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どれくらい経ったのか、少し息苦しくなった拓也がキスをやめて顔を離そうとすると、
そうはさせまいと愛が背中に腕を回して身体を密着させる。
愛は拓也が何か言おうとする前にもう片方の手を身体の中心に沿って滑りおろしていき、
尻まで辿りつくとそこで楽しそうに踊らせ始めた。
「槍溝さん……どこ触ってるの?」
「どこって……お尻だけど」
恥ずかしさとくすぐったさから遠まわしにやめて貰おうとした
拓也の言葉を軽くあしらうと、からかうように掌全体で揉みしだく。
「ね……気持ちいい?」
「う、ううん、あんまり……」
本当はほんのちょっとだけ気持ちよかったが、
それよりも恥ずかしさの方が上回っていたから拓也は小さな嘘をついた。
拓也の言葉に愛は残念そうな顔をしたが、すぐにその表情を悪戯っぽい笑みに変える。
「じゃあ、こっちは?」
言うのとほとんど同時に手探りで拓也のもう硬くなっている部分を探り当てると、
逆手に持ってゆっくりとさする。
「んっ……」
「気持ちいいの? どこ?」
敏感な所を触られて思わず声を出してしまった拓也に、
愛は指先が触れる場所を何度も変えながら気持ちの良い所を探っていく。
「うん……小指の、先の……ところ」
求めに応じて熱く脈動する若茎の先端の裏側にあてがわれている指先を動かすと、
拓也の肩が快感に震えた。
刺激を続ける指先に少し粘り気のある液がまとわりついて、
拓也の言葉が嘘で無い事を愛に伝える。
「ね、もう……お願い」
早く拓也に入れて欲しい。
今まで感じた事の無かった、そんな直接的な想いが頭をよぎり、
はしたないと思いながらも拓也のペニスを掴むと自分の割れ目に押し当てて先端を導き入れた。
「う、うん……いくよ」
敏感な所を包み始めた熱い肉の感触に、
本能で一気に突き入れそうになった拓也はスキーの日にしな子に言われた事を思い出して、
逸る心を抑えてゆっくりと愛の身体に挿入していく。
「ん……っ……」
もどかしい快感が愛の中で弾けて思わず拓也の身体を抱き締めると、
その拍子に一気に奥まで貫かれてしまい、顎を仰け反らせて快感に震える。
「あの……だいじょうぶ?」
「ええ……ありがとう。……その、ちょっと……気持ち良すぎちゃって」
心配そうに尋ねると、頬を真っ赤にしながら少し困った顔で説明するのが可愛くて、
拓也は今更のように愛をじっと見つめる。
「どうしたの?」
「う、ううん、なんでもない」
「……ね、動いて……くれる?」
「……うん」
愛の膣内はただ埋めているだけでも充分に心地良かったが、
ゆっくりと腰を動かし始めるとそれまでとは較べものにならない快感が
繋がっている場所から全身に走る。
何度か愛の中で前後させると、早くも腰は精を放とうと痙攣をはじめて、
それはあっという間に我慢出来ないほどに膨れ上がってしまう。
「槍溝……さん。僕……何か……!」
愛の耳に拓也の切羽詰まった声が聞こえてくるのと、
体内で熱い物が溢れるのを感じたのはほとんど同時だった。
一瞬、外に出してもらわないとまずい、と思ったがもう遅かったし、
拓也の精が体内にあると思うとしな子よりも先を行っている気がして、
このまま黙っている事にした。
疲れて自分の身体に体重を預けてくる拓也の頭を
一抹の不安を振り払うようにそっと抱きしめながら、
愛も全身を包むけだるい幸福感に身を任せていった。
「じゃあね」
「うん。また、学校でね」
本当は最後に冗談でも言いながら拓也に思いきり抱きつきたかったが、何故か身体が動かなかった。
ぎこちなく手を振って、つまらない言葉で別れを告げる。
愛の不自然な動きに拓也は何か言いたそうな顔をしたが、
かける言葉を思いつかないまま小さく手を振ると愛の家を後にした。
拓也を見送った後も玄関に立っている愛の横顔をほとんど沈みかけている夕日が撫でる。
その増していく影の濃さは、愛の心を映しているかのようだった。
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