エドワードの執務室、デスクの上に書類を置いたジャンに、エドワードが僅かにたじろいだ。頬を桜色に染め、気恥ずかしそうにもじもじしているエドワードに、ジャンは苦笑する。
「んな顔すんなよ。別に取って食うわけじゃないんだし・・・。今日は、な」
「なっ」
ジャンの言葉に、エドワードは一気に朱に染まった。
「ばばばバカ言ってっ・・・」
振り仰いだ所を狙って頬や額に唇を落とす。
「しょっ・・・」
戸惑っているうちに抱き上げ、以前ジャンが作った専用仮眠スペースに連れ込んだ。
ベッドの上にそっとおろし、軽く唇と唇を触れさせる。
「大将、口開けて?」
するとかぱっと思い切りよく口を開けたエドワードにジャンは噴き出した。
「な、何だよっ」
「えさ待ってる雛じゃねーんだからよ・・・ちょっとでいいんだってちょっとで」
「だれが小鳥並みのどっ」
怒ろうとした瞬間に再び口が塞ぐ。
ジャンの舌がエドワードの口内に侵入すると、エドワードは目を見開いた。さっきの反応から思うに、想像すらしていなかったのだろう。
身を引こうとしたエドワードの後ろ頭をジャンの手が押さえ、ゆっくりとベッドに押し倒す。
ジャンの唇が離れて、エドワードは眉を顰めた。
「苦い・・・」
エドワードの感想にジャンは苦笑する。
「煙草の味だろうな。嫌か?」
エドワードがふるふると横に首を振ったので、ジャンはもう一度唇を重ねた。
歯列を舌でなぞり、戸惑ったように奥へ逃げようとする舌を捉えて吸い上げる。たどたどしいながらも、必死で応えようとするエドワードがたまらなく可愛くて、ジャンは柔らかな唇を貪った。
思う存分堪能し、唇を離せばエドワードは耳まで赤くなっている。
「はっ・・・」
エドワードが荒く息をして少しぼんやりしているのをいいことに、ジャンはエドワードの耳を軽く噛んだ。
「アッ!」
エドワードの口から甘い声が漏れる。
途端に目を丸く見開いたエドワードが、さらに一気に真っ赤に染まり、ジャンを突き飛ばした。
「あだっ!」
「いいいい今のっ!聞こえた?!」
「ん?今のって・・・あえぎ声のことか」
「わああああああ!!忘れろ!!忘れるんだ!!!」
エドワードがジャンの襟を掴んでがくがくとシェイクする。
「あわわわっ!やめっ」
「脳から抹消しろ!!」
「無茶言うっあだだっ!!」
「忘れるまで揺さぶってやるーーーーーっ!!!」
「そ、そん、ぐえっやめっ」
力いっぱいジャンを揺さぶりまくった後、エドワードはようやく手を止めた。
「忘れろよっ」
「何でよ?可愛い声だったのに」
「かっ・・・」
絶句した隙に、頬にキスをひとつ。
そのまま舌を尖らせて耳を掠めれば、エドワードは慌てて両手で自分の口を塞いだ。
しかしその状態では抵抗できないのは明白。調子に乗ってもう一度噛み付こうとすると、内線電話が鳴った。
「ちっ、いい所だったのに」
舌打ちするとエドワードが両手でジャンを押しのける。
「いいからさっさと電話でろよっ」
「はいはーいっと」
ベッドから起き上がり、エドワードのデスクへ向かう。
「はい、エルリック少佐の内線です」
「んあ?ハボ?なんでいきなりお前が出るんだ」
内線をかけてきたのはブレダだった。
「大将今仮眠室。んで、どうかしたのかよ」
「いや、用があったのはお前にだからいいんだけどな。ほら、お前に嫌がらせしてた、エドのファンクラブがあっただろう?あの連中が今准将の所に押しかけて来てんだよ」
「は?何だってまた」
「決まってるだろ。『ジャン・ハボックをエルリック少佐の副官から外せ』って直談判しに来やがった」
「あー・・・」
さっき廊下でのあのやりとりを見て、嫌がらせでは埒があかないと判断したと言う所か。
「准将が断わるっつっても納得しなくてよ。向こうも人数が多いから強気だし、収拾がつかん。何とかしろや」
「分かった。今から行く」
受話器を下ろすとエドワードがやってきた。
「何かあったのか?」
「ん。今准将んとこに、俺を大将の副官から外せって文句言いに押しかけてる連中がいるらしいぜ」
「え・・・」
「ブレダの話だと、ここんところ嫌がらせしてきてた連中らしい。収拾つかないから来いって言われたから、行って来るわ」
「俺も行く」
「え?けど」
エドワード当人が行くのはまずいんじゃ、と言いかけたジャンを、エドワードの真剣な瞳が黙らせる。
「行くよ」
「・・・分かった。行くか」
「だから、それは出来ないと言っている。そもそも君たちの言っていることは憶測どころかただの邪推だ。まったく論拠が無い上にわざと捻じ曲げた解釈をしているだろう」
「そんなことはありません!実際襲っているところを見たものがいるんです!!」
水掛け論にロイは深々と溜息を吐いた。隣にいるリザも表情こそ無いが、ロイには雰囲気で怒っているのが分かる。
「それは襲ったのではないと何度言わせれば気が済むのかね・・・。私がこの目で見たと言っているのに」
この連中、ロイとエドワードについて噂が立ったときには特に動きを見せなかったところを見ると、上にたてついてまでどうこうする気は無いらしい。ジャンの階級が少尉であり、これといった後ろ盾もないのがターゲットになった一因をになっているのだろう。しかし連中の中で一番階級が高いものが中佐だというのは、逆にこんな人間が中佐になれるほど人材不足なのかと嘆きたい気分にもなるが。
「いいえ!襲いました!!」
噛み付くように大尉官が言い返してくる。ロイが最も嫌いな人種は、人間の言葉が通じない相手だ。対話をして、その上で曲げられない意志があると言うのならばいい。だがまったくこちらの言葉を理解せずに自分の感情だけを押し付けてくる輩ほど、うっとおしいものは無い。
ロイがイライラして机を指で叩いていると、司令室の扉が開いた。
「准将!!」
その声に、押しかけていた連中の動きがぴたりと止まる。
「鋼の?!私はハボックを呼んだのだが」
「少尉も来てるよ」
エドワードが親指を立てて、肩越しに自分の背後を指差すと、その先にジャンも姿を現した。
「ハボック。何故鋼のまで居る」
「いやぁ・・・気付かれました」
苦笑して頭を掻いているジャンの横で、エドワードが渋い顔をしている。ジャンの言葉の意味を理解してロイは再び溜息を吐いた。
「言わないでくれと言ったのはお前だろうに」
「言ったわけじゃないッスよ〜。見られたんス」
15、6名、それもジャンより階級が上の者も含んだ集団から、あからさまな敵意を持った視線を向けられても、ジャンは全く動じずにへらへらしている。
こういうことに関しては神経が太いくせに、エドワードに手を出すとなると途端にヘタレになるのがジャン・ハボックと言う男だ。
仮にこの二人がつきあっていなかったとしても、酔いつぶしたところを襲えるような人間なら、キスひとつするのに3ヶ月などかかりはしないだろうし、それ以前に一応交際中なのだからそもそも一方的に襲うと言うのは当てはまらないだろう。
しかし、キスするのに3ヶ月もかかっていることを考えると、付き合い始めて4ヶ月になったが・・・手は出していないのではないか、と言うのがロイの予想だ。
だとするとジャンがエドワードを無理矢理抱いたなどというのは、相思相愛の交際中だがまだそこまで至っていない現状とは真逆の方向の憶測と言うことになる。全く持ってくだらない話だ。
「准将」
エドワードがドアの前から真っ直ぐにロイに向って歩み寄る。
「少尉を副官から外せとか言ってる連中が居るって?」
「ああ。彼らだよ」
ロイが顎でしゃくって見せると、エドワードは横目でそちらに冷たい視線を投げた。
表情こそ普通に見えるが、その瞳が雄弁に感情を語っている。
「オレはそんなこと望んでないし、オレ自身にそうしろと言ってきた人間も一人もいないのに、何で准将のところにいきなり話がとんでるわけ?」
「さて、私に訊かれても困るな」
「エルリック少佐!!」
『守る会』のリーダーであるらしい中佐官がロイとエドワードの会話に割って入った。
「・・・何か?」
「君は、騙されているんだ!」
騙されていると来たか、とロイは内心で苦笑する。ジャンの言うとおり、この件はエドワード本人にはあまり聞かせたい話では無かったのだが、知られてしまった以上エドワードに任せるのが得策ではある。余計な口は挟まずに、ロイは苦笑して肩を竦めるにとどめた。
「誰が何について騙してると?」
「その男は、人のいいふりをして、君が酔いつぶれているときに襲うような男なんだぞ!?」
「襲われたことないんですけど」
「酔っていたせいで記憶が無いだけだろう?」
みるみるうちにエドワードの眉が寄っていく。
「・・・仮にオレが酔ったときに少尉が何かしていたとして、それがアンタ方に何の関係があると?」
「放っておけないだろう!エルリック少佐がそんな変質者を信頼して副官に置いているなんて危険すぎる!!」
「それだったら准将の所に来る前に本人に直接言うのが筋ってもんじゃないんですかね」
代わる代わる口を開く面々に対し、エドワードの返答は一様に冷たい。
「仕方が無いだろう、散々こちらがアクションを起こしても顔色ひとつ変えない。本当に外面がいいだけで中身はしたたかな」
「その『アクション』ってのはあのいたずら書きか」
中佐官が皆まで言う前にエドワードが言葉を遮った。
「え、あ」
うろたえた『守る会』のメンバーの表情が、その指摘が図星であると物語っている。
「あ!!准将、大将を止め・・・!」
まだドアの傍に居たジャンが叫ぶのとほぼ同時に、文字通りエドワードの右の鉄拳が中佐官に飛んだ。
「テメェらか!!あんな下らねぇ真似しやがったのは!!」
中佐官が吹っ飛ばされると同時にエドワードが両の手のひらを打ち鳴らす。
「全員ぶっ飛ばす!!!」
エドワードが手をついた壁から大量の拳が現れ、今度は他の『守る会』メンバーに降り注いだ。
他の司令室のメンバーには一切被害を与えず、見事に『守る会』のメンバーだけを狙った攻撃に、『守る会』のメンバーが悲鳴をあげて逃げ惑う。
「鋼の、司令室を壊さないでくれないかね」
のほほんと苦笑したロイの言葉に、エドワードが乱闘をやめないまま怒鳴り返した。
「んなもん後で直してやらぁ!!こいつら許せねぇ!!」
「やれやれ。お前たち、書類だけ避難させておけ。ホークアイ大尉、止めなくていいからな」
「そのつもりです」
ロイの言葉にリザが頷き、ブレダたちが書類をロイの執務室へと避難させ始めた。暴れるエドワードと逃げ惑う『守る会』のメンバーの合間を縫って、ジャンがロイのもとへと寄って来る。
「何で止めないんすか!?ホークアイ大尉まで・・・」
「止める必要性が無いからな」
「何言って・・・」
そんな会話の合間にも、エドワードの蹴りが轟音を立てて近くのロッカーにめり込んでいる。
「お、落ち着いてくれエルリック少佐・・・!わ、我々は君のためと思ってっ・・・」
「何がオレの為だ、ふざけんな!!」
降り注ぐコンクリートの塊に、ジャンとブレダの同期の『守る会』メンバーが悲鳴を上げた。
「ブレダ!!助けてくれ!!」
「お断りだ」
ブレダが即答する。
「何でだよ!?士官学校の同期じゃねーか!!」
必死で攻撃を避けている相手には、ブレダは目もくれない。
「お前、ハボだって同期だろ。同期のヤツに平気で嫌がらせしてた野郎を、何で同期のよしみで助けてやらにゃならん」
そのままブレダは書類を抱えてどすどすと隣室に消えていった。目を丸くしているジャンに、フュリーが目を向ける。
「僕の同期もいますけど、僕もブレダ少尉と同意見です。エドワード君が怒るの、当たり前ですよ」
「そ、そんなぁ!!」
悲鳴を上げた軍曹は、どうやらフュリーの同期のようだ。
「つまるところ、我々も怒っているということです。本当にエドワード君を守りたかったのだとしても、やり口が汚すぎます」
ファルマンの言葉に、戻ってきたブレダが頷きながら腰に手を当てて溜息を吐いた。
「だからまぁ、止める気はねぇな。・・・まぁ、それ以前に鋼の大将を止められる人間は、軍の中には3人しかいねぇんだが。止めねぇんすか、准将、ホークアイ大尉?」
問われてロイは大仰に肩を竦めた。
「止める理由が無い、と言っているだろう?私がやることは、鋼のを止めることではなく、この後余計な横槍が入らないように事件を握りつぶすことだ」
ロイの言葉にリザが苦笑する。
「書類の避難も順調、壊れた部屋は後で直すとエドワード君が保障してくれていますし、准将が止めるなと仰っていますし。私にも止める理由は無いようですね」
ブレダの言うところの、止められる3人と言うのはロイとリザとジャンのことだ。ロイとリザが手を出す気が無いならば、直接被害を受けたジャンが止めるのもどうかと言う所だ。
「・・・大将」
ふと、エドワードを見ていたジャンの眉が寄せられる。
迷いの無い足取りでエドワードに近づいたジャンが、再び中佐官を殴ろうとしていたエドワードの手を後ろから掴んだ。
「な・・・少尉!?何で止めるんだよ!!」
「もういい。止めろ、大将」
「けど!!」
「あんなこと大したこと無いって。さっきも言っただろ?大将に辛い顔させるほうが嫌なんだ、ってさ。だから・・・そんな辛そうな顔して人殴ったりすることねーよ。な?」
ジャンがエドワードの顔を覗き込むと、エドワードは視線を逸らして振り上げた手を下ろした。
言われてみれば、相手は皆元々エドワードのファンなわけで、エドワードにしてみれば相手に親切にされた記憶も少なからずあったのだろう。そう言った相手に手を上げることは、エドワードにとって楽しいことでは無かったはずだ。それでも、ジャンを守ることを優先しようとしたから手を上げただけだ。
「自分が辛かったことはどうでも良くて、飼い主が幸せであることが優先、か。忠犬だな、ハボック」
「准将、うるさいッス」
ジャンが掴んだ手を引くと、エドワードは素直にジャンの腕の中に納まった。
「・・・バカ少尉・・・」
「だーからバカでいいっつってんだろ」
頭をわしわしと撫で回すジャンに、エドワードの口がへの字になる。
「・・・ちょっとしゃがめ、少尉。おすわり」
「おすわりって・・・犬じゃないんスけど」
「お・す・わ・り!!!」
「い、イエッサ」
苦笑したジャンが膝をつくと、その頭をエドワードが抱え込んだ。
「た、大将!?」
うろたえたジャンが、どこに手を置いたものやらと手をわきわきさせている。そんなジャンは意に介さず、エドワードはそのまま『守る会』のメンバーに視線を向けた。
「コイツはオレのモンだ!!オレのモンに傷つけようっつーんなら、オレが相手になるからな!!!」
鼻息荒く怒鳴ったエドワードに、ブレダが笑った。
「所有権主張されてんぞ、ハボ」
「いんじゃね?俺の飼い主だし」
「自分で言うなよ」
呆れたブレダにジャンが舌を出す。ロイは指を組んでデスクに肘をつき、その上に顎を乗せた。
「まぁ、とにかく。『守る会』の諸君は、鋼のの今の言葉に対して、どう答える気なのかな?鋼のを敵に回してまで、ハボックに嫌がらせを続けるつもりかね?」
床に転がったままの面々が互いの顔を見合わせ、ロイの言葉に横に首を振った。
「・・・そうか。ならば今回だけは、落書き程度には目を瞑ろう。それ以上の犯罪を犯した者には、相応の償いをしてもらうが、それ以外の者は戻って構わない」
「准将、それ以上の犯罪、って・・・?」
エドワードがロイを振り返る。
「まず、ハボックの財布を盗んだ者。これは、弁償と減俸だな。それから」
ロイは立ち上がり、床にうずくまったままの中佐官の前に立った。
「・・・先日の私の昇進パーティーのことだ。言いたいことが分かるな?」
「・・・どっ、どういう意味ですか」
冷たい目で見下ろしたロイを、中佐官が薄笑いを浮かべて見上げる。
「ハボックが襲ったなどと、よくもまぁ白々しく言えたものだ、と思うのだがね。とうに調べはついている」
ロイは相手の襟首を掴んで無理矢理立たせた。
「准将・・・?」
ジャンが不審げな声を上げて立ち上がる。ロイは横目でジャンを見た。
「鋼のの能力からすれば数年のうちに出世コースに乗るのは明白。潰してしまうより、今のうちに手をつけて自分の物にしてしまえば後々役に立つ、などと言い、鋼のに媚薬を盛ろうとした馬鹿者が居る」
「な!?」
「グラマン中将が気づいてくださったお陰で、大事には至らなかったがな。そしてそのパーティーで、そいつは鋼のが普通以上にハボックに好意的であることに気がつき、鋼ののファンを煽ってハボックに嫌がらせを行うように仕向けた。・・・身に覚えがあるだろう?」
ロイの冷ややかな視線に中佐官が後ずさる。
次の瞬間、中佐官はロイの目の前から吹き飛ばされた。
「少尉!?」
迷わず相手を殴り飛ばしたジャンの手に、エドワードがすがりつく。
「止めんな、大将。ふざけんなよこの野郎」
「こら、ハボック!銃に手をかけるな!!」
完全に殺気立っているジャンに、ロイもエドワードに協力して手を押さえ込んだ。
「止めんでください!!手をつけちまうだと?やっちまえばいいなりになるって?薄汚ぇその手で大将を汚そうっつーのかテメェ?!」
「ハボック少尉、落ち着いて。未遂よ」
「けど!」
滅多に逆らわないリザの声にさえ、ジャンは頷こうとしない。
「もしも実際に鋼のが媚薬を口にしていたら、軍法会議にかけて処刑してやっている。それこそお前が手を下すまでもない。大体、お前がそんな理由でコイツに手をかければ、誰が一番傷つくか分からんお前ではあるまい」
ロイの言葉にジャンが押し黙り、エドワードに視線を向けた。
「少尉、オレ何も無かったから。だから」
「・・・悪ぃ」
ようやくジャンが力を抜いて、エドワードを抱き寄せる。エドワードが背伸びをしてジャンの頭を引き寄せ、よしよしと頭を撫でた。
「・・・お前たちは自分のことでは怒らないくせに、相手のことについては全く我慢が利かないのだな」
「うるせぇ、放っとけよ。・・・にしてもグラマン中将、突然オレを引きずって自分のテーブルにつかせたのはそのせいだったのか。言ってくれりゃいいのに・・・」
「騒ぎにならんように気を使ってくださったんだ。まぁ、こんなことになるとは思っていなかったのだろうが」
ロイは吹っ飛ばされて口から血を流している中佐官に歩み寄った。
「まぁ、いずれにせよ、だ。未遂だったとは言え、減俸や降格程度で済むと思うなよ」
相変わらず先に進まないカップルです。
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06/06/29 脱稿