「どうだ。やってけそうか?」 「ええ。まぁ。よくわからないけど……」 午後の大半を使い、シフトのこと、主な仕事内容、施設内の説明を聞いた城之内の頭は煙が登っていた。来た当日にやってけそうか。と聞かれても、答えられるはずもなく、城之内は曖昧な返事を返す。 「そりゃそうだよな〜〜〜。」 当たり前の返答に本田も頭をわざとらしくかく。 本田と城之内の二人は通常勤務を終えて、アルカトラズの職員施設で夕食をとっていた。 ここ、アルカトラズは大きく2つのスペースに分かれている。 半分は送られてきた罪人が生活をする服役施設。 もう半分が、職員の生活区域になっている。極度の緊張と規律を強いられる仕事だけに、福利厚生は充実しているようだ。大きなドーム型の建物にはショッピングモールや映画館、ゲームセンター、スポーツジム……”陸”での生活となんら変わりない娯楽が詰め込まれていた。今、二人がいるのもここで、小洒落たレストランで、城之内の就職祝いを兼ねた食事をしている。もちろん支払いは先輩の本田が持つことになっていた。 ドームの外には職員用の病院、公共機関の出張所、緊急用のヘリポートや面会にくる家族のための宿泊施設も完備されている。 ここの略地図を眺めていると、海のど真ん中にあるアルカトラズが一つの街となっているように城之内は感じてしまい、充実した設備と待遇に、もしかしなくても場違いなところに来たのではないかと、戸惑ってた。 ピアノの生伴奏が店内に響き、照明を落とした心地いい場所での豪華な食事も味を感じる余裕もない。 「よっ!!本田。僕も同席してもいいかい?」 自動ドアが軽い音をたてて開くと、癖のかかった黒髪を束ねた細身の若い男が入ってきた。城之内と本田は制服を着ているが、この男は私服を着ている。非番なのだろうか。 「御伽じゃねぇか。いつ帰ってきたんだ。」 「今日だよ。収監の便で、さっき着いたところさ。」 隣の席に本田は移動して、御伽と呼ばれた男がそこに座った。テーブル横の端末に例のカードを差し込み慣れた手つきでパネルを操作して、食べたいものを注文していった。 ちゃらちゃらした見た目とは裏腹の優雅に見える仕草に、城之内は食事も忘れて思わず見とれてしまった。 「さてと、こんにちは…いや…初めまして。新入り君。僕は御伽。本田と同期になるのかな。主な仕事はここのシステム管理をしている。」 パネルの操作を終えた御伽は、同じく優雅な仕草で城之内に手を差し出した。 「……こっ……ぃゃ……よろしくお願いします。城之内です。」 お手ふきで一度手を拭い城之内は握手をする。思った以上に手が冷たく、ひんやりと感じた。 「はははっ。緊張しなくてもいいよ。アルバイトといっても、僕たちと同じ仕事をするんだ。こちらこそよろしく。」 城之内の緊張をほぐそうとして、御伽は柔らかな笑みを作った。 「おい。あんまり、怖がせんなよ。そうでなくても、初日で緊張してるんだぜ。」 本田はステーキを頬張りながら御伽の脇腹を肘でつついた。 「おいおい、僕は挨拶下だけだよ。相変わらず本田君は怖いなぁ………城之内くん、このこわ〜〜〜い先輩にいじめられたら、いつでも僕の所に相談しておいで。」 「はい。判りました。でも、本田先輩は優しいですよ。」 「いいこと、言うねぇ〜俺にも良い後輩が出来たぜ。」 「なら、本田君は見本となる、立派な先輩にならないとね。」 「相変わらず一言多いな〜。こう見えたって俺の仕事ぶりは……」 二人の軽快なやりとりを城之内の肩の力が抜けた。初めての職場で判らないことばかりだけど、思ったより上手くやっていけそうな気がしてきた。 そんな事をしていると、追加の料理が運ばれてきて、ささやかなお祝いが再開された。 「城之内君の就職を祝って☆」 「乾杯☆」 「本格的な仕事はこれからだから。気張って、がんばれよ。」 「俺たちも応援してるぜ。」 気がつけば、周りには仕事を終えた職員がめいめいグラスを手に城之内たちを囲んでいた。先輩たちの暖かな激励を受けて、城之内もジュースを手に立ち上がり、お辞儀をする。 特殊な環境に来たせいか、みんないい人に城之内の目に映る。 「有難うございます。頑張ります。」 顔を上げ、営業用ではないひとなつっこい年相応の笑顔になる。 なんか、よくわからないけど、いい感じの人が多くて良かったなぁ。 城之内は素直にそう思う。が、 今度のはこの子か。 見た目はまぁまぁかな。 前のは仕上がりが早かったんだ。 楽しみだぜ。 俺たちにおこぼれはくるのか。 本田もくじ運がいいよな。 慣れない環境に緊張しているからか、職員達の笑みの下にある淫秘な視線と、小声に気づくことは無かった。 誰が注文したのか、城之内のテーブルには食べきれないほどの料理が運ばれてきて、全部食べなきゃ駄目かな……と苦笑いを浮べつつ、箸をつけていった。 ***** 「……限界です、もう食べ切れませんっ」 デザートのアイスクリームをようやく腹の中に納めると、城之内は膨れた腹を叩く。 「いい食いっぷりだったぜ。」 「よく食べたね。見てて気持良かったよ。若いっていいね。」 御伽は食後のコーヒーを飲み、本田はタバコをふかしている。テレビで見た大食い選手権のような城之内の胃にパチパチと拍手を送る。 「明日の朝ごはんは食べられなさそうです……ずるいですよ。先輩たちも若いじゃないですか。」 お腹が満腹になると、今日の疲れがどっと城之内を襲ってきた。ふああ…と大きなあくびを一つして、コップの水を飲み干すと城之内は立ち上がった。 「ご馳走様でした。美味しかったです。」 両手を合わせてご馳走様の仕草をする。 「じゃぁ、腹ごなしも済んだし、仕事に戻るか。」 咥えていたタバコを灰皿でもみ消し、本田が城之内の背中を叩いた。 「えっ????仕事???」 今日の仕事はもう終わったとばかり思っていた城之内はきょとんとした表情だ。 「これから、特別業務の時間さ。時給が上がるぜ。」 「はぁ……?」 時給が上がるのは願ったりもない話だけど、正直仕事から解放されて部屋で休みたかった。でも、新人で研修期間中の城之内にNOを言う権利はない。 「じゃ、行くぜ。じゃぁな。御伽。 ま た 明 日 」 意味ありげに片目をつぶり、片手をひらひらさせ、城之内の肩に腕を回すとレストランを後にする。 「がんばってね。城之内くん。君の仕事の本番はこれからなんだよ。」 後に残された御伽は唇を歪ませた。 ***** 職員用の門をくぐり、再び囚人たちの待つ建物に戻ってきた城之内は本田の後を付いて行った。 施設内は消灯の時間を過ぎていて、ひっそりと静まり返っていた。暗く落とした照明と必要以上に響く靴音が城之内の心細さを煽る。 本田はそんな城之内などお構い無しに、どんどん奥に進で行き、何度か廊下を曲がった先にあるエレベータの前でようやく足を止めた。 「………」 扉の横にある、コントロールパネルにカードを通し、パスワードを入力すると扉が開く。 「乗れよ。」 先に乗り込んだ本田は立ちすくんだままの城之内を手招きする。 「………。」 大人しく城之内が中に入ると、エレベーターは静かに下降し始めた。微妙な重力の変化にさっき食べたものが上がってくるようなへんな感じがする。 会話も無いので城之内は点滅するランプを眺めた。エレベーターは1分ほど下降して、ようやく止まった。くん とわずかな振動を身体で受け、城之内は一歩よろける。 「緊張してるのか。」 表情の硬くなっている城之内の頭を小突き、 「大丈夫だって。一般の人間では見れない世界を見せてやるぜ。動物園にでも来た気でいればいいさ。」 乗ってきたときと同じように、先にエレベーターを降りる。 「待ってくださいよ。」 城之内も慌てて後を追った。 たどり着いた地下の世界に何があるのだろうか。上の階と変わらない廊下が続いて特別変わった様子も見当たらなかった。ただ、一つ大きく違うのはフロアに満たされている空気が冷たく張り詰めている。まるで、氷の棺の中にいるような気持ちがしてきた。 「本田先輩……特別業務って何ですか?」 先を歩く本田に追いつき横に並ぶと、城之内はたまりかねて聞いてみる。鈍い城之内でもなんとなく『特別』の意味が分かってきたからだ。 地下深いところにある部屋。 出入り口のセキュリティの厳重さ。 そして、動物園…… 「すぐに分かるさ……って言っても仕方がないか。もう、お前でも予想が付いてるだろ。」 いくつも並ぶ扉の一つにたどり着くと、本田はようやく立ち止まった。 「はい。なんとなく……凶悪犯が収監されているところですか?」 凶悪犯……口に出したほうが緊張してしまい、城之内はごくりと生唾を飲み込む。 「ご名答。」 エレベーターに乗ったときと同じように、カードとパネルを操作すると、中から人の声がした。 「本田です。交代に来ました。」 パネルに赤い光がチラついている。どうやら中の職員が確認しているようだった。しばらくするとカチャっと音がして鍵が外れる。 「お疲れ様です。」 中から現れた職員に本田は背筋を伸ばして敬礼し、城之内もそれを習った。 「異常なしです。」 中には職員が2人いる。どうやら特別業務は二人ペアで行うようだった。 その後は城之内にはまだ理解出来ない専門的なやり取りがあり交代の申し送りが済んだ。 「じゃ、特別業務の始まりだ。」 本田と職員がニヤリといやらしく口を歪ませるのを、城之内は緊張の余りに気が付くことが出来なかった。 ***** 本田に続き部屋の中に入ると、城之内はまず部屋の広さと明るさに驚く。 その部屋は細長い構造で、廊下側の1/3が当直の職員のスペースになっていた。簡易の流しがあり、トイレも完備されている。職員のスペースから数段階段状に下がった残りの2/3フロアが凶悪犯の牢獄になっていた。犯罪者とそうでないものを分けているのが天井から床まで切れることのない鉄格子だ。 初めて見る光景に城之内は固まったまま動けなくなってしまった。 「来いよ。罪人とご面会だ。」 ぽんと背中を叩かれて我に返った城之内は、まるで引き寄せられるように凶悪犯の居る所へ歩いていく。 一歩ごとに大きくなる鉄格子の向こうの世界。本田が言ったように動物園のようだった。四角い檻の中に閉じ込められた罪人。城之内は中にあるモノを観察していった。 檻の中は驚くほど清潔で簡素な作りになっている。トイレも風呂ちゃんと用意されているが、仕切っている壁は透明になっている。自殺防止や逃亡の用意が出来ない配慮になっているのだろう。他にはベッドとテーブルセットが一組あり、椅子に一人の人物が座っている。 「!!!!!!!!!!!!」 優雅に足を組んで分厚い本を読んでいる凶悪犯に城之内の目が驚愕に見開かれた。 「本田先輩!!こいつっ、昼間に見たっ…!」 濃い茶色の前髪が目元を隠しているけど、見間違えるはずはない。ここに座っているのは昼間の運動場で見た、小さい同僚を抱えて連れて行った人間と同一人物のはずだ。 城之内はもっと鉄格子の向こうにいる、凶悪犯を見ようと吸い寄せられるように鉄格子のほうへと歩を進めていった。 「それ以上近づくな。」 鉄格子に触れようとした時、本田が慌てたように声をかけ、城之内の手を掴んだ。 「……本田…先輩?」 思ったよりも強い力に、我に返る城之内。 「俺の説明が足りなかった。この鉄格子には触れちゃ駄目だ。」 「駄目……?」 「そうだ。見てろ。」 本田はポケットからタバコを一本鉄格子に投げた。 ジュバッ!! 「!!!!わっ!!!」 空中に弧を描いてとんだタバコは鉄格子に触れると、小さな火の塊となり、消し炭となって床に散らばった。 「…………。」 焦げ臭いにおいが鼻をついた。 「これには、逃亡防止に電流が流されているんだ。威力は見たとおり。」 城之内はかくかくと首を振る。 「驚かしちまったな。わりい。」 「いいえ。大丈夫です。」 触らなくて良かったぜ…足元に散らばるタバコの残骸を自分に重ねてしまい、城之内は身震いした。 「で、この中に収容されているのがNO5943。」 「5943?」 「ああ。こいつは死ぬまでここから出られないんだ。だから、名前も必要ないのさ。番号で十分なんだ。」 「へぇ…」 名前まで奪われてしまうなんて、この中の囚人はどんな罪を犯したのだろう。 「気になるか?」 「はあ?」 本田に考えていることを見透かされたような気がして心臓がどきんと脈打つ。 「NO5943がどんなことをやって来たのか知りたいだろ?」 「ええ…まぁ…」 静かにページをめくる様子を見ていると、この男が凶悪犯だとは思えなくて、城之内の好奇心が頭をもたげてきた。 「今は静かにしてるがよ、こいつが犯したのは…」 本田の説明に城之内は血の気が引いていってしまった。 NO5943は、 人間を食べた。 殺してから食べたり、生きながら食べたり…ようは気分次第だったらしい。 食べるのも大人から子供、男も女も恐ろしいことに分け隔てなかった。 その上、NO5943の知能指数は天才のレベルに達しているらしく、この男を捕まえるために警察官が23人犠牲になった。 本来ならば極刑に値する罪だが、この国の死刑は廃止されていた。だから、この海の孤島で死ぬまで過ごすのだと本田は言う。 「………」 「こいつを捕まえられたのも奇跡みたいなものだったんだぜ。やっと捕まえた史上稀に見る犯罪者を外の世界に出すわけにはいかないから、こうして特別室にいるんだ。」 「はぁ……。」 最新のセキュリティで管理された牢獄。と、人間の目で監視され、部屋を囲む鉄格子には触れたら即死するぐらいの電流が流されて、ここから出ることは不可能だ。では、昼間に見た蒼い目の長身の男は見間違いだったのだろうか?と城之内に根本的な疑問が湧いてきた。 せめて、本を読んでいる顔を上げてくれたらはっきりするのにと思ったとき、囚人静かに本を閉じ、顔を上げた。 「 ! 」 整えられた栗色の前髪のしたから現れたのは、昼間に見たのと同じ冷たい蒼い瞳。非の打ち所のない端正な造形なのにそこには表情はなく、鉄格子越しに城之内を観察しているようだ。 その蒼に見すくめられて、城之内は一瞬動くことを忘れてしまった。 「ふん…」 城之内を高みから見下ろしたようにNO5943は唇の端をゆがめ、囚人とは思えない優雅なしぐさで立ち上がると、本を本棚に戻し、また他の本を手にする。そして、もといた椅子に再び腰を下ろすと、もう、城之内の存在など無かったかのようにページを捲った。 「本田先輩!!!!こいつ、見る間に外に出てませんでしたっけ???」 蒼い視線から解放されて、金縛りからとかれた城之内は本田に訴える。空調が利いていて快適な温度のはずなのに全身に嫌な汗が流れている。 「はぁ?こいつはここから出れないんだぜ?城之内の見間違いだよ。」 本田は取り合ってくれない。 「見間違えなんか無いですよ。絶対こいつです!!こいつは昼まここから出てたんですよっ!!」 城之内は本を読む主人を指差した。 「だから、見間違いだって。仮にこいつがここから出れたとしよう。なら、どうして一度出た牢獄にまた戻ってくるんだ?どう考えてもおかしいだろ?」 本田は城之内のおでこを弾くと、簡易のキッチンに向かう。 「コーヒーでもいれてやるから、頭を切り替えろよ。初日で緊張してるのさ。」 カップを食器棚から取り出すと、コーヒーを入れ始めた。 「上手いのを入れてやるからよ。」 「先輩〜〜。」 やはり本田の言うとおり、見間違いなのだろうか? 俺、人の顔を覚えるのは得意なんだけどな…… 城之内は首をかしげながら、本田のいるところへと向かった。 ***** 「ほらよ。」 テーブルの上には入れたてのコーヒーが二つ、香ばしい香りと湯気を立ち上らせている 「頂きます。」 城之内は椅子に腰掛けるとカップを手にした。 「……でも、やっぱ、似てたよな……。」 どうしても、昼間に見た人間と同一人物としか思えなかった。本田は見間違いというけれど。あの高圧的な蒼を間違えることはあるだろうか。 「だーーーっ!!考えてもしかたねぇや。」 ベテランの本田がそう言うのだから、怖いことを考えるのはやめよう。城之内は手にしていたコーヒーをぐいっと飲む。 「あつっ!」 「ばかだなぁ。入れたてだぜ?やけどするだろうが。」 本田は紅くなった舌を出してふうふうしている城之内の仕草に噴出すと、今度は水を汲んできた。 「まだまだ、お子さまだな。可愛いぜ。」 「へっ?」 可愛いなどと称されたのは初めてなので、城之内は頬が赤くなるのが分かった。誤魔化すために今度は水を一気に飲み干す。 「はぁ。」 「人心地ついたみたいだな。」 本田もコーヒーを一口飲むと城之内の向かい側の椅子に座った。 「特別業務なんていっても、特にやることはないんだぜ。だた、こうして茶を飲んだり、ゲームでもしてれば金になるんだから、美味しいよな。」 本田は引き出しからカードの束を取り出すとテーブルの上に広げる。 「朝まで、まだ時間があるから、カードゲームでもやろうぜ。」 見慣れた茶色のカードに城之内の目は輝いた。 「やったぁ。本田先輩もやるんですね。俺、こう見えても結構強いですよ!!」 「本当かぁ?俺だって中々の腕前なんだぜ。ここでも愛好者は多くてよ、たまにトーナメントとかやるんだぜ。」 「へぇ、本格的ですね。」 寮に戻れば愛用のデッキがあるのにと考えつつ、城之内はたくさんのカードに目を輝かせながら今夜だけのデッキを組んでいった。 ゲームをして時給をもらえるなんて考えたことのない城之内は、夢のような職場に蒼い目の男のことなど忘れていった。 「できたっ!!」 「おっ、意外と早かったな。」 「良いカードばっかりで悩みましたよ!」 「早速、対戦だ。お手柔らかに頼むぜ。」 「負けないっすよ!」 本田と城之内は互いのデッキを交換すると、カードを切っていく。 「本田先輩はどんなデッキ何だろう…?」 城之内は初めて対戦する相手に、胸を躍らせてカードを切る。 ????? なんだこれっ? カードに夢中になっていたために気が付かなかったけれど、城之内はテーブルの傷に目がいった。 良く見ると、テーブルの4方にも同じような傷が付いているようだ。 何か強い力で擦れたような跡に不信感を抱くが、本田からきり終わったカードを手渡されて、それ以上考えることをやめた。 〜デュエル〜 テーブルの上にカードが並べられていく。 本田の腕前は中々のもので、二人の対戦は長引いていった。 「先輩!!強いっすね!!」 「だろっ。」 白熱した戦いに城之内もだんだん熱くなるはずだったが、時間が経過していくにしたがってどうしようもない眠気が襲ってきた。夕食の満腹感も手伝ってか、何度もあくびをかみ殺すけれど、ほぁんと覆いかぶさってくる睡魔には勝つことが出来なくて、手元がだんだん怪しくなり、本田の声は遠く、瞼が自然と閉じてくる。 ……お 前の タ ーンだ ぜ … … …? は い 。 こんなに眠くなるなんて…へんだよ…… ありえない強制的な睡魔が城之内を眠りの世界に引きずり込んでいった。手にしていたカードが床に散らばっていく。 横倒しの白く霞んだ視界に、開くことのないはずの鉄格子の入り口がゆっくりと開いていくのが映る。 『 ァ っ ! 』 やばいっ!!!! 城之内は声を上げようとしたが、もう、体は動かない。そして、危険を認識したはずの意識さえ閉じていってしまった。 「城之内!寝たのかよ……たく、しかたねぇな……」 完全に机に突っ伏してしまった城之内の肩を本田は乱暴にゆすり、完全に意識が落ちたことを確認すると、タバコに火をつけた。 「俺の役目はここまでだ。」 銜えタバコで、手触りのいい金糸の束を指に絡めると、肺一杯に吸い込んだ紫煙を吐き出した。 「バトンタッチだぜ。NO594……瀬人さんよ。」 「………。」 瀬人は答えず、何も知らずに気持ち良さそうに眠りの世界に入っている城之内を観察するように見下ろした。 ***** どのくら時間がたったのか、1時間それとも10分くらい?眠りの底に沈んでいた意識が戻ってくる。 …………?おれ……急に眠くなって…… やべっ!!ゲームの途中で寝ちゃったよ!! 本田と対戦中に眠ったことを思い出した城之内は重い瞼を開いた。 「??」 まだ、ぼんやりと霞む視界に入ってきたのは、白くて高い天井だ。 「???」 あれ?おれ?どこにいるんだっけ?? 見慣れない天井と、体が宙を浮いているような浮遊感に城之内は頭を振り、体を起こそうとした。 「っ??」 体が動かない。 なんなんだ? 少しは自由に動く頭を起こして自分の置かれている状況を見て心臓が止まりそうになった。 うわぁぁぁっ!! 城之内は先ほどのテーブルの上に寝かされていて、体に見につけていたはずの制服も下着も、全ての洋服を取り払われ、両手両足はテーブルそれぞれの足に縛り付けられて昆虫の標本のような情けない姿をさらしていた。 「本田先輩!!」 一緒にいるはずの本田を呼ぶ城之内。対戦の途中で寝てしまったことへの罰ゲームにしては度が過ぎている。とにかくこの不自由に縛る縄を解いてもらわないといけない。 「寝ちゃったことは謝りますから、この縄を解いてくださいよっ!!」 城之内は動かせるだけ頭を回して本田を探す。しかし、視界の中に本田の姿を見つけることは出来なかった……そして、代わりに目に入ったのは……。 「!!!!!!!!っ!!!!」 城之内の琥珀が大きく見開かれた。 そこにいてはならない、長身の男が立っていたからだ。 「お前はっ…ええっ???」 驚きの余りに城之内は一瞬言葉を失った。顔を真っ青にしてパクパクと口を動かしている。 名前の無い凶悪犯が、あられもない姿をさらしている城之内を見下ろしていた。 人間を食べた、殺戮犯。 脳裏に本田の言葉が甦ってきて、城之内は叫ぶ。 本田先輩!!!!!!どこですか!!!! 大変です!!! 必死の形相で本田を求めるが、拘束された体はテーブルをがたがたと揺らすばかりで、逃げることは到底出来なかった。 「今度はずいぶんと活きが良いようだな。」 瀬人は城之内に聞こえないくらい小さな声で呟くと、まな板の上でぴちぴち爆ぜる獲物に近づいていく。 「うわぁぁぁ!!!来るな!近寄るんじゃねぇ!!!!」 一歩ごとに大きくなる凶悪犯に城之内の全身からどっと汗が噴出した。反対に手足は冷たくなっていく。 「やめろぉぉっ!!NO5729…違う、3429……あれっ?なんだっけ!!って、んなこと言ってる場合じゃねぇよ!!それ以上近づくな!!!!」 パニックに陥った城之内はあらん限りの力で、体を拘束する縄を引きちぎろうと力を入れるが、テーブルが軋み手首が熱くなるだけで、切れる気配はない。 「まて、まて、俺は上手くないぞ!!!良いもん食ってねえし、ほら……肉だってないんだっ!!!」 人を食べる蒼い目の鬼人が側まで歩み寄り、無表情で真上から城之内を見下ろす。 ちょど、照明を背にしたために蒼がより濃くなった。 心臓の弱い人などこの蒼に見られるだけで、心臓が止まってしまうかもしれない。 「ぁぁぁぁぁぁぁっ……」 俺はこの男に食われてしまうのか! 心臓がばくばくと早鐘をうち、耳元で太鼓が鳴っているように鼓動が大きく聞こえる。生まれて初めて感じる身の危険にさらされて、限界を超えた恐怖に歯の根が合わないほど体が震えた。 口の中はからからに乾いているのに嫌な生唾が溢れてきて、城之内の喉が鳴る。 真上から、城之内を見下ろしていた蒼い視線がふいにずれ、瀬人はにやりと口元を持ち上げた。 「へ??」 瀬人が城之内の下半身を意味ありげに見ているので、城之内もつられて頭を起こす。 すると、目に入ったものに城之内の顔が羞恥に真っ赤に染まる。 「はわぁぁ!んでだよっ!!」 信じられないことに城之内のペニスは恐怖に萎縮するどころか、反対に大きく反応していた。腹につきそうなほどに反り返っている恥知らずの息子を瀬人の視界からどかそうと腰をゆするが、空しくペニスは揺れるだけだった。 「貴様は、相当の好きモノらしいな。」 瀬人は硬くなっているモノを指で弾いた。 「ちっ…ちがうっ!!」 城之内は首を横に振るが、蒼い視線にさらされて今にも弾けてしまいそうなほど成長したペニスはわずかな刺激だけで、弾けてしまいそうに脈打つ。 青くなったり赤くなったりと忙しい新たな玩具に、瀬人はこれまで感じたことのない興奮を覚える。 「生物はその死を身近に感じたとき、己の子孫を残そうとするというが、ここまで反応するとはな。面白いものを手に入れた。よほど、本田の説明が怖かったと見える。」 瀬人は一人納得すると程よく筋肉のついたわき腹をなぞり、胸を摘み、首筋を伝い、震えが止まらない唇をたどっていった。 「ひぃ、、ぁぁ、、、」 まるで、肉を食む場所を探しているような動きに、指が位置を変えていくたびに城之内の体がひきつる。 「ぁ、、、、ぅ、、っ、、」 命乞いをしたいが、喉が震えるだけで声が出ない。 瀬人がテーブルに体重をかけて、磔にされている城之内の体に覆いかぶさっててくる。ぎしりとテーブルが軋んだ音をたてて、城之内はとうとう、その時が来たのだと心臓が跳ね上がる。 潤んだ琥珀から涙が流れた。 「っ、、、!!」 瀬人がドアップにせまり、薄く開いた整った唇からは赤い舌が覗き、城之内はギュッと目を瞑り身体を強ばらせる。 「もう、、、、だ、、、め、、っ、、、くわれるっ、、、」 ぬちゃり…… 「ぁ、、っ、、」 湿った音が耳の中にダイレクトに響いてきて、耳たぶを舐められた。 端っこから食いちぎられるのかと、城之内は絶望的な気持ちになるが、予想した痛みは一向にこなかった。 「はぁ、、、、、ぁ、、、、、?、、、」 唾液に濡れた舌が耳タブの形をたどり、余すところ無く濡らしていく。小さな穴は唾液で溢れ、篭っこ音と舌のざらついた感触に城之内の身体がびくりと反応する。 「んんっ!!」 耳たぶに歯をたてると、城之内のペニスがピクンと脈打つ。 「面白いやつだ…。」 瀬人は恐怖におののき涙を流し、命乞いをしながら、ちょっとの愛撫に感じ始めている城之内を本格的に弄りはじめた。 「ぃぁぁぁ、、、、ん、、、っ、、、ぃや、、、ぁ、、」 生暖かいナメクジが城之内の肌を這っている。恐怖を先に与えられた身体は弱い刺激にも敏感に反応していった。 片方の耳が解放されたと思ったら、反対を嫌というほどに嬲られた。貧乏高校生の城之内に彼女が出来ることはなくて、性体験ももちろんなく、一人で処理をする方法しか体験したことのない身体に、瀬人の愛撫は刺激が強すぎた。 誰も教えてくれなかった、自分ですら知らなかった性感帯を掘り起こされて、そこを紅い跡が付くほど吸い上げられて、城之内の身体がはねた。 いつ食いちぎられるのかと恐怖に慄きつつ、与えられる生ぬるい刺激に城之内の思考が熱く溶けていった。 「ひゃっ、、、、あああ!!!」 新しく見つけられた首筋に歯を立てられ、かみ殺していた声が上がる。 「うぁぁ、、、ぁあ、、、ふぁっ、、」 長く優雅な指がつんと立ち上がった尖りを摘み捏ね上げていった。見る見る間に紅く血が集まってくるそこを瀬人は時間をかけて弄っていく。 城之内の乱れる荒い声をもっと聞きたくて、もう片方を舌で舐め上げる。 「んんはぁーーーっ」 城之内の知識ではセックスは男と女のあいだですることだ。もちろん男である城之内が抱くほうであって、決して抱かれるほうではない。身体を拘束され自由を奪われて女のように喘いでいる自分が信じられなかった。 「やぁっ!!!!!」 瀬人の愛撫は的確に城之内のつぼを付き、執拗に攻めていく。健康そうに日に焼けた肌が真っ赤に染まり、城之内が感じていることを瀬人に教える。 「、、、、もう、、、、やめっ、、、てくれ、、、」 乱れる呼吸のしたで城之内は懇願した。これ以上愛撫を与えられれば確実におかしくなってしまう。 「やめてもいいのか?」 瀬人は乳首を弄る手を休めると、城之内の耳元で囁いた。 「っ!!」 耳に心地よく響く低温に身を竦めつつ、城之内はこくこくと頷く。 「貴様のここは、そうは言っていない。」 くんと広げられた股の間に当たっている腰を突き出した。 「んんんっ」 反り返っているペニスを袋ごと圧迫されて、城之内の喉が反り返る。 「さっから腰が動いて…俺にこすり付けているではないか。見てみろ俺様の服が貴様のでべとべとに濡れている。」 金糸を乱暴に掴み頭を引き上げる。 「イタッ!!、、、、、っ!!!、、、嘘だっ!!」 髪をつかまれる痛みに耐えられず頭を上げ、城之内は股間に目をやると、瀬人の指摘どおりの光景に顔が赤く染まっていった。 「いやらしい奴だ。」 城之内のペニスは今にもはじけそうなほどに張り詰めて、先端からはがいやらしい体液が流れて伝い落ちている。あと少し刺激を与えられるだけで、若い性は頂点を迎えるに違いない。 「違うっ、、、こんなの、、、おれじゃい、、っ」 城之内は頭を振って否定するが、瀬人はふんと鼻で笑い城之内のペニスを掴み扱き出した。 「あああああああああああああああああああっ!やめろっ!!!」 瀬人は巧みに逃げようと腰をひねる城之内を追い上げていった。長い指が裏筋を擦り鈴口をぐりぐりと押しつぶす。初めて他人から与えられる直接的な刺激に城之内の我慢の限界はあっけなく崩壊し、テーブルを軋ませて、身体がしなった。 「いやだああああっ!!」 扱かれるところを中心にして吐き出してしまいたい欲望が渦巻いている。はじめは逃げるようにしていた腰も、今は訪れようとしている解放に焦れて蠢いていた。 足先からよく覚えている絶頂感が競りあがってきて、城之内はもうだめだと欲望を解放しようとした、まさにその時、 「城之内ーーーっぃ!!起きたのか????」 何処かから本田の声がした。 「!!!!!!!!!え!!!!!!!!!!」 我に返った城之内が声のするほうに顔を向けて、本田を探すと、トイレのあるほうから本田のうめき声がした。 「わりぃ……俺、腹壊しちまったようでよ……ゲリピーなんだ……すまねぇ…」 壁に阻まれて篭った本田の声と余り聞きたくない他人の音がして、思わず城之内は顔を背ける。 が、本田のいるところが分かったというだけで、危機が去るわけでもなくて、城之内は自分の上に占拠している、瀬人を睨みつけた。 「、、、おっ、、、い!、、今、、大人しく向こうに、、っ戻ったら、、、ぁぁ、、んんっ、、、みぃ、、逃して、、やるぅ、、から、、、どけっ、、、ょ、、っ、、」 最後の理性を振り絞り、瀬人に力の無い忠告をする。 「面白い奴だ。」 快楽に飲み込まれながらも、理性を失わないようにもがいている強い意志に、純粋に賞賛を送った。ただし、それが城之内の望むものとは逆のものだったけれど。 「気に入った。派手に達くがいい。」 瀬人は扱く手の動きはそのままに、体制をずらすと城之内の涙を流しているそれをためらいもなく含んだ。 「んああああーーーーーーーーっ!!!」 暖かく滑らかな口内に導かれ、ペニスがドクンと脈打つ。ねっとりと舌で浮いた血管をたどられて、唾液でべちょべとになるまで舐められた。 「んんんんんっ」 城之内は必死に出そうになる声をかみ殺す。 「助けを呼べば良いだろう。声を出せば貴様は解放されるぞ。」 「ぁぁぁっ、、、、、この、、やろっ、、、」 瀬人は城之内を含んだまま揶揄すると、その不規則な刺激に城之内が仰け反った。 決めの細かい健康そうな肌に汗の珠が浮かび、可愛らしい窪みをもつ腹が達くのを堪えて、上下する姿はたまらなく、瀬人を高ぶらせていった。 勝気で穢れていない城之内を淫らな欲望で染め上げれば、どこまで痴態を引き出すことが出来るのか。 「貴様がこの醜態を本田に見せられるのなら、大声を出して本田を呼ぶといい。」 「なっ、、、!」 瀬人が意地悪く言うと、城之内は顔を真っ赤にして手足をこわばらせた。 「、、先 輩、、っ、、がくれば、、、お前、、、な、、ああんっ、、!」 本田が来れば、てめえはまた檻のなかに逆もどりだっ!!!と城之内は叫びたかったが、再開された口淫にぞわりと背筋があわ立つ。 「いいのか?大きな声を出せば、貴様のこの無様な姿を他人に見られることになるぞ。男のプライドを嬲られて喘ぐ様を見せたいのか?」 瀬人の鋭い指摘に城之内は唇を噛み締め、NOと、首をふるふると振った。 「良い子だ。それでいい。」 思い通りに動く城之内に、瀬人は舌技を行使する。 「、、、ぁ、、、、っ、、ん、、ぅっ、、くっぁ、、」 ぐぽっちゅっっと、卑猥な音が城之内を瀬人を繋ぐところからして、城之内を耳からも侵した。 快楽に飲まれれば噛み締めた唇は緩んで、声が上がりそうになる。そのたびに城之内は息を飲み、ひゅっとした息が喉から漏れる。 「城之内〜〜〜〜もう少しで出れるからよ〜〜っ」 そして、城之内を悩ますものがもう一つ。イッテしまいそうになる絶妙なタイミングでトイレから本田が声をかけてくるのだ。そのたびの城之内は現実に引き戻され、冷や汗がどっと沸いてくる。絶頂を逃して硬度を失ったペニスを再び、瀬人に嬲られて……城之内は終わりの見えない口淫についに陥落した。 「んん、、ぁぁぁぁぁっ、、あっーーーーっ!」 不意にカリ口に歯を立てられ、城之内の今までの我慢をあざ笑うように、あっけなく白濁としたものを出した。 凶悪犯の口の中だと言うのも、焼け切れてしまいそうな思考の中には浮かんでこない。 「んんんんんんんんんっ、、はぁっ、、」 がくがくと腰を痙攣させて熱いものが駆け上がる、解放の余韻に浸っていると、瀬人が顔を上げ、口から紅い舌を出す。 「!!!」 まだ、呆然としている城之内の前で掌の中に、口で受け止めた精液を垂らして見せる。 瀬人の紅い舌に纏わり付く自らが放った白濁としたモノ…それは瀬人の傷一つ無い綺麗な掌に水溜りを作っていく。 「ずいぶん溜めていたようだ。濃くて多い。味はまぁまぁだな。」 「くそったれ!!!」 強気の言葉を崩さない城之内だが、その顔は真っ赤に染まっている。瀬人の指摘どおり、ここ最近は父親とのごたごたで、一人でヌクことさえご無沙汰になっていたのだった。 精一杯の反抗を込め、瀬人を睨みつけるが、いかんせん両手両足を繋がれ、股の間に瀬人を挟みこんでいる姿では、威勢のよさも半減してしまう。 「貴様はおもしろい。」 「変態野郎っ!!人を玩具にしやがってっ!!どうなるかわかってんだろうな!!」 圧倒的に不利な体勢の中、看守というせめてもの立場で瀬人を追い払おうとするけれど、 「分かっているぞ。そして、貴様のこともな…城之内。」 「なっ!!!!!」 瀬人の蒼が淫秘な色を増して、くっと唇を持ち上げると、城之内の唇を塞いだ。 「んんんっーーーーーっ」 噛み締めた唇を舌で舐められる。もちろん、人生初めてのキスが男で、しかも、凶悪犯とだという今まで生きてきた最大の汚点に城之内はドアップの瀬人を見開いた大きな琥珀で睨みつけた。 城之内のささやかな抵抗など計算通りなのか、瀬人は焦らない。ぬめつく舌に唾液を乗せ、硬く結ばれている上下の唇を舐め、行き場を失った唾液がねっとりと頬を伝い、金糸に染込んでいった。 「ぁっ、、、!そこっぉ」 瀬人の指が思いもよらないところを突いてきて、城之内は驚愕に思わず口元を緩める。 「ふぅ、、、っんん、、」 その隙を瀬人が見逃すはずもなく、まってましたと、唾液で濡れた舌が城之内の口内に侵入した。 「ぁぁっ、、、ん、、くっ、、、、ぉぅ、、、」 チュッと歯列をなぞられ、奥に逃げる舌を絡め捕られ、抜けるかと錯覚してしまうほど吸い上げられ、舌伝いに大量の唾液を送り込まれた。苦い味がした。 「どうだ、自分の味は良いものだろう。」 「なんっ!!」 憎らしい意地悪な瀬人に城之内は、その端正な顔を殴りつけようと拳を握り締めた。しかし、テーブルの端がぎしぎしと擦れるだけで、磔にされている身体は自由に動かなかった。 「ぁっ、、やぁっ、、」 嬲られた唾液に濡れている唇から小さな吐息が漏れた。さっから、窄まった放射状の入り口を解すように弄っていた指先が侵入を始めたからだ。 「ぁぁぁぁっ、、こらっ、、、やめっ、、、」 静止する声も、下腹部からくるむずむずした感触に途切れてしまう。 初めてそこを「出す」という機能意外の目的で開かれて、城之内は慌てる。指の侵入から少しでも遠ざかろうと、腰をゆすって逃げようとするが、瀬人の侵食は続く。 括約筋を解すように円を書いて蠢いていた綺麗に切りそろえられた指が徐々に中に入ってくる。 「ぁぁぁぁーーーーっ」 城之内の甘い声をもっと聞きたくて、瀬人は指を奥まれ差し込んでいった。 「ぁぁ、、、ぁぁ、、、」 身体の中を、誰にも見せることのない秘められた場所を、穿られて城之内は声をかみ殺すのに必死になった。不思議なことに窄まったことろに指を受け入れているのに、痛みを感じることは無かった。城之内の拙い知識にさっき出さされた、精液と唾液のブレンドされたものが、潤滑油変わりにつかわれているとは無く、緩やかに出入りと共に聞こえる、粘質的な音の理由も分からなかった。 「ぁぁぁっ、、くっ、、っぅ、、んん、」 予想以上に淫技を受け入れていく城之内に瀬人は舌を巻く。 城之内は全身が甘く溶けて、珠になった汗が噴出している。肩で息をしながらも吐息をかみ殺そうと抵抗している様は瀬人を煽り続けていく。 「本当に初物なのか?」 そう思うのも無理は無い。 「ば、、かに、、しや、、がって、、、っはぁ、、、ん、、」 ちゅぷちゅぷ。 大量の潤滑液に助けられ、瀬人が徐々に出入りするスピードを上げていき、入り口を解していった。 「淫乱。」 「、、んだとっ!」 乱れる城之内のプライドをくすぐって、締まる内壁を確かめながら、瀬人は中を侵す指を一気に増やした。 「んーーーはぁぁっ、、」 内部からの圧迫に城之内の喉が日に焼けない白いところをさらし、瀬人はそこを喰らい付いて歯をたてる。 その軽い痛みでさえ、今の城之内には辛い刺激になってくる。 「何本入ったか分かるか?」 と、聞けば 「知るかっ」 瀬人の良いように翻弄されて城之内の瞑った目尻に悔し涙が浮かんだ。せめてもの抵抗にぷいっと横を向く。その先に本田が今だに篭っているトイレのドアが見えて、現実に引き戻されてしまった。 「同僚は大人しくなったようだな…くくっ…もうすぐ出てくるかもしれないな。」 「あああああっ」 最悪の状況だった。淫らに喘ぐ姿をさらしたくない。 「マジッ、、もう、、終わりっ、、、どけっ!!」 深くまで食いしめている指を抜こうと城之内は必死に腰をゆすった。 「いいぞ。貴様はいい。」 勝気なプライドの塊を屈服させるのは瀬人を最大限に興奮させる。まだ、外気に触れされていない怒張がパンツの中でいきり立っていた。 早くこの自慢のイチモツを卑猥な中に突っ込んでしまいたい衝動が瀬人中を駆け巡っていった。 じゅぽじゅぽじゅぽっ、、、っ、、 掌の白濁を全部使って、孔を広げてかき回していく。そして、ある部分を指が掠めたとき城之内が息をつめ、縛られた手を握り、全身を硬直させた。 「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」 涙で潤んだ琥珀がこれ以上も無いほど見開かれ、内膜かなの強烈な刺激に身体がひくひくと痙攣した。 「ここか…」 「ぃやぁぁぁぁ、、、ぁぁっ」 足の間にいる瀬人をぎゅっと挟み込み、指を止めようと内壁をギュッと絞り込む。 その締まりをあざ笑うように瀬人は確実に城之内を追い立てていった。白濁とした粘液が泡だって、チュプっと、卑猥な音を建ててはじけていった。 「ぁぁぁ、、っ、、、っ、、っ」 粘膜を自らのもので塗らされ、いいところを、なじられて、城之内のペニスは当然のごとく再びはち切れそうなほどに成長している。とばくちからは透明な先走りが流れ落ちて瀬人の乱れることのない囚人服を汚している。 「また、達きそうだ。」 「ひゃぁっ」 もっと痴態を見るために、城之内の膝を開きぎりぎりの位置まで胸に付ける。足首に結わえられた縄が痛いが、指が新たな角度で内膜を貫くために、城之内は思わず声を上げた。 「そんなに大きな声だと、出てくるぞ。」 内部を探る動きを早く激しいものに変えていきながら、瀬人は城之内を現実に引き止めていった。 ありえないような動きに城之内は息も絶え絶えで、はっはっと短く息を吐いた。城之内の腹の上で揺れるペニスはそれ自体を触られていないのにも関わらず、震えて涙で濡れていた。 「ぁぁっ、、、やめて、、もう、、やめっ、、、」 確実に来る放出の時に城之内はテーブルを握り締めた。今はこうして身体を拘束している縄がありがたい。そうでもなければ、きっと城之内はこの憎むべき男に縋りついていただろう。 首を激しく振って抵抗するものの、指は巧みに城之内を追い立てていき、1度目と同じようにあっけなく果てた。 「−−−−−−−−−−−−−−−−!」 全身が硬直しているのに赤く肥大したペニスは脈打ち、2度目にも関わらず大量の白濁としたものを撒き散らして、城之内の腹に淀んでいった。 「っふっふ、、、ふっ、、」 悪夢のような長い絶頂感が去っても身体の拘束が解かれることは無かった。 真っ赤に染まった視界が戻るころ、前をくつろげた瀬人はまだ、熱い精液を掬い取る。 「?????」 もう屈辱の時間が終わるのだとばかり思っていた城之内は、瀬人の行為を見て血の気が引いていく。 「てめっ、、、ぁに、、してんだ、、ょ、、」 「ん?」 瀬人は器用に精液を自らのモノに擦り付けると、その先から漏れる自分の先走りとともに軽く扱く。わざと城之内に見せ付けるためだ。 「今に分かる。」 さも当然のように瀬人は解した窄まりに熱くて硬いものを押し付けた。 「わぁっ!!!やめろっ!!!そこは入れるとこじゃねぇ!!!!」 熱い高ぶりを熱く熱を持っているところで感じて、城之内は瀬人の目的を知り、驚愕に真っ青になって、軽い金縛りにあったように動けない。 「俺様が入れたいのだから、入れるのに決まっているだろう。貴様に選択肢は無いぞ。」 2度吐いたもので濡れそぼっている、窄まりを圧迫していく。 「やめっやめっ、、、、ああっ!!」 程よく解された窄まりは、城之内の抵抗も空しく柔軟に怒張を迎え入れた。ちゅくちゅくと粘質的な音を部屋に響かせて、やがて指では届かなかった奥深くまで侵入する。 「はぁぁぁぁっ」 内部を侵す熱いものに城之内は息を詰める。そして、瀬人の下半身を尻で感じ取ったころ瀬人がゆっくりと覆いかぶさってきた。 「全部入った。」 心地よく感じる体重と体温に城之内は羞恥に染まった。 「うそだっ」 否定するものの、奥まで加えたそこは勝手に収縮して受け入れた怒張を確かめている。そんな自分でもどうしようもない動きに、自分の淫らな一部分を引き出されていった。 「ぅわぁっ!!」 くんっ。と、瀬人の圧迫を感じて城之内の恐れていた注送がはじまった。 馴れるまではゆっくりと……そして、程よく締め付ける肉道がじれたころそのスピードを上げていった。 「はっはっはっ、、、、」 瀬人の動きに合わせて城之内の吐息が漏れる。大きな声を出さないのは、ドア一枚の向こうにいる本田を思ってのことだ。 「ぁぁぁほ、、、んっ、、、、、せぇ、、、ぁっぁxx」 本田に助けを求めるには全てが遅すぎた。城之内は男に犯されるという最悪の事態になるまで、大きな声を出すことを躊躇してしまった。自分の浅はかなプライドに城之内の目から涙がこぼれる。 その全てが、瀬人の計算の上だったとしても、今の城之内に分かるはずも無い。 瀬人の生贄と化した城之内は、ただ、動きに合わせて揺さぶられるだけだった…… ハッピーバレンタイン☆ とりあえず上げます。 まだ、続きます・・・(しつこいですが・・・) お体は大切にしましょうネ☆ エロく無くてすみませ〜ん。 |