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「……オレさ」
雛乃の口調は歌うようでもあり、寝言を言っているようでもある。
「オレさ、ずっと……雛のことはオレが護るって自分に言い聞かせてきたんだけどさ、
でも……こうやって、雛に頼るのも……すげぇ……気持ちいいな」
「姉様……」
よほど嬉しかったのか、雛乃が思いきり抱き締めてくる。
柔らかくて温かい乳房に押し潰されて、雪乃は嬉しさと恥ずかしさに同時に見舞われた。
その、自分よりも大きな丘が、震える。
姉と心を交わらせた雛乃が、小さく達したのだ。
「雛……?」
頭を両腕で大事に抱きかかえられている雪乃には、妹に何が起こったのかすぐには判らない。
すると、身体が横たえられ、衣擦れの音が聞こえてきた。
次に五感が捉えるのは、妹の裸身。
自分と同じく、全てを脱ぎ捨てた雛乃が、身体を重ねてきたのだった。
「ねえ……さま……」
「あ……っ、ひ、な……」
うっすらと上気した肌と、腫れている二つの突起。
それらが触れ合うだけで、喘ぎが口を衝いた。
手が使えないことにもどかしさを感じると、すぐに雛乃が舌を這わせ、
そのもどかしさを更に高めてくるのだ。
鎖骨から、右の乳房へ。
微妙に強弱をつけ、それでいて敏感な場所は巧みに避ける雛乃の舌技に、
雪乃の官能は支配されてしまう。
丘を登りきった舌は、その頂には触れず、円状の動きで雪乃を弄ぶ。
それだけならまだ耐えようもあっただろうが、時折鼻先でしこりきっている乳首を刺激されると、
たまらず胸を突き出してしまった。
「……」
雛乃は顔を上げたものの、何も言わずただこちらを見ている。
全てを知っていながら、無邪気を装う瞳。
軽く唇を噛んだ雪乃だったが、胸先が送りこんでくる命令は、思考全てを奪うほど強かった。
「頼、む……よ……も、もっと……もっと、し……て……」
からむ喉を整え、声を振り絞って哀願すると、すぐに生温かい液体が、
妹と較べて小さい、少しコンプレックスを抱く胸の頂にかけられた。
撫でるような感触のそれは、肌の細胞のひとつひとつに染みこむような遅さで、
ゆっくりとなだらかな坂を滑り落ちていく。
それがふもとに辿りつく頃、頂に新たな重みを感じた。
今度はそれが滑り落ちる前に、噛まれる。
「ぅあッ……!」
突然襲った鋭い快感に、雪乃はたまらず身体をしならせた。
腕が使えていたら、大切な妹の頭を弾き飛ばしてしまっていたかもしれない、
それほど強い刺激だった。
しかし、自ら望んで拘束されている今の雪乃は、
雛乃の荒々しい愛撫をただ受け入れるしか許されなかった。
「あッ……くッ……!」
二度、三度と、少しずつ位置を変えながら、雛乃は姉の柔蕾を噛む。
殻を割るように強く歯を当てて引っ張り上げ、乱暴に離した。
「い……た……ッ」
姉の声には本心から痛みを訴えている響きがあったが、動きは緩めない。
もう片方の柔蕾にも手を添え、痛みと快感を同一のものとして知覚させていく。
「う……あぅッ……ぁ……」
噛む力は少しずつ弱め、指先は円舞を踊るように刺激を強める。
「うぅ……ひ、な……ぁ……んッ……」
激しく上下していた躰が落ち着きを取り戻す頃、叫びは甘い嗚咽に変わっていた。
それでも責めを受けていた乳頭にはまだ痺れが残っているはずで、
雛乃はうって変わって優しい、柔らかさに満ちたキスを与える。
「や、ぅ……ぁ、ぁっ……っふぅ……」
切なさが癒され、痛みが麻痺していく。
あっと言う間に心を塗りかえられた雪乃は、長く引く快感の余韻のために、
雛乃が身体を起こしたことにしばらく気付かなかった。
片足が持ち上げられ、もう潤みきっている裂口が夜の空気に晒される。
薄暗闇ということもあり、何より言葉も出ないほどの快感に翻弄されている雪乃は、
こんな恥ずかしい格好でさえも、既にただ気持ち良いとしか感じなかった。
その足の間に身体を押し込めた雛乃は、自らの秘唇を姉のそれにあてがう。
敏感な粘膜は触れ合っただけでひくりと反応し、歓喜の蜜を垂らして吸いついた。
「ひッ、ひな……ッ! うぁッ、や、ぅあああっ!」
「は、ふぅ……っ、ねえさま……ね、え、さ……」
姉の足をしっかりと抱えた雛乃は、眉を寄せながら腰を淫靡に蠢かせる。
始めは蜜を吐き出す淫口を円を描くように振り立て、
次第にその動きを小さなものにし、淫口の上に息づいている女芯同士を擦りたてた。
「あ、あ……ッ、雛……ッ、雛、ひなぁ……っっ」
「ねえさまの……熱い……とても……んふぅっ! ん、んぁっ……」
最も敏感な突起をしたたかに刺激され、雛乃の意識が途切れ出す。
小さな神経の塊は、ぶつかると頭の中で弾けて肢体の隅々まで快感の種を運び、
気も狂わんばかりに雛乃を犯すのだ。
もはや雛乃は楚々としたたたずまいもかなぐり捨て、
自らを淫悦の底へと苛むべく姉と自分の淫らな棘を潰しにかかった。
雪乃はと言えば、とうに快感に押し流され、ただ無意識に腰をくねらせているだけだ。
足を一杯に開き、充血しきった柔肉を押し付け、一瞬でも恍惚を逃すまいとしている。
姉の淫裂からとめどなくしたたる熱い愛液が鼠蹊部一帯をぬるぬるに覆い、
更に雛乃を追い詰めていく。
「ねえさま……わたくし……も、ぅ……だめ……だめ……で、す……」
「あぅぅッ、オ、レも……ッ、っあああぁ……ッ!!」
内側から押し寄せる快楽の波に抗いきれなくなり、奔流を解き放つ。
一握の汚れも無い白い裸身が快楽に歪み、雛乃は細い嗚咽を放ちながら果てていった。
それにわずかに遅れて、雪乃も絶頂を迎える。
うわ言のように、それでもかろうじて雛乃の嗚咽に答えながら、肉の薄い身体を強張らせる。
その、身体の内側で起こった収縮を全身で解き放ち、
お腹を頂点としたなだらかな曲線を描いて達していった。

深く、心地良い疲労に包まれた雛乃は、閉じてしまいそうな目蓋を懸命に支えて姉の手を解く。
家族が起きてしまうのではないかという嬌声で悶えていた雪乃は、
一足先に眠りの国に旅だってしまったようだった。
「姉様……」
健やかな寝息を立てている姉に情愛を込めてそっと頬擦りする。
それが雛乃に残された最後の力だった。
「……」
このまま眠ってしまったら明日……少しだけ大変かもしれない。
そう思ったが、火照った肌の温もりは離れることを拒否していた。
目を閉じると、ほとんど瞬時に夢の国の使者が迎えに来る。
「おやすみなさい……わたくしだけの、姉様」
呼吸が寝息に変わる寸前に衝いたその声はしかし、唇を出ることは叶わなかった。



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