「う、ん…っん…」
「知念クン、苦しい…?」
永四郎は変わっている。
見た目ももちろん、性格も、それから嗜好も。
俺みたいな大男を押し倒して上に乗っかってるんだから、その変わりようは相当だ。
「ぐ…っ、う…」
「ちゃんと柔軟やってないでしょ…っ、硬い…よ」
俺の膝裏を掴んだ永四郎が、体を二つに折りたたむような姿勢を取らせる為に膝を頭のすぐ側に来るほど押してくる。
太腿の裏の筋が突っ張って痛いし、腰にも変な負担がかかっていた。
おまけに容赦ない木手の所為で腰の方が頭より高い位置にくるため、頭に血が上ってボーっとした心地になる。
柔軟ならちゃんとやってると言いたかったが、体勢の苦しさと体内を永四郎に押し広げられている圧迫感にも喉が塞がれて言えなかった。
永四郎は面白がるように俺の体をさらに深く折りたたむように押し付け、同時に腰も押し付けてくる。
そのまま上体を倒してきた永四郎の顔がすぐ側まで来て、もう少しでキスしてしまうんじゃないかと言うくらいに近づいた。
「こっちは柔らかくなったのにね…」
「んん、…永四郎…!」
どこのことを言ってるのか分からせるように永四郎が密着させた腰をぐるりと回転させた所為で、擦り上げられた内壁が腰を溶かしそうな快楽を伝えてくる。
思わずつま先をきゅうっと丸めた俺に、永四郎は楽しそうに肩を震わせて笑った。
そして膝を掴んで押し付けたまま、永四郎は自分の上体だけを起こしてゆっくりと腰を引いていく。
永四郎の性器を咥えた部分が、移動する熱の塊を離すまいとして収縮するのが自分で分かった。
収縮した襞が捲り上げられて擦られるのが気持ちいいのを、永四郎も俺も知っている。
「う、あ…っ…」
「痛いくらい締め付けてくる…気持ちいい?」
知っていて聞いてくるから性質が悪いと思うのに、俺は何度も頷くしかなかった。
永四郎はそんな俺を見下ろしながら、薄く開いた唇を真っ赤な舌で舐め濡らしている。
少し細めた目の奥にドロドロした欲情を滾らせて、獰猛な獣が餌を食らう時のような顔をしていた。
「ぁ、う…う、永、っ永四郎…!」
男同士で、自分が受身のセックスで何が一番気持ちいいかと聞かれたら、俺はこの永四郎の顔だと答えると思う。
直接性器を嬲られるより、最近ようやく慣れてきた後の感触より。
何よりもこの、永四郎が見せる性欲剥き出しの男の表情が一番気持ちいい。
それをぶつけてくる相手が、自分だけだというのも快楽の一つだと思う。
「知念クン、動くよ」
「ん、う…っぁ…!」
はぁ…、と深く息を吐き出した永四郎が先端近くまで抜いた性器をまたゆっくりと沈めてきた。
立て続けに大きな動作で緩慢に抜き差しされて、腰から脳天まで駆け抜けていく痺れるような焦れったい感覚をどう受け止めていいのか分からず指先に触れるシーツを掻き毟った。
「はぁ、っ…うぁ…ぁ…」
何度も往復して、永四郎は俺の体の中に自分がいるんだと言うことをまざまざと感じさせる。
内壁がその形までしっかり分かるように締め付けてしまうのを自分では制御できず、狭くなったその肉の間を無理やり押し広げられるのに眩暈がした。
自分の中に木手の性器が埋没しては引き抜かれる様を目の前で見せ付けられ、腹の奥から熱い何かが溢れ出してくるようだった。
「んっ…ぁ、あ…」
頭の横で無理やり押さえ込まれていた膝頭を、今度は俺の胸元に押し付ける。
さっきよりも楽ではあるが折りたたまれた体勢であるのには変わらず、身を乗り出してきた木手は俺の足首を自分の肩に引っ掛けて体を倒してきた。
「っぁ、永四郎…っん、ん…」
「知念クン、中が絡み付いてくるみたい…すごく気持ちいいよ」
「…ん、ん、あ、っあ…あ…」
小刻みに何度も奥ばかりを突きながら俺の耳元で余計なことを言う。
言われなくたって自分がどんな風に永四郎の性器を愛撫しているのか分かるし、そうさせているのは自分の上でニタリと口元を吊り上げる永四郎本人だ。
なのに、永四郎に気持ちいいと言われると俺の意思とは関係ないところで腰がうねった。
シーツを握り締めていた俺の右手首の辺りを這った永四郎の指先が、掌をくすぐってから指に絡む。
小さな傷や豆ばっかりで触り心地だって良くない男の手が二つ絡んで、どうしてこんなに気持ちよくて安心するのか俺にはわからない。
「ね、知念クンキスして…」
それでも永四郎にそう強請られたら、頭を持ち上げて永四郎の口に自分の口を押し当てる。
開いている腕で永四郎が俺の頭を支えてくれるのと、俺が永四郎の首に腕を回すのは同時だった。
END
2008/06/10:完成
2008/06/10:UP