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異様な熱気が立ちこめていた。
三人の男女が吐き出す呼気が、もやの如く部屋の中に充満していた。
「んふ……うん……ッ」
「ぁ……ふ……っ、んん……」
三人はベッドに横たわり、艶めかしく身体を重ねあっている。
男が一人に、女が二人。
大きなベッドに寝転がる男に二人の女が傅く様は、後宮(さながらであった。
女はいずれも美女だ。
片方は熟れた身体に金色の髪を持ち、もう片方はしっとりと輝く黒髪を腰近くまで伸ばしている。
年齢も、容姿も全く異なる二人に共通しているのは、男に対する深い心酔の念だった。
服従、と言っても構わないほどの二人の態度に強制されたものはなく、
ただ愛情と淫蕩な陶酔のみが二人を男の虜としているようだった。
「んむッ……ふぅっ……あんッ、ん……」
男と長い口付けを交わしていた金髪の方の女が、満足気に顔を離す。
紅い舌はいくつもの小さな泡沫で泡立ち、先端から銀糸が男の唇へと伸びていた。
「ふふッ……んッ、んっ……」
長いキスを終えた女は、デザートとばかりに甘いタッチで幾度も唇を触れさせる。
その度に波を描く金髪が、部屋の灯りを受けて複雑な色彩を放っていた。
男が落ちかかる髪を梳いてやると、ようやく女は男の傍らに頭を落とした。
もちろんそれで男への欲求を満たした訳ではなく、
今度は唇と同じ色の赤いマニキュアを塗った爪を、広い胸板にさ迷わせる。
爪だけでなく、手全体を使って細やかな刺激を与える女に、男は苦笑して呟いた。
「マリア先生……本性は全然違ったんですね」
一瞬だけ動きを止めたマリアは、すぐにまた愛撫を再開させる。
より繊細さと、淫靡さを増した動きで。
男の耳を覆う長めの髪を舌でかき分け、そのまま探し当てた耳孔へと潜らせながらマリアは囁いた。
「龍麻は……こういう女は嫌い?」
「まさか」
知り尽くした舌の動きに疼かされる下腹をこらえ、龍麻はマリアの肌に腕を伸ばした。
背中から腰へかけた、美しい曲線を撫でる。
自分のそれよりも幾分荒い動きに、牝としての悦びを覚えたマリアは、
身体をずらして彼の手がより多く自分に触れられるようにした。
腰から尻へ、マリアの求めたように手は動く。
しかし豊かに膨らんだ丘の麓で、無骨な指先は一度動きを止めた。
そこにある、滑らかな肌を堪能することを妨げるもの。
彼女自身の肌の質感には劣るものの、充分に男の欲望をくすぐるそれを玩(びながら、
龍麻は改めてマリアの全身を見やった。
赤いストッキングを吊るすガーターベルトに、揃いの下着。
と言っても下は履いておらず、上はカップレスブラと呼ばれる、
乳房が剥き出しになっているタイプの下着をマリアは着けていた。
本来の用途は別にあるらしいが、龍麻には男を欲情させる為だけにあるとしか思えない。
「本当に、マリア先生がこんなセクシーな下着持ってるとは思いませんでしたよ」
軽い気持ちで尋ねた龍麻にマリアが着てみせたのは、彼の想像すら超えた下着だった。
浮いた噂もなく、真面目な印象の彼女は、娼婦も驚くような下着を集めるのが趣味だったのだ。
「フフ……」
妖艶に微笑んで肌をすりよせるマリアの身体からは、淫靡な香りが漂っている。
葵ですら名前も知らないような香水に、彼女自身の牝の体香が混じって、
えもいわれぬ匂いで龍麻をくすぐっていた。
「誰かに見せたことはあるんですか?」
「さあ……どうかしら」
紅の舌を一杯に伸ばし、龍麻の肌を舐めあげながらマリアはワインのような声ではぐらかす。
男の本能を酔わせずにはいられないその声に、龍麻は薄く笑って尻を揉みしだいた。
「ん……」
嬉しそうに喉を鳴らしたマリアは、唇を巧みに使って龍麻に奉仕し始めた。
厚く、そして濡れた唇を、時にしっとりと、時に情熱的に肌に吸いつける。
心を委ねる悦びを知った彼女に、教鞭をとる時の凛々しさはない。
ただ彼の求めるままに乳房を吸わせ、秘洞を捧げる。
十歳以上も年下の男にその熟しきった肢体の全てを差し出すことに、何のためらいもなかった。
先に手を遊ばせていた胸に、蛇のように舌を這わせる。
上半身にのしかかり、身体を巻きつけるようにして尽くしてくる。
胸板を横切る、皮膚に溶けこむような乳房の柔らかさを堪能しながら、龍麻は下半身に目をやった。
「んふ……ぅん……ん、はふっ」
足元では葵が腹ばいになって屹立に奉仕している。
彼女は何も着ていないが、若く、そして見事に発育した身体は、
裸こそが最もセクシーに自分を見せるのだと知りぬいているようであった。
「んっ……ふぅ……んむっ、う……」
もう十分以上も口淫を続けている葵は、一向に止める気配をみせない。
屹立はとうにふやけ、唾液の膜で全体を覆われていた。
情愛を込めた舌使いと、甘ったるい鼻声は幾度か龍麻を追い詰め、
その都度龍麻は射精を堪えなければならない。
すっかり肉欲の虜になっている葵に加え、呪縛から解き放たれ、
奔放に性を求めるようになったマリアを満足させるのは、中々容易なことではないのだ。
そう簡単に欲望を放つ訳にはいかなかった。
葵はそんな龍麻の努力を知ってか知らずか、その端整な顔の奥深くまで牡を咥え、熱情をまぶす。
回を重ねるごとに技巧を増す彼女のフェラチオに、
龍麻は腰が蠢いてしまうのを抑えることまでは出来ず、葵の顔や、時には口の中を叩いてしまう。
「んぐっ……んうう……ふっ、んっ」
葵は苦しそうに呻いても、すぐさま舌を血管の浮き上がった威容に這わせる。
それどころか、その苦悶ですら恍惚に変えているのか、
呻いた後の葵の声は、糊のような粘り気を含んでいた。
思うがままに彼女の顔を白濁で汚したい欲望を抑え、
龍麻は健気に奉仕を続ける葵に、中断させる意味も込めて話しかけた。
「葵も今度こういう下着買いに行けよ。マリア先生と一緒にさ」
「でも……私……きっと、似合わないから」
葵も同年代の女性の中では群を抜いたスタイルをしているが、
マリアと較べるとやはり劣ると感じてしまうのだろう。
それに今のマリアが着ているような、極めて扇情的な下着に抵抗があるのかもしれない。
「大丈夫だって。ね、マリア先生」
「そうね……美里サンならなんでも似合うと思うわ」
龍麻と、その傍らで妖艶に微笑むマリアに小さく頷いた葵は、しかしすぐに舌技を再開させる。
明らかな照れ隠しであったが、
口淫を中断させようとした龍麻の目論見はもろくも崩れてしまうことになった。
「あ、葵……っ」
うっかり頼りない声を上げてしまった龍麻に、マリアまでもが肢体を押し付けてきた。
二人がもたらす極上の快感に、龍麻は追い詰められてしまう。
「マリア……先……生……」
肌にまとわりつく熱、そして吐息。
それらに耐え切れず再び龍麻が喘ぎを漏らすと、葵の口に包まれている屹立が激しく吸引された。
「っ……う……」
マリアの名を出すと途端に刺激が強まるのが、なんとも言えず可愛いのではあるが、
もういい加減に限界の近づいていた龍麻は、身体を起こし、葵にフェラチオを止めさせる。
すっかり行為に没頭していた葵は、顔を上げると期待に満ちた眼差しで龍麻を見やった。
上半身を起こした龍麻は、にじり寄ってくる葵に口付けを与えると、
あぐらを掻いた上に後ろ向きに座らせる。
心得た葵は、蹲踞(のように足を広げて腰を下ろした。
「緋勇……くん……」
龍麻は期待に濡れるクレヴァスを指で押し広げ、屹立をあてがう。
足を一杯に開かれ、淫らに形を変えた穴に、錘の形をした先端が卑猥な音を立てて刺さった。
「あ……ああ……」
下腹から入ってきた猛りに大きく息を吐き出した葵は、
身体を前傾させ、伸ばした腕をシーツについて挿入の快感に震えた。
呼吸をするだけで、新たな刺激が臍の下辺りを包む。
頭の中が熱せられ、快感を焦がれてしまう。
狂おしい欲望には抗いがたく、気付かれないだろう、
と弱った思考の中で腰を押し付けると、にちゃり、という、
部屋中に自分の体液が奏でた音が響き渡った。
「や、ぁ……嫌、違う……の……」
顔中を火照った紅に染めて葵は俯く。
その背後で薄く笑った龍麻は、滑らかな彼女の身体の、
折り曲げられてたるみになっているわき腹を愛しげにさすってやりながら囁いた。
「いいよ……そんなに欲しいなら自分で動いてみな」
揶揄された葵はもう沸騰してしまいそうなほど顔を火照らせていたが、やがて少しずつ腰が動きだす。
腕と膝で身体を支え、尻だけを動かして自らが気持ち良い場所を探す教え子の姿を、
マリアは子供のように座り込んで魅入っていた。
「はぁ……ぁ……んっ……うっ、うん……っ」
呼吸に、艶が混じる。
奥深くまで焼杭を挿され、なお快楽を求めて葵が身をよじると、
朱に染まった上体が龍麻に引き起こされる。
「んはぁ……っ! く、はっ……あ……」
腹を抉られた教え子は長い黒髪を振り乱し、弾けそうな乳房を揺らして悶えていた。
愛液でどろどろになっている陰唇は龍麻のペニスをしっかりと咥えこみ、女の悦びに震えている。
楚々とした翳(りが覆う紅桃色の秘部を、血管の走った異形が貫く。
こうもはっきりと男女が繋がっているところを見たのは初めてのマリアは、
自分もこんな風になるのだと思うと、蜜があふれだすのを抑えられなかった。
「ほら葵、マリア先生がもっと見たいってさ」
龍麻が両の乳房を捏ね回しながら耳打ちすると、葵は両手で顔を覆ってしまう。
しかし秘唇は彼女の態度が偽りであるかのように、より淫らにひくひくと蠢いて、
マリアは欲望に誘われるまま、淫猥な杭が刺さっている二人の下腹に顔を寄せた。
「だ……め……先生……見ない、で……くだ……さい……」
教師の視線が一点に注がれていることを知った葵は、か細い声で哀願するが、
龍麻がそれを遮るように彼女の両腿を持ち上げ、少しだけ身体を浮かせる。
「んぁっ……ひ、緋勇……くん……あぁ……」
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