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< その、異世界への扉を…… >
アリシア×晃(♂) (名無しさん@2スレ目>>232氏・作)
2006/09/06寄稿

「たのもーっ! たのもーーっ!!」

 って、せっかく姫屋の晃様が、じきじきに足を運んでやったのに、アリシアも灯里も留守じゃないか。
 すわっ! 二人とも、なってないっ!
 ま、しかたないな。あとでもう一回来て見るか。

 あれ?あそこで足掻いてるのは、アリア社長か?
 胴回り考えずに、あんな狭い所にもぐるから、つっかえてるじゃん。

「ぷいにゅーーっ!」

 分った、分った。引っ張ってやるから、痛くても我慢しろよ。

「ぷ、ぷ、ぷいいいぃぃぃぃーーー!」

 だめだぁ、頭から引いても、足から引っ張っても、抜けん。
 おっ、発想の転換!後ろに回りこんで、こうやって足を使って押し出してやると・・・、お、いい感じ、いい感じ。

「ぷいにゅぅ……」

 社長は抜けたな。そしたら、このまんま、自分も通り抜けたら……

 と、あ、あれ?目が回って、気が遠く な  る



「あ!アリシアさん、あんなところに人が倒れてますっ!」
「あらあら、まぁ、晃ちゃんにそっくり。ご兄弟かしら」
「とにかく、お店の中に運びましょう」
「晃ちゃんにも連絡を取ってみましょう」



「あらあら、晃ちゃんとは連絡が取れないの?」
「はい。今日はオフだから、ARIAカンパニーの偵察に行くって、うきうきと出かけたっきりなんです」
「晃先輩にでっかいそっくりです……」
「でも、兄弟が居るなんて、聞いたこともないわねぇ」
「摩訶不思議」
「う……うーん」
「あ、気がついた」

 気がつくと、俺はARIAカンパニーの店内に運び込まれていた。
 ベッドに寝かされているって事は、灯里の屋根裏部屋か?

「気がつきましたか?」
「んん、あ、あれ? アリシアのお姉さん、ですか?」

 俺を覗き込んでるのは、幼馴染のアリシアにそっくりな女性だった。
 改めて、まわりの人々を見てみると、藍華と、灯里に、アリスも、みんな女になってやがる!
 軽くパニクってる俺に、すっとティーカップが差し出された。

「はい、ホットミルクです」
「あ、ありがとう」

 差し出してくれたのは、女性化アテナだった。
 うわ、こいつ女になっても、マイペースの気配りさんだよ。

 しばらく、語り合った末に、どうやら、性別があべこべのパラレルワールドに迷い込んだらしい、って結論に達した。
 って、そんな無茶な。

「この間、大福もちとアランチーニを一緒に食べた」

 いきなり、女性化アテナが言った。
 確かに数日前、久しぶりに、アリシアとアテナと一緒に昼飯を食べる機会があって、そうゆう組み合わせで食べた憶えがある。
 この世界の、女の俺も、そうゆう食事を摂ったのだろう。

「あのぉ、それが、何か?」

 気弱に尋ねる俺に、女性化アテナは言い切った。

「食べ合わせ」
「はぁ?」
「食べ合わせで、パラレルワールドに飛びやすくなる」

 あー、アテナって女になっても、素っ頓狂な奴だぁ。
 こっちのみんなも、慣れているのか、誰も聞いちゃいねぇ。
そんなこんなを話していると、結構遅い時間になってしまった。

「すんごいお騒がせしたけど、俺、とりあえず姫屋に戻るから」

 と、言った途端に、女性化藍華が両手でバツ印を作った。

「男子宿泊禁止っ!」

 あ、そうか、こっちの水先案内人は、みんな女なんだ。
 アテナとアリスも、首を横に振りながら顔を見合わせている。

「じゃ、とりあえずどっか宿屋に泊まるから」
「性別以外に、何か違ってることがあったら、困るんじゃない?」
「でも、ここに泊まるわけにもいかないし」
「あら、ここに泊まってもいいわよ」

 ああだこうだとやっていると、アリシアがさらっと言った。

「いくら晃ちゃんでも、この状態で、会社に一人で居てもらう訳にはいかないから、私もここに泊まるわ。灯里ちゃんには、アリア社長と一緒に、私のお家で寝てもらって」

 いやぁ、女になっても、アリシアはアリシアだなぁ。
 てきぱきと段取りを組んで、みんな各々に戻っていった。



「あらあら、お客様を、ソファで眠らせる訳にはいかないわ。灯里ちゃんもベッド使ってもらっていいって、言ってくれたのに」
「ベッドはアリシアが使ってよ。俺はソファでも床の上でも、構わないからさ」

 寝ようって時に、寝場所のことで、軽く押し問答になった。

「んー、それじゃあ、寝場所はお風呂の後で決めましょう」
 風呂は、アリシアが先に使う事になった。
 どうせ、後から俺が風呂を使ってる隙に、ソファを占領する積もりなのだろうけどな。
 案の定、俺が風呂から上がると、アリシアはソファの上で横になっていた。

「分ってくれよぉ。女の家に押しかけて、女をソファに寝かせて、自分がベッドで眠れるわけないじゃん」

 アリシアは、微笑むのを我慢しながら、狸寝入りを決め込んでいる。
 すわっ! かくなる上は実力行使!
 アリシアの身体の下に、両手を差し入れてお姫様抱っこして、「あらあら」とか言ってるのを無視して、ベッドの上まで運んだ。
 だけど、アリシアを抱き上げた瞬間に、俺は後悔する事になった。
 顔がアリシアそっくりだから、抱き上げたって欲情なんかしないって思ってたんだ。
 とゆうよりは、そうゆう気持ちになるなんて、想像もしてなかった。
 だけど、抱き上げたアリシアの身体は、柔らかな女性の身体だった。
 ベッドまでたどり着いた時には、もう気持ちがのぼせ上がって、顔が赤くなってるのが、自分で分るほどだった。

 ベッドの上に横たえたアリシアの顔を、じっと見つめた。
 黙ったまま、アリシアも、俺の事を見返してくる。
 我慢しきれなくなって、顔を寄せる。
 気持ちの赴くままに、唇を合わせてしまった。

 てゆーか、何をやってる? 自分。
 いくら女でも、相手はアリシアなんだぞ。
 いや、いくらアリシアでも、相手は女なんだと、考えるべきなんだろうか?
 だいたい、なんでこいつは、女になってもこんなに美人なんだ?
 頭の中でこんな事を思っている隙に、口付けを拒まれなかった事に味をしめて、俺の手は彼女の身体をまさぐろうとしていた。

 あ、こら!止めろよ、俺!

 その時、アリシアは、俺の胸に手のひらを当て、すっと腕を伸ばしてきた。
 おだやかな、でも、明確な拒絶の動作。
 それで、頭に血が上っていた俺も、少しクールダウンした。
 自分がしようとしていた事が、急に恥ずかしくなって、詫びようとした俺をさえぎって、彼女は言った。

「このベッドは、今では灯里ちゃんのものだから。ね」

 彼女は、軽やかな動作でベッドを降りると、ソファのタオルケットを床に広げた。
 彼女の動作の意味に気がつくと、俺は部屋の明かりを落とし、広げたタオルケットの傍らに佇むアリシアに寄り添った。
 黙ったまま見つめ合い、かるく抱き合ってキスした後、アリシアの身体をタオルケットの上に横たえた。
 俺は、おたおたと自分が着ている借り物のパジャマを脱いだ。
 ってゆうか、右前と左前がちがうだけで、なんでこんなに、ボタン外すのが面倒くさくなるんだ?
 そして、とてもデリケートな貴重品の包装を取り去るようにして、アリシアの寝巻きを脱がせる。
 と、星明りの下で、輝くような裸身があらわになった。吸い寄せられるようにして、胸に顔を埋める。

「ん、んんっ……」

 舌先で、乳首を転がすと、アリシアが切なげな声を上げた。
 左右の乳首を、口と手で交互にせめた。
 はしたない声をあげまいと、苦しげに首を左右に振るアリシアに、ちょっと歪んだ満足を感じながら、そっとショーツに手を掛けた。
 確認するように、アリシアの表情をうかがう。
 目を合わせた彼女は、軽くうなずいて、心もち腰を上げた。
 俺は、静かにショーツを下ろした。
 彼女の髪と同じ色の、淡い茂みが股間を隠していた。
 誘われるようにして、思わず手をあてがう。

「あんっ、ん、んふっ」

 いつの間にか、両手で自分の顔を覆っていたアリシアが、堪えきれない様子で、声を上げる。
 もっとアリシアを感じさせたくなって、指先を足の間に進めた。
 暖かい湿り気を帯びたそこを、指の腹でこすりながら、再び彼女の乳房に舌を這わせた。

 乱れそうになるのを、必死で抑えているアリシアを感じながら、指先を彼女の奥底に差し入れてみた。

「痛っ!」

 アリシアが小声で叫んだ。あ、これって、初めてなのかも。

「アリシア?」
「うん、ごめん、大丈夫だから」

 小声で呼びかけたら、顔を塞いだ両手の間から、声を返してくれた。
 でも、このままじゃ、痛いだけだよな。
 俺は、頭の位置を下ろして、彼女の股間に顔を埋めた。
 これから、どうなるのかを悟ったアリシアは、あわてて両手で俺の頭を抑えようとした。

「あの、晃ちゃん、だめよ、そこは、お願いっ」
「大丈夫だよ。俺に任せて、力抜いて」

 ちょっと強引に、彼女の中心に舌を這わせる。

「んんっ!」

 彼女の抵抗が、形ばかりのものになった。
 俺は、舌先に唾液を絡めて、彼女の入り口を充分に湿らせていった。

 アリシアの香りに耐え切れなくなった俺は、身体を起こして彼女の入り口に、自分自身をあてがった。
 アリシアも、力を抜いて、俺を受け入れる体勢になっていた。
 すこしきつく、締め付けてくる暖かな感触に耐えながら、自分自身をおし進める。
 アリシアは、自分の手に軽く歯を当てて、声を出すのを耐えていた。
 そっ、と彼女の口元から手を外させる。

「アリシア」

 心細そうな表情で、俺の顔を見つめる彼女の、名前を呼んだ。

「晃ちゃんっ!」

 彼女は俺の名を呼び返すと、しがみつくように抱きしめてきた。
 そのまま、俺たちは気持ちが求め合うままに、身体を動かした。
 やがて、登り詰めて、全てが真っ白に感じられる瞬間を迎えた。

 そして、その直後、目が回る感じがした。
 あれ、この感じ、最近体験した事 が ある  かな



 気がつくと、目の前にアリシアの顔があった。
 あれ?アリシアの髪がさっきより長いかな?
 私が気付くと同時に、アリシアも目覚めたようだ。

 あ、あれ?どうしよう?
 女の子同士で、しかも裸で、抱き合ってるよ、私たち!
 意識がはっきりした途端、お互いにパッと距離をとった。

「あ、あの、お、お帰りなさい」
「え、えと、た、ただいま」
「シ、シャワーでも、使う、かな?」
「う、うん。悪いけど、先に使わしてもらうね」

 アリシアの顔、真っ赤だけど、たぶん私も真っ赤だろうな。
 二人とも、シャワーを浴びて、衣服を整えて、窓を開いて部屋の空気を入れ替えたら、やっと人心地がついてきた。
 でもお互いに、昨夜何があったのか言わない。
 ちょっと気まずい沈黙が、部屋の中に流れた。

「うふふっ」

 いきなり、アリシアの奴が笑い声を漏らした。

「ど、どうしたんだよ、急に」
「あっちの晃ちゃんと私も、そろそろ目を覚ましたのかな」
「ぷっ」

 笑い事じゃないけど、思わず想像して笑っちまった。

「うふふっ」
「あははっ」

 灯里が出社してくるまでの間、アリシアと二人で、涙を流しながら、笑い転げていた。



数日後……。

「うわ!晃さん、大福もちとアランチーニですか?」
「でっかいアンバランスです」
「てゆうか、昨日も、それ食べてなかったですか?」

「すわっ!ウンディーネたるもの、人の昼飯に口出ししない!」
「は、はひ〜」

(完)

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