ソアーベ
「…ッ…」
自動操縦で航行する艦内。楕円形の窓から宇宙が覗く寝台の上でゆっくりと弟が体内からペニスを引き抜いていく。
「あっ…ッッ…」
ヨトゥン特有のそのあまりの大きさの為、引き抜く事すらも時に痛みを覚えることがあった。だがゆっくり抜かれるとたっぷりと受精させられ、肉茎でしごかれたばかりの肉ひだの突起がまたこすられ、不用意にも中が感じてしまう。
「あっ!あッ…」
弟の上腕を掴み、瞼を閉じながら抜けていく感触に耐える。自分をずっと熱を帯びたまなざしで見つめていることは分かっていた。ロキはまるで学者かなにかのようにこちらを観察することを好む。その執拗さに不快感を時折覚えるものの、漏れる熱い吐息と声が止まらず、弟が酷く執着する自分の女のように大きな肉尻までびくびくと揺らしてしまう。
「あー…ッッ…」
最後わざと強く引き抜かれ、年輪状の肉ひだのびらびらの中から湯気まじりのヨトゥンの肉棒がぶるっ…!と抜けていく。
「はっ…はッ…」
首にかけたエンゲージリングのついた首飾りを弟の赤い唇が弄ぶ。まるで求婚のようにこの指輪を贈られた時のことを思い出す。長く不仲だった只一人の兄弟が自分に傅き、恭しく差し出すその姿。ロキの美しい相貌は遠い空にある星のように暗く輝き、希望は持たず、強い信念だけがその表情から感じ取れるようだった。何故一度断ったものの、こうして指輪を受け取ってしまったのか。日ごとに胸にかけたエンゲージリングは存在感を増し、自分をどこかに追い立てるようだった。
「兄上、こんなに注ぐつもりじゃなかったんだ…」
蛇のようにぬめる灰緑の瞳が引き抜かれた後の肉の輪をじっと見つめる。
「…ッッ…!」
その言葉で大量に注がれたヨトゥンの精液を体内で知覚し、ぶびっ!ぶびっ!と恥ずかしい音を立てながら肉厚な肉の輪が、中の犯されまくったびらびらを見せながら白濁した子種を噴き上げる。
「あっ!あッッ…!」
ゆるく抱きしめる弟の引き締まった上腕に爪を立てる。うっすらと血管の浮いた青白い肌。興奮すると時折、その面立ちにヨトゥンとしての邪悪な紋様が浮かび、紅く瞳が染まることもあった。酷く冷たい青い指で乳頭をしごかれ、捕らわれた獲物のように激しく犯されることもあった。だがどんな外見でも、どんなことをされても、たった一人の弟であることに変わりはなかった。自分に残された最後の家族。愛しくない訳がなかった。
「あっ…あッ…」
ヨトゥンのもったりと粘つく子種がしみこまされた肉ひだのすき間から垂れてくる。アスガルドや地球の男達のペニスとは比べ物にならないほど長く太く逞しいロキの男根。今日はそれで肉の輪にずるんっ…!と蓋をされ、孕むほどの量をそそがれ続けた。行為の最中、優しく胸にかけたエンゲージリングに口づけられるとそれだけで熱が上がってしまう。中のひだの悦いところばかりを硬い肉茎でこすられ、気付けば弟にしがみつき、誰にも聞かせたことのない淫らなよがり声を上げ続けてしまう。父である全能の神・オーディンの次に自分はアスガルドで最強の筈だった。だがロキに抱かれると女のような声と体位であえぎ続け、ぶりゅっ!ぶりゅっ!と容赦のない種付けが始まると涙目で悦び、受精器になった肉壺がびくびくとはしたなくイキ続けてしまう。数えきれないほどヨトゥンの種を吸ったせいで元々大きかった肉尻は更に容量を増し、肉厚な桃色の肉の輪はむちっ…と指で押し開かれるだけで中に欲しくて恥ずかしい収縮をぱくぱくと繰り返してしまう。常にオーディンの息子である誇りを胸に旅を続けている筈だった。宿敵であるサノスを探す長く険しい道程で慰みになればと思い、身体を許した部分もあった。だが身体以外のものも、何か弟に明け渡してしまったような――…そんな気がして仕方がなかった。
「兄上…」
穏やかな仕草でロキが唇を吸っていく。
「…ッ…」
ぴちゃぴちゃと音を立てながら唇を吸い合い、ロキの細く形のいい指がぬぷりと豊満な肉尻に突き入れられ、性感を煽らないようにゆっくりと濡れた年輪状の肉ひだをしごき、種を掻きだしていく。
「あっ…あッ…」
必死に溢れる声を抑えると汗に濡れた額にも唇が寄せられる。
「んうっ…!」
挿入された細い二本の指がずりゅっ…と肉ひだの中で左右に押し開かれる。
「あッ…」
肉壺の中を拡張されたことで最奥にたっぷりとまき散らされたヨトゥンの子種がどろっ…と下りてくる。
「あっ…ッ…!」
自分の前腕を噛み、もったりとした弟の子種が敏感な肉ひだのびらびらを伝い落ちてくる感触に耐える。
「んっ…んッッ…」
「……」
やっと処理が終わり、水で濡らした布で身体を清められた後、二人して寝台の上に横たわる。王宮の寝室のような豪華さはないものの、白で統一された清潔な室内は簡素ながら過ごしやすく、寝台脇の窓と天窓からは雄大な宇宙の光景を眺めることが出来た。様々な異星人のサイズを想定して作られた寝台は存外に大きく、自分達の体躯でも余裕で足を伸ばせるほどだった。
「ロキ」
自分の短い髪に背後から顔を埋めた弟に話しかける。ロキの体温は低く、抱かれた熱の残る身体には心地が良かった。
「兄上」
後ろを向き、無言で弟の髪を撫でる。兄弟の絆が途切れていた頃、その振る舞いもあってかロキの瞳は酷く残酷な光を湛えているように感じていた。だが今、澄んだ灰緑の瞳は穏やかで、贖罪の可能性すらどこかで見出せるのではないかと、そんな愚かな想いさえ抱いてしまう。
「愛しているよ…」
軽やかな声が言葉を告げる。禁忌の関係を深めたことで失ったものと得たものがあり、そのどちらも大きなもののように感じてしまう。
「愛してる…」
また俺が欲しくなったロキが冷たい指でゆっくりと胸元をいじる。
「んッ…」
まだ触れられてもいない乳頭がぶるっ…、と大きく膨らみ、弟に発情したことを伝えてしまう。胸にかけられた黄金の指輪がロキの綺麗に整えられた長い爪を持つ人差し指にそっと持ち上げられる。
「……」
自分の眼前にあるそれにゆっくりと唇を押し当てる。弟の美しい面立ちに満ち足りた穏やかな笑みが広がっていく。だがその笑みとは真逆の隆々とした逞しい肉茎が受精したばかりの肉の輪をずるりと貫き、俺は誰にも聞かせたくない甘い嬌声を、また只一人だけに聞かせてしまうのだった。