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◆本文はこんな感じのつくりです。

◆文章サンプル(上記画像部分の文章です)
      
      丘の下の青年がのんびりとした、しかしどこか味気ない週末を過ごしてからさらに一週間。
      学会での発表は成功したようで、丘の下の青年が次に坂を上るころには
      丘の上の青年は、いちやく時の人となっていました。
      一月後の週末に訪れる流星群、そしてそれを伝えた見目麗しい青年は
      人々の心を掴み、気持ちを夜空に向けたのです。
      
      「僕は代表者として話をしただけなんですけれどね。」
      
      忌々しそうに眉をしかめる丘の下の青年の様子が、電話越しでもわかったのでしょうか。
      丘の上の青年はんふ、と困ったように笑うとごめんなさい、と続けました。
      合鍵ではいった天文台は、常ならば青い衣のお姫様と団子虫のお化けがでそうな
      汚れっぷりを見せているのが常でしたが、その日はまるで家主の不在を知らせるかのように
      二週間前にきた様子と、ほとんどかわりがありませんでした。
      
      「担ぎ上げられなら学生時代で慣れてるだろ。それにしても星の王子様なんていい身分だな。」
      
      丘の上の、見目麗しい青年は天文学者としてテレビなどで解説をする仕事をまわされて
      あのもっさりしたこきたない青年など、まるで最初からなかったかのように
      昼のワイドショーやそのほかで「星の王子様」とかなんとか呼ばれながら、
      テレビの硝子の向こうで綺麗に笑いながら一ヵ月後の流星群について語っています。