Dolce
written by 雨宮ヒカル様


愛してるよ・・・・・・

アンタがいっつも俺に言うから

俺の中でアンタの存在が、確かに大きくなっていった




Dolce



「愛してるよ、エディ。」

ほら、また

切なそうに、でも幸せそうに愛の呟く

しかも人の名前を愛称で呼んだりなんかして・・・・

俺の蜜色の髪を一房掴んでは唇に寄せ、キスを一回

そうされる度に心臓の音が煩くなる

相手に聞こえてるんじゃないか・・と思う程・・・喧しい


「・・・・・どうだか。」


俺は何となくこのまま流されたくなくて

頬に伸ばされた手を振り払う
この気持ちが一体何なのか・・・・・・・・

知ってはいるし、気付いてはきているが

まだ目を瞑っていたかった



「おや、信じてくれないのかい?つれないね。私はこんなにも君を愛してると言うのに。」


「日頃の行いが悪いんだよ。」


「おやおや。」

ふいっと顔を横にやった俺の耳に、大佐の笑い声が聞こえてくる


「〜〜///何笑ってるんだよ!!!」


その笑いが何故かムカついた


「君が可愛い事を言うから・・・ついね。」

顔が熱い

今俺はみっとも無いほどに顔が赤いのだろう

怒鳴ってみても文句を言ってみても、笑いを止めない男にどうしてやろうか・・・と考え始めた所で



「大佐・・・・。大佐にお会いしたいという人が・・・・・・・。」


部屋の扉を開け、ホークアイ中尉が顔を出した

俺は振り上げてそのままの手をしぶしぶ下ろす

大佐はホークアイ中尉の言葉を聞くと、壁に掛けてあった時計に視線をやり


「分かった。私はこのまま用事をすませて帰らせてもらうよ。」


そう言うと、俺の頭をグシャグシャと乱暴に撫でて、コートを羽織り出て行った



撫でられた箇所から熱が広がっていくようだった・・・・・・・・・・・・



あれから中尉が出してくれた紅茶を飲み干し、少し雑談をして東方司令部を後にした

もともと大佐からお呼びがかかっていたから赴いただけで、呼び出した当の本人がいなくなってしまっては

俺がいつまでもあそこにいる理由はなかった


日の傾きかけた街並みをゆっくりとした足取りで歩く

子供の笑い声だったり

恋人同士の幸せそうな顔だったり

すれ違っていく人たちをぼうっと見つめる




“愛してるよ、エディ”

「!な・・・・ッ!!!!」

ぼうっとしていた頭に浮かんだ言葉は、アイツが先ほど俺に言った言葉

俺は不意にアイツの言葉を思い出したことに慌てて頭を振る


何で・・・・

何であいつの言葉が思い出されるんだよ・・・・・・・・


いつも女に言ってるであろうその言葉

俺に言ったのは単なる暇つぶしか冗談だろうに

その言葉を言われる度に、胸が熱くなった

アンタの存在が確かに大きくなっていくのを感じた


ただの気まぐれさ

ただの暇つぶしさ

ただの・・・・・・・・・


そう思ってこの湧き上がる感情を押し止めてきたのに・・・・・・・・・・・・・


アイツの顔が忘れられない

離れてくれない


先ほどアイツに触れられた箇所の全てが・・・燃えるように熱くなっていく・・・・



俺が深い溜息を零した時


「では、此方から行きましょうか?」

聞き慣れた声が耳に届いた

慌てて振り返る


そこには見慣れた軍服ではなく、ラフな私服を着込んだあいつの姿

「まぁ。よろしいの?」


そして、綺麗な女の人の姿



「・・・・・は・・・・・やっぱり・・・・・そうじゃん・・・・・。俺に言ったのは・・・・ただの暇つぶし・・・・だったんだよ・・・・。」


熱が篭った場所が、急激に冷めていくようだった


一歩一歩後ろに下がる

見たくないのに顔はアイツを見たまま・・・・

少しずつ少しずつ下がって


バタン!!!!!!!


「!!」

「・・・・エディ・・・?」

しまったと思った時にはもう遅かった

壁に立てかけられていた木材に気付かずに、そのまま下がって倒してしまった

その派手な音にアイツの視線が俺を捕らえた

「エディ!!!!!!!」

それからはアイツが後ろで呼ぶのも構わず走り続けた

あの場にいたくなかった・・・・・・


やはり自分の勘違いだったのだ

あいつの言葉を信じて

勝手にアイツの存在を大きくして

勝手に・・・・・・・・・・・・・・・・・


勝手に好きになって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


無我夢中で走った


「エディ!!!!!」


あいつの声が聞こえた気がした


「何で・・・・・・・・・ッ・・・・・・・・。」


後ろを振り返らなくたって分かる

アイツが走ってきている


「何で・・・・。」

何で追いかけて来るんだよ

あの女の人はどうしたんだよ


何で俺なんかに構うのさ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


これ以上俺に

アンタを



好きにならせないでくれ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「エディ!!待ってくれ!!私の話を聞いてくれ!!!!!!!」


幾人もの人が振り返っては俺たちを見る


「・・・・・・・・・・・・・・ッ。」


「私は・・・・・・。・・もし君が私とあの彼女が付き合ってると思ったなら・・・それは誤解だ!!!!!」



足が縺れて倒れてしまいそうだ


「私が・・・・・・・。私が・・・・・・・・。私が愛してるのは・・・・・・・・・・。」


喉がからからで胸も痛い


「私が愛してるのは!!!!!」



通行人の間を縫って、走って走って

物凄い力に腕を引っ張られて・・体がグラリと傾いたと思ったら


「エディ、君だけだ。」


そのまま温かい大きな身体に包まれた


「・・・・嘘・・・・だぁ・・・・。アンタは・・・・俺なんか好きじゃない・・・・・。」

伝わってくる体温が優しくて

背中に回された腕が痛いくらいに強いのに

涙が零れてきた


「どうして・・・。そんな事を言うんだい?・・・私はこんなにも君を愛してるというのに。」

「嘘・・・・・・・。」

「信じてはくれないのかい・・・・やはり・・・・・。」

「だって・・・・・・・・・。アンタは・・・・・・・・・・・・・。」

「日頃の行いが悪いからか・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・ッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「それでも私が愛してるのは・・・・君だけなんだよ・・。」

「・・・・・・・・ぅぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「愛してない人に・・・・・・・・。」


不意に頬を包まれて、そのまま温かい唇が重なった



「・・・・・ッん・・・ぅ・・・・・・・・・・・・・・・・。」


口内に侵入してくる舌は、俺の歯列をなぞり、舌を引きずり出す

角度を変えては深く深く貪られ

全てを奪われてしまいそうな口付けをした・・・・・・・・・・・・・・・

離された二人を銀糸が繋ぎ

大佐がそれを拭き取ってくれた


「愛してない人にこんな事はしないし・・・・。誤解されて苦しくなったりはしない。」

「・・・・・・・大・・・・・・・・佐・・・・・・・。」

「・・・何度でも言おう。私は君を・・・・愛してる・・・・・・・。」



幸せそうに微笑まれて

そのままその腕に抱きこまれて


耳元に彼の息遣いを感じては


もう認めるしかなくて


「大佐・・・・・・・・。俺も・・・・・・・・・・。俺も・・・愛してる・・・・・・・。」


やっと

言えた





〜後日〜


「エディ〜〜VVVV」

「だ〜〜〜離せって!!!!」


東方司令部執務室

嫌がるエドを膝に乗せ、後ろから熱い抱擁をかますのはロイ・マスタング大佐

その顔はとても幸せそうである


「つれないね。私と君は両想いになったというのに。何故そんなに嫌がるんだい?」

「その激しいスキンシップが嫌なんだよ!!!!!」


嫌がるエドの言葉にロイはふむ、と呟いた

「では、夜はいいと言うのだね。」


次に言った言葉はとんでも無い言葉で


「では、どうだい?今夜一緒に過ごさないかい??」


けして表では言えない様な事をベラベラと語り出すロイに



「〜〜〜〜〜こ〜〜〜の〜〜ボケ無能大佐!!!!!!!!!!!!!!」



エドの愛の鉄拳が繰り出された事は言うまでも無い



いつも囁かれる言葉に

確かにアンタの存在が大きくなっていった


二人の恋は

甘くやわらかに・・・いつまでも続けばいい・・・・・・・



萩乃の挿絵とか見てみる?

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だ・・・大ファンの雨宮様からいた、いただ、頂いてしまいました・・・!!!
本当に、わが人生に一遍の悔いはございません!
こんな素晴しいSSをいただけるなんて・・・私はなんという幸せものなのでしょうかー!!!(叫)
リクエストのエドが大好きな大佐を快く書いてくださって・・・!ホント、大佐はエドが大好きだなぁ〜★
タイトルのDolceとは、西洋音楽用語で『甘くやわらかに』という意味だそうです。ロイエドにぴったりですよね!

雨宮様本当に本当にありがとうです〜vvv

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