かくん、とハヤトが揺れる。ペンを持ったまま、どうやら眠ってしまっているようだ。
「ハヤト・・・?」
呼んでも勿論返事はない。肩を掴んで、そっとゆすってみる。
「・・・!?」
するとハヤトがキールに向かって倒れこんできた。キールの肩にハヤトが寄りかかる。髪の毛がさらりと揺れて、キールの頬に触れた。
「っ・・・」
少し驚いてキールが身じろぐと、そのままハヤトの頭がキールの膝に落ちてきた。すぅすぅと、心地よさそうにハヤトが寝息を立てている。
「風邪をひくよ・・・?」
そっとハヤトの前髪をかきあげる。するとハヤトがぐりぐりと頭をこすり付けてきた。
「ん〜〜〜・・・・・・・・・・」
どうやら寝心地のいい所を探していたらしく、安定のいい場所を見つけると再び寝息を立て始めた。
「もう、完全に眠る気なんだね・・・」
くすっと苦笑して、ベッドから毛布を取ってハヤトにかけてやる。頭を撫でると、その手を捕まえられた。
「ハヤト・・・?」
ハヤトはキールの手を掴んだまま、気持ち良さそうに眠っている。その弾力のある頬をつついても、ハヤトは目を覚ます気配は見せない。ぐりぐりと、キールの手に頬を擦りつけてくる。
「そんなに無防備にしていていいのかい・・・?」
ハヤトはきっと、キールの気持ちに気付いていない。だからこんなにも、無防備な姿をキールに見せるのだ。
「ハヤト・・・」
ハヤトの頭に、額に、瞼に、頬に、唇に。指を滑らせ、ハヤトが起きている時には触れられないその感触を確かめる。ずっとこうして、触れてみたかった。
「君を・・・愛している・・・」
ハヤトに出会うまで、自分にこんな感情があるなんて思わなかった。「器」という物でしかなかった自分は、ハヤトに出会った事によってようやく「人間」になれたのだ。キールにとってはハヤトが全てであり・・・ハヤト以外の物なんて何の意味もありはしない。
「きっと君は、それを知ったら困るのだろうけど・・・」
だから、今は想いを伝えない。ハヤトを困らせたいとは思えないから。
「今はまだ・・・お休み、ハヤト」
そっと顔を近づけて、唇を重ね合わせる。厚みがある濃い桃色の唇を何度か啄ばみ、静かにハヤトの口の中に侵入した。
寝てる相手にディープかよ!!!(自己ツッコミ)
で、この後キールがひとしきりちゅーしたり撫でたり舐めたり(え!?)してると、ハヤトが目を覚まして「ハヤトの日記2/25」につながるわけです。
実はハヤトの日記には、こんな感じでウラ小説が全部セットになってます。殆ど書かないでしょうけど(笑)。
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