前に前進させる。
「あぐうッッ!あんっ!あんっ!あっ…!!」
だが射精間近のより太く硬くなった弟の逞しい肉竿から逃れられる訳もなく、大きな肉尻を跡がつくほど強く掴まれ、陵辱で敏感になったぬめる肉穴をぐぽっ、ぐぽっ、と激しい恥音を立てながらストロークされてしまう。尻の奥が亀頭で突かれまくったことで身体全体がじんじんと甘く痺れ、ロキに掴まれた臀部以外がぐにゃりと力を失い、床にへばりつく。尻だけを高く掲げられた雌蓄の姿勢でむちむちとした肉尻を背後からずぽずぽと犯され、その竿から与えられる動きで勃起した桃色の乳頭が硬い床とぶるぶるとこすれ、胸までも責められる肉悦で弟の肉竿を更に淫らに締め付けてしまう。
「あっ!あうっ!あっ!あんッッ…!!」
「くくっ…兄上はよほどヨトゥンの"もの"がお好きなようだ…こんなに卑らしく肉ひだが絡み付いて…どれだけ私の子種をこの恥ずかしい雌穴で搾り取るつもりなのだ…?」
弟の蔑みももうほとんど自分の耳には聞こえなくなっていた。ただ根元まで挿入されたロキの巨大な肉竿が知り尽くした自分の悦い場所をぬぽぬぽとしごきあげ、ぬるぬるとした穴の中を犯される気持ちよさしか考えられなくなっていた。
「ラウフェイに"姫君"とからかわれて憤ってはいたが…本当は奴らと女のように交わってみたかったのだろう…?」
そう言いながら激しく弟が腰を振る。それ以上は駄目だ。深すぎる。そう無意識に叫ぶ自分の声がぼんやりと聞こえてくる。
征服者としての証をつけるかのようにぐっ!ぐっ!とえぐる様にロキが最奥を突いてくる。ぶるっ、ぶるっ、と自分の汗まみれの大きな尻が震え、ずにゅううっ…と熟れた桃色の雌穴をひろげられ、穴の奥の奥までねっとりと長大な肉竿で犯されるたび、すすり泣くような甘くかすれた声が唇から絶え間なく漏れ始める。
「ひあっ!!」
弟が覆うように自分の身体に伸し掛かり、一際強く肉穴を犯される。跳ねるように自分の身体が大きく揺れ、びゅぐっ、と自らの肉竿から勢いよく精が垂れていく。
「やああああっ…!!」
鋭く息を呑むような音がロキの唇から漏れ、熱くねばついたものがびゅるびゅると肉尻に注がれる。
「あっ…あっ…」
種付けされていることをより分からせるように、肉穴の中で何度も竿が小刻みに動かされ、むちむちとした桃色の敏感な肉ひだにたっぷりと白濁とした子種がかけられる。
「あっ…」
女であればとっくに孕んでいただろう。そう思えるほどの大量の種がぶびゅぶびゅと雌尻の中にたまっていく。
「っ…」
この後に必ず甘い口付けをされることは分かっていた。弟は褒美としていつもそれを与えたがっていた。竿を抜く前に唇を寄せられそうになり、慌てて自分の太い腕で口元を覆う。ずるんっ!と普段は丁寧に抜かれる竿が酷く乱暴に引き抜かれ、悲鳴と共に思わず覆っていた腕を離してしまう。しまった、と思った時にはもう遅かった。笑いながら上機嫌の弟が俺の唇を優しく吸い上げ、どう反応を返していいか分からない俺はがしがしと乱暴に自分の髪をかきむしった。