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鼻腔をくすぐるコーヒーの匂いで目を覚ました龍麻は、これが幸せか、と柄にもなく思った。
まだやんわりと自分のものでない跡が残っているベッドを見て、その幸せに更に首まで浸かる。
ここまで来たらあと少し、頭まで沈んでしまおうと、
台所に立っている彼女の後姿をのぞき見ようとベッドから上半身を突き出し
──危うく落っこちそうになってしまった。
「な……なんですか、その格好」
龍麻が思わず手で顔を──目ではない──覆ってしまったのも無理はない。
そこにいる十歳近くも歳が離れている女性は、何も身に着けていなかったからだ。
「あら、おはよう、龍麻」
驚きのあまり裏返っている龍麻の声にも何ら動じることなく、台所に立っていた絵莉が振り向く。
真正面から見た彼女は、何も着けていない訳ではなかった。
淡いブルーの、胸元から膝上10センチほどまでを覆う、
可愛らしいひよこの絵が入ったエプロンを素肌に纏っていたのだ。
朝食を作っていたはずの絵莉は、
何故かキッチンを素通りして龍麻のいるベッドまでやってくるとそのまま腰かけ、
慌ててシーツをたぐりよせる龍麻の胸板に頭を預け、下から覗き込んだ。
大人の色香を漂わせる整った顔立ちに、子供っぽい輝きを有する瞳。
その瞳が楽しそうに踊る時、大人びた少年と立場が入れ替わる。
顔を赤らめ、目を泳がせる龍麻の耳たぶに手を添え、絵莉は楽しそうに囁いた。
「雑誌の企画でね、『オトコのコはこんな格好に弱い!』っていうのをやるんだけど、その実地調査よ」
「……」
「なに、その目」
「本当ですか、その企画はなし
「本当だってば。ついでに『オトコのコはこんなHをしたい!』っていうのもあるんだけど」
「嘘でしょ、絶対」
「あら、最近の女の子は凄いのよ。これは高校生向けの雑誌のやつなんだけどね、
今は下手したら中学生の子だってこういうの読むんだから」
自信たっぷりにそう言われると、龍麻は黙るしかない。
嘘をついているのがすぐに顔に出る京一や小蒔と違って、
彼女は何食わぬ顔で自分を騙せるだけの機微を持っているのだ。
それは断じて年の功では無い、と彼女は言い張るのだが。
言葉を失い、頭を掻きまわそうとした龍麻は、
その癖を直すよう常々言われているのを思いだし、途中で手を引っ込める。
すると、上出来、と褒めるような笑顔が軽く唇を寄せてきた。
軽く押し当て、離れる間際に押し出すように口をすぼめるのが、絵莉独特なのか、
それとも女性全般のやり方なのか龍麻は知らない。
とにかく、キスを終えた絵莉は、息がかからないぎりぎりの距離まで顔を離した。
この位置ではエプロンの胸の辺りが絶妙な加減で触れ、
どうしたら良いか判らなくなるからもう少し離れて欲しいのだが、
言っても軽くあしらわれるだけなので言わない。
一事が万事この調子で、絵莉と関係を深めてから、
友人の口数が減ったと京一が嘆くようになった理由の一端だった。
「それで、どう? いつもと較べて興奮する?」
「……あんまり」
「案外つれないのね」
返事に照れ隠しが入っていなかった、と言えば嘘になるが、
実際のところ、若さに溢れる龍麻は、何を着ていても裸ほどそそられはしない。
ただ、それは裸と較べたら、の話であって、全く興奮しない訳でももちろんなかった。
「……でもその割に、ここは硬くなってるみたいだけど」
それを目聡く見つけた絵莉が、少し身体を起こし、自由になった腕を龍麻の足の付け根へと伸ばした。
シーツの上から勃起を握られて、龍麻は身じろぎする。
柔らかな圧力が、昨日を思い出させた。
「コーヒー……冷めちゃいますよ」
「いいわよ、淹れなおすから」
投げやりにコーヒーのことを放り出した絵莉は、そのまま、交差するように唇を重ねてきた。
昨日と同じ味のキスは、噛み合わない唇が、ひどく淫靡だった。
無理な体勢を保っている絵莉の鼻から、息が漏れる。
小鼻でそれを感じた龍麻は、慌てて彼女の身体を支えた。
腕に重みが加わるのと同時に、頭が引き寄せられる。
抱き締めるかどうか、迷いを見せた龍麻と対照的に、絵莉はためらいなく両腕で掻き抱いてきた。
弱気を咎めるように口を割って入る舌に、龍麻は抗わない。
歯列を横になぞられて、鳥肌が立つ。
口を閉じることも許さず、口腔の奥深くまでねぶる絵莉の舌に、目が眩むような陶酔を覚える。
この場面をビデオか何かで見たら、自分を嫌悪してしまうのではないか、
というくらい、絵莉のキスは激しく、淫らだった。
そしてそれは龍麻を行為に没頭させ、
二人は犬も顔をそむけるような呼吸音を立てて舌を交わらせていた。
「はぁっ……はぁ……」
わずか数分で、龍麻の息が上がっている。
「氣」を宿し、常人を遥かに超える身体能力を持っていても、心が溺れてしまっては同じ事だった。
むしろ精神的には普通の高校生でしかない龍麻は、
脳髄が蕩けるような快楽に抗う術をまだ身につけていない。
肩が燃え上がるようなキスに、すっかり虚脱してしまっていた。
それを知ってか否か、絵莉は勢い良く少年を押し倒す。
そのまま顔の上に跨り、そそり立つ股間に顔を近づけながら、
円を描くように腰を揺らめかせて龍麻を誘うことも忘れない。
足を開き、潤む秘唇を差し出した絵莉は、しかし率先して男への愛撫を始めた。
柔らかく、奇妙に温かい袋を揉みしだき、竿の根元に舌を這わせる。
顔を回りこませるようにしている為に、熱い猛りが時折頬を叩いた。
それをあやすように中指の腹で裏筋を撫でる。
「う……」
足元から聞こえる呻きが内腿を震わせ、透明な蜜をしたたらせた。
龍麻は今、どんな顔でそこを見ているのだろうか。
そう思うと熱さがこみあげてきて、絵莉は一層激しく龍麻の屹立を愛撫した。
「ぁふ……ん……」
早く挿れさせてくれと訴えているようにも感じられるそれを左手で押さえ、舌の真ん中に乗せて舐める。
届く範囲全てに舌を這わせ、特に剥き出しになっている先端はくるみこむように。
「うぅっ……ぁ……」
堪えきれない龍麻の腰がひくつき、先端が唇に触れた。
棒、というよりも柱となった猛りからは自分と同じような、
粘り気のある透明な液が染み出していて、唇との間に糸を引いている。
口を閉じ合わせ、その糸を断ち切った絵莉は、腹の底からの息を鈴口に吐きかけた。
「……っ」
熱い空気に当てられた屹立が大きく跳ねる。
次の瞬間、絵莉の口の中に太い肉隗が収められていた。
と言ってもいきなり全てを呑み込んだ訳ではなく、まだ雁首の辺りまでしか含んでいない。
その、男根の中でも最も敏感な部分を、絵莉はゆっくりと吸引した。
舌先で刺激を与えながら、息が続くまで吸い上げる。
そして息継ぎする度に少しずつ奥まで肉竿を咥えていき、遂には半分以上を含んでしまった。
「絵……莉……さ、ん……」
龍麻の切なげな声も、もうあまり届いてこない。
口を塞ぐペニスとそれが放つ牡の臭いに、絵莉は意識して溺れていたからだ。
「ん……ふ……うふぅっ、んっ」
顎を一杯に開いてようやく収まる逸物に被虐めいた陶酔を覚え、自ら奥まで突き入れる。
喉の粘膜に当たり、むせそうになるのが、密かな愉しみでさえあった。
形をイメージしながら舌を滑らせ、袋を優しく揉む。
溜まった唾が交じり合う卑猥な音を口内に響かせて、絵莉は牡を昂ぶらせるべく奉仕を続けた。
絶え間無い口淫戯に、屹立はいよいよ充血し、一杯まで膨らんでいた。
その浮き出た血管に沿って竿の根元へと舌を蛇行させ、また戻る。
胸に手を当てた時でさえこんなには感じないだろう脈動を唇の裏側で感じ、
その粘膜の滑った部分で、龍麻の粘膜を啜った。
再び先端を咥えた絵莉は、舌を巧みに使い、奥へと太い塊を押しこむ。
「はふ、ふっ、ん……」
口だけではとてもまかないきれず、鼻も使って呼吸を行う。
その鼻息もが男にとって快感になることを知っている絵莉は、
深く、激しくペニスを吸引し、長い時間をかけて息を漏らして、いつまでも龍麻を弄んでいた。
下半身に広がる、時に津波のような、時にさざ波のような快感に意識を委ねていた龍麻は、
ふと、今何時なのだろうと思った。
実にどうでも良いことだったが、一度気になりだすと止まらず、頭を動かして時計を探す。
しかし跨っている絵莉の身体でほとんど部屋を見渡すことは出来ず、
おまけに身動きしたことで絵莉に不審がられてしまった。
「どうしたの?」
「いえ……なんでもないです」
「何か余計なこと考えていたでしょう」
勘の鋭い絵莉に隠し事など出来るはずもなく、軽く看破されてしまった。
言葉でごまかすことを諦めた龍麻は、頭上にある腰を引き寄せ、秘唇に舌を這わせる。
「ん……もう」
そう言いながらも、絵莉は積極的に腰を押し付け、愛撫を求めてきた。
溢れかえる臭い。
淫らに息づいて誘う牝の花弁は、もう待ちきれないというように膨らみ、自らを濡らしている。
密度の濃い縮毛に覆われているそこを、龍麻は舌でこじ開けた。
「あ……んっ」
絵莉が腰を震わせると、更に淫臭が広がる。
その源に迫るべく、舌を秘洞へと潜り込ませた。
たちまち愛蜜が口を濡らし、そのうちの幾滴かは口腔に流れ込んできたが、構わず吸いたてた。
「はぁ……っん、んふぅっ」
龍麻がわざと淫らな音を立てると、それをかき消すように絵莉も淫猥に肉茎をしゃぶる。
二つの音色は、かき消すどころかお互いを駆り立てるだけだった。
龍麻の掴んでいる尻は、掌に吸い付き、魔性の柔らかさで離さない。
それを揉むだけで下腹に血が通ってしまう、成熟した女性の臀部。
形が崩れるからあまり強く触るなと常々言われているその部分を、龍麻は思いきり揉みしだいた。
尻肉を割るように押し広げる。
慎ましく隠されていた後ろの孔は、龍麻に恐ろしいまでの興奮を与えた。
「んっ……! 駄目よ、そこは……止めなさい」
尻を開かせたまま、指で小さく蠢いているその孔を叩く。
すると、本気で嫌悪しているのか、絵莉は大きく身をよじって逃れようとした。
他のことには積極的な絵莉が、唯一許していないのがその場所だった。
人間なら誰しも汚らわしいと考える場所なのだから当然なのだが、
それ故に龍麻が興奮してしまうのもまた当然と言えた。
腰を引く絵莉を押さえつけ、柔襞を刺激する。
「やっ……ん」
快感に抗うか否か、絵莉の動きが一瞬止まったのを逃さず、指の腹で孔を塞ぐ。
その途端に、きゅっと顔が触れている下腹全体が硬直した。
心地よい圧力に指が呑みこまれる。
内心で勝利を確信した龍麻は、とどめとばかりに空いた手で、
すっかり露出している肉の宝珠を撫でた。
「嫌、駄目よ……そん、な……あぁっ……ん」
いきなり数倍増しになった快感に、絵莉はすっかり屈服し、龍麻の牡を愛撫することも忘れている。
そこに、最後の刺激が訪れた。
敏感な淫突起を、指で押し潰されたのだ。
「んあっ! う……っ、あぁ……」
雷を浴びたような鋭い愉悦が背中を走りぬける。
すぐに引いてしまう小さな絶頂の波を、余すところ無く全身で味わった絵莉だったが、
にわかに身を起こした。
大胆に足を持ち上げて向きを変え、龍麻の腹の上に座る。
「もう……お尻は止めてって言ってるでしょう」
「すいません」
明らかに笑いを堪えている様子の龍麻に、絵莉は子供っぽい仕種で頬を膨らませたが、
すぐに悪戯を閃いたような表情をした。
すぐ後ろでまだ存在を誇示している牡の猛りを掴み、そのまま迎え入れる。
驚いて身体を起こそうとした龍麻を、額を小突いて再びベッドに横たえさせた。
「ちょ……ゴムは」
「出来たら責任取りなさい」
本気で言った訳では無く、少し脅かすだけのつもりだった。
無論本当に妊娠したとしても、絵莉は一人で育てるつもりだったのだ。
龍麻のことを好いてはいたが、年齢の差もあるし、
何より、途方も無い可能性を秘めているこの少年をそんなもの──
彼女にとってはとても大切なものだが──で縛ろうとは思っていなかった。
「……そりゃ最初っからそのつもりですけど」
ところが、少年は絵莉が想像もしていなかった顔で、そんな台詞を言ってのけたのだった。
「本当……? やだ、嘘でしょ」
セックスの最中だということも忘れて、絵莉は混乱する。
するとますます龍麻は絵莉の見たことのない、
まだ社会にも出ていないのに妙に責任を背負った顔になった。
「こういうのって、冗談でも言うもんじゃないでしょ。
まだ全然一人前になってないですから、口先だけっぽくてあんまり言いたくなかったんですけど」
「……馬鹿」
ようやくそれだけを言った絵莉は、今度は自分から龍麻の手を掴んだ。
勢い良く起きあがった龍麻の顔に、そのまま密着する。
絵莉にしては拙いそのキスに龍麻が戸惑っていると、口の端が濡れるのを感じた。
甘い、頭がおかしくなりそうなキスは、長くは続かなかった。
瞼を閉じるだけではこみ上げるものを抑え切れなくなった絵莉が、肩口に顔を埋めてしまったからだ。
「女はずるいから、今の言葉、一生忘れないわよ」
龍麻はそれに答えず、ただ、ほつれた絵莉の髪をそっとかきあげ、
目許に生まれた美しい宝石を拭ってやった。
指に移した涙滴は、指輪のように半球を保った後、儚く弾ける。
それを龍麻がそっと口に含むと、反対側から絵莉も同じように口付けてきた。
「変よね、私ったら。こんな最中に泣くなんて」
「あ、でも、俺は凄い興奮してますよ。ほら」
「……バカ」
喉を使わず、空気だけを震わせて囁いた絵莉は、二人を隔てる指を握り、優しく押しやる。
繋がったままでしっとりと重ねるキスは、絵莉を昂ぶらせずにはいられなくするものだった。
「んっ……ふっ……」
唇を重ねたまま、ゆっくりと腰を揺らめかし始める。
前後に、そして上下に。
少しずつ激しさが増していくその動きに、更に収縮が加わる。
身体の奥深く、快感が生まれる本当の源を、絵莉は自ら探った。
「んんぅ……う、ふ……」
貪欲に求めていたそこは、足を深く絡め、
龍麻自身を内側から臍に擦りつけるような体勢を取った所にあった。
「あ、ぁぁ……」
身体中の毛穴から噴き出そうな快感は、後ろに体重を預けることで更にいやましたが、
その状態ではもう動くことは出来なかった。
しかし、果てなき快楽を求める牝の性が、絵莉に何かを閃かせる。
「ねぇ」
「なん……ですか?」
催眠術のように妖しくゆらめく絵莉の腰を、その度に小刻みながらもしっかりと揺れる胸を、
そして熱い渦の中で掻き回される感覚を余すところなく享受していた龍麻は、
呼びかけにぼんやりと答えた。
目の前で艶やかに微笑む絵莉の顔に幸福を感じるのはいつものことだったが、
その、今は唾液の痕がうっすらとついている口から放たれた台詞は、意表を突くものだった。
「あっちに連れていってくれない?」
「え……?」
意味が解らず、龍麻は思わず絵莉の顔を見返した。
「わからない?」
すると悪戯っぽく笑った絵莉は両腕を首に回し、足を腰に絡めてくる。
「あ……」
意図を理解した龍麻は顔をほおずきのように赤らめ、息を深く吸い込んだ。
柔らかな尻を掌でしっかりと掴み、一息に立ちあがる。
「あぁ……ッ」
感極まったような喘ぎが、耳をくすぐる。
その熱さに心を浸からせて、龍麻は絵莉と繋がったまま歩き出した。
「あっ、ぅっ……っく、……う……」
体重を移動させる度に、絵莉はあられもなく声を上げる。
それに連なるように屹立を締め込んでいる淫壁がきつく絞りあげ、
龍麻を快楽のるつぼに叩きこんだ。
「ふッ、んくっ……す、ご……」
脳天を真下から貫かれたような快感に、たまらず龍麻の肩を噛む。
鮮やかな歯型が残るほど噛まれても、今の龍麻には快楽でしかなかった。
これまでにない征服感を抱き、小ぶりな尻を抱えなおす。
「ひ、ん……っ」
繋ぎなおされた結合部から、淫らな音が湧き起こった。
挿入そのものの快感よりも、絵莉を支え、彼女に頼られている、という陶酔が快楽をより深めた。
ぴったりとしがみつく絵莉の体香を存分に嗅ぎながら、
重さに慣れてきた龍麻は繋がっている腰を揺する余裕も見せた。
「あぁッ、うンッ……あぅ……っ」
求めていた以上の悦淫に、絵莉の喘ぎはトーンを変える。
口をだらしなく開いたままで垂れ流される淫声は、
発音するために腹を震わせるだけで彼女の快感の一助となっていた。
しがみつく力さえ失い、腰に絡めている足がずり落ちる。
すると、龍麻が大きく身体を揺すり、自分の上体を反らせて支えた。
「く、ぅ……っ! あ、あ……いい、龍麻……いい、の……」
子宮まで突き破られるような衝撃に、絵莉の意識はほとんど飛んでしまっていた。
ただ狂おしいばかりの淫欲に取り憑かれ、気がつけばテーブルの上だった。
さすがに全体重を背負って歩くのは大変だったらしく、龍麻は肩で息をしている。
抜けてしまった屹立が、卑猥にぬめった姿を表に晒していた。
まだ衰える気配もなくひくついているそれを見て、絵莉はテーブルに片膝を立て足を開く。
一秒でも早く、そして長く、その長大なペニスを己の股で咥えこみたかった。
まだ開いたままの秘唇は、艶かしいピンクにきらめいてその奥までをさらけ出していて、
周辺は白く泡立った淫蜜にまみれ、縮れ毛がべったりと張りついている。
今の今までそこに己の物が入っていたと考えるのは、たまらなく龍麻を欲情させた。
「絵莉……さん……」
「お願い、早く……ちょうだい」
絵莉に言われるまでもなく、醜怪なほどめくれあがった襞や内奥と、
濡れて貼りついた恥毛が織り成す淫景に、
快楽から解き放たれたはずの屹立は痛みを感じるほど硬くなっている。
勃起に急かされるように絵莉に近づいた龍麻は、ほとんどひとおもいに淫膣を貫いた。
「くぅぅ……っ、あ、はっ……」
間髪いれずに上がった声は、悦んでいるのか、悲鳴なのか、容易には区別がつかないものだった。
もっとも悲鳴だとしても、今の龍麻に自分を抑えることは出来なかっただろう。
腰をかき抱き、叩きつけるように撃ち込む。
一度外に出され、外気に触れた肉茎は、あらたな熱い粘液に包まれて溶け出さんばかりだ。
そしてそれに、どろどろに粘った愛液と、それを分泌する肉襞が容赦無く加わる。
腰をぶつける度に、少しづつ、絵莉の膣にめりこんでいくような思いに囚われながら、
龍麻は勢いに任せて抽送を繰り返していた。
その腰が砕けるような快感を、いつまででも味わっていたい龍麻だったが、
若さ故の荒々しさで膣壁を抉る龍麻に、絵莉の方がもたなかった。
「ひっ、あっ、ん、ひんっっ……や……やっ、んんっ!!」
一際高くなった嗚咽と、屹立に触れている肉洞の痙攣が始まったのと、
どちらが先かは龍麻には判らなかった。
押し寄せる快楽の奔流に、流されないようにするので必死だったのだ。
しかし、共に果てようとする女の絶頂に、まだ経験の浅い龍麻が抗えるはずもなく、
程なく限界を迎え、絵莉の膣にそのまま精を放つ。
初めて味わう膣内射精は、先端が割れるような快美感だった。
びくびくと痙攣し、顎を震わせている絵莉を見ると、注ぎ込んだのだ、
という原始的な征服感に、射精した後もしばらく腰が止まらないほどだった。
ぐったりとする絵莉をテーブルに寝かせてやりながら、
龍麻は心地よい疲労に一時身を委ねたのだった。

幾度かの荒い呼吸の後、身体を起こした絵莉は、そのままテーブルに腰掛けた。
濡れた感触が気持ち悪いのか、絵莉は心持ち足を開いているために、
二人の淫汁でべとべとになっているパールピンクの淫穴が丸見えになっていた。
目に毒なその部分をなるべく見ないようにと、龍麻は顔を上げる。
すると、じっと自分を見つめる絵莉と目が合った。
「どうだった? 初めてのなか出しは。それとも、初めてじゃなかった?」
「初めてですよ」
傷ついたように言う龍麻に、絵莉はまだ彼が二十歳にもなっていないのだ、
と改めて確認させられる思いだ。
微笑ましさと共にに、あれだけの絶頂を迎えた身体が、また疼きはじめるのを感じる。
しかし、それを絵莉が口にするよりも早く、膣内射精はおろか、
性体験すら彼女が初めてである少年が口を開いた。
「……あの」
「なぁに?」
「さっきの話とは別なんですけど」
「なに、もったいぶって」
「いえ、あの……俺に合わせてくれてるんだったら、申し訳ないかなぁって」
「私が?」
しばらく龍麻の言葉の意味を考えていた絵莉は、不意に吹き出した。
それを龍麻は小馬鹿にされたと思ったのか、少し早口で抗議してきた。
「わ、笑わなくたっていいじゃないですか」
「あら、本当は少し怒っているのよ」
「怒って?」
「ええ、私があなたに付き合って無理してセックスしてるんじゃないか、っていうことでしょう?」
セックス、と言う言葉を億面も無く発する彼女に、龍麻はまだまだ勝てないと思い知らされる。
「……違うんですか?」
「失礼ね。私はまだそんな歳じゃないわ。……それに」
「それに?」
「あんなこと聞かされちゃったら、とても我慢なんて出来ないわ」
そう言い終えた時、既に絵莉の足は股間に添えられている。
さして刺激をしなくてもすぐに硬くなり始める節操の無さに、龍麻は自分に少し呆れていた。
龍麻がそうしている間にも、絵莉は両足で器用に弄びながら身を乗り出し、口付けを求めてくる。
「ね、まだまだいけるわよね」
「……もちろんですけど、朝飯は?」
「だって、テーブルがこんなに汚れてしまったら食べられないでしょう?
もう一回終わったら、何処かに食べに行きましょう」
臆面も無く言い放つ彼女に、頭を掻き回した龍麻は、
やがて吹っ切れたように立ちあがると、絵莉を抱き上げ、寝室へと歩きだしたのだった。



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