『ごめん、行けなくなったんだ』

軽やかに告げた彼の声を思い出す。ロバート・ダウニー・ジュニアを筆頭に、アベンジャーズのキャスト達はみな多忙だ。クリスも例外ではなく、スケジュールが重なり上海プレミアへの参加は不可能になった。

『ライオンのたて髪みたいに伸びた君の髪を見たかったよ』
そう冗談をいうと豪快に彼は笑った。クリスの柔らかな茶色がかった髪を事後に撫でるのが好きだった。その時だけ彼は大人しくしていてくれる。中で大量に出すといつも気をやりそうになって、それでも自我を保とうと懸命にシーツを掴む。クリスのとても大きくて具合のいい肉尻の狭間から僕の出したものがこぼれて、肉厚な肉の輪から断続的に漏れるそれに悔し気に唇を噛んで、僕は陶酔しきった顔でそれを見つめて――。
初めはゴムを使うんだ。でも途中でない方がいいって彼がねだりはじめて。綺麗なピンク色をした肉厚で柔らかな肉の輪をくぱっ…と指で拡げて、発情した愛液でぬるぬるの中の肉ひだまで見せつけながら、臆面もなく僕のペニスが欲しいと腰を振って誘い始めて――。自分の男性器が平均以上のサイズなのは知っていた。だからいつも彼が苦しむんじゃないかと危惧してしまう。でもいつもクリスの貪欲で恥ずかしいほど大きな肉尻はずるんっ…と根元までくわえるんだ。そうして今まで味わった中で僕が一番すごいと、褒めながら他の男達の存在を示唆して僕を挑発し続ける。だからそれが許せなくて最後は陰嚢が空になるまで彼の中にびゅくびゅくと大量の精をそそぎ込んでしまう。たっぷりの雄の種で受精した彼はいつも陶然とした笑みで虚空を見つめて、甘く熱い吐息を漏らし続けながら豊満な肉尻をびくびくと揺らしてしまう。ずるっ…と音を立てて僕のものを引き抜くとやっと中出しされたことに気付いて、悔しそうに唇を噛んで、でも勃起した巨大な竿で貫かれ過ぎた肉の輪はイキすぎたことでぱくっ…、ぱくっ…、と卑らしい収縮を繰り返して――。

『じゃあ、またロスで』
次のプレミア開催地の名前を彼が告げる。素直に会いたいといえば良かった。でもそれが叶わないことをお互いに良く知っている。何より僕がクリスを熱烈に想っていても、彼が僕と同じ熱量を持っているかは不確かだった。会えば再会を喜んでくれる。ハグをして、それ以上のことも許してくれる。だがどこかすれ違っているような違和感が付きまとう。恋人である僕の知らないところで、もし彼が他の男を受け入れてたら――。少し赤らんだ顔であの種付けで育った酷く大きな肉尻をぶるりと見せて、びんびんに張った亀頭の肉えらが肉厚な肉の輪をくぷりと押し開くことを期待して、そうしてあの下睫毛の長い可愛い顔で犯されてはしたなくあえぎまくって――。気を失ったクリスに伸し掛かり、執拗に射精を繰り返す男の姿も想像する。その姿が共演者でも、彼の親しい友人でも、ショウビズ界の権力者でも同等に興奮し、同時に嫉妬を覚えてしまう。こんなに誰かを欲しいと思うことはなかった。でもいつまでもそれが確実に手に入らず、時折いら立ちを覚えてしまう。

次のプレミアでは彼の隣に立ち、彼の顔を見たい。迷えるティーンエイジャーのように、今の関係を問いただしてみたい。彼も僕と同じ気持ちだったら――。初めて告白した時、同じことを考えた筈なのに成就してもなお同じ想いを抱いてしまう。次に抱くことがあれば、ずっと繋がっていたかった。彼の吐息を感じながら夜を過ごしてみたかった。