涙を零す月
そこは深い闇
平衡感覚さえ奪われる
上も下も左右も無い
ただの闇
感覚は鈍く
頭だけは妙に冴えていて
こんな感覚は初めてだったが
そこに何が潜んでいるかだけはすぐに分かった
この気配はこの猫しか持っていない
独特なものだと思っていたから
「そこにいるんだろう・・・マキャヴィティ」
名前を呼んだ
その名を口に出すのははじめてだった
呼んではいけないと子猫の頃から言われていた
呼べば必ず現れる
犯罪王と言う異名を持つ名
他の猫が何と言おうが
オレの中で彼は絶対神
スーッと黄色い肉体が目の前に現れる
閉じられた瞳は紅く輝く
「やはり、お前がそうだったのか」
瞳がゆっくりと開かれる
目を逸らすなんて出来ない
それは金縛りに似ている
オレだけを見ている
それは優越感
狂っていると言われても構わない
でもコレだけは言える
「オレの月はきっとアンタだ マキャヴィティ」
逃げようなんて思わない
だから
「だから アンタの手で 殺してくれ」
アンタの瞳にオレだけを写す方法なんて
他に無いと思うから
「いいんだな?」
「あぁ」
鈍い音がした
全てがゆっくりと流れ出す
最後に写った犯罪王の顔は
泣いていた
無理を言って譲り受けてしまいましたが、
あやき様、掲載許可をありがとうございました!
登場猫物の子ども時代とか、この先のこととか色々想像しちゃいます。
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