お年玉ゲーム

「雪でも愛して!」



まえふり

「……は〜〜〜〜〜ぁ」
 操は窓の外を眺めながら人知れずため息をついた。
 寒いはずだ。
 大きな雪がゆらゆら降っている。
 眼下に見える景色はどこまでも白い。
 雪は鈍色の空から音も無く降りてくると、寂しい様子の木々の枝に積もっては落ちていった。
 夏は色とりどりだった地面も建物も何もかも、今は黙って雪に覆われていた。
 小さく身震いすると、片付けかけの聖誕祭用の木を一瞥し、肩からかけていた毛布を前で合わせる。

 年も明けてもう3日経とうとしていた。

 操はもう一度ため息をつくと、すぐ側に置いてある箱をちらりと見た。
 それは存在感溢れんばかりの様子で鎮座していた。
 人一人はゆうに入れる大きさで、色は赤と緑の斜め縞模様だ。金のリボンがすぐにも結べるように箱に垂れかかっていた。
 予定ではここから大胆な格好で飛び出るはずだったのだ。勿論「僕がプレゼント★」という自分的には貰って嬉しい上げて嬉しいコンセプトだ。
 少し軽い、と巷で評判の頭であったが、それでも何とか知恵を絞って素敵な夜を演出するつもりだったのだ、が。
 準備はしたものの待てど暮らせど「いとしの彼」は出てこず。
 様子を見に行けば鬼のような形相で研究に没頭していたため、声もかけられなかった。
 そしてそのまま10日に至る。
 その間、こそこそと身の回りの世話をしたものの、恐らく相手の目に入ってすらいなかっただろう。
 唯一、意思伝達の機会である資料調達のご用命もなかったのはもう運が悪かったとしか、言いようがない。
 箱を足で蹴飛ばして窓の側に押しやった。
「あー年越し待ちぼうけー……」
 操は毛布に包まったまま暖炉の前にしゃがみ込み膝を抱えた。
「るーるるるるー」
 歌ってみたが逆に切なさがこみ上げただけだった。
(色んな意味で寒い状態な気がする……)
 本当ならあんなことやこんなことが、待っているはずだったのにと、「あんなことやこんなこと」を想像して操は一人赤くなる。
 そう、例えば……。




お年玉ゲーム2007(15パズル)

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