穏やかな呼吸が聞こえる。
緑色ががった硝子窓からは暗闇の中で影絵のように濃い影となった木々が揺れるのを確認出来る。自然豊かな、といえば聞こえがいいが何もない土地だった。果たして兄が、且つてその手にあったハンマーのように鈍い男が、様々な場所を巡ったとしてそこに求める答えがあるのかどうか。
「んっ……」
仲間との邂逅がよほど嬉しかったのだろう。どこか満ち足りた顔で寝台の上の兄が吐息を漏らす。その生温かい息を確かめるように大柄な体の上に屈みこむ。
「ふっ…んっ…」
強引な仕草で深く唇を奪う。弾力があり、瑞々しく、何度味わっても欲望を齎す唇だった。ぴちゃぴちゃと水音を立てて、眠る兄の口腔を犯す。
「ん…んうッ…」
身に着けさせたベルトの留め金を外し、肉付きのいい肢体から自身が用意した衣装を剥ぎ取っていく。
初めて抱いたのはソーの王位継承式よりずっと前のことだった。今夜と同じように薬で眠らせた兄の身体を貫き、私はただ一人の兄弟に己の欲望をぶつけ、わが物にした。同性とも異性とも経験のなかった身では大柄な兄を抱くことは酷く苦労した。だが香膏でほぐした穴に自分の肉棒を埋めた途端、私はその身体に夢中になった。すべらかな肌と乳の味がする桃色の乳頭、普段からこちらの劣情を無意識に煽っていた豊満な肉尻、大男にも拘わらずどこか幼い顔つき、そうして経験のなかった自分を一瞬で虜にさせた、狭く熱く、にゅぐにゅぐと男根をしめつける極上のひだの感触――憐れな兄の身体は初夜の晩に何度も私に様々な体位で貫かれ、陰嚢の中が空になるまで執拗にびゅくびゅくと子種を初物だった肉穴に注がれ続けた。その後、ソーは昼は無鉄砲で傲慢な第一王子として振る舞い、夜は時折意識のない状態で私と情を交わすようになっていた。兄の栄光の影に常に自分がある憎しみと、幼いころから抱いていた強い思慕と、そのない交ぜになった二つの感情をすべてぶつけるように抱き続けた。ソーのおおらかな心以上に、身体は酷く素直だった。意識はなくとも、多淫な兄の身体は常に自分が望む以上の淫らな反応を見せるようになり、やがて奥をつくたび、びくびくと豊満な肉尻を震わせながら共に達するようにもなっていた。穏やかな寝息を立てながら、凌辱され尽くしたどろどろの身体で眠りにつく兄を見るのは酷く幸福な事だった。自身のいまだ萎えぬ長太い肉茎で注いだ子種を豊満な肉尻からぬぷぬぷと掻き出したこともあった。そうして種が掻き出された穴中を再び激しいピストンで犯し、濃厚な交尾に震える肢体にまたびゅくびゅくと最奥まで種を仕込み続けた。
「兄上…」
甘やかな声をかけながら、豊満な胸の頂にある桃色の乳頭をにゅりっ…と口に含む。肉尻と乳頭は兄が最も感じてしまう場所だった。
「んっ…んっ…」
ぬぼっ!ぬぼっ!と粘着音を立てながら胸を犯すと熱の混じる吐息が兄の唇から零れ落ちる。旅の間、誰とも睦み合う事はなかったのだろう。強制的に雌の悦びを覚えさせられた身体がすぐに発情し、ぶるんっ、と口の中の乳頭が膨らんでいく。
「あっ…あっ…!」
弾力のある乳頭をこりこりと歯でしごき、卑らしい形をした肉性器を搾乳のようにずこずことしごきあげる。
「んっ!んんっ…」
意識のない兄が最もされて感じてしまう動作の一つを繰り返すと熟れた肉付きのいい肢体がぶる、ぶるっ、と震え、酷く太いむちむちとした両の太ももが自分の腰にぎゅっ…と絡みつく。昔と同じ、こちらの肉棒を欲しがる仕草に思わず頬に笑みが浮かぶ。
アスガルドでは兄の不在を埋めるように幾人もの男女と交わった。だが誰も兄ほどの極上の肉器を持つ者はいなかった。朗らかで温かい、黄金の心を持つ者も、常にこちらの心を乱し続ける、苦しくなるような胸の疼きを覚えさせる者も、いつも側に置き、その晴れやかな笑顔を見つめていたくなる者も、誰も兄の代わりに成り得る者は存在しなかった。自身の企てた謀計の唯一の誤算は兄の不在だった。王となった今、自分が欲していたもう一つのものも、私は手中に収めたかった。
「あっ…あっ…」
胸を犯す唇を徐々に下腹部に移動させ、股の間にむちっ…と息づく肉穴に辿り着く。何度もぬめりを帯びた子種の糸を引きながらぬぽぬぽと私を受け入れた部分にぬるんっ…と舌を入れ、淫蕩に調教され尽くした熟れた肉壺を味わい始める。
「んっ…んうっ…んっ…!」
相変わらず女のように大きな肉尻のむちむちとした感触がたまらなかった。探る舌が突起状の肉ひだをずるんっ…!としごくとその一こすりできゅうっ…と切なく腸道が締まり、固く太く逞しいものでずこずこと年輪状の肉ひだを貫き犯されることを熟れた肢体がひくひくと全身を震わせながら欲し始める。
「あっ…ああっ…!」
ぐっ…!と力強く兄の陰部に顔をすりつけ、ぐりゅっ!ぐりゅっ!と激しく中のひだを舌でこね回すとおもしろいほどに豊満な肉尻がぶるぶると震え、犯される悦びに淫蕩な穴中からぶちゅっ…と卑らしい愛液がにじんでくる。
「あっ…」
意識のない状態でこの女のように大きな肉尻を犯すことにいつも酷く興奮を覚えていた。どんなに手酷く抱いても薬で眠らされた兄が目覚めることはなかった。私に覆い被さられ、どぴゅっ、どぴゅっ、と肉尻の奥に大量の子種をつけられながら健やかな寝息を漏らす。湯気が立つほど激しくこすり上げた穴中から糸を引きながら肉棒を抜いても兄は子供のような寝顔で吐息をこぼすだけだった。その穏やかな顔がまた劣情を煽り、時折眠る兄に雌としての淫声をあげさせながら何度も何度も酷く大きな肉尻をぬっぽりと犯し続けた。
「兄上、久しぶりだから少し痛いかもしれないよ…」
気遣う言葉を寝息を漏らす兄に掛け、はちきれんばかりに勃起した自分の肉棒をぐちゅりとほぐした穴に押し当てる。
「あっ…」
熱の混じる兄の吐息がびくりと震える唇からこぼれ出る。葉脈のように太い血管がびっちりと浮いた充血した自身の男根。肉えらが凶器のように張り出した赤黒く巨大な亀頭でみちっ…とその穴を押し開いていく。
「あっ!ああっ…」
さすがに挿入が苦しいのだろう。身動く大柄な体躯を上からぐっ…!と押さえつけ、豊満な肉尻にずるっ…、ずるんっ…と卑猥な肉根を飲み込ませる。
「あっ…あっ!あっ…!」
酷く卑らしい形をしたものに敏感な肉のひだひだをしごかれながらぐにゅんっ…!と肉穴をひろげられ、徐々に雌の疼きが兄の豊満な肢体を支配していく。
「ああっ…!」
ゆっくりと時間をかけて自分の太く長いいちもつを根元までにゅぐっ…とむちむちとした恥ずかしいほど大きな肉尻にくわえこませる。びっちりと自身の肉棒の形に広げさせられた肉のひだひだが更なる凌辱を拒むようににゅくっ…と膨らんだ肉棒を締めつける。
「嫌がっても無駄だよ…」
雄の欲望のままにぱんぱんと音を立てながら豊満な肉尻を執拗に攻め立てる。
「あっ…あっっ…!」
「ああ…相変わらず熱くて気持ちがいいよ兄上…ずっと味わいたかった…」
「あっ!あんっ…あんッッ…!」
待ち望んだ交合に抑えが効かず、些末な寝台を激しく軋ませながら熟れた肉壺をぬぷぬぷと味わい尽くす。
「あんっ…ああッッ…あんっ…あっ…あっ!あんッ…!」
股をだらしないほど大きく開いた、男を受け入れる女の姿で肉付きのいい兄の肢体がぶるっ!ぶるんっ!と竿突きに合わせて揺れまくる。
「あっ…んんっ…!」
母譲りの強力な魔術はこうして兄と交わる場面でも非常に役に立つものだった。空間の歪みを生じさせ、音も声も全てが互いの周囲にしか聞こえない状態で思うさま豊満な肉尻をずぽずぽと犯し、所有を誇示するようにぬめる肉壺を膨らんだ肉茎でにちゅにちゅとしごきあげていく。
「あうっ…あっ…あんんっっ…!」
何度味わっても多淫で極上の味がする肉穴だった。年輪状の敏感な肉ひだを充血した硬い竿でずるんっ!ずるんっ!とすり上げると桃色の肉厚な肉の輪がおもしろいほど締まり、恥ずかしいほど大きな肉尻が勃起した巨大な男根にびっちりと浮いた太い血管の一つひとつまでもぬぽぬぽと穴ひだで味わい始める。
「あうっ…あんッッ…」
日中に見た素朴な笑顔を浮かべる兄は己が身体の淫蕩さに未だ気付かぬままだった。豊満な肉尻を攻められるときゅうと穴中を締め、弟の精液を陰嚢が空になるまでにゅくにゅくと肉ひだでしぼり取る卑らしい肉穴だと、いつか兄に教えてやりたかった。
「兄上…」
みちっ…と隙間のないほど自身の肉棒と兄の肉穴が結合した状態で眠る兄に覆い被さり、けだもののようにがくがくと腰を振る。
「んっ…んんっ…!んんう…ッ」
むちむちとした豊満な真白い肉尻。その奥にひっそりと息づく肉ひだのしこりを充血しきった亀頭でずるんっ…!と押しつぶす。
「ああッ…!」
最も弱い部分を犯された肉壺が膨らんだ肉棒をむちゅっ…とくわえたまま、きゅんきゅんとひだで肉竿を締めつける。その締めつける卑らしい肉ひだの感触を楽しみながら、激しくずぽずぽと太竿を抜き差し、恥ずかしいほど大きな肉尻を穴中からねっとりととろけさせていく。
「あっ…!あっ…ああッ…!」
見事な黄金の髪が白い敷き布の上で波打つ様と、肉付きが良くむちむちと太い両の太ももが穴奥を亀頭で押しつぶすたび、びくっ、びくっ、と大きく揺れる様を眺めながら、射精感に苛まれる腰を浅ましいほどの速さで兄の豊満な肉尻にずんずんと打ち付ける。
「んっ!んっ…んううっ…!」
ぶくんっ…!と中出しのために自身の陰茎が大きく肉ひだの中で膨らみ、雄の男根でぐぱっ…!と敏感なひだひだを拡張させられる淫らな刺激で甘く熱い悲鳴が兄の唇からこぼれ出る。
「あんっ…ああっ…!」
眠るソーとのまぐわいで最も興奮する瞬間。豊満な兄の身体への容赦のない種付け。真白いむちむちとした肉尻が種を出すための性急な肉棒の抜き差しで憐れなほどぶるぶると震え、ぐちゅぐちゅにちゅにちゅという卑猥な粘着音がみちっ…と雄の形に開ききった桃色の肉の輪から次々と溢れ始める。
「あっ…!ああッッ…!」
腰を小刻みに兄の上で振り、充血しきった亀頭でぐり…ッ!と強く肉尻の奥を突き上げる。
「んうううッ…!!」
「…ッ…」
互いの身体がぶるっ、ぶるっ、と大きく震える。
「あっ…ああっ…!」
支配され尽くしたソーが泣き濡れた声を漏らしながら、陰茎からびゅくびゅくと雌蜜を噴いていく。同時に含まされた肉竿からも大量の放出が始まり、腸道に雄の種をみっちりと仕込まれながら自分の肉竿からも蜜をびゅくびゅくと噴き上げる淫らな雌の姿を見せつける。
「あっ…あっ…あっ…!」
たった一度の交わりで開放する気は毛頭なかった。むちむちの敏感な肉ひだに子種がびしゃびしゃとあたり、その度に頬を染め、固く瞼を閉じた姿でびくんっ!びくんっ!と豊満な肉体を大きく揺らす兄の種付け姿を眺めながら、いまだ萎えぬ太い肉茎でそのぬめる肉壺をぐちゅぐちゅにかき混ぜる。
「んうううっ…」
眠る兄の唇を幾度も奪い、達してもなおきつく締め付ける極上の肉ひだをぬぽぬぽと味わいながら、その淫蕩な身体に所有者の証を刻み続ける。
「あんッ…ああっっ…」
「兄上…」
始まった時と同じ穏やかな寝息がソーの薄赤い唇から零れ落ちる。肉付きのいい身体はたっぷりと私に汚され、息をつくたびに、中出しされ尽くした豊満な肉尻のはざまからぶびゅっ、ぶびゅっ、と白濁とした雄の種が溢れ出す。その姿を暫く眺め、小卓の上にある蓋のない水差しから水を汲み、濡らした麻布でゆっくりと筋骨逞しい兄の身体を拭いていく。出来れば朝まで私に注がれた姿のまま、眠りについていて欲しかった。だが目覚めて混乱と悲しみで瞳を翳らせるソーの姿は見たくはなかった。傷つけたいのか、愛したいのか、時々分からなくなる。そのどちらともなのかもしれなかった。
静かに眠る兄の、未だ熱の籠る赤土のように盛り上がった肩をなぞる。後少しでまたこの自由な魂を手放してしまう。
別離が辛くないといえば嘘になる。だが打ち捨てられた女のように嘆きたくはなかった。
涙の跡が残る塩辛い頬に口づけ、柔らかい金糸の髪を指で梳く。
近い内、ヴァナヘイムで開戦の狼煙が上がる。それが本意でないにせよ、真実に近付き始めた者は遠ざけるしかなかった。
大切な者達を守るためにホーガンは故郷へと戻るだろう。
私はアスガルドの玉座に座し、信頼を気付き始めた者達と共に且つて王になる筈だった者の帰還を待つ。
再びの邂逅が遠くない未来である事を願いながら、夜着を纏わせた兄の隣に腰を下ろし、精悍な面立ちを見つめ続ける。
この黄金の心を持つ男の伴侶は私であるべきだった。
誰にもその場所を明け渡したくはなかった。