ャスト
 白雪姫:主人公(金沢になります)
 鏡の精:叶先生
 お后様:二見
 小人:槌谷
 王子:大塚(どっちか)
 狩人:帯刃
 ナレーション(地の文):高階
☆この物語は、上記キャストでお送りします。




 話パロ・白雪姫


 昔々ある所に、とても小さくて無愛想で俺様だけどかわいいせんぱ……お姫様が居ました。
 雪のように白い肌、血のように赤い唇、黒檀のように黒い……先輩の髪って、黒くないですよね。

「素に戻るな、さっさと進めろ」
 はーい。えっと、そんな先輩の愛らしさを妬んだ義理の母親である諸悪の根源悪いお后様は、毎日毎日鏡に向かって、自分に暗示をかけていました。
「――――えらい根暗だな、このお后」
「鏡よかがみ、この世で一番、照れ屋で意地っ張りで愛想なしでちっさくてカワイイのはだあれ?」
『金沢か?』
 ――――本当にやったよ、この人。恥ずかしい人だなぁ……
「ぼうとうでしょっぱなからやったにんげんにいわれたくないなぁ」
 でもせりふでやっちゃうよりははずかしさはないとおもうんだけど。
「はのうくせりふばっかりいってるとそのうちいろいろこうかいするよ?」
 こうかいするのはそっちのほうだとおもいますけど?
「地の文と役者がケンカすんなよ」
 はーい。今日も今日とて、女王様は鏡に向かって姫への恨み辛み妬み僻みその他色々呟きました。
 そんな白雪姫の身を案じた狩人が、こっそり裏口から白雪姫を逃がしました。
「ちょっとかいちょー、白雪姫逃がさないでくださいよー」
「話の筋から行くと、ここでイノシシのレバーを持ってくるべきだったかな?」
「そんな真面目にこの劇に参加しなくてもいいんすよー?」
 そんなこんなで、先輩は無事に悪の魔の手から逃れることが出来ました。よかったですね、先輩!

 と言うわけで、白雪姫こと先輩は狩人に連れてこられた森の中を黙々と進んでいました。
「普通、こんな森に女子を置き去りにはしねーだろ」
 あ、その森狼が出るんですって。気をつけてくださいね!
「お前……ナレーションが俺を心配してどーすんだよ」
 何言ってるんですか、狼ですよ! 心配するに決まってるじゃないですか!!
「じゃぁお前が主役やれ」
 もうドレスは見たくもありません。
「そうよ〜、ジュリエットが着るから意味あるんだから、こんなのに着せないでよ」
 ちょっ、女王様はこんなシーンに出てこないんですから引っ込んでてくださいよ!
「なにいってんのなれーしょんのおまえがひとりでぼうそうしないかしんぱいでしんぱいでみにきたんじゃない」
 おきもちはわかりましたからもうひっこんでていいですよ。
「ここにおおかみがいるっていうのにおとなしくひっこんでられないっての」
「おい、話進めろ」
 はーい。先輩が歩いていった先に、小さな山小屋を見つけました。
「やっほ〜〜!!ジュリエット〜〜まってたよ〜〜ん!!」
「ちょっ、まて。仕事にいって留守のところを白雪姫が――」
「早くはやく、ベットもご飯もブーメランパンツもあるよ!!」
「ブーメランパンツはいらねーだろ」
 あっという間に、白雪姫は山小屋にさらわれて……って、何やってんだアンタ!!
「ん、ジュリエとお風呂」
「んなシーンねぇよ!!」
「お背中ながしまーす」
「おい、つち……このまま湯船に突き飛ばすなー!!」
 ちょっ、先輩、先輩大丈夫ですか!? せんぱ――……

 ――しばらくお待ちください。

 大変見苦しい点がありました。今、高階が居ないので代わりに俺が謝ります。
「――ジュリエ〜〜」
「――――……」
 まったく、あんな重い衣装のままお風呂入ったら沈むに決まってるじゃないですか!!
「ジュリエ、ジュリエ。ごめん、ね?」
「せめて、服を脱ぎきってからにしろ」
「うん、お詫び!」
「――――……」
「おっきい?」
「でかいな」
 渡された大きなパジャマを渡された先輩は、そのままそれに袖を通して……先輩、かわいいです!!
「――うれしくねぇ……」
「さてジュリエット、一緒に寝ましょか」
 ちょっと、女王様はまだ出番先っていうか、なに一緒の布団で寝ようとしてんですかあんた!
「ジュリエはいっつんといっしょ。こっちこっち!!」
「男二人で寝るのはずいぶん辛そうだぞ、このベッド」
「だいじょぶ、ジュリエ抱っこすれば」
「暑苦しい……」
 だめです!白雪姫はまだ結婚もしてないじゃないですか!!一緒は絶対だめです!!
「劇なんだから、一行読めばいいだろ」
 あ、そっか。

 翌日、白雪姫が小人に訳を話すと、しばらくここに隠れているといい、とすすめられ、白雪姫は小人の家にやっかいになりました。
 そんなある日、根暗で陰険で嫉妬深い女王様は鏡に尋ねました。自分より美しい人がいるか、と。鏡は正直に白雪姫が一番美しいと答えまし――――
「はいはい、地の文ストップ」
 なんですかねくらでいんけんでしっとぶかいじょおうさま?
「じのぶんよみすぎでばりすぎ」
 せんぱいたちのふたんをかるくさせようとしたこうはいのきもちをくんでみたらどうですか?
「あぁよけいなおせわありがとううれしくないよぜんぜん」
「ケンカしないですすめろ」
 はーい。女王様は、改良に改良を重ねた毒りんごを持って、白雪姫のいる小人の家まで行きました。
「はい、ジュリエット。毒は入ってないから安心してね」
「毒入ってねーと話進まないだろ」
「そっか。じゃぁこの毒りんごは王子にでも……」
「王子毒殺してどーすんだよ」
 埒が明かないので、女王様は無理やり白雪姫にりんごを食べさせまし――
「口移しでいい?」
「いやだ」
「じゃぁ間接キス?」
「普通にりんご押し付けろ」
「じゃぁはい、俺がかじった所」
 ふたみせんぱいなにしてんですか
「ジュリエットと間接キス」
 台本のどこにもそんなこと書いてないんで、とっととしろにかえってしょけいされてしまえ。
「なにいってんのじょおうさまもゆるされてはっぴーえんどになるんだよあたりまえじゃない」
「とりあえず倒れるぞ」
 〜〜〜〜あぁ〜〜もうっ!
 白雪姫は毒りんごによって倒れてしまいました、って女王様白雪姫を連れてかないでくださいよ!!
「ガラスの柩じゃなくて、天蓋付ベッドで眠ってもらいましょか」
「あ〜〜、それキモイだろ」
 胸騒ぎがして慌てて帰ってきた小人は、倒れている先輩を見て泣き出してしまいました。
「ジュリエ〜〜〜、まだ海にもプールにもおそろいのぶーめらんもかってないのにぃ!」
 白雪姫でもなんでもないじゃないですか、それ。

 小人が作ったガラスの柩の中で、先輩はまるで眠っているような顔で横になっていました。
「ジュリエ〜〜、ジュリエ〜〜、ジュリエ〜〜、ジュリ……」
「うるせーよ」
 先輩、起きちゃ駄目ですよ。
「ロミオ〜、ロミオ〜、ロミオ〜、ロミ……」
「違う人物に変えてもうるせーよ」
 だから先輩、起きちゃ駄目ですってば。
「じゃぁ槌谷黙らせろよ」
「じゅり〜、じゅり〜、じゅり〜、じゅり……」
「トキオは歌えねーぞ」
 誰のことですか?
「あぁ、こんな所にガラスの……って、なんで起きてるんだ?」
 あぁ、王子様着ちゃった。
「あー……もう一回入りなおしてもらっていいか?」
「面倒だな。このまま進めたほうが早くない?」
「一応抱き起こすシーンあるし」
「馬は必要か?」
「好きでいいとおも……」
 先輩、真面目になるのはいいけど、ココで台本のすり合わせしないでくださいよ、もう。
 えっと、小人が泣いていると、隣の国の王子様がその家の前を通り過ぎました。
「何をないているんだ?」
「じゅり〜、じゅり〜、じゅり〜、じゅ……」
「――この人は死んでいるのか?」
「ねぇじゅり〜、起きてよじゅり〜、じゅり〜、じゅりえ〜」
「――――なんてきれいな人なんだ」
 あ、無視した。王子様はガラスの柩を開けると、その唇に――……しないでしょ、これ。
「何、キスしなくていいの?」
「いまさらどっちでも――」
 先輩の唇は絶対死守です!!
「じゃぁ俺がもらおっと」
「ちょっ、お前もしかして―――んぅっ!?」
「ごちそーさま」
 あぁ〜〜〜!!!! さっきのすごい人取り消し、やっぱ酷い人だ!!
「和臣か、お前……」
「ある意味ダブルキャスト?いいんでないの、これも」
 先輩の唇がー、先輩のキスがー、先輩の――
「高階、とりあえずまとめろ」
 うぅ……。白雪姫は、おうじさまとしあわせにくらしました!

 ☆終わり☆


「投げやり感あふれてるな」
「あれ、女王様も隣の国に行って終わりでないの?」
「熱した鉄の靴を履かされて、処刑されるんじゃなかったか」
「えぇ〜〜、いまさら原作に忠実はないんでない?」
 処刑されればいいんですよ、悪い女王様は!
「あぁ、俺セーフね。いい女王様だから」
 どこがどういいじょおうさまなのかせつめいしていただきたいですね。
「どこをとってもひんこうほうせいのじょおうさまですよだれかとちがって」
 ひんこうほうせいのいみしってていってますか?
「行い・身もちがまじめで、他の模範となるようす。バーイ新選 国語辞書」
 なにまじめにこたえてるんですか?
「だれかとちがってきちんとこたえられるからね」
「またこの終わり方か……」
「キャスト変更とかなかったからまだいい方じゃないの?」
「とりあえず、めでたしめでた――……」
 あ、忘れてた。次回は三匹の子豚です。キャストは――
 母親:帯刃先輩
 長男:槌谷先輩
 次男:叶先生
 三男:大塚先輩
 狼:先輩
 ナレーション:俺
 以上のキャストでおおくりしま――
「あれ、俺は?」
「二見もナレーションだぞ」
「えぇー、いっしょに狼やろうよ。アレとナレーションなんて――」
 じゃぁむりにでなくていいですよふたみせんぱい?
「――じょうとうでないのたかはしそれがし」
「というわけで、めでたしめでたし」
「こういう終わり方なんだな、やっぱり」


 こんどこそ終劇。





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