ソアーベD 




 

戴冠式での自信に満ち溢れた表情を思い出す。
王国の崩壊、失われた多くの命――それらを経てもなお、兄の輝きは変わらなかった。
すぐそばで眠るソーの額に唇を寄せる。ほんのりと汗の味がするのは今夜もこの豊満な身体をたっぷりと味わったからだった。元々感じやすかった兄は情交を重ねることで益々感度を増し、自分と同時に達するようにもなっていた。
私の名を呼び、びくびくと女のように震えながらまるで潮吹きのように射精を繰り返すその姿。肉ひだに精液を注がれた時の嬉しげで淫らな顔。自分が贈った指輪を身に着け、夜毎すべてを奪われる。望んだものが具現化した今の状態は、時折不安になるほど好ましいものだった。

「ん…」
寝台の上で頬と首にも口づける。宿敵であるサノスを追跡する為には様々な惑星に降り立ち、情報を集める必要があった。どこか潔癖なソーは私が人前で恋人として振舞うことを許しはしなかった。だが二人きりの時はすぐに結合しても咎めはしなかった。宿泊した部屋の扉に内側からもたれかかり、下半身だけを互いに剥いた状態で繋がったこともあった。存外甘い雰囲気に弱い兄は情熱的な言葉を注げばすぐに蕩けてしまう。告白と同時に中を突くと私にしがみつきながら雌としてびくびくと達してしまうことが多かった。私は常にアスガルドにいた頃のソーを思い出しながら豊満な肉体を貪り続けた。傲慢で無鉄砲で危険な雷神。だが誰よりも魅力的だった。兄の心が弱ることがあればすぐに支えるつもりだった。サノスの急襲により唯一残された家族である私を失うことで、ソーの頑健な精神は僅かな綻びを見せた。そこが狙い目だった。私は兄を支え、疲弊した心に忍び込み長年欲しかったものを手に入れた。今では私だけに聞かせる声を兄はたっぷりと聞かせてくれる。甘い声で私を呼び、熟れた身体で抱かれることを待ち続ける。魅惑的な肉体と太陽の心を持つ雷神。それらは全てもう自分のものだった。

「あっ…」
散々吸い尽くして肥大させた乳頭に再度吸い付き、ぶるっ…と卑らしい大きさに勃起させる。猥雑なサカールよりもヴァナヘイムに似たどこか牧歌的な景色を持つ小惑星。美しい湖畔の近くにある宿の部屋は清潔さと適度な広さがあり、良い食事にもありつけたソーは上機嫌で私が何度も口づけるのを許してくれた。周囲を気にすることのない環境では兄は望むままに声を出してくれる。もう一度それを聞きたくて、眠るソーの肉の輪に自分の勃起した肉棒を押し当てる。

「あッ…あっ…!」
合意のない挿入に寝台の上で兄がびくびくと揺れ動く。みちみちと男根で肉ひだが押し広げられ、酷く大きな肉尻が結合を深めるたびにぶるぶると卑らしく上下する。
「だめだっ…ロキッ…さっきも…ッ…」
亀頭冠のえらでずりっ…と肉ひだの入口にあるびらびらとした部分をこする。
「あうっ…」
途端酷く甘い声が兄の唇から漏れる。受精でぬるぬるとしたそこを長いストロークで攻めていく。
「あうっ!あっ!あんっ!あんっ!」
豊満な肉尻をぶるぶると揺らしながら激しいピストンに耐えるソーの顔がみだらにとろけていく。
「あッ!ロキっ…!あっ!あうッッ…!」
肉の輪が"入口"だと教え込むのに時間はかからなかった。私は常にそこを犯し、兄に肉ひだを硬い竿でこすられる悦びを教えていった。肉びらから引き抜く時は必ず種を植えつけ、受精で肉壺が達する淫らな身体にソーを仕込んだ。
「ロキ…ッ!もっと奥っ…!あんっ!あんっ!奥にッ…!」
正常位で激しく犯しながら肉ひだの最奥を亀頭で突くようにねだられる。酷く豊満な肉尻の一番奥にある肉ひだのしこり、それをすりつぶすようにして貫くと一瞬で多淫なソーは達してしまう。
「あんっ!あんっ!あんっ!」
卑猥な水音とともに寝台のばねが大きく軋む。
「あッ!いいっ…あっ!ああッッ!」
女のように太く肉付きのいい下半身、大きな胸の上で光る黄金の指輪で出来た首飾り。それらを見つめながら望み通り最奥の肉ひだを激しく貫く。

「あんっ!あんんッッ!!」
ぶるっ、ぶるっ、ときつく締まる肉壺に吐精をうながされ、一気に熱い精液をながし込む。
「あひんっ!」
勃起した肉棒をぶるぶると揺らし、潮吹きのように射精しながら兄の豊満な肉体が受精でびくびくと達してしまう。
「あっ!あんっ!あんっ!」
とろけきった顔で酷く大きな肉尻を揺らし、射精しながら種を植えつけられるソーの姿は何度も見ても良いものだった。
「あひっ!!あんっ!あんっ!」
私の下で豊満な肉体がぶるぶると揺れ続ける。
「ああんッ…!!」
兄の好きな肉ひだをしごきながらの中出し。肉壺がねっとりと締まり、精液を最後の一滴までしぼろうと淫らに収縮を続けていく。
「ロキっ…ロキッ!」
ぶびっ!とあさましい音を立てて大量の精液が肉ひだのびらびらの中に流れ込む。
「あっ!あっ…!」
自らの逞しい前腕でソーが顔を覆い、受精させられる淫らな感覚に耐え続ける。
「ロキ…」









すべてを吐き出した後、ぬぷりと音を立てて自分の肉茎を抜いていく。
「……」
兄の顔は満足げでありながらどこか不満そうで、思わず軽く笑いを漏らしてしまう。
「寝込みを襲うなんて卑怯だぞ」
「そういう戦術もあるにはあるだろう?」
情交で汚れたソーの身体を濡らした布でゆっくりと拭いていく。
「…ッ!? 」
力強い腕に引き寄せられる。
「――処理は明日でいい。お前も寝ろ」
「……」
胸の内に広がる感情をこの傲慢な兄は知る由もなかった。
だがそれでいいのだと、私は満ち足りた気持ちで目を閉じた。