05:三つ編み



いつか、編ませてやるという約束。 
 
髪を他人にいじられる、というのは存外気持ちのいいものだ。 
ヴェイグは自分の髪をすく手の動きを感じ、気持ちよさそうに目を閉じる。 
そんなヴェイグに気づいているのかいないのか、髪をいじる手は止まらない。 
ただ今は、すいているだけ。 
 
悪の根源は消えた。 
 
世を滅ぼさんとしていた悪は、自らを生み出した存在によって、元凶によって消された。 
そして後に残ったものは、荒れた大地とそこにに生きるヒト。 
――それから、道。 
それぞれが出発地点に立ったのだ。 
ヒトとしても、種族としても、個人としても。 
旅の仲間としても。 
 
いつか、を、今日にしてくれないかと頼まれた。 
 
特に断る理由も無いので、好きなようにさせた。 
 
それからずっと、ティトレイはヴェイグの髪を梳き続けている。 
 
三つ編みを、といった約束だったのに、いささか準備に時間がかかりすぎる。 
気持ちよかったのでほうっておいたが、いい加減にしてもらわないと、出発の時間に間に合わない。 
そう、スールズへの出発に。 
 
すると、ようやくティトレイが髪を3つに分ける気配がした。 
それと同時に、珍しく覇気のない小さな声がする。 
 
「オレ以外に、結ばせたくないな、ヴェイグの髪。」 
 
無理だ。 
ヴェイグの髪はさわり心地がいいので、これからスールズに帰ればクレアか彼女の母が結びたがるだろう。 
――そうだな、もって1ヶ月というところか。 
 
ヴェイグは思いついたことに、密かに微笑を漏らす。 
残念ながら、後ろのティトレイには見えないが。 
 
「だったらおまえが――