TOPへ作品一覧へ

< アウグーリオ・ボナーノ >
オールキャラ (名無しさん@初代スレ>>453氏・作)
2006/01/28寄稿

「えっと……こっち、だよね」
 今日は年越しの日。
 灯里は例年通り、サン・マルコ広場……には行かず、そこからかなり離れた、奥まって目立たない場所にある広場に一人で向かっていた。
 なぜそんなところに向かっているかと言うと──数日前、朝起きたら枕元に謎の手紙が置いてあり、この日、この時間、この場所に来るように、と記されていたからだ。
 いくら灯里がぽやっとしているからと言って、そんな怪しげな手紙を信用するのはどうかしているのではないかと思えるが、無論、考えなしに従っているわけではない。
 と言うのも手紙の末尾に、『口外するな、手紙を捨てるな、指示には従え。それを破った場合、お前とお前の回りに最大の不幸が訪れる』と言ったようなことが記されていたからだ。
 普通に考えれば、誰かのたちの悪い悪戯としか思えない。
 しかしアクアでは度々、常識では考えられないような不可思議な事が起こる。しかも、灯里の回りでは殊更に。
 これが誰かの悪戯であるなら、何も問題はない。その時は笑って済ませれば、それでいい。
 でも、もし万が一、これが本当だった場合、灯里自身だけでなく回りにまで影響が出てしまう。それは灯里が一番望まないことだ。
 そんな事情から、灯里は仕方なく、その怪文書の指示に従うことにしたのである。

 サン・マルコ広場の喧騒から遠ざかるにつれて薄暗さは増し、同時に、辺りは薄気味悪い雰囲気に支配されていく。それは決して錯覚などではなく、今まで幾度か遭遇してきた怪異に通じる、或いは、それらをもっとどす黒くしたような気配を、灯里は感じ取っていた。
 何度も通ったことがあるはずの小道なのに、ともすれば、ふとした拍子に異世界に迷い込んでしまうのではないかと言う感覚に囚われる。
 小道に踏み入った時に胸の奥で芽吹いた不安は、歩みを進めれば進めるほど、際限なく、巨大なものへと膨れ上がっていった。
 それでも、灯里が歩みを止めることはない。
 このような状況になってしまった以上、例の手紙はホンモノであると判断せざるを得ない。つまり、従わなければ、灯里はおろか回りの──藍華やアリス、そしてアリシア──たちにまで、何らかの危害が降り掛かる恐れがあるからだ。
 灯里は、ややもすると恐怖に押し潰されそうな心を奮い立たせながら、足を動かし続けた。

 細い路地をくぐり抜けて辿り着いたその場所は、そこだけ空間が削り取られているかのように、深い闇に包まれていた。
 一瞬の躊躇の後、灯里はその闇の中に足を踏み出す。
「ひっ……」
 広場に入った瞬間、灯里の背中に、何か得体の知れないものが這いずり回ったかのような悪寒が走る。ギョッとして後ろを振り返ると、そこにあったはずの小道は、跡形もなく消え去っていた。
「う、うそ……!」
 慌てて辺りを見回すと、入口が消えた代わりにその反対側の壁で、青白い燐光によって両開きの大きな扉がぽおっと闇に浮かび上がり、灯里をいざなうかのように、ぽっかりとその口を開けていた。
「……こ、ここに入れ、ってことだよね……」
 既に退路は絶たれ、引き返すことなど出来ない。灯里は覚悟を決めると、扉の中に飛び込んだ。
「眩し……っ」
 急に明るい部屋の中に放り出された灯里は、目が眩んで立ち竦む。そして目が明るさに慣れた時、灯里の前に立っていたのは……藍華だった。
 不安が最高潮に達していたところに親友の顔を見つけた灯里は、安心感から脱力し、その場にぺたりと尻もちをつく。
 座り込んでしまった灯里に手を差し出す藍華。灯里はその手を掴んで立ち上がると、藍華の肩越しに部屋の中を見渡した。
 ヴェネツィアンスタッコによって仕上げられた艶やかな壁は、天井に吊られたシャンデリアから降り注ぐ柔らかな光を反射してきらびやかに輝き、部屋の中心に据えられた大きなテーブルの上では、所狭しと並べられた年越しの豆料理が、美味しそうな匂いを漂わせている。
 その回りでは、藍華の他にアリス、晃、アテナ、そしてアリシアが、テーブルの料理に手を伸ばしていた。

 年越しと言えば、ここネオ・ヴェネツィアでは町中の人がサン・マルコ広場に集まって、そのまま初日の出まで一晩中、賑やかにはしゃぎ倒す、と言うのが通例だ。しかし、こんな風に知己だけで新年を迎えるというのも、それはそれで灯里には、とても魅力的に映る。
 きっと地球出身の自分のために藍華あたりが発案して、このようなパーティを開いてくれたのだ、と無理矢理にでも思い込もうとしたが、しかし、その試みは失敗に終わった。
 先程、回りを見渡した時に、異常に気が付いてしまったからだ。この部屋には扉がひとつもない。窓の一枚もない。自分が入ってきたはずの扉も綺麗さっぱり消え去って、どこを調べてみても、ただの壁しかない。
 どうやって入って来たのか分からない。勿論出る方法も分からない。完全な密室に閉じ込められていた。
 にもかかわらず、アリシアたちはそれが気にならないのか、それとも気が付いていないのか。全く気にするそぶりも見せずに、豆料理を食べていた。
 その光景に強烈な違和感を覚えた灯里が、アリシアたちの様子を改めてじっくりと観察してみると、誰も彼もが作り物めいた笑顔で虚ろな瞳をしていた。そこに理性の光は全く感じられない。
 信じられないようなものを見る目で、灯里はアリシアたちを見つめるが、当のアリシアたちはそんな灯里の様子に気付くこともなく、ただひたすら豆料理を貪り続けている。
 何を呼びかけてみても、全く反応がない。かと思えば、今度は急に灯里の方に振り向いて、狂ったようにケタケタと嗤い出す。
 灯里は、まるで自分だけここに存在してはいけないような、どうしようもない疎外感に苛まれた。そして出口のない密室に閉じ込められている事実に、この状況から抜け出す術はないのだと言うことを認識させられると、それは更に重く大きく圧し掛かってくる。
 暗闇から抜け出し、そこに親友の姿を見つけて、一時は落ち着きを取り戻していた灯里だったが、鳴りを潜めていた不安がここぞとばかりに鎌首をもたげ、襲い掛かってきた。
 限界だった。
 妙な手紙で妙な場所に呼び出され、やっと目的地に辿り着いたと思ったら、今度はそこで親友や先輩たちが揃っておかしくなっている。
 もう訳が分からない。
 その場を支配する狂気に立っていることさえままならなくなり、灯里はついに、自らその意識を放棄した。



 ぺちゃぺちゃ、ぴちゃぴちゃ──。
「う、ん……んっ」
 どこからか聞こえてくる粘ついた水音に、灯里は目を覚ました。頭がゆっくりと覚醒していくにつれ、視界にかかっていたモヤも次第に晴れてくる。そして、視力を取り戻した灯里の目に最初に飛び込ん できたのは、自分の股間に顔を埋めて、舌で秘部を舐りまわしている藍華の姿だった。
「え、なっ、なにっ!?」
 灯里は慌てて自分の姿を確認する。
 どうやら椅子に座らされて、腕は後ろ手に縛り上げられていた。服装はアリアカンパニーの制服のままだったが、ストッキングの股の部分が裂かれ、下着も剥ぎ取られているので、恥ずかしいところは全部丸見えになっている。そして、両脚はM字に開かれ、椅子のひじ掛けにロープで固定されていた。
「やっ、ちょっと、何で、こんな」
 自分の置かれている状況に気が付いた灯里は、この場から逃れようと必死に身体をよじる。しかし、いくら暴れようと、ロープで固定された身体が自由になることはなかった。
「あらあら灯里ちゃん、落ち着いて。ね、ほら、リラックス」
 いつもの穏やかな口調で話しながら、アリシアが後ろからふわりと抱き付いてくる。アリシアの優しい香りが鼻腔に広がると、その甘さに灯里の脳は痺れてしまった。
 アリシアは、まるで酩酊しているような瞳をした灯里の頭を胸に抱きしめた。そして、何事かと顎を上げて半開きになった灯里の唇に自らの唇を重ね合わせ、唾液を流し込む。
「んっ、んむ……」
 灯里はぼんやりとしたまま、流し込まれたアリシアの唾液を、こくこくと喉を鳴らして飲み込んだ。
 アリシアはそのまま灯里の咥内に舌を挿し入れると、上あごから歯の一本一本まで丁寧になぞり、そして舌と舌を絡ませる。始めは軽く抵抗していた灯里だったが、すぐにアリシアを受け入れるようになり、積極的にアリシアの舌に応え始めた。
 そのようにして、しばらくの間お互いの咥内を愛撫し続けていたが、やがてどちらからともなく二人の唇が別れると、一瞬、銀色に輝く粘液の橋が架かり、そして儚く消えていった。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「うふふ、灯里ちゃんかわいい」
 アリシアは、キスの余韻でぼんやりとしている灯里の、顔中至るところにキスの嵐を降らせていく。そして唇が触れていない部分がなくなると、今度は耳から首筋に向かって舌を這わせていき、首筋に到達したところで強く吸い付いた。
「はっ……う、んんっ」
 灯里はその刺激に悶え、そして、首筋にはキスマークが残った。

「あっ、アリシアさんキスマーク付けた。いいなあ……」
 いつの間にか灯里の足の間で屈んでいた藍華が立ち上がって、アリシアを羨ましそうに眺めていた。
「うふふ、灯里ちゃんに印をつけていいのは私だけよ」
「はぁい、わかってまーす」
「それで、藍華ちゃんの方は?」
「それが、その……加減が分からなくて」
「あらあら、それじゃ、私が見てあげるわね」
 アリシアは灯里の正面に回ると、藍華と入れ替わって灯里の足の間に屈んで、淫蜜と唾液でべとべとになった灯里の秘部を覗き込んだ。
「もうほとんど大丈夫よ。でもそうね……隠すものがない方が、もっとかわいくなるかしら?」
 そう言ってアリシアはポケットから剃刀を取り出した。照明を反射してきらりと光る刃を見て、灯里はビクッと身を竦める。
「あらあら灯里ちゃん、動いちゃダメよ」
 ショリッ、ショリッと言う音と共に、慎ましやかに灯里の股間を隠していた柔らかな茂みが、次々と身体から離れていく。
 剃刀が這い回る感覚と、尊敬する先輩に剥き出しの股間をさらけ出し、剃毛され、あまつさえその様子を親友たちに観察されると言う倒錯したシチュエーションに、灯里の興奮は異常なまでに高まっていく。
 身体の奥底から止め処なく湧き出てくる蜜は、先程よりも明らかにその量を増していた。
「うふふ、灯里ちゃんにも喜んでもらえたみたいで、私も嬉しいわ」
 剃毛を終えたアリシアは、用意していたタオルで灯里の股間を拭った。
「はい、綺麗になったわ。後は……」
 包皮に包まれたクリトリスを、キュッと摘むアリシア。
「はひっ! な、何をするですかアリシアさん」
 突然襲い掛かる強い刺激に驚く灯里。
「うふふ。こんなところに、とっても美味しそうなおマメがあるわ」
 アリシアは、少しだけ頭を覗かせていた灯里のクリトリスを両側から二本の指で挟みこんで、そのままくりくりとしごきながら皮を剥いた。完全に露出した、充血してパンパンに張ったクリトリスが、ぷっくりとそそり勃った。
「で、でっかいお豆です」
 アリスが目を丸くして、驚嘆の声を上げた。

「それじゃ、いっただっきまーっす♪」
 藍華は大きく開かれたフトモモを抱きかかえるようにして、灯里の股間に取り付いた。
「はひっ!」
 藍華が勃起したクリトリスにキスをすると、灯里は思わず声を漏らす。その反応に藍華は満足げな表情を見せると、灯里への責めを開始した。
 始めはゆっくりと、徐々に動きを速くしながら舌を這わせる。そうやって快感を与えていくと、灯里の既に蕩けきった秘壺から蜜が溢れ出してくる。そうしたら今度は、肉襞を掻き分けながら舌を壺の中 に挿し入れ、襞のひとつひとつをなぞるように膣内を掻き回す。舌で蜜を汲み取ると、またクリトリスに 戻って、溜めた蜜をまぶして味付けしたクリトリスを舌で転がし始める。
 そして淫蜜のぬめりがなくなると、再び灯里の身体から湧き出す蜜を舐め取っては、クリトリスにまぶして吸い付く。
 時にはじゅるじゅると下品な音を立てて吸い、また、唇でクリトリスをキュッと挟んだりしてアクセントを付けながら、灯里に快感を与えていった。
 しかし、藍華は強い刺激を与えることはなく、あくまでも緩やかに、決して絶頂を迎えないように、それでいて快感は確実に蓄積されるように、灯里を昂らせていく。
 藍華の柔らかでしなやかな舌が繰り出す感触に焦らされながら、灯里は下腹部から身体中に波紋が疾走するのを感じていた。

「私も灯里先輩のお豆、でっかい食べたいです」
 藍華が灯里の秘部から口を離して一息ついたとき、アリスが声をかけた。
「もう、しょうがないわねぇ」
 藍華は渋々ながら灯里から離れ、アリスに場所を譲る。
 アリスは灯里の秘部にむしゃぶりつくと、藍華がやっていたように、舌でぺちゃぺちゃと舐り始めた。
 しばらくは黙って灯里とアリスの様子を見ていた藍華だったが、やがて飽きてしまったのか、アリスに場所を譲るように促した。
「ほら、もういいでしょ後輩ちゃん。次、また私ね」
「ちょっと待てコラ藍華、オメーはさっき食べたばっかだろうが」
 再び灯里に取り付こうとする藍華の肩を、晃が掴んでグイッと引き寄せた。
「な、何するんですか晃さん」
 藍華は灯里の淫蜜に酔っているのか、晃に対していつになく強気に出る。そして一触即発の雰囲気になりかけたその時。

「ケンカはダメ……」
 二人の間にアテナが身体を割り込ませる。その手にはいかにも切れ味の鋭どそうな、巨大なハサミが握られていた。
「ちょっ、おまっ、そんな物騒なもの持ち出して何を……」
 晃と藍華は少し血の気の引いた顔で、一歩後ずさる。
「大丈夫よ。ここをこうやって……」
 アテナは灯里に近づくと、灯里の制服の右胸を摘んで引っ張る。そして、手に持った大きなハサミで、チョッキン、とその部分を切り取った。
 アテナの手によって制服に与えられていた張力がハサミによって断ち切られて、灯里の身体に引き戻されてゆく。すると、制服にぽっかりと開いた穴から、純白で、小ぶりながらもフワっとした乳房の先にある、薄桃色の乳首が表に顔を出した。
「反対側も」
 同じように左胸にも穴を開ける。
「ほら、これでお豆はみっつ」
「あらあら、アテナちゃんったら凄いわ」
 アリスが股間から左胸に移ると、藍華は空いている右の乳首を咥える。残ったクリトリスは、晃が吸い付いて貪り始めた。
 その結果、灯里の身体にはより大きな快感が送り込まれるようになったが、責める人間が藍華からアリスに替わろうが、晃を加えて三人になろうが、絶頂を迎えられるほどの刺激を得ることは出来なかった。
 晃もアリスも藍華も、我を忘れて灯里の豆を貪り続けているが、その反面、暴走して強い刺激を与えてしまうようなことは決してなかった。
 絶頂を迎えることはない、だが焦燥感は確実に募る。そんな陰湿でねちっこい責めばかりを繰り返し行っている。
 灯里は逃れることの出来ない、なのに絶頂を迎えることも出来ない鈍い快感に晒され続け、気が狂ってしまいそうだった。いや、既にもう狂い始めていたのかもしれない。普段の灯里からは想像できないほどの淫卑な動作で身体中をくねらせながら、淫猥な言葉であられもないことを要求していた。
 これ以上焦らし続けるのは、傍目に見ても危険であることは明白だった。にもかかわらず、懇願は全く受け入れて貰えずに、灯里は更に乱れた様相を見せる。
 襲い掛かってくる鈍い快感が、じわじわと、確実に灯里の心と身体を蝕み、やがて頭の中は白一色に染め上げられていく。
 そんな灯里の痴態を、藍華も、アリスも、アリシアも、晃も、アテナも、どこか狂気を孕んだ、そして熱を帯びた瞳で、満足げに見詰めていた。

 そうしてしばらくの間、灯里のことなどお構いなしにその身体を堪能していた晃たちだったが、時計を確認していたアテナが声をかけると、その行為は中断された。
「晃ちゃん、そろそろよ」
「ん、もうそんな時間か……仕方ないな。アリシア」
「はーい♪」
 晃と入れ替わる形でアリシアが灯里の股間に潜り込む。そして藍華とアリスが両乳首から離れ、そこに晃とアテナが、その形の良い整った唇を寄せ、咥えた。
「じゃ、いきますよ。……ディエチ……ノーヴェ……オット……」
 藍華のカウントダウンを合図に、アリシアたちは灯里を激しく愛撫し始めた。
 先程までの緩い責めとは違い、比較出来ないほどの激しい快感が灯里に襲い掛かる。
「トレ……ドゥーエ……ウーノ……」
 カウントが減少するにつれ、アリシアたちの怒涛の責めは、より一層激しさを増していった。
 そして。
「ゼェロ!」
 カウントダウン終了を合図に、水の三大妖精がそれぞれ灯里のクリトリスと乳首に歯を立て、カリッと引っ掻く。
 散々焦らされ続け、何よりも快感を渇望していた灯里は、敏感な部分に強烈な刺激を与えられ、ビクンビクン、と身体を何度も跳ね上がらせる。
「やっイくっ、イっちゃうっ……んっ、あっあぁぁぁああうぐぅうりおぉぉっ! ぼなあぁぁのおぉぉぉっ!!」
 新年の挨拶と共に強烈な絶頂を迎える灯里。
 そして、灯里の秘裂から、ぷしゃぷしゃっと透明な潮が断続的に噴き出し、アリシアの身体に降りかかった。
「はぁ、はぁ、はぁっ……っ…………」
 絶頂に強張った筋肉が弛緩してぐったりするのと同時に、灯里の意識は白い闇に閉ざされていった。



 ……………………
 …………
 ……
「…………はっ!」
 灯里は自室のベッドから勢いよく身を起こした。
「……ほへ?」
 得体の知れない密室に閉じ込められて、藍華やアリシアたちに色々されていたはずなのに、気が付いたら自分のベッドに寝ている。
「えーっと。……うん、夢。夢だよね。アリシアさんたちがあんなことするはず……あは、あはは」
 少しは考えてみたものの、灯里にとってはあまり深く考えたいことでもなかったので、夢と言うことにしておいた。多分その方が幸せだから。
「にゅ」
「あ、アリア社長。おはようございます。これからまた一年、よろしくお願いしますね」
「ぷいにゅっ♪」
 灯里はベッドから降りると、両手を上に挙げて、うーん、と伸びをする。
「さあ、今年もがんばるぞぉ!」
 そう言って着替えるためにパジャマを脱ぐ灯里。
 その肩口にはアリシアに刻まれた印が、くっきりと残されていた──。

(完)

TOPへ作品一覧へ