Merry Christmas!B






今年も降誕祭の季節がやってきた。エピファニィ(顕現祭)までの12日間続くこの祝祭に人々は沸き立ち、広間には12本の大蝋台、12種類のご馳走、12個の贈り物、12回の乾杯、12の束に分けられたひいらぎの束――蜜蜂の時でもあり、12という数字を大切にする12の時でもある華やか日々を楽しく過ごしていく。

そんな興奮と熱気に彩られた国の中で一つだけ、氷と暗闇の国・ヨトゥンヘイムのように寒々しい空気の流れる場所があった。




「兄上、いま何と言ったんだ」
背後からロキがゆったりと尋ねてくる。極力弟の顔を見ないように背を向けながら脱がされた寝衣を纏い、肌に散らされた口づけの紅い跡を隠していく。
「――いま言った通りだ。ちょうど1年経ったんだ。もう今夜でお前と交わるのは終わりだ…」
去年の今頃、強引に抱かれ、関係を持った。あれから兄弟間の蟠りは嘘のように溶け、仲睦まじいとまではいえないものの、良好な関係を築いていた。勿論代償はあった。毎夜、女のように俺は犯され、快楽を徹底的に教え込まされ、弟の悪戯な指が尻たぶのはざまを軽く撫でるだけで自分の肉穴がじわっ…と熱く疼くほど淫らな身体に変えられてしまっていた。

「そうか。兄上も楽しんでいるかと思っていたんだが」
「もっ…元々長く続けるようなことではないだろう?実の兄弟でこのような爛れた関係を…やめるには丁度いい頃合いだと思わないか…?」
「――そうだな。アンタが望むのならそれでいい」
あっさりと了承の言葉が漏れたことに安堵の息を吐く。
ロキの声音からは微塵も動揺の気配は感じられなかった。ただ気に入っていた玩具を手放すことに微かな執着を見せただけだった。呆気ない終幕に肩透かしを食らったものの、もう弟の腕の中で抱かれすぎて気を失うような醜態を見られずに済むと思うとじわじわと喜びがにじんでくる。最後の交わりとなった今夜も俺は気づけばぬっぽりとロキの巨大な一物を尻でくわえたまま、失神してしまっていた。思い出すのもはばかられるほど淫らな声と動きで弟の男根を女のように大きな肉尻のむちむちとした肉穴でずにゅずにゅと味わい、自分が雌として達することを涙交じりにロキに伝え、ぶりゅっ…とひだ奥を亀頭で強くすりあげられたことで自身の男根からびゅくびゅくと雌蜜をはしたなく垂らしながら官能のあまり気を失い、薄く笑いながら口づける弟の冷やりとした唇の感触で目覚めさせられる醜態を演じてしまっていた。いつも酷く乱れて、寝台の敷布が互いの精でびちょびちょになって、そのむわりとした雄の匂いにも興奮して、もっと、もっとと弟にはしたなくねだって、子を孕めるほどびゅくっ、びゅくんっ…!と肉穴に濃い種付けをされて――大きな肉尻の中がぬるぬるの雄の子種でいっぱいになって、ひだの一つ一つにぐちゅっ…とロキの種がしみて、勃起した桃色の乳頭を種付け中ににゅぐにゅぐと口で吸われて、ぶるぶると発達した胸筋を激しく揉まれながら、より卑らしい雌畜の身体にされて――。

「兄上」
涼やかな声を間近でかけられ、びくりと身体が震えてしまう。
「乱れた髪のまま、部屋を出るのは止めた方がいい。ただでさえ口さがない近習の者たちに何を噂されるか」
「あ、ああ…」
背後から手で軽く髪を梳かれ、情交で乱れた髪を整えられる。項に冷たい夜気が触れ、体温の低い弟の唇がそっと押し当てられる。
「あっ…!」
小さくはみ出させたぬめる舌が肌をなぞり、その刺激で種付けされたばかりの肉尻がぶるんっ…と大きく震えてしまう。穴ひだの中でロキの種付け済みのねっとりとした子種がぬろっ…とむちむちのひだひだの中を垂れていき、その暖かくぬめる雄汁が敏感な桃色のひだをにゅるにゅるとこする感触に思わず寄せた両の太ももが小さくびくびくと震えてしまう。
「ッ……」
宵闇の中とはいえ、残滓が股の間を流れていく様をロキに見られた気がして悔しさでぎゅっ、と唇を噛み締める。抑揚のない声が髪を整えた事を伝え、そのまま俺は短い礼を告げた後、振り返りもせずに弟の部屋を出ていくのだった。






そうして訪れた降誕祭の初日。王宮での祝宴にロキは姿を見せなかった。昔の兄弟としての二人に戻ったことを確認したくて、弟の部屋に自身の侍従を遣わせた俺は『勿体ぶった儀典官の退屈な進行と、間抜けな顔をしたファーストフットが降誕祭の敷居をまたぐ様を眺めさせられるくらいなら書物に目を通していたほうがましだ』とロキらしい言葉で断られ、旧知の仲間たちとともに年に一度の祝宴を楽しむことになった。



いのししの頭を 我、手に持ちて運べり

はなやかな花飾りとローズマリーを飾りて

我は願う 汝ら、皆こころよげに歌はむことを



祝宴の広間には至る所に緑があった。ときわ木の枝が壁や窓やテーブル、天井にすら飾られ、主賓席に置かれたひいらぎの12枚の葉と小枝で囲まれた蝋燭の台座には三角形や星、熊、車輪、馬蹄などを象った薄い金属の飾りがつけられ、儀典官が12本の蝋燭に火を灯すと泡がはじける様に周囲から"乾杯!"の楽しい叫びがあがっていく。気の早いヴォルスタッグが熱いにわとこの果実酒片手にいのししの頭の祝歌を歌い、部屋の中央の頭上に下げられた緑のやどり木の下でホーガンが偶然隣にいたシフと口づけを交わし、ヴァナヘイム育ちで降誕祭の習慣に馴染めぬ生真面目な男が動揺で顔を僅かに引きつらせる。始まるファンファーレの音楽、交換される12個の贈り物、パンの上皮を切り落とすアッパー・クラフトの儀式、厳かに運ばれた一際大きな薪が炉床に入れられ、12日間燃え続ける為の火を注意深く灯される。

「あの子は――ロキは、今年ここには来ていないのね」
宴が進み、数々の余興と供される大量の酒、単純な料理である甘いフルメンティから始まるプディング、ミンス・パイ、牛脂と骨髄を刻み込んだ子牛のパテ、ローストした孔雀などの12種類のご馳走でより人々の活気に溢れた大広間で養母であるフリッガに声をかけられる。

「母上、今年ではありませんよ。ロキが来ないのはいつものことです。祭りごとを厭うひねくれ者のアイツらしい」
祝宴への誘いを断られたことを思い出し、微かに不機嫌になりながらそう答えると、寂しげな笑みがその華やかな美貌に宿る。

「そうね…でも、どうしてかしら。今年はあの子が来るような気がしていたの」
「……」
「ロキがここ最近とても幸せそうに見えて――きっと降誕祭の熱気に充てられて、自分の願望からあの子がそう見えてしまったのね」
父と自分の陰で暗い顔をしていたロキに魔術を教えた。そう母は以前話していた。確かにいつも弟は何かに悩み、惑わされているようだった。何故栄光が俺にばかり与えられるのか、と憎しみの籠る眼差しで告げられたこともあった。愛していたし、ただ一人の兄弟として弟を誰よりも庇護してきた。いつかは自分や両親の献身も実る筈だと、そう信じていた。だが実際に訪れたのは兄弟としては禁忌の行為の末の邂逅だった。交わった時、ロキはどんな顔をしていたのだろうか。関係の終えた今となってはもう思い出せぬことだった。ただ暗闇の中で縋った弟の身体はいつも穏やかな温もりに満ちていたように感じていた。

「もうすぐハンブル・パイがやってくる。母上、覚えていますか。子供のころのロキはジンジャーブレッドのユール・ドーズとあのパイが好きだった。ペリー(甘口の梨酒)と共に後で侍女に弟の部屋へと運ばせましょう」
「ソー、いつも貴方は優しいわね。大切な私の息子、是非そうしてあげて…」

儀典官によって降誕祭の3つの乾杯の歌の一番目が歌われる。広間に集まった人々の一団が円くなり、2番目の歌である"ミリーへの乾杯"を楽し気に歌い始める。蓋のない大箱が運び込まれ、宝石や果実が来年の幸福を約束づけるものとして次々に箱を介してミリーへと贈られていく。


あなたに楽しい降誕祭を、

大変に幸せな新年を!


陽気に浮かれ、踊る人々に混じり、そう母とともに歌を歌う。武勇伝を肴に、配下の者たちと飲み比べを続けるヴォルスタッグ、舞台劇を眺めながら静かに一人酒を傾けるホーガン、母の側仕えの侍女たちと楽し気に会話するシフの姿が目に入る。ファンドラルは祝宴に現れてすぐにやどり木の下で見知らぬ美女と口づけを交わしていた。あれが娼婦であれ、女神であれ、広間にはもう奴の姿はない筈だった。幼馴染たちはみなそれぞれに降誕祭の始まりを楽しんでいるようだった。弟がもしここにいたらどんな態度を見せたのだろうか。幼い頃のように口に果実をつめて焼かれたいのししの頭の行進をきらきらとした目で見つめることはないだろうが、この華やかな祝宴の場で、酒で饒舌になった口で、どんな会話を兄弟として交わしていたのだろうか。どこか寂しさを滲ませた母の笑顔は弟をここに連れてくる事の出来なかった自分への悔いを強く残させるものだった。






終宴後、酔いで朦朧とする頭で部屋に戻る。タンカードに注いだ水を飲みほし、鈍く動く指で着衣を脱いでいくと腰布ごしに緩く頭をもたげる自身のものが目に留まり、思わず盛大に顔を顰めてしまう。ロキとの交わりを絶ってからは"娘たちの館"で時折夜を過ごすようになっていた。客を喜ばせることに長けた彼女たちとの情交はいつも満足のいくものだった。だが何度抱いても、何人もの娘たちを取り換えても、この飢えるほどの激しい欲望の炎は少しも鎮まることはなく、いつまでもちろちろと炎の舌先を持つ蛇に身体中を嬲られているかのようだった。



「兄上はすっかり忘れてしまったのだな。子供のころの私は両腕を腹においたユール・ドーズではなく、胸に手をあてた形のものが好きだったんだ」
「……!」
いる筈のない者の声に目を見開くと自室の中央に置かれた背高椅子に座した影がゆらりと動く。月夜の光に照らされた不吉なほど青白い肌、金羅紗のブリオー、長い漆黒の髪、陰鬱な冬空に似た灰緑の瞳が静かにこちらを見つめてくる。

「ロキ、お前なぜここに…」
「温かな料理を私の部屋へと運んでくれただろう?私も贈り物をしようと思ってね」
それが何なのかを尋ねる前に伸ばされた手に前腕を捕まれる。

「――去年は私が一番欲しいものをアンタは与えてくれた。今年は私が兄上の一番欲しいものを与えてやる番だ」
自分の隠した心が見えているとでもいうように、下から覗き込むようにして目線を合わされる。
「俺は……ッ」
女よりも整った怜悧たる面立ちに見透かすようにして見つめられ、紅潮する頬とともに肌に覚えのある熱がじわりと灯る。緩く腰を撫でられるとひくりと肉尻のはざまが浅ましくひくつき、抗う為の言葉が声を失したかのように発することが出来なくなる。

「…分かっているよ、兄上。戸惑っているのだろう?だから"娘たちの館"ですべてを忘れようとした…」
小さな声で口を開くことを強いられる。惑う心とともに首を左右に振ると、硬く閉じられた箱をこじ開けるように柔らかな紅色の舌がぬちゅっ…と閉じた下唇にすりつけられる。
「……っ」
抱かれながら口腔をなぶられ、甘い唾液をすすりあうことが好きだった。肉尻を突かれすぎて悦すぎて何も考えられなくなるとただひたすら絡み合う弟の舌の心地にうっとりと耽溺してしまっていた。はしたないほど両の股を左右に広げ、杭のようにねじ込まれたロキの肉棒が卑らしくぐちゅぐちゅと前後に動くたび、びくびくと足指を丸めながら雌としての交尾に耐えた。女のように大きな肉尻にずぷんっ…と根元まで弟の勃起した太くたくましいいちもつが挿入され、ロキの黒く濃い下生えが自分の肉の輪に絡みつくと完全に支配された恥辱からくる悔しさと耐え切れぬほどの肉悦で自分の肉棒からはびゅくっ…!と大量の精が噴出し、肉すぼまりで交尾したことによる官能で浅ましく肉棒が達してしまったことを如実に弟へと伝えてしまっていた。

「ほら、口を開けて…大好きだろう?これが…」
血のように紅い唇から覗く舌がゆっくりと口端をなぞる。その艶めかしい仕草にごくりと喉が嚥下する。
「兄上…」
ロキの唇から漏れる熱い吐息がねっとりと自分の肌にかかり、抑えつけようとした欲望の箍が徐々に外されていく。

「俺は…忘れようとしたんだ……兄弟なのに…こんな事――」
眼の縁に熱い涙が滲んでいく。
「でも忘れられなくて…いつもお前に抱かれる時の事ばかり考えて……昼も夜もずっと……」
あやすように冷やりとした両腕で身体を抱きしめられる。ひそやかな笑い声が耳を打ち、淫欲に囚われた無様な自分をあざ笑われたのだと屈辱に震える俺の唇に細く形のいい指が静かに押し当てられる。

「わかっているのか、ソー」
「何をだ?」
「今年は私が与えるはずだった。なのに今年も、兄上は私の一番欲しいものをくれたんだ……」
「……」
愁いを秘めた瞳が幸福の光で満たされる。自分のせいで弟に栄光が付与されぬのだという負い目が常にあった。父であり国王でもあるオーディンは長兄である自分を重んじ、優れた魔術の才があるものの、武人としての能力に欠けたロキはどこかおざなりにされたままだった。僅かな幸せを弟は大きな喜びとして受け入れ、嬉し気な笑みを自身に見せる。その姿に何を言えただろうか。ロキの想いに答えるために欲望に乾いた唇をそっと開くと激しくそれが奪われる。ねっとりと尻たぶを揉みこまれ、雌として肉穴が淫らにひくひくと肉厚な穴ひだを震わせながらうずき始める。長く濃厚な口づけを受けた後、互いの唾液で濡れた唇で俺はほほえみ、雄として欲情する弟の前で自ら着衣を脱ぎ捨てた。ロキの雪のように白く細い手首をつかみ、寝台に誘うと、自分の大きな肉尻をにちりと広げ、弟の舌でぬぷぬぷと犯されることを待つ腸液でぬるぬるの糸を引くはしたない肉ひだを羞恥で赤らんだ頬を隠しながらぬちゅっ…と見せつける。その夜、一晩中俺は肉穴の中のひだをごりゅごりゅと雄竿で犯され、広げられ、やどり木の下で人々と口づけを交わした数だけ、ロキにぶちゅぶちゅと雌として種をつけられた。中出しされすぎて完全に膣腔と化した肉穴は何度も何度も種付け済みの子種を勃起した弟の竿でにゅりにゅりと卑猥な仕草で掻き出され、平時では直視できぬような様々な恥ずかしい体位で肉穴をはめられ続けた。しばらくの間、交わりを絶っていたロキの求愛は予想以上に激しく、もう無理だと涙交じりで抗う俺の肉尻に弟は容赦なく種付けをはじめ、竿の根元まで荒々しく何度もずんずんと恥ずかしいほど大きな尻のはざまにねじ込み続け、敏感なひだ奥を雄の所有印を刻み付けるようにして亀頭冠のつやつやと光る張り出した卑らしい肉えらでずりずりとこすり上げ、徹底的に"雌"として快楽を感じる身体に堕としこみ、交尾される雌犬の喘ぎを俺は何度もひんひんとはしたなく漏らし続けた。



やがて狂うほどの熱情が過ぎ去ると穏やかな静寂が下りてくる。幼子のように自分の胸に甘く吸い付く弟の艶やかな漆黒の髪をなで、行為の前に思いついていたある閃きをそっと形のいい耳に注ぎ込む。兄上にしてはいい考えだ。そう機嫌よく言葉が告げられ、にゅりっ…と乳頭の穴が広げられ、固く尖らせた舌先が押し当てられる。まだ自分を求めるロキの姿に、非難の言葉を発しながらも左右の乳穴を犯されることを知った俺の浅ましい吐息が唇から熱く漏れる。そうして乳辱を喜ぶ雌の淫声が自室に大きくこだまし、幹のように太い白くむちむちとした上腕の奥にある柔らかな脇のくぼみまでぬぷぬぷと犯されながら濃密な降誕祭の夜は更けていくのだった。







「まあ、どうしたの?私のところへ二人して来るだなんて…」
翌日、訪れた俺たちの姿を目にした養母の顔に満面の笑みが浮かぶ。


「母上、少しだけ遅い、私たちだけの降誕祭の宴です」
芝居じみた仕草でロキがそう告げ、小さな果実と木の実、厚い布で飾られたやどり木の束を頭上に掲げる。息子たち二人からやどり木の下での口づけを受けた母が微笑み、それぞれの腕をとり、自室へと導いていく。

「ミルク酒はないけれど蜂蜜酒で乾杯しましょう」
弾むような喜びの滲む彼女の言葉とともにそれぞれに杯を持ち、乾杯の歌を歌い始める。




じっと、 根を張り立ちなさい

空へ向かって、 そびえなさい

どの小枝も 大きなりんごを実らせて

どの枝にも たわわに実がなるように!