『 仮 死 』







歩道橋の上で、せとを見つけた。
 

もう二度と会うことのないだろう、せとを見つけた。
 

せとは俺に気づくことは無かったけど。


 せとがこの街にいるのなら、俺は生きていけるんだ。





「この子か。」
「イチオシですよ。」
 黒い布で視界を遮られた向こうで、大人の話し声が聞こえてくる。
 とても低音の澱みのない力強い声に、その見知らぬ人の命強さを察知することが出来た。
「洗浄は。」
「済ませてあります。なにぶん慣れていませんので、粗相があるといけませんから。」
 洗浄という単語に城之内の肩がぴくりと動く。数十分前のプライドを根こそぎ洗われるような行為が思い出されたからだ。
「わしは、一向に構わんが。」
「では、次の機会にでも。」
 隣にいるチーフが動く気配がして、城之内の背中を押す。
「お客の相手をするのは今夜が初めてですので、不手際があるかと思われますが…」
「かまわん。初々しいのも一興だ。」
 城之内がチーフから剛三郎に渡された。
 まるで、何かモノを取り次ぐように、城之内の支配者が変わった。肩に回される大きな掌に、全身に鳥肌が立つのを感じながら、城之内は逃げるところなど、どこにもないのだと、歯を食いしばる。
「ごゆるりと、お楽しみ下さい。私はあちらの部屋で控えておりますので、何か、御用がありましたら及びください。」
 チーフは恭しく頭を垂れると、ベッドルームへと連れて行かれる少年をどこか、哀れみを含んだ表情で見送った。




 城之内にとって、今日が初めての仕事の日。
 父親を初め、複数の男に陵辱されてから、ようやく傷の癒えた一週間後、城之内の回復を待っていたように、父親に再びあのマンションに連れて行かれた。そして、今度はチーフに連れられ、ドミノ町で一番豪華なホテルへと連れて来られたのだった。
 部屋に入る前に黒い布で目隠しされ、視界を奪われた。子供の口から無邪気に漏れる、世間には知られるわけにはいけない事情を守るために、大人たちに容赦はない。
 何がこれから待っているのか、何をしなければならないのか、幼い子供は悲しいことに十分に理解していた。その上で、また、あの、どうしようもない、感覚を恐れ、震えている城之内に、
『家族のためだ。借金を返そうな。』
 と、脅すことも忘れなかった。
 ごくりと、唾を飲み込んだ城之内はゆっくりと、だが、何度も頷いた。


 素足に感じる毛足の長い、踏み心地の良い絨毯。
 まるで温度を感じないくらい、ちょうど良い温度に調整されている空調。
 城之内は何も見えない中、隣に居る男に促されるまま、一直線に仕事場……ベッドへと歩んでいる。
「ぁっ…。」
 膝にひんやりとした絹の感触がしたと同時に、ふわりと逞しい腕に抱き上げられ、
 とさっ
 ベッドへと下ろされる。

 あぁ、これから、始まる。
 悪夢にも似た時間が。

 ベッドの上で城之内は無意識に正座をする。両手を膝の上で握りしめ、俯いた。顔を上げることなど到底出来るはずもなく、がたがたと、見て取れるほど振るえている城之内に口ひげを蓄えた男は、口元を歪める。
「怖い?」
 剛三郎は城之内を抱き上げると膝の上に座らせた。
「………。」
 城之内は唇を固く結び、ふるりと横に首を振る。

怖くなんかない。
この世の中に、怖いものなんてない。

 身体を強ばらせ、手足だって冷たくなるほど怖がっているのに、平気だと言う、城之内の気丈さに剛三郎は上玉だと鼻をならす。
 そして、城之内の上から下までを舐めるように観察していった。
 手を入れていない髪は金色でキラキラと輝いていて、半そでのシャツ、膝丈のゆったりとしたパンツから伸びる四肢は細く長い。肌の色も白く透き通るようで、日本人離れしていた。
(資料には日本人だとあったが…。)
 剛三郎は、事前にチェックした城之内のプロフィールを思い出す。そこには城之内の情報が書かれていた。
(まあいい。私には関係ないことだ。)
 剛三郎にとって最大の感心は、今夜、この城之内でどう楽しむかだ。
(ん?)
 ふと、剛三郎の目に留まった白い包帯。
 単に大げさに巻いているだけなのか、それとも、何かの趣向か。
「怪我をしているのか?」
「……。」
 やはり、城之内は無言で頷く。が、その反応はどこかぎこちなく、薄い。
「痛むか?」
「大丈夫……ほとんど治ってる。」
 城之内はそう言うと、包帯を巻いた腕を振って見せる。
 しかし、こうしている城之内自身、この傷がどこで付いたのか記憶は曖昧で、抜糸の済んでいない傷は、盛上がり塞がりきっていない。消毒をするたびにガーゼにはまだ血が付いていて、傷の回りも桜色のままだ。にも、関わらず、城之内の脳は神経を伝わってくる痛みの信号をキャッチ出来ないでいた。まるで、傷などないように平然としている。
「なら、いい。」
 城之内のあどけない仕草に、目を細め、剛三郎は城之内を抱き寄せると、身体を密着させた。
「っ……!」
 とうとう、始まる時に、一瞬で、城之内の身体が強ばった。
「怖いかい?大丈夫、私は意外と慣れているよ。それに、すぐに恐怖など感じなくなる。」
 下を向いた小さな顎に指を沿え、上を向かせると、固く色を無くすほど結んでいる唇にキスをする。
「んっん…。」
 薄く柔らかい唇に己のそれを合わせ、次に舌で唇の輪郭をたどる。滑る軟体動物に、城之内は大きな抵抗をしないが、無意識に唇を固く結び侵入を防いでいた。
「んっんんんん。」
 硬さと形を変え、自在に動き回る舌の猛攻に城之内はぎゅっと剛三郎のバスローブを握り締める。
(面白い。)
 思いの外抵抗する城之内に剛三郎はほくそ笑み、するりとシャツの裾から手を滑り込ませて、柔らかく窪んでいる乳首を人差し指で突く。
「はぁっ!」
 くすぐったさに城之内は膝の上で身を捩ると、その拍子に開いた隙間から、舌が一気に口の中に入りこむ。
「ぁ……ふ…んぁ……」
 口内が剛三郎の舌で一杯になり、奥に逃げた舌を絡め取られ、吸い出された。
「じゅっ…。」
 どちらのものとも付かない湿った音が、交じり合う肉から上がり、城之内はぎゅっと目を瞑った。目元を覆う黒い布がその動きに合わせて皺を作る。剛三郎は愛らしい仕草に、フッと鼻で笑い、爪で芯の篭りだした米粒ほどの乳首を引っかいた。
「うぁっ!」
 びりっと小さな電流が背骨を掛け抜けていき、城之内の背中がしなう。だが、剛三郎の腕が力強く背中を押さえているので、乳首と戯れる指から逃げることは出来なかった。
「んんん…ふっ…。」
 一向に唇は解放されず、人間の身体の一部とは思えない剛三郎の舌に、城之内は呼吸をするのも困難だ。
 その上、分厚い手が胸の上を這い回っていて、肌理細やかな肌を撫で、芯の籠った乳首をいいように押し潰ぶされた。
「ふっ……んっ…」
 胸と口を愛撫され城之内は酸欠寸前だ。首をかしげることによって僅かに出来る隙間から、必死に酸素を吸い込む。
「あっぁ…くっ…る…。」
 慣れない口付けの息苦しさに、城之内が剛三郎の胸板を叩くと、ようやく唇を解放された。
「はぁっ…はぁっ…。」
 息苦しさから逃れた城之内は、ほっと、身体の力が抜けた。呼吸を整えようと、空気をめい一杯肺に取り込んでいく。
「じきに慣れる。」
 剛三郎は胸を弄る手を休めることなく、城之内に囁いた。
「ぐっ…。」
 何てことない淡々とした言葉が、城之内のこれからを予言しているようで、城之内は息を飲む。
「身体の強ばりも解けてきたようだ。」
 と、背中を押さえていた手を下へと移動させ、パンツの中かに入る。そして、トランクスの上から後門を押し上げた。
「いっっやぁ!!」
 覚えのある感覚に城之内の腰が浮いた。
「ここの快楽は経験済みか?」
「ぃっ…ぁぁ…」
 知らないと、城之内は顔を真っ赤にし、首を横に振った。さらさらと金色の髪が揺れている。
 その、初心な反応に、剛三郎のどす黒い欲望が頭をもたげてくる。布地を通して後門が窄まって指の先を中に巻き込んだ。
「むっんんんっ」
 大人の指が体内へ僅かだけ侵入してきて、窄まりの皺を穿つ。そこにわだかまるむず痒い感触に、声が出そうになって、城之内は咄嗟に手の甲に歯をたてる。
「感度はいいようだ。」
 指先を包む思いのほか柔軟な肉の感触に、剛三郎は喉の奥で笑うと、更に指を蠢かしていった。
「くっ……っぅ…」
強くなった指の動きに、城之内は歯形が付きそうなほど掌を噛んだ。身体は従順に従っているが、心はまだ、抵抗し、声を上げまいと必死に食いしばっている。
「声を出しなさい。我慢しなくていい。」
窄まりを責める指の動きはそのままに、城之内の口を塞ぐ両手を掴んで背中に回した。
「聞かせるのだ。感じている、淫らな声を。」
「んんんん…っ」
剛三郎が白く筋の浮かんでいる喉元に食らいつく。きつく吸い上げて朱を散らしながら、唾液で滑るまで舐め上げた。
それでも、城之内は唇を噛み、声を発さない。反射的に反り返る首筋に、剛三郎のひげをちくちくと感じながら、首を振り続けた。まるで感じることを拒んでいるように声を出そうとしなかった。
「強情も度を過ぎれば可愛くなくなるものだ。」
城之内の頑なな抵抗に、剛三郎は愚痴をこぼすと、城之内をベッドに押し倒し、ズボンも、パンツも剥ぎ取り、床の上へ投げ落とす。
「ならば、それなりの扱いをするまでのこと。」
 突然のことに城之内は抵抗をする隙さえ与えられなかった。
 何も覆うものが無くなり、つるりとした下肢を剛三郎の視線に曝らされる。
「わっ!」
 そして、次に両足を持ち上げられ、それぞれの膝が肩につくくらいまで身体を折り曲げられた。そんな体勢では必然的に腰が天井を向くことになり、弄られて熱を持ち出した後孔が丸見えになる。
「………。」
 排泄器官を曝すという屈辱的な体位に、城之内の白い肌が真っ赤に染まる。それでも、城之内は歯を食いしばり声を発さない。
「さて、どこまで我慢がもつものか。」
 剛三郎は乾いた唇を湿らせる。
 それもそのはずで、肉付の薄い尻。強制的に割られた中心に息づく窄まりが、感じ始めていることを代弁してひくひくと蠢いている。
 皺の一本一本が擦れる拍子に、桜色の内部が顔を出すときがあり、剛三郎を誘うように淫らに色を変えた。
「子供だと思っていたが、とんだ娼婦だ。」
 剛三郎が窄まりに口付けた。
「ううっ……んっ!」
熱い息吹を感じた城之内の身体が跳ね上がる。が、押さえ込まれている体勢では、いかんともしがたく、ただ、腰が、犯す舌の動きに合わせて揺れるだけだ。
「はっ……はっ…」
舌が自在に硬さを変えて、入り口を解していく。じわりと内部に、軟体動物が入ってくる。城之内はそれを拒もうと筋肉に力を入れてすぼめるが、次の瞬間には、そこから湧き上がる熱さに筋肉が揺るんでしまう。そして、その隙に舌が更に奥に進み、内蔵を直に舐め上げた。
「んんんんんんんっ」
 普通に生きていれば、舐められるはずのない部分を嬲られて、折り曲げられた背筋から脳天へ、ぬちる何かが抜けていった。
「…っ!!!!!」
身体が羞恥だけでない何かに、桜色に染まっていく。腰の辺りに得体のしれないものがわだかまり、城之内の脳を焼いていく。しかし、城之内は快楽に飛びそうになる意識を総動員させ、最後の抵抗をしていた。
さらさらと頭の動きに合わせて、金髪が真っ白なシーツに散らばった。
「まだまだ、これからだ。」
 かろうじて、自由な手でシーツをかき寄せ、抵抗する城之内に、剛三郎の心の内にある凶暴な支配者の影が顔を出していった。

 手元に用意しておいた、小瓶の蓋を器用に片手で開け、中身をゆるく解れた、後穴に垂らしていった。
「!!!!!」
 冷たいどろりとした半液体なものが窪んだ孔で小さな池を作る。
「ひぁっ…。」
 城之内の尻が跳ねる。
小さな谷間に出来た淫らな液溜りが尻の動きに合わせて揺れている。気を抜けば体内に染込んでくる、得体の知れない液体を塞き止めようと、城之内は解された孔に力を入れて閉じようとしていた。
「良い眺めだな。」
しっとりと汗を滲ませ、歯を食いしばって耐える、幼い城之内の姿が、剛三郎の嗜虐心をじわりとあぶる。
「ひっぁっ!」
きつく締めている後孔に、同じ液体で湿らせた両方の親指を埋め込む。
つぷっ。
指の質量に押し出された液体が尻から腰を伝って、真っ白なシーツに染みを作っていった。
「ぃっぁぁぁああああっ!」
解されたとはいえ、いきなり大人の指で拡げられ、圧迫感に、城之内はもう声を殺すことは出来ない。
「はぁっ…や…っ…ん…んぐっ…!」
 拡張された入り口から、大量の液体が中に逆流してきて、城之内の手が剛三郎の手を掴む。
「ぉねっが…ぃ…きもち…わる…からぁ…っ!」
「ようやく、観念したか。だが、まだだ。」
 顔を真っ赤にさせて、体の下からこちらを見上げている城之内の必死な様子に、剛三郎はその、顔の半分を覆う黒い布を取ってしまいたい衝動に駆られた。
 その下に隠された、芯の通った輝きを持つ琥珀を見てみたい。と。だが、布を取ることは決して出来ない。自らの保身のためにも、これからも、この遊びを続けていくためにも、越えてはならない一線なのだ。
剛三郎は、少年の写真を思いだし、代わりに声をもっと引き出すために、城之内を犯す攻めと強くしていった。
「いぁああっ…!」
 尻を嬲る手首を掴んで、城之内は責めを止めようとするが、欲にまみれた大人の力には叶わない。
ぐぽり。
「ひゃっぁ!」
狭い括約筋を一組の親指が押し開き、暗い孔が空いたそこに、何度も何度も大量の液体が注がれていった。
「もっ……やぁ…」
 黒い布が濃く染みを作るころ、小瓶の中の得体の知れない、液体の大半は体内に流し込まれていて、
「ふん。」
 剛三郎は空っぽになった小瓶を投げ捨てると、ひくひくとぬめり、蠢いている窄まりに、2本の指を差し込んでいく。程よい食い締めに気を良くしながら、肉襞に余すことなく、注ぎ込んだ液体を塗りこんでいった。
「ぁぁっ……っ…」
 浅い入り口でなく、深いところで骨ばった指を感じて、城之内の内部で熱い塊に火が灯される。
「んんんっ」
「感じてきたようだな。」
「えっ…?なに?」
 剛三郎の指摘どおり、城之内の小さく肌色のペニスが固く膨らんでいた。閉ざされた視界でその状態を見ることは、叶わないが、中を弄る動きに合わせて、揺れている。
「おっと、貴様には、見えなかったな。ほら、触ってみるといい。こんなに、固くなっている。子供のくせに、いやらしいものだ。」
「うそっだっ!」
 剛三郎の手に導かれ、城之内はそれに触れると、固く形を変えているのに、信じられないと声を上げる。
「うそな、ものか。尻の中を弄られただけで、大きくなる、いやらしい、ちんぽだろう。」
 城之内の羞恥心を煽るように、卑猥な単語を聞かせる剛三郎。そして、その間にも出たり入ったりと動かしていた速度を上げていった。
「いやっぁあああああっっっ!」
 大量の液体と剛三郎の太い指により、入り口は十分に捏ね上げられていて、耳を覆いたくなるような陰音が城之内を耳からも犯す。
「ぁぁっ……ぁ…ああああああ。」
 入り口と同じだけ内臓を広げられ、見えない力によって与えられる、快感が幼い城之内の身体を支配していき、快楽のはけ口である、ペニスと睾丸を重くする。
「だっめぁ…ぇ…へん…に、なるっ…」
 知らないうちに、指は増やされていて、赤く充血したそこには3本の指が添えられて、激しく突きこまれている。
 身体の中からと、性器の気持ちよさが交じり合って、城之内の背筋を駆け上がり、神経を焼き尽くす。
 初めて、あの、マンションで教えられた、自分では制御できないどうしようもない、感覚が再び城之内に襲い掛かってきていた。
「やぁ…あああああっんんん!」
 幼い体では、快楽を逃すことなど出来ない。そして、快楽に従順に。導かれるまま急速に体が高みへと昇っていった。
身体を二つに織り込まれたままの、不安定な体勢の中、剛三郎に下半身を全て見られながら、城之内は絶頂に身体が独りでに跳ね上がった。
「ああーーーっっあああ!!」
剛三郎の指を食い締めて、小さなペニスから一回目の精子が吐き出される。
「んんんんん……」
射精の勢いに任せて、ぴくぴくと向きを変えながら、白い粘液は重力にひかれて、城之内の顔面に飛び散っていき、黒い布に白濁の水溜りを作っていった。
「はぁっ…はぁっ…」
シーツを手繰り寄せ、歯を食いしばり、快楽の波に耐えている城之内は、自分の顔に精液が飛んでいることにも、気が付かない。
「絶景だな。」
 そのあまりにも、見事なイキっぷりにさすがの剛三郎も思わず、感嘆の声をもらす。
 真っ赤に色づきひく付いている穴は、まだ、3本の指をくわえ込んだままで、萎んだペニスの先からは残滓が糸を引いて雫を垂れている。
 二つの乳首も桜色に染まっていて、更に下には、大きな口を開き酸素を貪り、さらりとした唾液が口の端から溢れている。恍惚とした顔は自らが吐き出した大量の精液と涙と唾液と汗にぐしゃぐしゃに汚れていて。
 男の欲望を満たす、部品が一直線に並んだ光景に剛三郎は満足すると、快楽に支配されている城之内を見下ろし、下卑た笑いを浮かべる。
「どうやら、ここでの快感は知っていたとみえる。教えられたのか、元々素質があるのか……とはいえ、後ろだけで達けるとは、幼いだけに倒錯的なものがある。」
 絶頂の余韻に脈打ち、蠢く粘膜を楽しみながら、剛三郎は、やっと城之内をベッドへと解放する。
「んあっ……。」
 と、同時に指も引き抜かれて、内部が締まる反応に小さく呻くが、身体中を妖しい熱に支配されて、逃げる気も起こらない。
桜色に染まった四肢を投げ出して、横たわる城之内。
皺くしゃになった、シャツを脱がされるときも、為すがままだ。
「一人で楽しむ時間は終わりだ。今度は私が楽しませてもらおう。」
 と、バスローブの紐を解き、合わせた前を開く。
「久しぶりに、楽しい、夜がやってきそうだな。」
 大きく怒張し、天井を向いた赤黒い肉棒を扱き準備を整えていく。
「今夜は一段と元気がいい。喜ぶが良い。」
 年を感じさせない、欲望は固く天を仰いでいて、熱く柔らかな粘膜に包まれるのを待ちきれないのか、淫水で、てらてらと滑っていた。
「私が満足するまで、もてばいいがな。」
 大きく足を割り開いて、城之内を組み敷くと、しどしどに綻んだ窄まりに、肉棒を埋め込んでいく。
「――――――――――っ!!」
 弛められていたとはいえ、許容量を遥かにオーバーした、肉棒が挿入される衝撃に、城之内は声を上げることすら出来なかった。
 ずり上がって、少しでも侵入を弛めよとするが、肩を押さえ込まれ、更に奥に押し込まれることになった。
「あっ……あつ…ィ…おおき…ぃ…よう…」
 指では届かなかった、奥深い肉壁を広げられ圧迫されて、城之内の顎が上がる。そして、舌の回らない声で喘いだ。子供特有の飾りのない言葉が、剛三郎を刺激する。
「気に入ったか?だがまだ、残っている。」
 むき出しになった朱色が散っている白い首筋を、ねっとりと舐め上げ、残りの竿を幼い体内に押し込んだ。
 ずりぃと、摺りあがりきつく萎んでいる、腸壁を膨らんだ亀頭で押し広げていった。
 腸内一杯に、剛三郎の肉をくわえ込むと、必然的に流し込まれた液体が溢れてきて、剛三郎の縮れた陰毛も、城之内の薄い尻も濡れ光らせた。
「……ふかっ…くるしぃ……」
 他人の熱い体温を体内で感じ、拓かれるはずの無いところを拡張される苦しさに、城之内の細い手が、バスローブの裾を握り締める。そして、もう、無理だと、やめてくれと、懇願した。
「楽しい時間はこれからだ。存分に楽しむといい。」
 無論剛三郎に聞き入れられることはない。
 変わりに、城之内の恐れている、律動が始まった。
「ひっ…イっ…!」
 初めはゆっくりと、そして、徐々に肉壁が慣れてくるのに合わせて、突きこみの速度を上げていった。注いだ液体が充血し色づいた肛門にも、猛った肉棒にも絡みついて、抜き差しするたびに濡れた音を立てている。
「ぃやっ、いやっぁっ!やめて!ああっぁ!」
 剛三郎の突き上げに揺さぶられる、小さな身体。もう、閉じることさえ出来ない口から、漏れるのは嬌声と哀願の言葉だけだ。しかし、その哀願もやがては言えなくなっていく。
 リズミカルに腰を打ち付けられるたびに、全身を突き抜ける快楽が城之内を責め苛んだ。
 エラの張った亀頭が内臓をひっくり返さんばかりの勢いで、体内を擦りあげる。
「ぁぁぁっぁぁああっ」
 剛三郎のペニスが行き来するごとに、城之内の体中は熟れて熟していった。多大な質量に押しつぶされている前立腺は、城之内のペニスを勃起させ、剛三郎の腹とに挟まれて、何度もイキ続け、射精を繰り返していて、白濁な体液を垂れ流している。
「ああっだめぇ!!!」 
 突き上げられる肉の壁は、柔らかく躾けられ、突き立ての餅のように熱くしっとりと剛三郎を包み込んでいる。そして、開かれた直腸の奥の奥に潜んでいた、快楽の壷にイチモツが到達すると、城之内の身体が跳ね上がった。
「うわぁっ!!ああああっ!」
 組み敷く身体が弓のようにしなり、今までにない反応を示す。
「こんなところもイイところかい?」
 そこを亀頭で突くと、城之内の身体が強ばって、腸壁がきゅっと締め上がってくる。何度も吐精を繰り返し緩んでいた、ペニスが勃起して膨らんでいた。
「良い。ぞ。実に良い。」
 女のように、前立腺でない奥で快感を得ることの出来る幼い城之内に、剛三郎の肉に強度がました。
「ヒィ……やぁぁっ……!!!」
 剛三郎は腕の中で悶える城之内を、観賞しながら、見つけた快楽の泉を外すことなく突き上げていった。
「ああああぁあーーーーーーっ!」
 肉の奥を熱い塊が押し上げると、そこから、爆発する何かが城之内の身体も、心も、焼いていく。広がる熱の塊をどうしていいのか、分からない城之内は剛三郎にしがみ付き、足をぎゅうと閉じ剛三郎に縋った。
「ようやく、素直になったな。」
 黒い布はじっとりと涙に濡れて、高揚した頬の赤みが感じていることを伝え、ぽってりと膨らんだ桜色の唇が終わらない絶頂に閉じることを忘れて濡れている。
「あっあっあっあっ」
 揺さぶりと合わせて、漏れる喘ぎ声が可愛くて淫らだった。剛三郎が唇を合わせると、幼い舌がたどたどしく絡みつき、喘ぎすぎて乾いた喉を注ぎ込まれる唾液で潤した。
「んっんっふぅふう」
 外に引き出した舌伝いに大量の唾液を送り込むと、城之内の喉がこくりと動き、全てを飲みほした。
 全ての支配権を剛三郎に委ねた城之内は、導かれていくままに快楽を追っていった。
「何度でも、好きなだけ達くが良い。」
 剛三郎の練達な腰使いに、城之内の射精は止まらず、断続的に痙攣しながら体液をぶちまけて腹に白濁溜りを作っている。身体の内部から焼かれる快楽が全身をピンク色に染め、弛緩と緊張を繰り返している。
 絶頂に次ぐ絶頂にきゅっと窄まる、腸壁をこれでもかといわんばかりに、怒張が突き上げ、捏ね上げる。
「ぃやああっっイ…く…るっぅ…」
 尚も、終わらない絶頂に城之内の意識が朦朧としてくるが、途切れる意識を繋ぐのも皮肉なことに、快楽だった。
 頭を左右に振り乱しながら止まることのない、剛三郎の攻める腰の動きに啼いた。
「あああああああああああああああっ」
 ひと際大きな悦楽の波が城之内を飲み込み、剛三郎のペニスをくわえ込んだままきつく痙攣した。その食いちぎられそうな引き締めに、さすがの剛三郎も耐え切れずに、体内の奥に吐精をする。
「あああああついぃ!!!」
 まるで、小便でもしていると勘違いするほど大量のマグマのような精液を腸壁に叩きつけられて、城之内の中は一杯になる。
 二人の繋がる隙間から、精液と城之内が分泌した体液が交じり合って染み出てきた。
「んんんっ……ふっ…」
 尻に触れるシーツがぐしゃぐしゃに滑るのを、どこか心地いいと被虐の喜びに震えて、城之内の体が弛緩していった。
「派手に、イキおったわ。」
 力なくシーツに投げ出された四肢は今までの妖艶さが想像出来ないほど、細くか弱く、幼い。
 広がる金色の髪はつむぎたての絹糸のように、輝いていた。そして、何よりもあどけない寝顔からは、淫らな欲望に飲まれて支配されてた、淫乱な影など、どこにも見当たらなかった。

 汚しても、淫らな快楽の底に落しても、この金色の少年は輝き続けるのかもしれない。
 地獄を照らす希望のような少年の気高さに、剛三郎は目を細める。
「私も焼きが回ったか…。」
堕ちた少年に感傷的なことを思う自分に、何を馬鹿なことをと自嘲し、剛三郎はその考えを払拭するように、城之内の唇を味わっていった。
 大きく上下する胸の飾りを指で摘み、剛三郎はしっとりと汗で濡れた身体同士をもう一度合わせていった。
「まだ、私は満足していないぞ。夜はこれからだ。」
 その言葉通り、剛三郎の怒張は萎えてい。寧ろ、大きく勃起している。
城之内の遠くに跳んだ意識を戻すように、足を大きく割り広げ、抱えなおすと、大きく腰を使い出した。
 閉ざされた分厚い扉から、もれ聞こえてくる幼い途切れ途切れの嬌声に、控えていたチーフは眉間に皺を寄せ、眼鏡をかけ直した



 



 11月のオンリーで配布したものです。
 背景はこちらからお借りしました。
NEO HIMEISM