「うわぁあああっ!」 闇が支配する神殿に金色の少年の、悲鳴が響き渡る。 「来るな来るなっあ!!!」 蛇使いのごとく、大蛇と長い蛇2匹を身体に巻き、篝火に浮かび上がるセトが、ゆっくりといたぶる様に少年との距離を詰めていく。 コイツのどこが神職なのかと疑問を抱いてしまうほどの、淫欲に満ちたセトに少年の背が冷たくなった。 「くるなあっ!!」 後ずさろうにも、蒼い4組の眼光に魅入られて、恐怖に凍りついた身体は逃げることもままならない。まさに蛇に睨まれたなんとやらな状況に、少年の目に涙が浮かんだ。 セトとの距離が縮まるにつれ、声さえ出せなって、見下ろされるころには、もう、声帯が微かに震えるほどとなっていた。 「ヒァ…やめっ…っ。」 目の前で、身の毛もよだつ方法で取り出された蛇の二股に割れた舌がちろちろと、少年のむき出しの白いうなじを舐めあげた。 身を守るために肩を竦ませて、少年は蛇を手で払いのける。ヌルリとした現実の爬虫類には無い粘液の気持ち悪さに、少年は腰布で手を拭いた。 「ァァっ…!」 そんなことをしている間にも、セトの身体から伸びてきた一匹の蛇が少年の白い脚に纏わりついてきて、悲鳴が上がる。 にゅるり…… ぞ…わり どこか甘い香りのする粘液にまみれたうろこが、少年の肌理細やかな肌を這いあがってくる。 少年は脚をばたつかせてそれを振り払おうとするが、 淫らな意思を持つ、魔物に勝てるはずも無く、もう一体の蛇に両手まで絡み取られてしまった。 「いやあああっ!!やめろっ!!!はなせっ!!!」 全身全霊の力を振り出して、身を捩るものの、到底人間の力ではないもので押さえ込まれて、少年の身体は床に貼り付けにされ、無防備な身体をセトへ曝すこととなる。 「りんごを盗んだことは謝るからっ!!!謝るから!!!お願いだ!!!助けてくれっ!! これをどけてくれっ!!!」 おぞましさに真っ青な顔色でガタガタと振るえて、少年はセトに懇願する。得体の知れない恐怖に目尻には涙が浮かんでいた。 「フッ……。 そんなに怖がることもあるまい。ただ、貴様にはこいつらの相手をすればいいだけのことだ。 その身を任せて快楽に浸ればいい。」 セトの蒼色が妖しく揺れる。 まだ、本体の大蛇はセトに巻きついていて、まるで、セト自身のようにチロチロと二股に割れた舌が顔を出している。 「いやだいやだ……助けてっ……!」 こんなバケモノの相手など出来るはずはない。 恐怖に混乱している少年にセトのいう意味などわからずに、このバケモノに食われてしまうと、ただひたすらに命乞いをする。 しかし、セトに聞き入れられるはずもなく、少年を守っていた、たった一枚の腰布も蛇に剥ぎ取られ、一糸纏わぬ姿とされてしまった。 生物としての固定観念の無い蛇は自在にその体長を変えられるのか、少年の身体を這い上がり、全身に巻きついてきた。 「アアアアアっああ!!」 うろこの一枚一枚からにじみ出る粘液が少年の身体にぬめりついていてベタベタに濡らしていく。篝火の色と交じり合って淫らに照らし出され卑猥さを増していった。 肌を這う鱗の感触に少年に怖気が走り抜けた。 「いっ…ハッ…。」 だが、蛇が身体を這うごとに、次第にその感覚が妖しくざわめいてきて、 「は………ぁ………っ?」 くすぐったいのにそれだけではないものが、表面から末端神経へと伝えられて、少年の反応が変わってきた。 少しずつ血色の良くなっていく肌。乱れてくる呼吸に戸惑い、抵抗するように眉をしかめ、唇を咬む。 「くっ。いい、色になってきたようだ。」 少年の変化を満足げに見下ろすセトが笑う。 そして、少年の身体がゆっくりと蛇に持ち上げられて、宙に浮かんだ。心細い浮遊感に少年の悲鳴が上がった。 「ひぁっ!!」 「貴様の秘するところまで丸見えだな。」 「やめろっ!!」 仁王立ちのセトの顔の高さまで持ち上げられた、少年は絡み取られた蛇の力でいや応無く両脚を開かれてしまった。 他人に見せるべきでないところを、大きく曝して少年は顔を背ける。 「これならば、私の分身も十分に楽しめそうだ。」 無残に割られた股の中心で窄まる無垢の穴は、綺麗な放射状の皺を形度っていて崩れていない。 粘液にまみれた陰茎も色素の沈着もなく、皮に包まれたままになっている。 そして、初心な反応から、少年がまだ誰の手垢もついていないことを示していて、セトは満足気に口元を歪めた。 「やめろおっ!!」 少年は身を強ばらせ、顔を怒りと羞恥で真っ赤にさせて叫ぶが、四肢を蛇に拘束されたままでは、何の力も持たなくて、反対にその態度はセトの嗜虐心を煽り立てるだけだ。 セトの蒼い色が細まると、 それを合図に一番大きな大蛇が少年へと這ってきて、恐怖に縮こまっているペニスをその体に見合った長い舌で絡めとっていく。 「ひゃぁっ、、ううっんっ、、っ!」 そして、他の2匹の蛇も一斉に蠢き始めた。 「んっ、、、ふっ、、、やめっろっ、、!!」 淫液にぬらついた鱗が、少年の陽に焼けていない白磁色の肌を擦り上げ、ぴんと芯を持つ両方の乳首に冷たい舌が絡み付いた。 爬虫類そのものの温度が上昇する体に気持ちよくて、体の変化に気が付いた少年が怯えた色でセトを凝視する。 「テメ、、、なに、、、しやがった、、、っ!」 蛇が触れるところからぴりぴりと痺れてきて、肌の感覚が鋭敏になっている。少しの舌の動きでさへ、神経にダイレクトに伝わってきて、快楽の信号が脊髄反射のようにペニスへと集約されていった。 「私は何もしていない。私の分身には特殊なものでそのものが分泌する粘液に、獲物がおとなしくなる物質が含まれているだけのことだ。」 「くそったれ、、、、っ!、、、ぁあっ!!」 いけしゃあしゃあと、とんでもないことを口にする、悪官を鋭い眼光で睨みつけ、唾をはき掛けようとした少年の動きが止まる。 「!!!!!!!!」 天を向くペニスの尖端を蛇が、正確には蛇の長い舌がこじ開けようとしていた。 「やめっ、、やめっ、、、やめろっ!!」 細長く口を閉じているペニスの穴にまとわり付いている舌。うにうねと中に潜り込もうとしている様はそれ自体が別の生き物のようだ。 「あっ、、、ばかっ、、入ってくんなっ!!」 ずずっ、と、元来出すことはすれど、入れることなどない器官。その中に物体を感じ取ってしまった少年は、それから逃れるべく腰を振りたくる。だが、蛇に絡み取られ宙に縫い付けられた体ではどんなにもがいても、振り払うことなど叶うわけがない。 「諦めて、それに身を任せるがいい。この世で味わうことのない快楽をくれてやろう。」 「はっ、、、?」 セトの狂気じみた蒼い色がじっと金色の少年に見入っている。 動物園の檻の中を覗き込むようでいて、学者の実験のような、冷徹な視線。己の暗い欲望を具現化した今、少年の姿は淫らなショーと同じなのだろうか。 「くそっ…ぁっ、、、、。」 少年はこんな変態神官に捕まってしまった悔しさに、ぎりりと歯ぎしりをする。しかし、どんなに歯を食いしばっても、細い管の中に侵入する舌を静止させることは出来なくて、痛みにもにた快楽に少年のペニスは萎えるどころか、硬さを増していった。 「あっぁっ、、、本当に、、、たのむ、、も、、、やめさせ、、、」 徐々に、ペニスの奥のほうで爬虫類の温度を感じ少年の全身に汗がにじんでくる。もう、ずっと奥のほうに舌が到達していると思いきや、実のところはまだ、尖端の捩れた部分を通過しただけだ。 太陽を詰め込んだような瞳に涙をにじませている少年にはもう、先ほどまでの強気はかき消されていた。代わりにあるのはふつふつと湧き上がってくる、淫らな欲の塊だ。 「諦めろ。そして、従順になれ。そうすれば楽になる。夜は長いぞ。」 くくっとセトが薄く笑った。 ずっずっずぅぅぅっ 「あああああああああああああああ!」 尖端を馴らすために蠢いていた舌が、尿道の奥を目指し侵入をはじめ、少年は悲鳴と共に腰を突き出すようにして仰け反る。 「いはぁぁぁぁっ、やめっ、、、、、、、、、、、っ」 ずぶずぶと音が聞こえそうなくらい、粘液を滴らせ、中へ中へと入り込んでくる冷たい舌が、内部の熱と化学反応を起こし、尿道の中が焼け付くように熱を帯びてきた。 「はっぁっぁあっ、、、あ、、あ、、、」 男のもっとも敏感な、神経の束を弄られて頭が真っ白にぶっ飛ぶ。噴出した汗が冷たい石畳に染みを落としていく。 暴虐な刺激をなんとかやり過ごそうと、犬のように舌を出した少年が浅い呼吸を繰り返す。 「も、、、やだ、、、も、、、、ふっぇ、、ぁぁ、、」 びくびくと下半身を痙攣させて、ついに少年の口から泣き言が出た。 苦しげにしている少年の哀願を聞き入れるセトではない。無言のまま少年の痴態を眺め唇をゆがめている。 快楽に流されていく少年がどこまで堕ちていくのか、その果てを見てみたいと思う。その証拠に舌の太さにされた肉の筒を長い舌がこそげとり始めたのだ。 最奥まで犯していた舌先を抜き出る寸前まで引き出し、鈴口を舐め、また奥深くまで犯す。 狭い肉道を嬉々として広げていく舌の動きに、少年の瞳から涙が零れた。 「あぁっぁぁ、、、ぃやっ、、いぁっ、、も、、、や、、ぁ、、ぬ、、ぃてっ」 だが、舌の動きが止むことは無く、反対に早く激しくなっていった。 ずっちゃっ、、、ずるるっぅぅ、、、 淫液を肉の道へ刷り込みながら、舌が中を文字通り舐め、嬲る。狭い道は淫液で満たされて舌の出入りにあわせてあふれ出たものが床まで糸を引いていた。 「んっ、、ぃ、、ぁ、、はっ、、ふっ、、」 ペニスを灼熱の塊にされた少年の口から漏れる言葉はもう、意味の無い喘ぎ。 淫液が思考を停止させ、むき出しになった本能が、与えられる悦楽を貪っている。 ずるん 「ひゃっあああああっ!!」 突然少年の悲鳴と共に、身体が反り返る。 ずっ、、、、 「ああああっ、、、んんっ!」 快感にしこった内部を二つに分かれた舌先が挟み込んできたのだ。もちろん肉眼で見ることは出来ないけれど、少年の過激な反応が強烈な刺激を現している。 「そっ、、、、やぁっ、、、へ、、、へん、、、ぃた、、、や、、、」 少年ですら存在を知らなかった快楽のツボを押す二股の舌先。挟んで痛いくらいに潰した次は労わるように表面を舐め、少年の愉悦を自在に操っていた。 しこりをダイレクトに刺激された少年の射精感が急速に高まってきた。重く膨らみをました睾丸で許容範囲をこえた精子が外を目指して尿道に溢れようとしている。 ぬちゃん。ずぷ。 「もうそろそろか。」 血管の浮き出た硬く張り詰めたペニスが震え、蛇が分泌した淫液に少年の白いものが混ざってきたのを目の端に捕らえると、少年の果てが近いことを察する。 「ああっ、、、いやっ、、、も、、で、、、」 身体をピンクに染めて喘ぐ少年は快楽に絡みとられていた。股を大きく広げ尿道を擦られている姿は卑猥なものだ。 「あぁーイっ、、で、、でちゃぅ、、、ぁあっぁぁつ!!」 身体の奥からのし上がる灼熱の塊が尿道を伝いあがってきた。 ずっ、、、、。 「んっあああああいやっぁああああ!」 いつもならば身体に備わった機能で精子を体外へと排出できるのに、今日は違う。 尿道に深く埋め込まれている舌が栓のように、精子を尿管の中で押しとどめていた。 「やあああああっ、、、いくっ、、、いってるのにっ、、、あああっ」 びくびくと腰が跳ね、確かに、少年は絶頂を迎えていた。吐精の無いままの絶頂は長く糸をひいて少年の脳を焼け焦がす。 「いっあっ、、、まだ、、まだ、、、また、、イく、、っ!!いやぁ、、」 最初の絶頂間が治まらないまま、ぐちゃぐちゃに舌に中を犯されて、追いかけてきた第2波が追いついてくる。 「や、、、、、、、、、ぁああっ、、、」 切れ切れの吐息の中で、少年の身体がひときわ大きく跳ねると、 ぴゅっ、、ぴゅっ、、くん、、 限界まで広がった肉の道から舌の隙間をぬって、精液がにじみ出てきた。 「あぁ、、んっんっ、、んんんんっ、、、」 入り口を塞がれているために勢いはないけれど、白く濁った精液は中から押し出されるように、あとからあとからあふれ出てきている。 がくがくと体を震わせて悦に浸る、少年の見事ないきっぷりに、満足したセトは 「余興にはいいものだったぞ。褒美にこの世のものとは思えない快楽を与えてやろう。」 黄金の杖を整えられた長い指先で弾いた。 「ひゃぁあああああああっ!!!」 と、同時に少年の絶叫が神殿に響き渡る。 「いあああっあああ、、ぁ、、、あ、、」 黄金の魔力に導かれた蛇が一斉にうごめき始めたのだ。 二つの乳首を舐めていた内の1匹はずるずると別の場所へと移動していき、大きく広げられた双丘の間で慎ましく閉じている、蕾をこじ開けてくる。 残された一匹は片方の乳首を相変わらずいたぶり続け、残ったほうを自らの鱗ですり潰していった。 そして、尿道を犯す舌の動きは相変わらずで、出入りを繰り返す舌の動きに合わせ、精液が間欠泉のように飛び散っている。 「いあぁあぃぇんっあぅ、、、やっゃ、、あぁ、、」 そして、尿道だけでなく、腸内にまで入り込んできた蛇に、少年は慄いた。 決して太くは無いが、未通の体内を開かれ、その圧迫感に少年の腰が引く。しかし、そうすればペニスを弄る舌をより体奥まで受け入れることになり、少年はどうすることも出来ないまま、蛇を身体の奥深くに身体のあらゆることろを嬲られ、解かされていった。 深い地の底で、闇に浮かび上がる少年は、淫らに蛇と絡まりあっていく。 その壮絶な交わりに性欲を満足させたセトは、 「ひとつ賭けをしよう。 もし、次の太陽が昇るまで、貴様の精神と肉体が正常にあるならば、りんごを盗んだ罪を不問とし、逃がしてやろう。」 と、賭けにもならないようなことを突然言い出した。 「、、、、、ぁふ、、ん、、んん、、、」 だが、すでに淫行の闇へと飛んでいる少年に、セトの言葉が届いているのかさえ怪しい。 「まあ、所詮、無理なことだろうがな…。あわれな生贄としてわれに喰われてしまえ。」 光を失った少年に興味が無くなったセトが純白のマントをひるがえして、神殿を後にしようとすると、背後から少年の声が聞こえた。 はっきりと意思を持った声が。 「、、、、、その、、言葉、忘れんなよ、、」 「……なにっ!?」 喘ぎすぎた声はひどく掠れていたけれど、強い意志が現れていた。まさか、この状態で尚、正常な精神を残していたと思ってもみなかったセトは、驚きを隠せない。 「、、、、ぜって、、勝ってやる、、、みてろよ、、変態、、神官さまよ、、」 街であったときと何一つ変わらない、目もくらむような魂の力の強さ。あられもない姿を晒しながらも、きつくセトを睨む目に光は消えていなかった。 「せいぜいがんばることだな。」 セトは体中に澱む性を出したのにもかかわらず再び腹の中にトグロを巻き始めていることに、信じられないと顔をしかめながら、セトは神殿を後にした。 ******* 翌朝。 再生された太陽がエジプトの地を照らし出すころ、セトは重い神殿の扉を潜る。 地下深くに建造されたここには、太陽の光が届くはずもなく、静寂が色濃く支配している場所。そこで行われた闇を凝縮した淫らな狂宴。 淫らな蛇と一夜を明かした金色の少年はどうなったのだろうか。 今までの生贄同様、蛇に魂まで食われ塵と化しているのか。 運良く、肉体は残っていても、正常な意識の無い哀れな人型と化しているのか。 どちらにせよ、二度と日の目を見る有り様でないことは確実だろう。 セトの強欲な欲望に勝てる人間などいるはずが無いと、少年の無残な最期を探して、セトは深い闇に目を凝らした。 「!!!!!!まさか!!」 深い闇を溶かすように焚かれたオレンジ色の炎の中に、こちらを睨みつける一対の視線。輝きを失うどこどろか、一層強さをましたその光にセトはしばし、声を失ってしまった。 3匹いたうちの2匹は消失していて、少年に絡み付いているのは大蛇の一匹のみとなっている。 セトの欲望を具現化した存在は、少年を犯すことにより、欲を発散し消えてしまったようだ。残る一匹も始めのころの狂気じみた勢いはなく、少年にまとわり付いているだけ。 「信じられん……。」 神殿に充満する淫秘な空気が濃密に漂っている中心にいる少年は、昨夜と変わりなくそこに存在している。 セトは引き寄せられるように少年へと近づいていく。 まさか、セとに勝てるとは…… 「………勝ったぜ…っ!」 一晩中淫らな行為に耽っていた少年は輝きを失っていなかった。驚愕に揺らぐセトを睨み付け、そして グシャッ!! キー………ッ…。 自らに巻きついていた大蛇を食いちぎったのだ。か細い断末魔を残し、大蛇が塵と消えていく。 哀れな生贄の末路のたどる道を、セトの分身が行き、 「ばかなっ!」 淫卑な空気の澱む暗闇で、セトは信じられないと歯軋りをする。 「はっ、、、はぁ……かった…っ。」 セトとの賭けに勝った少年は、ぐったりと床に倒れこんだ。手足をだらんと広げて 一晩の疲れがどっと少年に圧し掛かっていて、息も荒く腕を上げることさえおっくうだ。しかし、抑えきれない喜びが少年の顔を綻ばせていた。 「へへっ!オレが勝ったからな。約束どおり、ここから出してもらうぜ。」 運悪く化け物と一夜を明かしてしまったが、背中の焼印も消え、はれて自由の身になれる。悪い夢でも見たと思えばいい。 肩で息をしながらも満足気な少年は笑っていた。 卑猥な狂気に犯されていたとは思えないすがすがしい笑みは、暗い地の底、あの世に一番近い場所を照らす陽の光のようで。 それは、神官として人の深層の闇を見続けてきたセトにも光をあてるに十分なもの。引き寄せられるように少年との距離が縮まっていく。 「名前は何という。」 少年を見下ろして、名前を聞いた。 生贄に名前を問いかけるなど、初めてのことだ。セトの欲望に殉ずる哀れな生贄に名前など必要のないことだった。 しかし、この少年のことを知りたいと興味がわいた。 エジプトの民にはない姿。 セトを恐れるどころか、挑みかかってくる強さ。 闇の番人と畏怖されてきたセトに、この少年はどう映っているのか。 「ジョーノ。」 金色の少年が答える。 セトをまっすぐに貫いた。 「くっっ。」 セトは軽い目眩を自覚しながら、こんな年端も行かぬ少年に確かに惹かれている、自分をあざ笑うかのように唇を歪め、少年ーーージョーノを抱き上げた。 「わわっ!なにすんだよっ!」 突然のことに無防備なまま、セトの腕の中に納まり、ジョーノは慌てふためいて手足をバタつかせる。 「おとなしくしないか。落ちるぞ。」 「ってか、おろせよ。」 賭けに勝ったのだから、もう自由の身だとジョーノは抵抗した。 「約束は守ってもらうぜ。」 いくらセトが長身だといえ、ジョーノもそれなりの体格の持ち主だ。簡単に振り払えるものだと思っていたのだが、セトの強い力に阻まれていた。 そして、あの街の広場で上から押さえつけられ、動くことが出来なかったことを思い出した。 「このっ!!放せ!!」 いくら体が疲弊していることを差し引いても、がっちりと抱き込まれどこかへ連れて行かれようとしていることに、冷や汗が滲んでくる。 「マジで、開放してくれよ。約束だろ?」 見上げるとセトがようやく、こちらを向いた。が、その顔は悠然と笑っていて、何を考えているか読めない恐ろしさがあった。 「魔物と交わす約束などあるはずなかろう。」 「!?んだよ、それ。誰が魔物だよっ!」 「もちろん貴様のことだ。我の化身とはいえ大蛇を食いちぎるなど、到底、人、のすることではない。 上手く化けたつもりだろうが、肌も、髪も、目の色も間違ったようだな。どうせ化けるならば、もっとましな姿になっておくべきだったな。」 「はぁ?オレは人間だぜ?化け物なんかじゃねえ。どこに目をつけてんだ。どっからどう見ても人間だろ?」 セトのとんでもない発言に、ジョーノは唾を飛ばしながら叫ぶ。 ピクリとも動かない馬鹿力や、人を金縛りに合わせたり、その上体の中から蛇を出したりするセトのほうが化け物に近いではないか。 「他の人間は騙せても、我の目は欺けない。大人しく本性を現すのだ。」 「ふざけんなっ!!オレは人間だっ!!!」 ジョーノはセトの勝手な言動に憤慨して、顔が真っ赤になっている。 「とにかく、放せ。オレはもう、ここにいる理由なんかないんだっ!!」 ここが砂漠の真ん中でどうしようもないとか、関係ない。まずはこの胡散臭い神官から逃げることが先決だ。 ジョーノは疲れて気だるい体に精一杯力を込め、激しくもがく。 「正体を現さぬのならば、我が暴くまで。じっくりと調べつくしてやろう。」 ジョーノがどんなに暴れても、セトの腕から逃れることは不可能で、そうこうしている間に、暗い神殿を後にして、長い廊下を抱きかかえられたままどかへと運ばれている。 「人との交わりは禁じられているが、魔物は論外だからな。きつく調べてやろう。」 渾身の力で暴れているのに、セトのびくともしない。そして、セトは一つの部屋の前にたどり着いた。 「?????」 そこがセトの寝所であることを、ジョーノはまだ知らない。 抱きかかえられたその下方では、セトの男の象徴が熱く猛っていることも知らない。 セトの圧迫された底なしの欲望がどれほどのものなのかも。 そして、どんな運命が待っているかも。 目をぱちくりとさせているジョーノは知らないことのほうが幸福なのかも知れない。 「ぜってー、逃げ出してやる………ぜ………っ。」 二人を吸い込んだ、重い扉が音もなく閉まっていった。 おしまい。 やっと出来ました。 お待たせしました(待たせすぎです…)エジプトもののエロというリクでしたが、無事、こなせただろうか。きふじんがどうしても尿ピープレイをしたかったので、こんなのになりました。爬虫類がダメだったらどうしよう… こっそりと触手などに変換していただいても可だと思います。 えろちっくにならず、申し訳ないな〜〜と思いつつ、このプレイは楽しかったです。 背景はこちらでお借りしました。 写真素材 キワモノ |