ありがとう。
心から言えるのは生まれて初めてだった。
ごめんなさい。
言わせてくれたのも君がはじめて。
どうしてもなくしたくない。
どうしたらずっと此処にこうしていられるのか。
冬も春も秋も夏も、ただ消えていけばいい。
2008.12.4
猫は自分が世界で一番美しいと信じている。
猫は、約束をしない。
猫は神を持たず月と自分だけを信じる。
世界で一番気高いのは自分。
生涯をかけて求めるのは、唯一にして真実の自分の名前。
では猫は、誰も何も愛さないのだろうか。
とんでもない。
猫は嫉妬する。猫は強烈に愛する。
自分以外の誰かを。
2008.12.4
これ以前の更新分は、拍手の更新日を忘れてしまった為日付なしです。
好き。
大好き。
でも、それだけじゃない。
怖がらせるから、言いはしないけれども。
死ぬほど痛い目を見せたい。傷つけたい。
いつかはそうする。
こんなに大切になるなんて、あの頃はちっとも考えていなかった。
「こういうのも、心変わりっていうのかな」
答えてくれるものはない。
ただ、自分だけが知っている。
切り裂かれそうな罪悪感と、それを上回る幸福感とを。
月光のような毛並み。
猫が何より愛する月。それと同じ色をしている猫は、誰にとっても特別な存在だった。
ジェリーロラム。シラバブ。
彼女らは群からとりわけ愛されていた。
真夏の夜空に、大気の揺らめきを透かして仰ぎ見る濃い金月色をしたスキンブルシャンクス。
誰もが彼らを愛した。
けれど、その猫を愛しているのはわずかな限られた猫たちだった。薄暮の空に浮かぶような淡い金色。彼の名前を、知っているものはいない。
善意だろうか、正義だろうか。
譲れない自分だけの大切なもの。あるいは、誰かを大切に思う気持ち。
猫であるということ。
月光を浴びて生れ来たこと。
悪魔であろうと、天使のように無垢であろうとも変わらない。
それだけが、誇り高いジェリクルの条件。
――だれのことも好きじゃない。
だれかを守りたい。
――だれもいらない。
だれでもいい。
ニ匹は似ていた。
誰かを守りたい。たとえそれが悪魔であろうとかまわなかった。