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「もういい加減に意地を張るのはやめよ」
耳たぶを熱い息で掠めながら、惣一郎がねっとりと囁いた。
「いかがじゃ、藩主の風呂の入り心地は…」
「あ…っ、殿ぉ…」
私は湯の中でカエルのように脚を開かされ、『殿』に股間を蹂躙されていた。
ふたりの絡む姿を撮ったのち、カメラは今度は私の表情を映そうと、風呂桶の横手に移動してくる。
カメラさんの向こうの暗がりに、監督と見物人の姿があった。
誠司くんは相変わらずモニターの前から動こうとしない。
(だ、だめだ。とにかく早く、それらしく絡んで撮影終了に持っていかねば!)
もはやNGは出せない崖ッぷち。私も役者らしく覚悟を決めて乗り切ろうと思った。
「殿…」
切なげに息などついて、惣一郎の首に両腕を絡めた。
調子こいた惣一郎は、湯の中で私のモノを存分に扱き始めた。
惣一郎の動きとともに、浮んだ柚がゆらゆらと揺れた。
(う、うそ…。出るまでやる気?)
まさか撮影用の風呂の中でそれはないだろう、と私はじっと惣一郎の表情を伺った。
惣一郎は不敵な笑みを唇の端に浮かべた。
「…余が欲しいか、右近」
よく言うよと思いながらも、私はカメラを意識して戸惑ったように『殿』を見た。
惣一郎はわざとらしく右手から左手にブツを持ち替え、右手を会陰の奥へと忍ばせた。
利き手で本格的に後ろを攻めようという魂胆か。
(え…まさか本当に入れるつもりじゃ?!)
あたふたとする間もなく、惣一郎の人さし指がつぷりと蕾にめり込んできた。
「…ん…っあ」
不覚にも洩れてしまった声を、マイクさんが容赦なく拾う。
お湯に浮んだ柚に隠れて、惣一郎の手はやりたい放題だ。
左手の親指は張り詰めた先端をこね回し、同時に右手の指がいやらしく後ろを責めたてる。
(あぁ…そんなっ)
勝手知ったる何とやら。
あっという間に惣一郎の指は奥深く侵入し、内奥のポイントを探り当てた。
惣一郎は唇の端でにやりと笑い、指の腹を強く押し付けると小刻みに揺すった。
「あぁっ…ん、んぁ……」
慣らされた身体は情けないほどに反応し、湯の中で腰が揺れ、胸が思いきり反り返った。
すかさず惣一郎は私の上に屈みこみ、湯の上にのぞいた乳首にかりっと歯をたてた。
「くっ…ん…」
すがるものが欲しくて、風呂おけの縁を懸命に両手で掴んだ。
巧みな三点攻めにあい、もはや『殿』だなんだと台詞回しを気づかう余裕をなくしていた。
そんなばかなと思いながらも、6回目のNGを出したくない一心で、私は唇を引き結んで堪えた。
***
薄暗がりのモニターの前で三人の男たちが固まっていた。
沈黙の合間に、時折誰かの喉が鳴った。
息をつめる気配が異様な緊迫感を呼んでいる。
「結城ちゃんの肘の動きが秀逸やな」
ズボンの前を膨らませる三人を尻目に、ひとり余裕の采女監督が淡々と解説した。
「ほんまに湯の中で悪さしとるみたいや」
「肘の…動きですか?」
身体が切羽詰まっていても研究熱心なのか、誠司がモニターを見つめながら問い返す。
「そや」
監督は満足げにうなずくと、
「自分の動きがスクリーン上で生む効果を計算しとんのや」
「まさか…」
「無理に下半身まで映さんでも、腐女子さんらの妄想を掻き立てるには十分や」
「そんなもんですかねえ…」
「見てみ、次は腹筋に注目や」
「…か、監督の解説も十分に…やらしいですね」
「ふふ。あんたも精進しいや、誠ちゃん」
「は、はあ…」
監督は結城惣一郎の演技力を買い被りすぎているかも、と思いながらも、あえて逆らわない誠司だった。
だがおバカな嶺次郎は違った。
「違う、演技がうまいんじゃない。してる…あれは絶対湯の中でしてるぞ…」
低く悔しげに呟く弟に、内藤帯刀が同調した。
「若僧め…美味しいとこばっかり攫っていきおって」
「あれは絶対俺たちへの牽制だ…」
「おや嶺次郎、あんたも数のうちなんか?」
監督が後ろを振り返り、さもおかしそうに喉を鳴らした。
「くそっ。ひとりじめせんと、一度くらい儂らにも味見させたらんかい!」
身悶えてきいいっと叫びたいところを、帯刀は歯ぎしりをして堪えた。
内藤兄弟の横で、誠司もまた呼吸も忘れたように画面に見入っている。
***
(惣一郎…っ)
湯の中で前も後ろも嬲り尽され、私は半ば意識朦朧として喘いでいた。風呂桶のふちに預けた首をぼんやりと傾ければ、モニターを見つめている誠司くんが再び視界に入った。
今の自分の状況を再認識する。
誠司くんの目の前で…声を洩らし、あられもない姿で『殿』に犯られている。
そう思った瞬間、不埒なことに身体中の血が逆流した。
(誠司くんが…見てる)
惣一郎がすかさず耳もとに唇を寄せた。
『何…おまえ、見られて燃えるのか?』
『な、なにを…っ』
『マグロのふりをして。そんな淫乱だとは…知らなかったな』
いちいち腹のうちを読まないでくれっ!
心の中で叫ぶと、私はひたすら潤んだ目で『殿』を睨んだ。
「ならばそなたの望み通り…」
惣一郎は低く呟くと、二本の指で入口を開いた。
(う、うそっ…だ、誰もそんなこと希望してましぇん!)
惣一郎は左手を私の屹立から離し、両手で腰をぐっと引き寄せた。
「…欲しいだけ、くれてやろう」
猛り立ったものが容赦なく侵入を試みる。
「あっ…あぁぁっ」
(か、…監督!)
自分もこの状況に煽られたのか、今日の惣一郎は容赦がない。
(こんな話は聞いてないです! お願いだから惣一郎を止めてくださいっ)
思いきりカメラ越しに目で訴えたが、監督はあろうことか『よっしゃ!惣様、いてまえ』などと口走りながら、ガッツポーズでモニターを睨んでいる。
(ひどい、誰も助けてくれないのか…?)
頼みの平岡健太の姿を懸命に探すが、どこにも見あたらない。
(平岡くんのばかっ! どうして肝腎な時にいないんだ!)
惣一郎は一気に突いてこず、まずは私の腰を両手で掴み、己のもので焦らすように腸壁を擦り上げてきた。
張り詰めた肉棒をよりリアルに感じる。
「ん、んっ…あっ…」
こんな酷い状況でも身体はどんどん暴走し、奥が勝手に疼いて惣一郎を締め付けてしまう。
「今宵はまた…格別じゃな」
惣一郎は溜息のように囁くと、ゆっくりと腰をグラインドさせる。
深く繋がったまま、あらゆる角度から抉るように責められ、堪えようもない嬌声が私の唇から洩れた。
耳を塞ぎたくなるような、甘く、乱れきった声。
本気で嫌なら、いい加減にしろ!と惣一郎をぶん殴ればいいのに。
またもやNGではスタッフに申し訳ないって…だから我慢するって、本当か?
違うだろう、それは。
惣一郎のテクニックに陥落しつつ、誠司くんに見られている自分に興奮する。
私は侍の『右近』とは大違いの、どうしようもないやつだ…。
縋るような目で私は誠司くんの姿を探した。
(誠司くんっ!)
腕組みをした誠司くんは精悍な眉を寄せ、挑むような眸でこちらを注視していた。
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