祈り1



 
時はさかのぼり昭和初期
人々は激動の社会に翻弄されながらも
日々を懸命に生きていた。
そんな時代の中で夢と希望を胸に抱き
戦争という時代を駆け抜けていった
若者たちの物語である



 「にいさま、ごめんね。」
 時折、がたがたと派手に揺れる車内の揺れに身を任せながらモクバが謝る。
 「何を謝っている。それより調子はどうだ?苦しくはないか?」
 もちろん兄の瀬人も同行していた。モクバの側に寄り添って優しく肩を抱き寄せる。モクバは瀬人に体を預け大丈夫だと首を横に振る。頭をなでてくれる大きな掌を心地よく感じながら、車窓を流れる青々とした木々を眺めていた。
(にいさま。ごめんね。ぼくが弱いせいでいつも迷惑ばかりかけて。)  心の中でもう一度謝る。モクバは生まれつき丈夫ではない。モクバを産んですぐに命を落としてしまった母に似たのだろう、暑い夏、寒い冬、季節の変わり目と日本の四季は容赦なくモクバの体調を崩す。この夏は特に暑さが厳しく、避暑の為祖父が暮らす軽井沢の別荘に向かっている最中だった。
 満足に学校にも通えず1年のほとんどを屋敷の中で暮らすモクバにとって、瀬人は唯一の兄であり、数少ない友人の1人であった。聡明で優しい兄が大好きだった。この軽井沢行きもモクバの体調を考えた瀬人が提案したものだった。
 モクバは一日中兄を独占出来ることがうれしかったが、それと同時に兄を束縛してしまう事に後ろめたさも抱いていた。
 そんなモクバの気持ちを読み取った瀬人は優しく声をあける。
 「モクバ、もうすぐお祖父様の屋敷につく。ちゃんと挨拶しろよ。」
  わざと、子供扱いする。
 「もうっ、挨拶くらいできるさ。ねえ、おじいさまはどんな人?怖い?」
  ぱっと顔を上げたモクバ。表情が和らぎ今までの不安な気持ちが遠のいた。
 「ああ、モクバは初めて会うんだな。大丈夫、やさしい方だよ。」
 「よかったぁ。父さまみたいに怖い人だったらどうしようかと思っちゃった。」
 モクバは胸をなで下ろす。瀬人もようやく笑顔を見せたモクバに一安心した。


 瀬人とモクバを乗せた車が山道を進む。目的の別荘は目の前だ。
 そこで瀬人はこれからの人生を変える人が待っているとは夢にも思わなかった。

 軍需産業で栄える海馬家。その力は他の財閥とも肩を並べ、今や政界にも強い影響力を持っていた。海馬家の意向で政治が変わるほどでまさに影の支配者として日本を動かしていた。海馬家の基礎を一代で築きあげた先代の祖父。そして、跡を継いだ三人の息子達はそれぞれが政界、財界、軍事産業のトップに立ち人々から海馬御三家と呼ばれるまでになっていた。
 その海馬家の跡取りとして生を受けた瀬人とモクバ。
 父である剛三郎は忙しく家を空けることは珍しくない。母はモクバを産んですぐにこの世を去ってしまっていた。

 瀬人とモクバが別荘に到着する頃にはすっかり日が暮れ、夕方になっていた。
 「良く来たね。疲れただろう。」
 出迎えたのは剛三郎の兄の宗次郎。海馬御三家の1人で満州の開拓事業と貿易業を生業としていた。ほとんどを海外で暮らすため瀬人も宗次郎に会うのは5年ぶりだ。
 「お久しぶりです。叔父様お世話になります。こっちが弟のモクバです。」
 「初めまして、かな?モクバくん。ずいぶん大きくなったね。前に会ったときは赤ん坊だったから覚えてないよね。」
 「初めまして。宗次郎おじさま。」
 瀬人の隣で緊張気味に頭を下げるモクバ。モクバにとって初対面の親戚だったが、背が高くやわらかな物腰の叔父は父とは違い穏やかな印象を与えた。
 「さあさあ、座敷でお祖父様がお待ちかねだよ。かわいい孫に会えると朝から楽しみにしていたようだから早く行ってあげて。」
 「はい。」
 瀬人とモクバは祖父の待つ部屋へと足を運ぶ。長い廊下を歩いて目的の障子を開けると、満面の笑みを浮かべた祖父が待っていた。
 「お祖父様。お久しぶりです。しばらくの間お世話になります。」
 畳の上に正座をして、瀬人とモクバは頭を深くさげて挨拶をする。
 齢60をこえた祖父は第一線を退き、軽井沢で隠居生活を送っているが、今でもその影響力は計り知れないものだった。ただ座っているだけなのに漂う存在感が違う。数年前に東京の屋敷に来たときも余り会話をした記憶がない。
 「他人行儀名挨拶はやめて、顔を上げなさい。こんな山奥まで大変だっただろう。父君から事情は聞いているよ。たいしたもてなしは出来ないが自分の家だと思ってくつろぎなさい。瀬人もしばらく会わないうちに成長したね。いくつになったのかな?」
 「17になります。」
  背筋をぴんと伸ばし答える瀬人。無骨でしたたかな野心家の剛三郎に似ず凛とした姿に祖父は目を細めた。
 「モクバも大きくなって、11才になったかな?ここは何もないが空気が良いのが取り柄だ。早く体調を整えて、父君と兄を安心させてやりなさい。」
 祖父は緊張して小さくなっているモクバの側に来ると、肩に手を掛ける。
 「屋敷から下ったところに小さな湖がある。美しいところだからいって気分が良くなったら行ってごらん。釣りをしるもいいし、お弁当を広げるも良いし。外で食べる食事は美味しいぞ。」
  剛三郎に似た祖父。しかし、父親からもかけてもらえないような優しい言葉にモクバの緊張が解けた。
 「ありがとう。おじいさま。明日兄さまと行ってみるよ。」
  祖父の手を握り屈託のない笑顔で答えた。会う回数は少なくても血の繋がった祖父なのだ。モクバはすっかりとうち解けていた。
 瀬人も隣で微笑みながらモクバを見ていた。

 それから、数日は平穏な日が続いた。
 静かな環境と穏やかな空気のもと、モクバの体調も回復してきた。瀬人は遅れがちなモクバの勉強を見てやる。とはいえ、もともと能力が高いのかモクバは1度で瀬人の教えをのみこみ授業の遅れはすぐに取り戻していく。元来明るく社交的な性格のモクバは誰にでも好かれた。余り通うことの出来ない学校でも、ひとたび教室に入れば子供の輪の中心になる。これで体が丈夫ならば楽しく学校に通えるのにと瀬人は感じるのだった。

 その夜は珍しく寝苦しい夜だった。
 生ぬるい空気が部屋に漂う。瀬人は水を飲もうと部屋を出た。ぐっすりと眠るモクバを起こさないよう静かに障子を閉める。ふと庭を見ると渡り廊下で繋がった奥の離れに明かりが灯っていた。
 (・・・・・?まだ、おじいさまは起きているのか?)
 水を飲むという当初の目的も忘れて、離れに足が向かう。そして祖父から受けていた注意を思い出した。

 「奥の蔵と離れには行ってはいけないよ。あそこには触ると危険な物があるからね。」

  その時は別段何も感じなかったが、こんな夜更けに明かりが点いていることに対しての好奇心がまさり、また、禁止された事に対しての反発心からか瀬人の足が離れに向かうことが止められなかった。
  瀬人は足音を忍ばせて明かりの灯る部屋に近づいて行った。渡り廊下を渡った頃には密やかな声が漏れ聞こえてくる、あたりをを包む空気でさえ濃密な湿り気を帯びたような気がする。じっと汗の滲む掌を握りしめる。
 (・・・・良い子だ・・・)
 (やぁっ!)
 (ほら・・)
 瀬人は隣の部屋に忍び込むと、気配を殺して隣の様子を伺った。
 月明かりのお陰で部屋は真っ暗ではなかった。隣の部屋と仕切る襖は閉められていたが、襖と襖の合わせ目から漏れる明かりが一筋の黄色い線を作り出している。
 (この声はおじいさま1人じゃないな。宗次郎叔父様もいるのか・・・?)
 たった一枚の襖で隔てられた向こう側の世界で何が起こっているのか、瀬人には容易に想像がつく。祖父と叔父の低い声。せわしなく体を打つ音。そして、時折上がる嬌声。艶やかな喘ぎ声に瀬人の体温が上がる。鼓動が耳元で聞こえる。喉がカラカラに乾いて、額の汗が畳の上に伝い落ちた。
  瀬人は引き寄せられるように、襖の隙間から様子をのぞき見た。

 布団の上に胡座をかいた宗次郎の上に1人の子供が抱えられている。足を大きく開かされて、下から突き上げられている。深く奥を抉られるたびに悲鳴とも喘ぎ声ともつかない声が上がる。しかし、その声さえも祖父の一物で喉をふさがれて、くもぐったうめき声に変わる。
 「・・・・んっ・・ゃぁっ・・」
 何度目かの深い突き上げにその子供の体がのけぞった。その拍子に銜えさせられていた物が口から外れる。
 「はぁ・・んんっ・・・ぁあ・・」
 リズミカルに揺さぶられ、祖父にしがみつき自らの身体を支える子供。
  まだ、成長期をむかえていない体つきを見ると、モクバと同じくらいの年齢だろうか。膨らみのないなだらかな曲線を描く胸。えぐられたように頬い腰。日に焼けたことがないような白い肌。叔父達の動きに合わせるように上がる声は少女のように高い。壮年の叔父や祖父に良いように弄ばれている様子は卑猥としか表現できない。
 (アメリカ人・・・?)
 何よりも目を引いたのが金色の髪。さらさらと絹糸のような髪が揺れている。
 (・・・・悪趣味な・・)
  瀬人は心の中で悪態をつく。
 自らの孫と同じくらいの子供を性的趣向の道具とする、祖父と叔父に嫌悪感を覚えた。しかし、その思いとはうらはらに目の前で繰り広げられることから淫らな光景から目が離せなかった。
 「ほら、ちゃんと咥えなさい。」
  声を上げ続ける口に祖父は再び肉棒を咥えさせる。
 「ぅんぁ・・」
 その子供は従順に、じゅっと音をたてて喉の深くまで収める。奥まで犯されて苦しいのだろう、きつく瞑った目じりに涙が浮かぶ。肉棒を押し出そうと舌が反射的に動くがそれさえも祖父を喜ばせることにしかならない。
 「そうそう、よく出来たね・・・もっと喉を締めて。」
 祖父も緩やかに腰を使い出す。卑猥な色に染まった肉棒が子供の口を出入りしていた。
 「・・・ふぅ・・ん・・くぁっ・・・は・・」
  その子供は上と下と両方から貫かれ揺さぶられている。逃げようにも大の大人に捕らえられ逃げられない。与えられる刺激を受け止めるしかない。
 「・・感じているようですね。ほら、こんなに濡らして。」
  宗次郎が下肢に手を伸ばした。
 「ゃ・・ぁ・・!」
  祖父の肉棒を咥えたまま、その子供が頭を振る。宗次郎の手をのけようと白い手が下肢に行く。しかし、宗次郎は許さなかった。細い手首を背中で一まとめにする。窮屈な姿勢に子供がうめき声を上げた。
 「いけない子だな。また、お仕置きをしてほしいのかい?」
 宗次郎が意地悪く耳元で囁く。
 「君は淫乱なんだよ、ここに男をくわえ込んで淫らに喘いでいる。もっと足を広げておじいさまに見えるようにしなさい。」
  宗次郎に言われるままに子供が足を開く。子供の下肢があらわになった。
 (―――男?なのか!)
  瀬人の目が大きく見開かれた。少女だとばかり思っていた。しかし、くつろげられた下肢には瀬人と同じ物が震えながら起ちあがっている。
  宗次郎の指が少年の幼い物を刺激する。少年の腰が逃げるように捻られるが、反対に宗次郎の肉棒を煽ることにしかならなかった。少年は自らの動きにさえ感じ身体を振るわせる。
 「・・・・ふっ・・う・・んっ!」
  少年の動きが止まった。突き抜けるような快楽に身体が痙攣している。
 「おや、イってしまったのかい?中がビクビクしてる。いやらしい子だ。」
  宗次郎が収めたままの肉棒で再び内部を擦ると、少年の固く閉じていた瞳が見開かれた。「―――んっ!!」
 もともと受け入れるところでない器官を宗次郎の猛々しいものに擦られるのだ。達したばかりで過敏になった粘膜をこれ以上刺激されるのは耐えられなかった。
 少年の体がぴくぴくと震えた。
 「もっと、気持ちいいのが好きだろう?もっと乱れなさい。ほら、ここがいいところだろ?」
 宗次郎の肉棒がもっとも感じるところを執拗に擦り上げる。
 「・・んっ・・・っ。」
 祖父の大きく育った一物で口腔を深く犯されている少年は、言葉にならない声を漏らしながら欲望を受け入れている。
 口腔の奥まで抉ってくる、苦しさを堪え一刻も早く苦しみにも似た快楽を終わらせるために、懸命に舌を絡ませて肉棒に奉仕をする少年。下半身からは宗次郎に貫かれて熱がわき上がってくる。
 じゅ、、じゅ、、と、自らの唾液と祖父の先走りの液が混ざり合った音が、せわしなく出入りする口元からする。
 祖父は終わりが近いのか、大きな手で少年の頭を固定すると大きく腰を使い出した。
 「・・・ん・・・っぐ・・・ぁ・・・」
 少年は苦しさに顔をゆがめながらも、奉仕することを止めない。飲み込まれることのなく溢れた、液体がぽたぽたとシーツの上に落ち、いくつもの跡を残して行く。
 「・・・いくぞ。全て飲むんだよ。ほら、精液を頂くときはどうするんだ?」
 少年を支配する事に祖父は恍惚とした表情で、自らのモノを奉仕している少年を見下ろした。
 少年は祖父の言葉に一瞬体を強ばらせるが、祖父を見上げた。
 表情を隠す長めの前髪が祖父の手によって払われて、教えられたとおりに青いの大きな瞳が見開かれた。自らを支配する者を認識させられたまま、口腔に溢れる精液を飲み干すのだった。けして目を閉じることは許されない。
 「、、ん、んぐっ・・・」
 何度にも分けてはき出されたものを飲み込んで行く少年。その間も、下からの突き上げはおさまらないのだから、快感を覚え込まされた少年にとって精液を飲む行為でさえも快楽と錯覚してゆくようだった。
 「よくでました。ご褒美を上げないといけないな。」
 祖父は自らの残滓を残した、少年の桜色に染まる口元を指で拭うと、やっと開放され空気を求めて呼吸を繰り返す唇を求めた。
 「・・はぁ・・んっ・・」
 荒々しく動く祖父の舌を受け入れながら、少年は悶えた。
 「ほら、ここも限界かな?」
 先ほど精を吐き出したばかりのそこは一向に途絶えない、刺激に再びたち上がっていた。
 「やだ・・ん・・ぁ・・やだ・・」
 弱弱しく首を振る少年。もう、これ以上の快楽はいらないとばかりに祖父に懇願する。しかし、許されるはずもなく祖父の節ばった手が練達なうごきで煽り立てる。
 「やああっ!」
 少年が声をあげる。宗次郎が桜色に染まり小さく立ち上がっていた乳首を摘んだのだった。下半身に意識のいっていた少年は不意の痛みに思わず後孔がしまる。よりリアルに後ろを犯す肉棒を感じてしまい、少年はあっけなく果ててしまった。
 「また、イッてしまったのかい。仕方のない子だなあ。」
 宗次郎は未だに果てる気配さえ見せない。少年を犯し嬲ることを楽しんでいるようだ。肉棒をくわえ込んでいる後孔は赤く充血して、たっぷりと施された潤滑油がじゅぶじゅぶと音をたてて、妖しくぬめっている。
 「・・・もう、、、だ・・っめ・・はぁ・・」
 立て続けての追情に自分の身体を支えきれなくなった少年は祖父にしがみついた。
 首に回される柔らかな腕の感触を確かめながら、祖父は少年の耳元で囁く。
 「まだ、たった2回だ。たった・・・な。」
 「・・や・・あっん・・・・・っ・・」
 祖父はそのまま、首筋から肩、胸へなっとりと舌を這わす。張りのある柔らかな肌の感触を確かめるように所々で強く吸い上げれば少年の身体が震えた。小さな胸の突起を含むと少年の身体が逃げるように反りあがった。
 「・・ふっ・・ん・・んぁ」
 少年は身体の中と外からの刺激から逃れるように細い腰を揺らすが、その動きは端から見れば物欲しげにしか見えないのだった。祖父たちに身を預けてうつろに開いた瞳は快楽を享受しているように淫らに潤んでいるが、どこか諦めを漂わせているような青の色が祖父と叔父の淫欲をことさら煽るのだった。
 ようやく終わりが近いのか、宗次郎は少年を内部を深く抉った。
 「――っ」
 自らの体重も加わった突き上げに少年は目を見開いた。

 



ここまで読んでくれてありがとう。
パラレルだから変な親戚だしちゃった。気にならなかったら良かったら続きも読んでね。
海馬が覗いてます〜あっ、お分かりのように少年=城之内ですよ。あしからず。もう一つ、海馬と城之内は年齢差がありますよ〜(えへっ)
おじさんX城之内って、海馬とより書きやすいのは何故でしょう・・・?
背景はこちらよりお借りしました。