06:5cm



君までの距離を、測ってみる。 
 
 
今日の料理当番は、ティトレイ。 
今日の、というか、今日も、と言うべきなのかもしれないが。 
 
手持ちの素材の中から、卵を探し当て、フライパンを熱し始める。 
即席の竃とはいえ、鉄のフライパンが適温になるのは本当にすぐだ。 
そのすぐの時間を、ティトレイは何となく卵を見つめた。 
 
ふと、何かに似ていると。 
 
大きいような、小さいような。 
ありそうで、なさそうな。 
でも確実にあるんです。 
 
彼との距離は。 
 
フライパンが、自らの適温を告げる。 
その自己主張に、ティトレイは意識を戻した。 
 
卵を、割る。 
中身はフライパンに吸い込まれ、じゅっ、と音を立てて張り付いた。 
 
なんとなく、右手に持ったままの卵の殻を、昔キノコにそうしたように、足で踏み潰してみた。 
自分と彼との距離も、この殻のように粉々になくなってしまえばいいのに、と。