14:涙



「ティ…ティト、れ」 
「お…おい?!べべべっべ、ヴェイグ?!」 
「……ぃ、っく」 
 
突然オレの部屋に転がり込んできたヴェイグが、わんわん泣いている。 
…オレってばどうすればいいですか? 
 
 
14:涙 
 
 
「ぉーい」 
「ひ……ぅく」 
「……あのぉー」 
「………ズビ」 
「…………ヴェイグさん?」 
 
とりあえず、どさくさに紛れてオレの服で涙拭かないでください。 
や、涙なら…許さないでもないけど、鼻水は…なあ? 
とにかく、突然オレの部屋にやってきたヴェイグは、突然大げさに泣き始めた。 
…いや、来る前から既に泣いていたかもしれない。 
とにかく、泣き止まないわ、オレの話は聞こえてないみたいだわ、どうやら軽いパニックのようだわ、……とりあえず困っている。 
 
「…なんだ、ヴェイグ、大の大人(?)が誰かに泣かされたのか〜?」 
「………ぐし」 
 
無反応。 
…ひょっとしたら、本当に誰かに泣かされたではないかという懸念が脳裏をよぎる。 
サレとか、サレとか、サレとか。 
大穴で、マオという可能性も無きにしも非ず。 
…ずいぶんと物騒な周囲である。 
 
「おーい、いつまでも泣いてたんじゃわかんねえってばー!」 
「………ずずっ」 
 
ヴェイグがやっと、頷くとい小さな反応だが、返事をしてくれた。 
オレは根気良く訊き続ける。 
 
「なんだ?本当に誰かに泣かされたのか?オレがガツンと言ってきてやろうか…?」 
 
とか、男前(ティトレイのイメージ)なことを言ってみるが、ヴェイグは横に首をわずかに振るばかり。 
…いったいなんだというのか。 
 
「と…咄嗟に、ティトレイの、事しか…思いつかなくて」 
「………」 
 
や、役得? 
少しずつ喋りだしたヴェイグは、なんとも嬉しい事を言ってくれる。 
…そうか、緊急事態にヴェイグは、咄嗟にオレを頼れる相手として(?)思い出してくれたのか…ふむふむ←すごく嬉しそう。 
 
「やっぱり…おまえ、にしか、頼めないと…思ったんだ」 
「ヴェイグ、安心しろ!オレに出来る事なら何でもやってやるからよ!」 
 
さあ! 
どーんとオレを頼ってくれ! 
 
「たまねぎが…目に、しみるんだ…!」 
「…は?」 
 
「アニーにたまねぎをみじん切りにしてくれと頼まれたんだが、どうにも目が痛くなってしまって…」 
「アニーに涙を見られるのも少し…恥ずかしかったから、とりあえず外に出てみたんだが…なかなか痛みが引かなくてな」 
「料理といえばティトレイ、おまえだろう?」 
「だから、何とかここまで来たんだ」 
 
「痛みを止める方法、教えてくれ」 
 
…オレは、世の無情さを儚んだ。