10月20日………
ドミノ町の商店街に城之内の姿があった。
立ち並ぶ店のショーウィンドウを眺めては、ため息をついている。
城之内は悩んでいた。
あと、5日でアイツの誕生日がやってくる。
あぁっ…俺ってほんと馬鹿だよな。なんで今までアイツの誕生日を忘れてたんだろう…
今から準備するなんて、間に合わないぞっ。
きり忘れた長い薄い色の髪を、ぐしゃぐしゃに掻き回す。
とにかく、モノだ。誕生日と言えばプレゼントだろ。
てっとり早く、何か見つけないとな。
でも、アイツに何を渡せばいいんだ…?
鞄、靴、ハンカチ、ネクタイ……
高校生のくせに社長なアイツが喜んでくれそうなものが、何なのか普通の高校生の城之内には中々思いつかないのは仕方ない。
かくして、城之内は一人で商店街を彷徨うこととなっていた。
マジで何にすればいいんだ。
ガラスに映る顔が情けなく見えた。
もう、いくつ目の店になるだろう、こんなに長く買い物に時間をかけたことがなかったので、正直足が痛くなってきた。
あれっ……………?
城之内の目が何かに釘付けになる。
これっ!
ようやくお目当てのモノを見つけて城之内の琥珀色の瞳が輝きを増した。
一見に時計店のウィンドウに飾られている一つの腕時計。
銀色の文字盤に4つの青い石が埋め込まれていた。
その青い色がアイツの瞳と、あのカードと同じで、城之内は一目で気に入ってしまった。
これなら、絶対にアイツも気に入るぜ。
探していたプレゼントを見つけて一安心した城之内は、次に付いている値札をみてまたため息をつく。
どうみても……足りない……よな。
ポケットの中から使い古した財布を取り出すと中身を確認する。
いいモノを見つけたのは良かったが、予算よりゼロがいくつ多いのか…数えるだけでも嫌になりそうだ。
でも、これがいいよな……
どんなに値札を眺めても金額が減るわけでもなく肩を落とす城之内。
今から、払いのいいバイトをしても、この額にはとうてい及ばないのは分かりきったことだ。
時給と日数と指折り数えて城之内はあることに気が付いた。
誕生日は無理だけど、別の日になら間に合うかもしれない。
待ってろよ。
めい一杯バイトして、絶対にお前を迎えに来てやるからな。
もう一度その時計を目に焼き付けて、城之内はその店を後にする。
後日……25日
考えに考えを重ねた、城之内は1通のカードを海馬に渡した。
「誕生日おめでとう」
と一言書かれたカードには、あの店で見つけた腕時計によく似た腕時計が描かれていた。
そして、城之内は2ヶ月間がむしゃらにバイトに精をだすことになる。
ひさびさの、SSです。他のは?とは言わないでください(汗)
タイトルはいまのところありません…でも、うっかり続いています。もう、お気づきですよね。続きは例の日あたりにUPします。
あっ、でも、ここのサイトですから、ラブらぶなものは期待しないで下さいね(えっ?)
背景はこちらからお借りしました〜
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